
夏目フェスティバル | 脳内行動派! #19
自宅から一歩も外に出ない日常を書いています。
驚くべきことに、マガジンにまとめるという愚行を始めました。
前回はこちら
鼻炎を我慢すれば頭痛が進む。
薬を飲めば眠たい気になる。
鼻をかむのも面倒だ。
とかくに低気圧の日は住みにくい。
どうしたってボーっとするのだ。
悪あがきなんかしない。
徹底的にボーっとしてやるのだ。
そんな状態なのに、朝っぱらから仕事を始め、夕方まで仕事を続ける。
吾輩は猫ではないのだ。
だから、やる気なんてものは、まだ、ない。
ずっとないのだ。
ボーっとがあまりに加速したならば、容赦なく寝る。
いつだって精神的に向上心なんてものはないのだ。
精神論で仕事が進むのなら、誰も苦労なんてしない。
向上心なんてものは一切必要ないということなのだ。
特に、鼻炎がひどいとき。
鼻水を向上したって、ティッシュの消費量が増えるだけだ。
だから、薬を飲むという選択肢を躊躇ってはいけない。
しかし、問題もある。
どこに置かれたのかとんと見当がつかぬ。
誰も彼もが鼻炎持ちかつズボラなので、元の位置に置かない。
どこから出てくるのかわからないことがあるのだ。
いつもの棚の中なのか、机の上なのか。
そんなものは、いつでもその日の気分次第なのだ。
そして、大事な事実がある。
最後に鼻炎薬を飲んだのは、まず間違いなく私自身だ。
使ったものを放置する。
親譲りのいい加減で小供の時から無くしものばかりしている。
さらに、探し物が大の苦手なのだ。
だから、昨夜適当に放置した鼻炎薬が、一体どこから出てくるのか想像もできない。
棚の中より机の上は広い。
机の上より部屋は広い。
部屋より――部屋より薬箱の中はぐちゃぐちゃになっているのだ。
どこの視点に立ち見渡そうとも、そう簡単に見つかるものであるわけがない。
そんな迷走する鼻炎薬の捜索。
そして、たったひとりで探し続ける孤独。
そんな鼻炎薬を求める姿を極めて明確に、そして端的にあらわす言葉がある。
「迷羊(ストレイ・シープ)」
迷える子羊の、ちょっとだらしなくも聞こえるメェ〜という声。
まさに鼻炎の象徴と言ってもいい。
鼻炎に苦しみながら、鼻炎薬を探す。
この姿を、実に見事にひとことであらわしていることがわかるはずだ。
「働かないで食ってる連中は、それだけ余計な精神的活動をやっている。」
なんて考え方もある。
鼻炎薬を探しながらボーっとしながら食ってる。
だから、かなり活発に精神的活動をやっているということになる。
この間、徹底して働いていないのだ。
従ってそれだけ余計苦痛を感じている。
その考え方は正しい。
なぜなら、鼻炎は意外に苦しいのだ。
一刻も早く、止める必要がある。
寝るか、薬を飲むか、それでなければ鼻をかむか。
そんな3つの前途しか用意されていないのだ。
「鼻炎は罪悪ですよ。」
そんな言葉すら聞こえてくる。
だから、抗うより他にない。
鼻炎が残っている限り、頭痛鼻水が止まるということがない。
ところが、私は鼻をかむのがヘタクソだ。
実質的な選択肢が2つになるというのも辛い。
人は鼻炎を忘れるために、他人に仕事を押し付けなければならない時がある。
これは仕方のないことだ。
人間の一生なんて、つまるところ、自分の鼻炎を隠そうとする努力の連続に過ぎないのだ。
だから、仕事を押し付けつつ、寝るという選択肢を取らざるを得ないのだ。
こんな夢を見た。
鼻にティッシュを当て部屋中歩いていると、乱雑に置かれた箱が、静かな声で私はここですと云う。
眠りから醒め、棚の中をガサゴソと探す。
ありがたい。
本当に鼻炎薬があった。
鼻の通りの開化は、鼻炎薬を飲んで已むを得ず効いてくるのであって、眠って自然に発展するものではない。
ようやく飲んだ鼻炎薬の効き目が出てくるまで、ただ待っているしかなかった。
📖 エッセイ
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どうやら私は、ひとりだけ別の世界に住んでいるようだ (全4話)
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