【IT業界・怪奇現象】30人参加のTeams会議
シルバーウィーク(5連休)もあけて絶望の木曜日を過ごしたSIer諸君。おめでとう、もう金曜である。
今日はIT業界の怪奇現象「30人参加のTeams会議」を紹介する。
IT企業というと、なんとなく仕事が効率化されているイメージがある。紙をなくして、業務をWeb化して、AIだDXだと言いながら世の中の無駄を消していく。少なくとも俺も入社する前はそんな業界だと思っていた。
20年近く働いて分かったが、全然そんなことはない。
むしろIT企業には、テクノロジーでは説明できない怪奇現象が大量に存在する。その中でも俺が特に異様だと思っているのが、30人くらい参加するTeamsの週次定例である。
「お経」を読み上げる仕事
ある大きなプロジェクトの運用週次報告会では、毎週30人近い人間がTeamsに集まる。そして会議が始まると、Excelの課題管理表を画面共有して上から順番に読み上げていく。
「課題No.10ですが、先週からアップデートありません」
「はい」
「No.13もアップデートありません」
「はい」
こんなのが延々と続く。
これネタではなくガチで
半年前から載っている課題について、Excelに書いてある「アップデートなし」という文字列を、人間が声帯を使って再生している。もう会議というよりお経である。しかもこれを毎週やる。DXを売っている会社が、人力Text-to-Speechを30人集めて実行している。

さらに面白いのが、この会議を一年近く続けているのに、一度も発言したことがない人間が20人くらいいることである。基本的に喋っているのはプロジェクトマネージャーと客の偉い人くらいで、残りの28人はクソのような置物だ。
ではクソの置物たちは何をしているのか。
俺の場合は飯を作っている。
カメラOFF&マイクOFFなので、目玉焼きやベーコンを焼いていても誰にもバレない。
普通にYouTubeを見ることもある。この会議で最も重要なスキルはシステム知識でも顧客調整力でもない。「マイクが確実にミュートになっているか確認する能力」である。ここをミスると、30人にフライパンでジューシーに焼けるベーコンの音をライブ配信することになる。

たまに誰かが話を振られているのに無反応なこともある。おそらく俺と同じように別のことをしている。シコ虫である。
会議が早く終わって「ありがとうございました」と全員退出していく中、2〜3人だけいつまでもTeamsに残っていることもある。あれは多分、会議に参加しているのではなく、PCだけ参加している。本人はどこかをほっつき歩いている。
この会議には、会議のための会議がある
会社では毎年のように「コスト削減」「生産性向上」と言っている。経費を削る、残業を減らす、業務を効率化する。素晴らしい。
その前にこの30人を解放してやれ。と思うのだが、さらに恐ろしいことがある。
この週次定例の前に、週次定例で何を報告するかを確認するための内部会議がある。
「明日の定例ですが、No.10はアップデートなしですね」
「はい、アップデートなしです」
これを前日に確認して、翌日30人の前で「アップデートありません」と報告する。
ここまで来ると、もう非効率の芸術(アート・オブ・イネフィシェンシー)である。

世の中の業務を効率化するIT企業で、俺たちは「アップデートがないこと」を確認する会議を開き、その結果を報告する会議を開いている。そして俺はその両方に参加しながら、マイクをミュートにして目玉焼きを焼いている。
これが、IT業界の現実である。
