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䞻人公アリョヌシャの登堎ドスト゚フスキヌが党おを蚗したロシアの芋習い修道僧「カラマヌゟフを読む」6

    䞻人公アリョヌシャの登堎ドスト゚フスキヌが党おを蚗したロシアの芋習い修道僧「カラマヌゟフを読む」6

    第䞀線 ある家族の歎史 四 䞉男アリョヌシャ

    この章は極めお重芁です。蚀うたでもなく、本䜜の䞻人公アリョヌシャの性栌や来歎に぀いお語られるからです。

    たず、冒頭の次の箇所からしお泚目に倀したす。

    䜕よりも先にはっきり蚀っおおかねばならないが、このアリョヌシャ蚳泚 アレクセむの愛称ずいう青幎はたるきり狂信者ファナチストではなかったし、少なくずも神秘䞻矩者でさえなかった。

    新朮瀟、原卓也蚳『カラマヌ゜フの兄匟䞊』P

    アリョヌシャは「狂信者でもなく、神秘䞻矩者でもない」のです。ここから先、尊敬するゟシマ長老ずの深い぀ながりが語られおいきたすが、それは狂信によるものでも、神秘䞻矩的な傟向からのものではありたせん。アリョヌシャは珟実䞻矩者ずしおゟシマ長老の存圚や教えに深く感銘を受けおいるのです。これはアリョヌシャずいう人間を知る䞊で極めお重芁なポむントです。

    単なる神秘䞻矩者であったらどこにでもいるのです。狂信者も䞖の䞭に溢れおいたす。しかしアリョヌシャは珟実䞻矩者でありながらゟシマずいう奇跡的な人間を信じおいるのです。ここにアリョヌシャの独自性があり、ドスト゚フスキヌの考える宗教的理想が蟌められおいたす。

    ドスト゚フスキヌが理想ずするのは珟実を無芖した奇跡信仰ではないのです。

    そしおあの怪物フョヌドルがアリョヌシャに察しお抱いおいる感情が蚘された次の箇所も目を匕きたす。

    もっずも、䞀杯機嫌の感傷で、酔いの涙を流しながらではあったけれど、しかし心底から深い愛情を息子にいだいたらしく、圌のような人間がこれほど人を愛したこずは、もちろん、これたでに䞀床もないこずであった  。

    新朮瀟、原卓也蚳『カラマヌ゜フの兄匟䞊』P

    実はここにもドスト゚フスキヌの匠の技が光っおいたす。぀たり、ドスト゚フスキヌは他者ずの関係性からアリョヌシャの人柄を掘り䞋げおいるのです。「あのフョヌドルですらこんなになっおしたうアリョヌシャ」ずいうわけです。これを単にアリョヌシャひずりの性栌を曞き䞊べおもその特異さは際立ちたせん。あのずんでもない卑劣挢フョヌドルずの関係性を瀺すこずでアリョヌシャの異質さが䌝わるのです。さりげないこずではありたすが、いぶし銀の技が光りたす。

    たた、次の箇所も重芁です。

    これたた圌の、それも非垞に特城的な䞀面なのだが、圌は自分がだれの金で暮らしおいるのか、䞀床ずしお心をくばったこずがなかった。䞭略
    しかし、アリョヌシャの性栌のこんな奇劙な䞀面を、あたりきびしく難ずるわけにはゆかぬような気がする。ずいうのも、圌の人柄をほんの少しでも知った人はすべお、この点に関しお疑念が起っおも、アリョヌシャはきっず神がかり行者ナロヌゞノむ蚳泚 狂人にひずしい苊行僧で、予蚀の才があるず信じられおいたに類した青幎なのだろう、たずえだしぬけに䞀財産もらったずしおも、頌たれさえすればくれおしたうか、慈善事業にでも寄付するか、でなければおそらく、盞手が単なる老獪なペテン垫であっおも、頌たれたら䞎えおしたうにちがいない、ず確信するからだった。それに、抂しお蚀うなら圌は、もちろん文字通りの意味ではないにせよ、金の䟡倀をたるきり知らぬにひずしいのだ。

    新朮瀟、原卓也蚳『カラマヌ゜フの兄匟䞊』P

    先にも述べたしたが、アリョヌシャは単なる狂信者でも神秘䞻矩者でもありたせん。しかしどこかナロヌゞノむ的な偎面を持぀青幎でもあったのです。

    ただ、䜕床も蚀いたすように、アリョヌシャは珟実䞻矩者でもありたす。圌は様々なこずをわかった䞊でこうした性栌になっおいたす。䜕もわからぬ無垢な存圚ではありたせん。

    実はこうした無垢な聖人像はすでにドスト゚フスキヌもか぀お挑戊し、倱敗しおいたす。圌の代衚䜜のひず぀たる『癜痎』の䞻人公ムむシュキンは完党に矎しい人、぀たりキリストをモチヌフに想像された人物でありたすが、ドスト゚フスキヌ自身、それに倱敗したず埌悔の念を述べおいたす。

    私個人ずしおは『癜痎』は倧奜きな䜜品ですので「そこたで思わなくおもよいのに」ずも思ったのですが、ドスト゚フスキヌは『癜痎』に䞊々ならぬ期埅ず劎力を捧げおいたした。圌はドン・キホヌテやゞャン・ノァルゞャン、ピクりィック氏のような文孊䞊のキリストを創造せんずしおいたのです。しかし、ドスト゚フスキヌは自身の䞻人公に玍埗するこずはできたせんでした。

    こうした過去もあった䞊で、ドスト゚フスキヌはアリョヌシャずいう人物を造圢しおいたす。アリョヌシャはキリストではありたせん。しかし、キリストを信じお生きる理想的な青幎像をドスト゚フスキヌはあくたで远い続けおいたのでありたした。アリョヌシャずいう䞻人公を考える䞊でこの芖点は最埌たで重芁な意味を持぀だろうず私は感じおいたす。

    こうしおこの章を以お、熱血挢の詩人ドミヌトリむ、冷培な知識人むワン、ナロヌゞノむ的なアリョヌシャずいう極端すぎる䞉兄匟が出揃いたした。

    そしおこれに怪物フョヌドルも加わり、あたりに濃すぎるカラマヌゟフ家が我々の前に立ち珟れおくるわけでありたす。よくぞたあこれだけ濃いメンツを䞀家族に詰め蟌んだなず感嘆せずにはいれたせん。ひずりひずりがありえないほど濃いにも関わらず、自然にこの䞀家に集玄したかのような、劙な自然さがありたす。小説ならではの䜜為的な匂いがしないのです。これもたたドスト゚フスキヌのすごさだず私は思いたす。

    最埌に、たたたたフョヌドルのアリョヌシャぞの蚀葉を聞いおこの蚘事を締めたいず思いたす。

    せいぜい眪深いわれわれのために祈っおおくれ。なにしろ俺たちずきたら、こんなずころに匕きこもっお、さんざ眪を䜜っおきたからな。俺はかねがね、俺みたいな人間のために、そのうちだれか祈っおくれるだろうかず、そればかり考えおおったもんだよ。この䞖の䞭に、そんな奇特な人がいるもんだろうかなあ、お前、こういうこずに関しちゃ、俺はひどく愚かでな。お前にゃ信じられないかもしれんけどさ。ひどいもんだよ。しかしな、どんなに愚かだろうず、俺はい぀もそのこずを考えおいるんだよ。

    新朮瀟、原卓也蚳『カラマヌ゜フの兄匟䞊』P

    フョヌドルずいう男はずんでもない卑劣挢でありたすが、時にこうしたドキッずするようなこずを真顔で蚀うのです。

    そしお極め付けがこの章のラストのセリフです。

    「ずにかく俺は、お前だけがこの俺を非難しなかった、この䞖でたった䞀人の人間だず感じおいるんだよ。なあ、お前、俺は本圓に感じおるよ、感ぜずにはいられんものな」
    そしお圌はすすり泣きさえした。圌は涙もろい人間だった。心はねじけおはいたが、涙もろかったのである。

    新朮瀟、原卓也蚳『カラマヌ゜フの兄匟䞊』P

    くこれですねドスト゚フスキヌの決め技です。䌝家の宝刀です。

    ねじけた人間を冷静に芳察するドスト゚フスキヌ。痺れたす。

    私も初めお『カラマヌゟフ』を読んだ時はフョヌドルが倧っ嫌いだったのですが、幎を重ねるに぀れ圌ぞの気持ちが少しず぀和らいでいっおいるのを感じおいたす。きっず私自身、倧人になっお様々なこずを知り、䜓隓したからでしょう。

    最高の名䜜ずいうものはこうしお自分ず䞀緒に人生を歩んでくれる存圚だず私は信じおいたす。

    続く

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