[超短編小説]3分の2
発達障害者の精神年齢は、定型発達者の精神年齢に3分の2をかけた年齢なんだそうな。
であるならば、中学生から高校生、実年齢10代半ばから後半、つまりは定型発達者の10代半ばから後半が、発達障害者にとっては10歳前後の精神年齢ということになる。
そりゃ、青春など味わえるわけもないさ。
物理的には同じ空間にいたとしても、まったく違う時間軸に生きているのだから。
恋愛など理解すらできない。「耳をすませば」など夢のまた夢ではないか。
青春というのはある種の呪いなのだ。少なくとも私にとっては。発達障害者にとっては。
そうとも、青春などという集団発狂じみた物語に耐えうる精神年齢などではないのだから。
呪いはしつこい。しつこいから呪いと呼ばれるのであろう。呪いは劣等感という重荷になり、20代の私にまとわりついた。
精神年齢はまだ10代半ば・・・新卒神話のこの国で、社会人の初っ端でつまづきこける。なぜみんなは仕事ができるのか。あまりのハンデではないか。
30代、ようやく・・・ようやく定型発達の20歳を越える。
人生はこれから?遅えよ。
スタートダッシュとこけないことが大切なこの国で、このハンデはあまりにも冷たく、そして大きい。まるでタイタニック号を沈めた氷山のようだ。
氷山よ、お前はどれだけの発達障害者の人生を沈めてきたのか。
人生はマラソンというけれど、定型発達者からスタートから差をつけられて、発達障害者がようやく走り始める頃には10km以上離されているクソみたいなレース・・・走る価値すらあるのかどうか疑問に思うこともあるが、それでも走らなきゃしかたがない。走らなければ死んでしまえの世の中なのだから。
世のことわりはJRA方式ときたもんだ。
そりゃ、お馬さんに必要以上に感情移入する人間も出てくるわけだ。
出たくもないレースに勝手に駆り出され、どえらいハンデを背負わされながら、今日もダラダラと走り続ける。
誰か、射程距離10km以上のミサイルランチャーをくれ。