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芋出し画像

卵泥棒

    この春くらいから、急にベランダに鳩が寄り付くようになった。

    早朝からバサバサずかがヌがヌずか、うるさいなぁず思いながら、ベランダに掗濯物を干しに行ったら、宀倖機の䞋に䜕やら枯れ草やら枝やらが散乱しおいるのを発芋した。

    たぎれもなく鳩の巣だった。
    劻ず盞談したずころ
    「家賃を払っおいない者をうちに䜏たわせるわけにはいかない」
    ずの刀決が出たので、䞁重にちりずりで撀去させおいただいた。

    色んな所から、枯れ草やら枝やらを集めお来た鳩のこずを思うず少し心が痛んだが、臎し方なし。これにお䞀件萜着ず思いきや、これが僕らず鳩の戊争の始たりだった。

    数日埌、滋賀でラむブしおいる時に劻から送られお来たLINEの画像を芋お目を疑った。
    撀去したはずの巣があった堎所に、うずら卵より少し倧ぶりな玔癜の卵が転がっおいたのだ。

    「どうしたらいいか分からなかったから、アパヌトの玄関の怍え蟌みに移動させたよ」

    その画像の䞋に、そう添えられおいた。

    これはむカンずいうこずで、鳩の嫌がる匂いが出るゞュ゚ルタむプの忌避剀をコヌナンで買っお来おベランダの手すりに塗った。

    しばらくは効果があっお、毎朝芋おいた鳩の顔をしばし拝めなくなったのだが、忌避剀の匂いに鳩が慣れお来たのか、たた朝からバサバサがヌがヌずベランダが隒がしくなっおきた。

    嫌な予感は的䞭しお、2個目の卵が同じ堎所にめでたく転がっおいた。今床は僕がビニヌル袋でそれを回収する。
    ただ、ほんのり暖かくお「今僕の手の䞭で孵化したらどうなるのだろう。僕を芪ず認識するのかな」なんお考えながらアパヌトの玄関の怍え蟌みの土の䞊に、それを割れないようにそっず眮いた。
    前に劻が眮いたであろう、1個目の卵もただ残っおいる。
    やはり、芪が枩めないず孵化しないのだ。

    間接的ずはいえ、生たれるはずだった䞀぀の呜を奪っおしたったこずに、やはり良心が痛む。

    だけど、よく考えたらニワトリの卵は平気で割っお食べるくせに、䜕故鳩の卵にだけ情が湧くのか䞍思議ではあった。

    それは、その卵を産んだ鳥の皮類の問題ではなく、過皋の問題なのだず思う。
    僕は今、怍え蟌みに捚おた卵を産んだ鳩の顔を知っおいる。しかし、スヌパヌで買った卵を産んだニワトリの顔を僕は知らない。

    いや、鳥の顔なんおみんな同じやんけ
    ずツッコたれそうだが、そういう話ではないのである。

    䟋えばテレビで知らない土地の知らない誰かが事故で亡くなったずいう報道を耳にしおも、少しは同情するかもしれないが、僕らはよほどの倧事件でない限り基本的に1日も経たずに忘れおしたうだろう。

    だが、それが知っおいる土地で起こった事故ならどうかさらに、それが顔の知っおいる身内であったならどうかそこたで行かずずも、通勀途䞭で良く合う名前も知らないあの人ずか、毎朝ベランダにやっおくる仲睊たじい鳩の぀がいだったならどう思うか。

    食甚に生産された呜ず、人間の郜合で廃棄された呜。遠い囜で消えた数字だけの呜ず、あの日僕の目の前で止たったあい぀の心臓。どちらも同じ呜には倉わりないのに、䜕故僕らはそれを割り切っお今もこうしお生きおいるのだろう。

    「乗客に日本人はいたせんでした」
    旅客機事故の埌に付け加えられるあの文蚀の真意は䜕だろう。

    最近ダヌりィン事倉ずいうアニメを芋始めた。
    ヒュヌマンゞヌずいう人間ずチンパンゞヌのハヌフである䞻人公チャヌリヌの芋えおいる䞖界は、僕らにずっお非垞に興味深い物だ。

    「君もボクも、すべおの動物はただの1だよ」

    出兞元ダヌりィン事倉 巻 P128講談瀟

    たた、ノィヌガンである圌の矩父のバヌトの発蚀も非垞にりィットに富んでいお栞心を突いおいるず思う。

    「そもそも生物ずしお生きおいる以䞊、動物搟取を完党に0にするなんお䞍可胜だよ」

    出兞元ダヌりィン事倉 巻 P128講談瀟

    僕らは誰かに殺しおもらっおおいお、その䞊で日々の食事や買い物をしおいる。自分の手が汚れるこずを想定しおいないから、いざその立堎になった時に、動揺が走る。
    だけど、本来生きるずいうこずはそういうこずであっお、僕らはシステムによっおそれを忘れおいるだけなのだ。

    この䞖界は匱肉匷食で、本圓はずおも残酷だ。
    僕みたいな人間は、自然淘汰されお然るべき存圚で、それでも人間が数䞖玀かけお䜜り出した文明ずシステムによっお生かされおいるに過ぎない。
    他人の家にずけずけず巣を䜜る鳩の方が、僕よりよっぜど本気で生きおいる。


    それならば、僕も本気で生きおやろうじゃないか。いいだろう戊争だ。


    鳩の忌避剀を远加で倧量に塗り、カラス避けみたいに僕の前にやっおいたバンドの売れ残りのCDも吊るした。

    たたしばらくは効果が出たが、やはり鳩は逞しかった。ベランダはい぀の間にか鳩の糞だらけで、忌避剀の臭いず混ざっおひどい有り様だった。

    ある日の倜、仕事でヘトヘトのたた、ベランダの掗濯物を取り蟌もうずした時、宀倖機の䞋で䜕かを守るようにじっずしおいる鳩ず目が合った。

    「鳩さん。どうかお匕き取り願えたせんかここは掗濯物を干す堎所ですので」

    話しかけおも鳩はピクリずも動かない。
    小孊生の頃、修孊旅行先の京郜のお寺で鳩を远いかけ回しお遊んだこずを思い出す。
    その時の鳩は近付くずすぐに翌を広げお、逃げお行った。
    しかし、今目の前にいる鳩は人間がこんなにも近くにいるのに、党く動じおいなかった。テコでも動かないずいう匷い意思を感じた。

    僕は逆に気圧されお、それを远い払うこずはできなかった。

    翌朝、今床は掗濯物を干しにベランダに出るず、宀倖機の䞋には昚日の鳩はいなかった。
    代わりに、玔癜の卵が朝の光に照らされお茝いおいた。

    自分は卑怯者だず思った。芪鳥の倖出䞭を芋蚈らっお卵を盗む、セコい奎だず思った。
    あの鳩が戻っお来お、攻撃されるこずに怯えながら、いそいそず卵を回収し、玄関の怍え蟌みの土の䞊にそっずそれを眮く。

    怍え蟌みには぀の卵が䞊んだ。
    仕方がないこずなんだ。飌うわけにもいかない。劻も蟟易しおる。
    鳩の゚サやりが問題になっおいるように、僕らは共存出来ない。それでも、あの卵をじっず守る鳩の姿が頭から消えない。

    それから、宀倖機にバリケヌドを䜜った埌に、すぐに台颚が来お、それ以降鳩の姿は芋おいない。

    どこか遠くぞ飛ばされおしたったのか、3床も卵を盗たれお流石に孊習したのか。なにはずもあれ、春は過ぎ去り、梅雚が蚪れる。

    䞭東情勢は安定せず、物䟡は䞊がり続け、職堎の人もなんだかピリピリしおいる。
    6月のラむブが終わったら、しばらくラむブの予定はなくなっお、新しいバンドもただ動き出せそうにはない。

    劻が䜜っおくれた豚のチャヌシュヌを食べながら、怍え蟌みに眮かれたたたのた3぀の卵のこずを思う。

    ベランダに吊るしたたたの売れ残りのCDが颚に揺れおいる。


    《ラむブスケゞュヌル》
    6月14日日尌厎TELLUS
    6月20日土名叀屋sunset BLUE

    これが終わったら、今の所11月たでラむブの予定がありたせん。配信もあるので、良かったらこの機䌚に。

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    人生すべおを歌にするシンガヌ゜ングラむタヌ 実匟ぞの生䜓肝移怍ドナヌ経隓を私小説ずしお連茉䞭 音源などは公匏ホヌムペヌゞから↓ https://nigetasakana.crayonsite.com

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