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ハラハラドキドキしないからつまらない

    昔のアニメ
    『ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年』の中で、
    こんなセリフがあった。

    「ロボットはミスをしない、だからハラハラ、ドキドキしない。」

    子どもの頃は、意味が分からなかった。

    舞台は「ロボット」だけの世界。

    蝶も。花も。道路も。
    あらゆるものが「ロボット」。
    そして、サーカスも。

    一輪車で綱渡りするピエロ。
    ボール乗りする2本足のゾウ。
    ロボット4台の空中ブランコ。

    すべてに無駄がない。

    ロボットは言った。
    「観客はハラハラドキドキしない、だからつまらない」


    そこで彼らは、
    小さなウルトラマンたちを呼び込んだ。

    彼らにはない"何か"を求めていた。

    綱渡りに失敗し、水に落ちる、バルタン星人。
    火の輪を「アチチ!」と飛び跳ねる、ウルトラマンエース。

    サーカスは大盛況だった。

    なぜ、ロボットは「ハラハラドキドキ」に惹かれるのか?

    うまくいくか分からない。
    思い通りにならない。

    でも、ワクワクする。

    100%ではない未来だからこそ、
    ハラハラドキドキするのかもしれない。

    思い描いたよりも、
    少し予想できない未来のほうが、忘れられなくなる。

    フリクションペンで書いた原稿を
    コピーしたら、真っ白になってしまったこと。

    スマホのアラームを設定したのに、
    起動OFFで大遅刻したこと。

    会社の電気をつけようとして、
    ALSOKを呼んでしまったこと。

    困っていたはずなのに、
    気がつけば「面白かった」と感じてくる。

    正確ではない出来事は、
    自然と心が揺れるエピソードになっていく。



    ――思えば、

    認められたくて完璧な人間になろうとした時期があった。

    仕事は、
    迅速に。正確に。
    間違えないように。
    100%の未来‥

    100%の未来を目指したら、
    「安全」という檻の中で生きていた。

    檻の中は「ホッ」とする。

    それでも、
    "何か"が少しずつ動かなくなっていく。



    GWの電車。


    赤ちゃんが泣き出した。

    響く不協和音。


    扉の上のモニターを見た





    【電車は特急】




    【終点まで止まらない】






    重い息が少しずつこもっていく。


    母親はつつむように抱き上げ、
    「電車、怖いよね。」と…

    安心させたい。

    迷惑もかけたくない。

    その中で、頑張る。


    泣き止まない。
    空気を読まない。
    思った通りにならない。


    小さな声を響かせて…


    泣いていた


    ――重い扉が開く――



    近くにいた乗客が尋ねた。

    「荷物お持ちしましょうか?」

        「…大丈夫です。」と答える。


    次の発車ベルが鳴った。

    ふと、思い浮かべた。


    ほんの少しの未来…


    心の中の残響が、かすかに揺れていた。


    #残響

    #終点まで止まらない 。

    #それでも 、日常は続く‥


    あの「残響」‥まだ、動いてる…


    #創作大賞2026
    #エッセイ部門