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秩父鉄道(さくらライン)

     2011年春の日記です。
     
     秩父鉄道は埼玉県北部の長閑な田舎を、
    熊谷を挟んで東西に走るローカル線だ。
    単線だが、電化されており、走る車両は首都圏JRのお下がりが多い。
    塗装もそのままのだから、前歴が山手線、中央線、
    京浜東北などとあからさまに分かる。
    土日は一往復だけSLが走り、乗り鉄、撮り鉄で賑わう。
     
     昨日、春の陽射しに誘われて、桜を見に行こうと秩父鉄道に乗り、
    大麻生駅で下車し、線路沿いの高さ5,6メートルの土手上の道を歩く。
    土手の向こう側には、平らな河川敷のゴルフ場が広がっており、
    更に向こうは荒川だ。
     
     土手のこちら側、つまり線路側の斜面の中ほどに、
    満開の桜が、枝の重ならない程度の間隔で延々と一列に立ち並び、
    薄いピンクの花が春の微風に気持ちよさそうに揺れている。
    どの木も幹の直径が4,50センチあるから、老木の範疇だろう。
    足元は黄色い菜の花が地面を埋め尽くしている。

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    桜通り

     花を眺め、ほのかに甘い匂いを感じながら土手の遊歩道を歩く。
    すれ違う人は多いが、シートに座って酒を呑んでいる人はいない。
    線路沿いでは、あちらこちらで一眼レフのカメラを構へ、
    1時間後に来るSLを待つ撮り鉄が大勢いる。
    そう言えば、桜をバックにしたSLの写真はポスターなどでよく見る。

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    線路沿いの菜の花畑


     
     土手沿いを1時間弱歩くと、
    野鳥の森公園と書かれた矢印の看板があり、
    見事なホーホケキョが聞こえてくるので、成る程と納得する。
    目と鼻に加えて、最後に耳も楽しんだ春の午後だった。

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    1969年に大学を卒業して鉄鋼技術者、工場運営、上場企業のトップを経験し、2021年3月74歳で退任、フリーになりました。振り返ってみると、レールを大きく踏み外すことのない人生ですが、それでも現役時代には人に言えない諸々があります。ここで少しずつ漏らしたいと思います。

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