
一年生だから許してください
私は新卒一年目。
毎日ぴよぴよと先輩の後ろを歩くひよっこ社会人をしている。日々奮闘中。
そんなある日、会社でえんぴつを削る機会があった。
仕事がなにもわからない新卒が担う、誰でもできる簡単作業だ。
えんぴつを削るのなんていつぶりだろうか。先輩からハンドルのついた手動のえんぴつ削りを渡される。
小学生の低学年ぶりだ!このハンドル!懐かしい気持ちへまっしぐら…
小学生の頃は、その日学校で使った鉛筆を、ハンドルを手動でぐるぐると先をぴんぴんにとがらせるのが日課だった。短くなった鉛筆は、勉強を頑張った証!と誇らしげになる。誇らしげになりたいから、喜んで削る。でもほんのときどき、その仕事をすっかり忘れてしまう。
次の日、さあノートをとるぞ、と箱型のパコパコするペンケースを開けると先のまんまるい鉛筆が並んでいた時の絶望感。ハンカチを持ってくるのを忘れたときと同じ、その日がブルーになる。
誕生日祝いかなんかで、小学二年生あたりから電動のえんぴつ削りになったんだよなぁ、とハンドルえんぴつ削りとの別れまで思い出す。
そんな懐かしい気持ちに一瞬浸り、それから焦った。
どうやって使うんだっけ。
えんぴつすら削れない新入社員なんて、この先が思いやられてしまう。
思いやられたくない。
でも挿して、回すだけでは空振る音がする。
仕方なく、情けなく、先輩に助けを求める。
壊れてて使えないってことに淡い期待を抱きながら。
結果、壊れてなかった。全然現役でした。
私はすっかり、一番最初のカシャって金具を引き出す工程を忘れていた。
照れは隠せず、ペコペコしながら恭しくえんぴつ削りを受け取る。
えんぴつすら削れないなんて。
そんな新入社員の姿見られたくなかったのに。
習慣でやってたえんぴつ削り。
小学一年生と社会人一年生。
できたこと、できなかったこと、その年代によってあるよね。
小学一年生ではできなかったこと、今ではたくさんできるもん。
でも、一年生だから、許してください。
えんぴつが削れなくても。