
パクチー的大阪人
他府県から大阪に引っ越して数ヶ月が経った。
そこで、分かったことがある。
大阪人はパクチーと似ている。
ここで言う大阪人というのは、大阪で暮らしている人間のことである。
大阪の役所に住民票を出し、大阪の運転免許センターで住所変更をしている人間である。
余談だが、大阪府警に行くのが怖くてまだ住所を変更できていない。
別に悪いことはしていないのだが、なんとなく怖い。
入れ墨の人が出てきたらどうしようかと思うと憂鬱になる。
ピアスをあと三つくらい開けないと立ち向かえない。
話を元に戻そう。
暮らしてみて分かったが、北側と南側で雰囲気が違うというのはよくネット情報に載っている。
チャッピーもそれに迎合した意見を吐き出す。
情報源によっては『北側は大阪ではない』とまである。
が、場所はともかく、人間だけを取り出してみるとさほど違いは無いのかもしれないように思う。
なぜかというと、大阪の中でも移動があり、南側で生まれ育った人間が子育てやなんやかんやで北側に引っ越すことはわりとあるのだ。
生まれ育った地域の固定観念はあまり感じられない。
岸和田出身の奥様がめちゃくちゃ上品だったり、北摂でずっと暮らしているマダムのしゃべり方がコテコテのオバチャントークだったりする。
このような実際に暮らしてみないと分からない体感は、AIやグーグル先生や知恵袋は教えてくれない。(教えて欲しかった)
私の立場であるが、実際どうかというとパクチーは苦手である。
これはリアルパクチーの話で、食べられないことはないが、積極的にはオーダーしない。
サラダに乗っていたら、
「うぇっ……」
と思う。
が、大量でなければ食べる。
フードロスよくない。
しかし、大量に摂取すると気分が悪くなる。
まあ、そういう感じだ。
他府県出身民が、一部の大阪人と会話をしても似たような現象が起きる。
ここで大阪の名誉のために言いたい。
私も大阪に住民票があるし、納税しているので、言ってもいいと思う。
えー、正直な話。
体感であるが、10人と喋ったら8人くらいは
「気持ちの良い大阪人」
である。
正直、引っ越してきてから、府民に親切に声をかけてもらったことが多い。
にっこり接客してもらったり、近所の方々にお世話になったりする。
ほっとするし、ありがたいなと思う。
しかしながら、他府県民にここで気をつけて欲しいことがある。
油断は禁物だ。
この気持ちの良い大阪人のうちの8人。
そのうち3人くらいは、一見するとパクチーである。
冷たい。
怖い。
人としての感情が無さそう。
パッと見、ちょっと怖いと思うかもしれない。
なぜかというと言葉がキツイ。
関西弁がキツイ。
イカツイ。
塩対応。
もうそれだけで、ほんにゃり生きてきた他府県民はビビる。
金髪だったり茶髪だったり、アイメイクが濃かったり、カラコンが金色だったり、豹柄のキャミソールとか某高級ブランドロゴがオーロラのごとくキラキラでかでか入ったTシャツに、心が折れ、泣きそうになる。
しかし、意外にも何回か喋っていると、優しくなっていく。
あの現象は何なのだろう。
他府県では、最初は丁寧で敬語で、仲良くなるとカジュアルになる。
大阪のある種の方々は、最初はめっちゃくちゃ塩対応かつ怖くて、何度か会っていると友達のようにカジュアルになる。
人が多いので、わけのわからんやつを排除しなければならないという考えがあるのかもしれない。まるで一見さんお断りの店に突貫していくようで、メンタルは自然と鍛えられる。
話を元に戻そう。
パクチーかと思いきや、食べてみたら三つ葉だったとか、水菜だったとか、意外と自分の味覚に近いものがあったりなかったりするのである。
人間、しばらく喋って付き合ってみないと分からないこともある。
そう、実はだいたい良い人や親切な人が多い。
だが忘れてはならないことがある。
大阪人の、あとの2割はパクチーなのだ。
どういうことかというと、多くが
『すすんで関わりたくない』タイプの人間だ。
こういうことを現実世界で言うと、
「ほんなん言うんやったら来るなー! ひっこめー! 国に帰れー!」
と言われるに違いないため、こうしてネットの片隅でぶちぶち綴っている。
しかし、これから転勤などで引っ越してくる他府県民が多少なりとも生きやすくなればいいとも思い、この毒にも薬にもならないようなエッセーの続きを書いていく。
大阪人的に言うと、
『ガタガタうっさいねん、嫌なら読むな』
といったところだろうか。
ちなみに、誤解なきように追記すると、これはパクチー発言ではない。
ただ口が悪く表情が怖いだけの、普通の大阪人の会話である。
他府県民は泣きそうになるが、大阪人たちに他意は無いので安心して良い。
彼らはそうやって闘っているのである。
何と闘うかというと、これから述べるわけのわからんやつ、
『パクチー的人々』だ。
大阪にいるパクチー的人間は厄介である。
彼らは自分をキャベツか何かだと思っており、大阪のくくりの中に自分がおり、周りも全員自分と同じようなものだと信じている。
具体的に言うと、
「ノリやん」
「突っ込みやん」
「冗談やん」
「こんなん大阪やったら当たり前やん」
という発言をしつつ、相手をディスり、他人の尊厳を踏みにじり、相手が焦ったり困ったりするのを楽しむ種類の人間である。
これを私はパクチー的大阪人と呼んでいる(心の中で)。
他府県的に言うと、つまりはめんどくさいタイプの酔っ払いのおっさんみたいな感じである。
余談だが、どれだけベロベロになっても、酔っ払いのおばさんにめんどくさい絡み方をされたことは今まで一度も無い。転勤族である私は、日本の幾つかの県で暮らしてきたが、どこでもそうだった。
これはかなり不思議だと思う。
いや、港区とかでは適用されないのかもしれないが……ああ、めんどくさいおばさんがいるとすると、お兄さんに絡むのかな? どうなんでしょう。
話を元に戻そう。
さらに具体的に言うと、たとえば
「めっちゃ太ってるやん~」
「頭バグってるやん~」
「ハゲてるや~ん」
くらいは、軽度のパクチーだ。
補足すると、これは必ずしも私が直接やられたというわけではなく、周囲の人間の愚痴を聞いたり、飲み屋等で飲んでいる際に周囲の発言を総合して得た知見だ。
他府県民からすると、
(えっそんなこと普通言う? え? なんで? どういうこと? 誰?)
と思うかもしれないが、彼らはそうやって生きてきたので、悪意はない。
これはまだ他府県民にもうまく付き合える可能性はある。
笑顔で挨拶して二言三言話せるくらいには関係を作れる。
問題は次である。
THE パクチー とでも言うべき大阪人だ。
これは大阪という土壌で醸成された、真なるパクチーである。
正直、初心者には全くおすすめしない。
というか、パクチーがものすごく好きな人以外は離れた方がいい。
たぶん昭和の芸人界隈なら面白かったのかもしれない。
しかし、現在は令和であり、パクチーは芸人ではない。
そこを勘違いしているので、痛々しい。
どういうことかというと、彼らは相手を傷つけることを楽しんでいる。
そしてその自覚がパクチー自身にはない。
相手をディスるのが大阪の文化だと信じているタイプの人種だ。
いないと思うでしょう? いるんです。
「えっ? ○○なん? キモォ」
であったりとか、
「あんただけ良い思いして……ズルゥ」
みたいなのであったりとか、
「○○なんて、どうせ△△やろぉ」
とかいった類いの発言をする者たちである。
パクチーは、善良な方々と違って、初対面でも関係が浅くても、特に気にせずに突っ込んでくるので分かりやすい。
漫才的な『突っ込み』ではなく、彼らは歩道に乱入する暴走トラックのように突っ込んでくる。
家族の職業、年収、宗教や政治。
というか自分が大切にしているものについての全ての発言は、このパクチー型人間の前では慎んだ方が良い。
なぜなら、パクチーは他人をこきおろすことでマウンティングし、自己実現をはかっているので、反論すると余計にカメムシ臭を発してくる。
あなたが真剣に論破しようものなら、99.9999%の確率で、
「え? 冗談やん。ノリわるいわ~、おもんな」
と言い出し、最後っ屁をかまそうとする。
しつこいかもしれないが、再度言う。
これは私が直接やられたわけではないが、飲み屋等で飲んでいる際に周囲の発言を総合して得た知見だ。
っていうかヤバイ奴いる……と思って見たら、おねえさんに絡むおっさんがいたりするわけである。
こういう発言をする人間は全員カメムシ臭のするパクチーだ。
関わりすぎると初心者は確実にやられるだろう。
すみやかに回避した方がいい。
(うわ、めんどくせー)
と思ったら、微笑んで黙る一択である。
そしてなるべくすみやかに、パクチーと話さなくても良い距離に移動しよう。物理的にできなくても、心の距離を離そう。
おおよその場合パクチーは喋りたくて仕方が無い人間なので、自分が場の主役になれればそれでいい。
そっとパクチーを主役にして、食べたい人に食べてもらおう。
あなたが食べる必要はない。
聞いているだろうか、飲み屋で絡まれていた主婦っぽいお姉さん。
あなたの隣のあいつ、めちゃくちゃパクチーでしたよ!
越してきてすぐの私が言うことではないけれど、大阪人みんなあんなんじゃないと思うから、気にしないで! いい人いっぱいいるよ! 次いこう次!
ハイッ攻守交代! 三回の裏ッ!
品の良い飲み屋はめんどくさいおっさんを取り締まってあげてほしい。
まじめなお姉さんとダル絡みおっさんは、牛乳とパクチーくらい合わないと思う。
牛乳は牛乳、パクチーはパクチーで棲み分けたらいいのではないか。
たぶんこういう思想から、民族の分断や東西ドイツみたいなものが始まっている。のかもしれない。
知らんけど。
またまた余談だが、スーパー上品な東大阪出身の知人にこの話をしたところ、
「ああ……そいつがめんどくさいやつってことやなあ」
という一言でまとまった。
私なんかよりもよっぽど文才に長けている。