
骨壺を抱く。
妙なタイトルではありますが
身内の不幸が…とかではなく
50代バイトの、本日の業務
お寺仕事の報告でございます。
朝から立て続けの法事のために
お茶セットやお菓子を"〇〇家"
確認しながら人数分控えの間に
スタンバイしては片付け掃除の
ルーティンの途中リリー住職が…
「ちょっと一緒に来てください。
お墓までこれを、一緒に持って
行くお手伝いをお願いします。」
と手のひらを向けたのは
白い陶磁器の円柱の蓋物。
骨壺でした。帯地の様な
織物風の袋から出されて
なんともシンプル、かつ
モダンな雰囲気すら醸す
器がふたつ置かれていて、
見れば列席者は3人のみ。
塔婆や花束、線香を持ち
骨壺を抱く人…ってあれ。
人数が足りないどころか
ご列席のうち、お二人は
ご老体で歩みもやっとな
感じがしていて、いくら
お墓まで100歩程とは
いえモノを持っては無理
だと理解。躊躇っている
場合ではないな、初体験
をさせていただこうっと。
どんな感じがするのだろう、
骨壺って…と手を伸ばした。
ちょっとドキドキしながら
陶磁器の白い蓋物を抱くと
なんてことはない白い器だ。
白い釉薬が綺麗にかかって
何処で作っているのだろう…
鋳込みだろうし高そうだな
と下世話なことを考えつつ
お墓まで歩いてみたのだが
うーむ。この中に髑髏とか
入っているのかぁ…見たい
と思いながらも、自制自制。
歩きながら、いろいろ逡巡。
あゝ結局、最期はこれかと。
手に収まり、白い磁器の器
に入るサイズ感なのだなぁ。
簡単に抱えられて思いの外
軽く、ちょっと焦ったのだ。
残るは、骨だけか。
葬儀の経験は何度もあるが
骨壺は今まで持ったことが
なかったのだった。それが
今このタイミングで経験し…
今一度、自分自身を振り返れと
言われているのかもしれないな。
何も残らない現実を、直視して
どう生きるかを見つめ直させて
くれたこの骨壺には、"93歳"と
書かれてあった。大変な時代を
乗り越えてこられた大先輩だな。
楽しかっただろうか。幸せだと
笑顔溢れた毎日だっただろうか。
手元の髑髏に想いを巡らせつつ
モノではなく楽しい時を記憶を
重ねていこうと決めたのでした。
案外時間が無い気がする。
本気で楽しもうと決めた
時、見上げた空に釘付け。

素敵な方だったのかもしれないな。
今までの50代お寺バイトの
あれこれはマガジンを是非。
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