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Photo bytamanabinote2020

敬遠の理由

    いしい

    好きな作家の本でも敬遠して読んでいないものはたくさんある。
    宮部みゆきだと、時代物は半分くらいしか読んでいない。
    あとティーンが主人公のものは食指が動きづらい。

    というわけで、宮部みゆきの現代ものでいえば「ブレイブストーリー」と「ソロモンの偽証」が未読だったのだが、少し前から「ソロモンの偽証」を読み始めた。
    で今、何これすげー面白い、となっている。

    「ソロモンの偽証」を敬遠していた理由のひとつは大変な長編であること。
    いくら大好きな宮部さんとはいえ、長すぎるでしょ、全六巻なんて。
    全体が三部に分かれていて、それぞれが上下巻になっている。
    いま第二部の上巻を読み終わって、物語のちょうど半分。
    ここまでダレることもなく、というか逆に前のめりになって読んでいる。
    さすが我らが宮部みゆき。期待を外さない。
    登場人物一人一人の描き方が細かい。そして重い。容赦がない。
    それを二十人以上のほぼ全員について、背景から心理まですべて掬う。
    長くなって当然だ。
    でも、その解像度の高さが説得力につながっている。
    私はくどいくらい説明に字数を費やす文章が嫌いではない(高村薫しかり)ので、もうずっと虜になって読んでいる。

    「ソロモンの偽証」を敬遠していたもうひとつの理由は、主人公が中学生で、舞台も中学校だということ。
    どんな本も美味しく摂取できる自信があるけれど、青春小説だけは難しい。
    爽やかさ、甘酸っぱさ、(ある種の)痛み、のようなものを本から受け取りたくない。なんとなく鼻白んでしまうのだ。
    でも、そこも宮部みゆき。
    大人ではない、かといってもう子供でもない中学生の、捻くれて素直な、無鉄砲で思慮深い、明るくて沈鬱な、思春期の微妙で曖昧な感情を描きつくしている。それがキラキラしておらず、グサグサくるのがとてもいい。

    歳を取ると、長い小説も、中学生が主人公の小説も、読む前から「なんか無理そう」と思ってしまう。体力以上に年齢がついていけない感じがあるし、長いお話は途中で最初のほうを忘れてしまうし(笑)
    「ソロモンの偽証」は久々に掘り当てたその中の金脈だ。
    物語に手をぐいぐいと引っ張られて、その推進力に対する期待が大きい。
    どこに連れていかれるかもわからない、その決着に対する期待も大きい。

    あまりに面白くて寝る時間を侵食するので、夜読むのを止めるためにソリティアを買ったのである(伏線回収)




     
     
     
    いろいろの日々を世間の外れ値から綴ります

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