第三十五話/四十話「人生落第生の歩く東京散歩道」
第三十五話/四十話「人生落第生の歩く東京散歩道」真の優しさとは?
梅雨の晴れ間、赤坂の料亭・菊乃屋の暖簾をくぐった時次郎は、ふとした出来事に心を揺さぶられていた。
「おや、これは…無銭飲食?」
隣のテーブルで若いサラリーマンが、財布を忘れたらしく困惑している。店主が困った顔で対応を考えている。
時次郎は声をかけた。
「よかろう、今日はオレがおごろう」
その瞬間、ご隠居がささやく。
「優しさとは、ただ物を与えることではない。相手の尊厳を尊重し、その心に寄り添うことじゃ」
スピ女は続けた。
「優しさはエネルギーの交換よ。見返りを求めず、相手の魂に触れることが大切だわ」
科学ボーイは少し科学的に説明する。
「脳科学でも、相手に共感し優しい行動をとることで、オキシトシンというホルモンが分泌され、心も身体も温かくなることが証明されています」
時次郎はその場で若者に話しかける。
「困ったときは互いに助け合うのが人間の道じゃ。今日はオレの勉強代と思え」
店主も微笑みながら言った。
「ありがたい。こういう優しさがあれば、この街もまだまだ捨てたもんじゃないですね」
天の声が時次郎の心に響く。
「真の優しさは、与える側も受け取る側も共に幸福になることだ。見返りを超えた愛の循環が、世界を動かすのだ」
料亭の灯りが揺れる中、時次郎は優しさの本質について改めて考えた。
「優しさは金銭や物だけじゃない。心の通い合いこそが、何よりの宝なんだ」
#小説 #幸福論 #人生#東京散歩-#シニア#落第 #生き方 #創作大賞2026 #お仕事小説部門