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    <title>ニシナ</title>
    <description>思いついた未来像を物語にしています。AIと労働、人間と仕事、社会の静かな変化。「新卒が消えた」など、近未来の日本を舞台にした連作を投稿中。ディストピアというより、すでに始まっている話として読んでもらえると嬉しいです。</description>
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    <copyright>ニシナ</copyright>
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    <lastBuildDate>Thu, 08 Oct 2026 10:08:37 +0900</lastBuildDate>
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      <title>トークンが尽きる日②</title>
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      <description><![CDATA[<h3 name="687F6788-BB8B-4D3A-9338-E5378A8325F2" id="687F6788-BB8B-4D3A-9338-E5378A8325F2">第二章　トークン</h3><p name="BD8C2D06-A320-41EC-B3E2-6D1C39592669" id="BD8C2D06-A320-41EC-B3E2-6D1C39592669">会社の営業フロアは、静かだった。<br><br>以前は違った。電話の声が飛び交って、印刷機が動いて、誰かが誰かに資料を持っていく。そういう騒がしさがあった。今は違う。皆が画面に向かって、静かにキーボードを叩いている。会話は減った。打ち合わせも減った。AIが調整して、AIが資料を作って、AIが議事録を取る。人間がやることは、判断だけになった。<br><br>判断できる人間と、できない人間の差が、静けさの中で際立っていた。<br><br>ハジメの一日は、トークン残量の確認から始まった。<br><br>会社から毎月付与されるトークンの上限は、スコアに連動していた。スコアが高い社員ほど多くのトークンが配分される。タカギのような上位層は、ハジメの三倍以上のトークンを持っていた。トークンが多ければ多いほど、AIに多くの仕事をさせられる。アウトプットが増える。スコアが上がる。さらにトークンが増える。<br><br>その循環に、ハジメは入れなかった。<br><br>今月の残量は、月初めから三割減っていた。フジワラに回した分が響いていた。フジワラからの要求はその後も続いた。断り方がわからないまま、毎月少しずつトークンを削られていた。<br><br>午前中、ハジメは顧客向けの提案書を作ろうとした。<br><br>AIに入力した。顧客の業種、課題、予算規模、競合状況。それだけ打ち込んで、提案書を作ってくれと指示した。返ってきた文章は悪くなかった。ただ何かが足りなかった。顧客の顔が浮かばなかった。先月の打ち合わせで担当者が言っていた言葉、社長が気にしていた数字、会議室の空気。そういうものが入っていなかった。<br><br>入力していなかったのだから、当然だった。<br><br>何を入力すればいいのかが、わからなかった。<br><br>タカギが隣のブースで独り言のように何かを呟いていた。画面に向かってではなく、空中に向かって話しかけているような口調だった。AIとの会話が音声ベースになっていた。三十秒ほどで止まった。画面を一度だけ確認して、席を立った。上司のデスクに向かった。上司が画面を見て、すぐに頷いた。<br><br>ハジメにはタカギが何を言ったのか聞き取れなかった。ただ結果だけが、三十秒で出ていた。<br><br>ハジメは自分の画面に目を戻した。キーボードに指を置いて、また止まった。何を入力すればいいのかが、わからなかった。タカギが三十秒でやったことを、ハジメは一時間かけてもできなかった。道具は同じだった。使い方が、違った。<br><br>昼過ぎ、フジワラがデスクに来た。<br><br>「今月もちょっといいか」と言った。<br><br>ハジメは画面を見たまま、「今月は厳しいです」と言った。<br><br>「そうか」とフジワラは言った。少し間があった。「来月の案件、お前にも声かけようと思ってたんだが」<br><br>ハジメは答えなかった。<br><br>フジワラは少しの間立っていたが、何も言わずに自分のデスクに戻った。<br><br>夕方、トークン残量を確認した。午前中の提案書作成で、想定より多く消費していた。今月の残りは二週間あった。このペースでは月末まで持たない。<br><br>画面を閉じて、窓の外を見た。<br><br>夕暮れの都心が広がっていた。ビルの窓に光が反射していた。どこかで誰かが、今この瞬間もトークンを消費して、アウトプットを出して、スコアを上げていた。その循環の外側に、ハジメはいた。<br><br>翌日、石垣の現場に向かった。</p><br/><a href='https://note.com/nishi_24242424/n/n0553b3eadd68'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>ニシナ</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 30 May 2026 18:52:01 +0900</pubDate>
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      <title>トークンが尽きる日①</title>
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      <description><![CDATA[<h3 name="D99F456B-8BF1-4F38-B0B7-D32F608B22E9" id="D99F456B-8BF1-4F38-B0B7-D32F608B22E9">あらすじ</h3><p name="ED2FA98A-BFF4-42CC-9D8F-D38956ADF9BF" id="ED2FA98A-BFF4-42CC-9D8F-D38956ADF9BF">AIが職場に浸透した近未来の日本。使用したトークンに対するアウトプットの質を示すROT、通称「スコア」が個人の評価基準となり、転職市場にまで波及していた。IT企業の営業マン、サトウハジメのスコアは2.3。社内平均4.1を大きく下回っていた。先輩社員にトークンをせびられ、スコアは下がり続ける。一人で何十人分もの成果を出す後輩との格差は、縮まる気配がなかった。やることを失ったハジメは、総理肝入りの江戸城再建プロジェクトに半ば強制的に参加させられる。AIが支配する会社と、人間の手でしか積めない石垣の現場。その狭間で、ハジメは何かを探し始める。</p><br/><a href='https://note.com/nishi_24242424/n/n9be8f71a8876'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>ニシナ</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 30 May 2026 18:46:13 +0900</pubDate>
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      <title>新卒が消えた</title>
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      <description><![CDATA[<h2 name="b0df5724-3b64-444c-8f68-3fd7c2635721" id="b0df5724-3b64-444c-8f68-3fd7c2635721">あらすじ</h2><p name="37103535-e177-4ace-bfdb-ce8efa9edd8a" id="37103535-e177-4ace-bfdb-ce8efa9edd8a">二〇二七年、大手企業が新卒採用の絞り込みを発表し始めた。AIの活用拡大とインフレの加速が企業の計画を前倒しにし、二〇二八年には採用中止の波が業種も規模も問わず広がった。解雇規制で既存社員を切れない企業が、新卒を入口で止める。割を食ったのは、何も悪いことをしていない世代だった。AIが書いた志望動機をAIがスクリーニングする就活を三十社繰り返しても内定は出ず、いい大学を出た同期の半分近くが就職できないまま卒業した。行き場を失い流されるままタクシー運転手になった僕は、偶然出会った和鼓職人の工房で興味のなかった伝統工芸に出会い、自ら選んでこの世界に入った職人との邂逅を通して、自分の手が選ぶ仕事があることにゆっくりと気づいていく。</p><br/><a href='https://note.com/nishi_24242424/n/n1bf8e8781da0'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>ニシナ</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 27 May 2026 23:52:25 +0900</pubDate>
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