自殺代行サービス
「ということで、大体説明は終わったんだけど、本当に契約する?」
「・・・・・・はい」
「・・・本当に?」
「・・・はい、お願いします」
「・・・さっきも伝えた通り、契約しちゃったらもうキャンセルはできないけど、・・・それでも、本当にいい?」
「・・・はい」
「・・・そっか、じゃあ契約成立ね」
「・・・でも・・・本当にいいんですか?・・・僕の代わりに」
「うん、そういう契約だからね」
「・・・」
「死にたい君の代わりに、僕が死ぬ、それを君は見ていればいいだけ」
「・・・」
「もう死にたい、でも死ぬのは怖い、それでも死にたいと思ってしまうから僕に依頼したんでしょ?」
「・・・」
「わかるよその気持ち、僕もそうだったからさ」
「・・・」
「・・・とりあえずさ、冷めないうちに食べようよ、ここのダムカレー美味しいんだよ、遠くからわざわざ食べに来る人もいるんだってさ」
「いやー美味しかったなぁ、君、半分ちょっとしか食べないからさ、その分まで食べてお腹いっぱいだよー」
「・・・・・・本当に、いいんですか?」
「・・・何が?」
「・・・本当に、飛び降りるんですよね?」
「・・・・・・・・・そういう契約だからね」
「・・・怖くは、ないんですか?」
「・・・・・・怖くない、わけないじゃん」
「ここなら大丈夫かな、いやー高いねぇ」
「・・・」
「さて、今から僕は飛び降りるけど、契約したとき、君に話したこと覚えてるよね?」
「・・・はい」
「本当に、任せても、大丈夫だよね?」
「・・・はい」
「・・・よし、じゃあ・・・行くかな」
「・・・」
「・・・ちゃんと見ててね、僕の最期」
「・・・・・・・・・あの、やっぱりやめた方が」
「キャンセルはできないって言わなかったかい?」
「・・・だって、だって」
「・・・何?」
「・・・手、震えてるじゃないですか」
「・・・」
「・・・やっぱり・・・怖いんじゃ」
「大丈夫、大丈夫だから」
「・・・これじゃあ、僕、僕、人殺しと同じじゃないですか」
「・・・違うよ、違う、絶対に違う、僕が、君の代わりに死ぬだけだから」
「・・・でも」
「さっきも少し話したけど、僕、自分一人で死のうとしたときは、絶対に無理だったんだよ、怖くて、何度も死のうとしたけど無理で、やっぱり怖くて」
「・・・」
「でも今は、今は、君のためって目的があるから、自分でも不思議なんだけど、怖さを乗り越えられそうなんだよ」
「・・・」
「君と顔合わせたのも、話したのも、今日が初めてなのにね、君のためなら大丈夫そうなんだ」
「・・・」
「・・・君も、いずれわかるよ、僕の気持ちが、たぶん」
「・・・」
「泣かなくて大丈夫、大丈夫だから、大丈夫、僕を見ていて、僕の最期をしっかりと目に焼き付けて欲しい、君も僕のように、きっと乗り越えられるから」
「・・・」
「じゃあ、後は頼んだよ」
今日未明、△△町の○○ダムで、身元不明の遺体が発見されました。
警察は自殺とみて捜査を―
「・・・そっか、もう、見つかったんだ」
「・・・次は・・・僕の番か」
「・・・思ってたより連絡来るの早いな」
「・・・・・・・・・ふう」
「・・・もしもし?」
「・・・うん、うん、うん、この番号で間違いないよ、大丈夫だよ」
「・・・そう、僕が自殺代行サービスだよ」