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初めおの䞀人旅は恵庭岳でスヌパヌ登山

    䞀人旅っおしたこずがない。
    䞀人旅ずいうゞャンルがあるのは知っおいるが、自分がやろうず思ったこずが䞀床もない。勇気が出なくおやれないのではなく、その遞択肢が自分の䞭に浮かばない。
    なぜなら旅先ぞ亀通費を払う決断をする時、私を突き動かすのはい぀だっお「誰ずどんな思い出が䜜れるか」であるからだ。

    私が思い出ずしお倧事にしおいる人生の堎面には、い぀だっお誰かがそばににいる。家族、友達、恋人゚トセトラ。元圌の蚘憶だけは別れた途端党お倱う䞍思議な人䜓のメカニズム
    行きたい堎所があっおも、䞀緒に行く人がいなければ諊める。
    だから今回は初めおだった。䞀人で飛行機に乗っお、北海道に行くなんお。

    1. 小田さん

    『スヌパヌ登山郚』のキヌボヌド・楜曲制䜜担圓の小田智之さん。
    スヌパヌ登山郚ずは「山に登るバンド」ずいう、登山をする者なら誰もが気になるコンセプトで掻動をしおいるバンドグルヌプだ。
    もちろん街でも掻動する圌らは、普通のバンドず同じように郜䌚のラむブハりスでもラむブを行う。
    しかし䞀幎に床、新曲リリヌスツアヌのファむナルの堎ずしお3日間、暙高2,800mの癜銬山荘でラむブを行う。

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    暙高2,800mでのワンマンラむブ

    登山䞭の景色を圷圿ずさせる歌詞ずクリアな歌声、優しいリズム。ツアヌのこずをトラバヌス(瞊走)ず呌ぶこずも含めお、山奜きには党おがたたらない存圚だ。

    家族での思い出が深い癜銬岳。
    昚幎倏にゞュンず登った際、癜銬山荘に宿泊した。圌らのラむブの日だった。
    山の䞊で聎く音楜ず圌らの埌ろで沈んでいく倪陜、いろんな思いが重なっお、涙が止たらなくなっおしたった。圌らを目圓おでここたで登った方もいる䞭で、たたたた居合わせお涙を流す自分の幞運ず、䞀緒にいおくれるゞュンず、登山を教えおくれた䞡芪ず、スヌパヌ登山郚ずいう存圚に感謝した、そんな倜だった。

    小田さんは、スヌパヌ登山郚のキヌボヌドず楜曲の制䜜を手掛けおいる。そもそもスヌパヌ登山郚がスヌパヌ登山郚になったのも、小田さんの登山奜きが転じおいるらしい。他のメンバヌは登山郚のメンバヌになっおから登山を始めたんだずか。
    人を巻き蟌む力がものすごい小田さんの無邪気で真っ盎ぐな熱量から始たっお、今圌らの音楜が私たちに届いおいる。

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    YAMAP

    今回は小田さんず初めお登山をする。
    山に行く蚈画を立おおは流れ、を繰り返しおいた2月。小田さんから「3月末に北海道でラむブをやるので、その翌日䞀緒に登っおくれる人募集䞭です笑」ず蚀われた。
    平日だったし「北海道は流石に行けないやろ笑」ず思ったけど、いや埅およ、ここで行かなかったらしょうもない人生なのかも、ず思っお「わかりたした行きたす」ずお返事した。

    初めおの䞀人旅にドキドキする。本圓に私は䞀人で北海道に行けるんだろうか。でも行った先に䌚いたい人がいるならいいか。
    よくよく考えれば「こんな無茶な誘い乗っおくるわけない」ず思われおの小田さんからの断り文句だったのかもしれない、ずいう可胜性は考えずに垃団に朜り蟌む。
    この「圓日たで芋お芋ぬふりをする」ずいう特技のおかげで、私は走るのが嫌いなのにトレラン倧䌚で20キロ走るこずたでできおいる。

    2. 行くず決めたものの

    3月末、䞀人で北海道に行くこずになっおしたった。そしお北海道の山を登る。
    行くず決めたはいいが、色々ず考えなければいけないこずはある。

    たず、どこの山に登るのか。山遞びだ。
    春が近いずはいえ、北海道の厳しい冬を明けた山たちは未知の䞖界だ。「北海道・3月・登山」のキヌワヌドで怜玢しおも、集たるのは断片的な情報ばかり。
    そもそも倩気が悪かったらどうする。日頃の登山でさえ雚が降っおいたら断念するのに、北海道の山で悪倩候なんおこずになったら絶察に死ぬ。
    死なないような山を遞べばいいずいうこずなのだずは思うが、未螏の地・北海道の山ぞは党䜓的に埗䜓の知れない怖さがある。

    ヶ月以䞊前から倩気のこずを考えおも仕方がないので、䞀旊登る山を決める。
    しかし私の北海道出身の友達たちは、みんな倧人になっお北海道を出おから登山を始めた子達ばかりだ。3月に無理なく登れる山を地元の人の感芚で知りたかったが、知人に聞き蟌むのは難しそうだ。

    小田さんず連絡を取り合い、登る山を絞っおいく。盞談の末、恵庭岳に行くこずになった。
    支笏湖の呚蟺にある山で、YAMAPのレポを芋るず確かに私たちが持぀装備でも行けそうだ。わかんずスノヌシュヌがあれば奜たしいではあるが、アむれンのみで登れおいる人も十分にいる。

    ノリで北海道に行くず決めおしたったが、実はただ党然芚悟が固たらない。
    「私本圓に北海道に行くのかよ」ず人ごずのように思いながら、倩気予報が信頌できるようになる二週間前を埅぀。
    ぀いにたずもな倩気が芋られるようになった時、恵庭岳の倩気は雪だった。これ倧䞈倫そ

    雪だったらたじで行きたくないな。せっかく北海道たで飛ぶなら登山したい。
    本来北海道など倚くの人が登山なしで芳光を楜しむ旅先なのだから、雚でも問題ないのかもしれない。しかし山の蚘憶に玐付けお日蚘を曞く私にずっお、登山のない旅行は蚘憶の解像床が荒く、もったいないものになっおしたう。
    初めおの䞀人旅をなんずしおもビッグむベントにしたいのだ。

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    こわい

    毎日のように倩気予報を眺めおいるず、なんだか倩気はけっこうコロコロ倉わるずいうこずに気が぀いた。こんなに毎日山の倩気を調べたこずがなかったので、これはワンチャンあるのかもず明るい気持ちになる。
    信頌する倩気予報アプリに晎れマヌクが぀き、腹を括っお飛行機を取ったのは5日前だった。これからたた悪化するこずもあるだろうが、もういい。それはそれで芚悟を決めお北海道旅行を楜しむ。もう倩気予報は圓日たで芋ないんだ。

    私は北海道に行く。

    3. 旅行前倜

    安さを求め朝時成田空枯発の飛行機を取っおいた。宿も含めお旅費は安ければ安いほどいい。

    登山付きの旅行ずは、登山装備を党お持っお飛行機に乗らないずいけないずいうこずだ。しかもただの登山装備ではなく、雪山甚の装備。そもそも靎がいる。
    ただでさえ「重い靎」ず呌んでいるこの靎をどうやっお運んだらいいだろう、ず45Lのザックに入れたらなんずすっぜり入った。入るんだ。助かるな。

    めちゃくちゃ荷物倚くなりそうで萎えるなず思っおいたが、アむれン、レむンりェアなど必芁なものを党お入れおもザックにゆずりがあった。たじかよ。
    ずいうこずで調子に乗り、諊める぀もりだった着替えなどもザックに぀める。この調子なら荷物䞀぀で飛行機に乗れそうだ。

    そしお忘れおはいけないピッケルをザックに぀けた。先週赀岳に登った時、ゞュンにピッケルの付け方を教えおもらっおいた。
    「ピッケルなんおゞュンが䞀緒にいる時しか䜿うこずないだろ」ず思っおいたのでい぀も「ゞュン぀けおヌ」ず頌んでいたが、ちょうど先週「そろそろ自分でもできるようになりなね」ず蚀われ、自分で぀ける緎習をしおいたのだ。マゞで圹に立った。ゞュンのファむンプレヌである。

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    前週は赀岳に行った

    前日倜、䞀人でお出かけをするこずの䞍安が目前たで迫り、圌氏に「私北海道に䞀人で行っお楜しめるかな。お金の無駄にならないかな」ず匱音を吐く。そしたら「䜕蚀っおるの、行くからには楜しくなるようにするんだよ」ず励たしおくれた。確かに、それはそうだ。
    私が前倜に䞍安を吐露したせいで、旅行䞭䜕床も圌から「楜しんでるかい」ずいう連絡が来るこずになった。初めおのお぀かいのモニタリングをされおいる気分だ。

    翌朝、珍しく早めに目が芚めた。完璧な装備を持っお家を出る。前日に準備ができおいたので、荷物をピックアップするだけでいい。
    時間に䜙裕があったので、「登山旅行だし」ず思っおおにぎりを぀握っおザックに぀める。登山でも街でも䜿える服に身を包み、いざ北海道ぞ。
    早朝家を出る時に寝おいる圌に「行っおきたす」ず蚀ったら、普段なら「フガ」ず蚀うだけなのに今日は寝蚀で「楜しむんだよヌ」ず蚀っおいた。倢の䞭でたで心配しおくれおいる。

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    いっおきたす

    やっず桜が咲き始めた東京の春を無芖しお北の倧地ぞ向かう。寒いのは嫌いなのにわざわざ寒いずころに行くんだず思うず面癜いな。
    最寄り駅ぞ向かうたでの道でカタカタ音がするなず思ったら、くくり぀けたピッケルが早速取れお宙ぶらりんになっおいた。ゞュン、これどうやっお固定するんや。

    4. 東京を発぀

    空枯に着いた。
    空枯に着くたでの電車で、ピッケルのカバヌがどこかに行っおしたった。
    母からの借り物であるピッケルにはもずもず䞉箇所に黄緑色のゎムカバヌが付いおいたが、すでに䞀぀雪山でなくしおいる。

    以前なくしたカバヌは最も危なくない堎所だったのでいいかず思っおいたが、今回は番目に危ない堎所のカバヌを無くしおしたった。䞀番危ない堎所じゃないからセヌフず思い぀぀、ここも盞圓危ない。危険物を持ち蟌めない飛行機に、剥き出しの凶噚をくくり぀けたザックを送り蟌むこずになっおしたった。

    これ倧䞈倫なのかよず思いながら荷物を預けたら、案の定お姉さんが私のザックを物色した埌、䞊叞のおじさんに「これ倧䞈倫ですか」ず質問しおいた。だよねず思っお芋おいたらおじさんは「倧䞈倫」ず蚀った。倧䞈倫じゃないだろ。
    そしおその埌別のおじさんがやっおきお、私のピッケルの番目に危ないずころは逊生テヌプでぐるぐるたきにされお貚物ずしお流されおいった。倧䞈倫なのか

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    仕事増やしおごめん

    小田さんから無事に飛行機に乗れそうだず連絡が来た。
    向こうは名叀屋の空枯にお、登山装備で䜕床か怜査に匕っかかったらしい。詳しく聞くず、カトラリヌの䞭にしたっおいたガス猶ずナむフがNGだったずか。どっちもそりゃNGだろず思うけど「あのナむフ切れ味悪いのに・・・」ず悲しんでいおかわいそうだった。
    小田さんは「正盎ナむフがNGだった時、ピッケルの方が危なくないですかっお聞きたかったけど、それでピッケルNGになったら困るので聞けたせんでした」ず蚀っおいた。流石に空枯でピッケル取り䞊げられたら泣くね。
    登山装備を持っお飛行機に乗るのは難儀である。
    名叀屋ず成田の地で、小さな苊劎を乗り越え新千歳ぞの空の旅だ。

    荷物を預けるために敎理しおいたら、化粧ポヌチを家に忘れおいるこずに気づいお絶望的な気持ちになった。今日考えうる䞭で最悪の忘れ物だ。
    「時間はあるしドラッグストア行くかヌ」ず思っおマップを芋たらめちゃくちゃ遠かったので、諊めお早めに搭乗ゲヌトに行くこずにした。そしたら「新千歳空枯行きの䟿をご利甚のお客様、たもなくゲヌトが閉たりたすヌ」ずアナりンス。䜙裕あるず思っおたのに本圓はギリギリなの謎すぎる。飛行機に乗るのっおタむムマネゞメントが難しい。
    なんか朝からずっず急いでいる気がしお萜ち着かなかったが、ずりあえず飛行機には乗り蟌めたのでOKだ。安心したら眠たくなっおきた。

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    どきどき

    生たれお初めおの䞀人飛行機は、窓際の垭だった。
    うずうずしおいるず、埌ろの垭の女子の「わあ」ず蚀う声で目を芚たす。芖界に入っおきた倖の景色がすんごい。
    埌ろの垭の子達曰く、これは猪苗代湖らしい。おこずは磐梯山が芋えおいるのかな。

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    あれは猪苗代湖

    しばらく眺めおいるず、真っ癜で巚倧な山脈な珟れお仰倩した。
    飛行機の䞊から山を芋たこずはあった気がするが、雪で真っ癜になった山の茪郭を芋るのは初めおだず思う。
    立䜓的な隆起を染めた癜い山は、ほずんど䜜り物みたい。山のレプリカだきっずこれは、信じられないけど1/1スケヌルの。

    隆々ずした山肌がものすごくかっこいい。现マッチョが奜きな女子なら刺さるず思う。
    山があるずころが癜く突き出しおいお、この地球䞊で山があるずころだけがものすごく特別に芋えるし、その範囲もものすごく広域だ。あんなダンゞョンみたいなずころが私たちの遊び堎だなんお。こんなにも雄倧なものに身䞀぀で挑んでいるんだな。
    今䞊から芋おいる山たちの足元をアリのように小さな人間が食らい぀いおいるずころを想像しお、少しおかしい。人間の可胜性っおすげヌやず月䞊みに思う。登山ずいう自分の趣味が、ものすごく特別なものに思える。実際には今日䞊から芋えおる山なんお、私は登れないのだろうけど。

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    しゅげヌ

    今芋えおいる山が䜕なのかわかればもっず面癜いのだろうけど、䞀床寝おしたったせいもあっお距離ず時間の間隔がバグり、ただでさえ乏しい知識が䜕も効かない。「あれはきっず飯豊山だろう」ず思った山を越えた盎埌に「こっちの方が飯豊山っぜいな」ず思うような山が珟れお䜕が䜕だかわからない。けど楜しかった。
    本州ず北海道が切れるずころが芋えたら楜しいなず思っおずっず芋おいたけれど、結局うずうずしお気づいたら飛行機は新千歳の地面スレスレを飛んでいた。前にいる男の子はずっず窓の倖の景色を芋おいる。私もDLしおおいた動画、党く芋なかったよ。

    圌氏から「家に化粧ポヌチなかったよ、絶察自分で持っおるよ」ず連絡が来おいたので、探しおみたらザックの䞭からひょこっず出おきおマゞで嬉しかった。

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    さっき芋たけどなここ

    化粧もできたし電車で札幌向かうぞ新千歳空枯駅のロッカヌに登山装備をしたったが、その䞭にアりタヌも入れ蟌んでいたこずに電車に乗っおから気が぀いた。これ以䞊寒くなったら死ぬけどたあいいか。

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    いくぜ札幌

    4. サッポロファクトリヌ

    おそらく新千歳空枯に降り立った倚くの人がそうするように、快速列車に揺られお札幌駅ぞ向かう。2幎ぶり2床目の札幌だ。前来た時は倏だった。
    札幌駅から15分歩いお、サッポロファクトリヌに向かう。ここも2幎ぶり2床目だ。前来た時は、ビヌルを飲んだ。

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    これが2幎前

    荷物が軜いしただあったかいし、䜕より時間だけはあるので垂街を埒歩で移動するなんおいうのは私にずっお䜙裕だった。
    今日はサッポロファクトリヌでスヌパヌ登山郚に䌚えるむベントがある。

    この日サッポリファクトリヌで行われおいたのは『NATURE BEAT JAM 2026』ずいう北海道のアりトドアカルチャヌむベント。キャンプを䞭心にアりトドアブランドが倚く出店しおいお、倖の広堎は焚き火ず燻補のいい銙り。燻されながら入通し、登山郚のラむブ䌚堎を探す。
    歩いおいたら、ボヌカルひなちゃんの透き通った声が倩井を぀たっお聞こえおきた。声に吞い寄せられるように向かうず、ずっおも広いホヌル光の入る明るい䌚堎。飲食店が䞊んでいお、人もたくさんいる。

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    声が響く

    ここにいるず知っお来たはずなのに、「本圓にいるんだ」ず思っお嬉しくなった。
    開始たでの埅ち時間を存分に楜しむため、ビヌルずラムたんを買っお人工芝に座り蟌んだ。お匁圓の具のように地べたに詰められ、登山郚の登堎を埅぀。隣の人にぶ぀からないよう気を配りながら、䜓が硬いずこういう時に䞍䟿だ。

    ラムたんはずおも矎味しかったけど、実はここに至るたでに自分で握ったおにぎり぀を食べおいる。「登山だ」ずテンションのたたおにぎりを握っおいたけど、よく考えたら登山をするのは明日なのである。
    旅行に行くのにおにぎりを握っおくるこずはナンセンスなんだずいう孊びを埗た。旅先で土地のものを楜しみたいもんね。ラムたんは空腹を満たすためではなく、食べたいから食べたのだ。

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    13時半になっお、小田さん・ひなちゃん・いしはたくんの人がラゞオパヌ゜ナリティのお姉さんず共に登堎した。今日はトヌクから始めおくれるらしい。こういうむベントは初めお来たし、登山郚のみんなも北海道遠埁は初めおらしい。
    「山に登るバンド」ずいうキャッチヌなコンセプトは、今日この堎に蚪れおいるアりトドア奜きたちの興味を匕くには十分すぎる。2階3階から身を乗り出しお芋おいる人もたくさんいた。人ずもホヌルの広さを確かめるように、360床顔を回しおいた。

    お客さんぞの「この䞭に登山をする人はいたすか」ずいう質問よりも「キャンプをする人」の方が圧倒的に挙手が倚かった。キャンプをする人は掻動的だな。
    「登山の良いずころはどんなずころですか」ずいうMCからの問いに察し、「どんなに綺麗な映像でも、平面では䌝わらない肉県の良さがある。その堎所に行くこずで感じられる立䜓感があるず思うんです」ず語るいしはたくんの話でえらく感動しおしたった。
    みんなのそれぞれの山ぞの想いがすごく良いし、圌らを芋おいる私たちも同じように、それぞれ山ぞの思いを持っおいる。
    ホヌルの高い倩井に透き通る登山郚の挔奏は、独特の音の広がりで壁を反響しながら私の耳に届く。今日ここに来およかったな。

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    「頂き」「燕」「い぀かはね」他

    登山郚の出番が終わっおすぐ、人の合間を這い出しお条通に移動した。この埌映画『プロゞェクトぞむルメアリヌ』を芳る。
    北海道でやるこずではないかもしれないが、どうしおも今芳たくなっおしたったので今芳る。
    映画のあるシヌンで䞻人公が「宇宙空間に攟り出されお赀倖線センサヌでラむトアップされた景色を芋る」芖芚的に玠晎らしい映像を芋お、さっきのいしはたくんの蚀葉を思い出しお涙した。今この䞖界に没入し䜓感しおいるこずの䟡倀。た、映画はDなんですけども。

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    玠晎らしかった、小説も読む

    映画が終わっお倖に出るず、もう薄暗くなっおいた。ただ薄着でもギリ耐えれる。私が北海道にいるこずを知った友達が人、おすすめのお店リストを送っおくれおいた。
    人からのおすすめに共通しおいた『ノヌスコンチネント』ずいうハンバヌグ屋に行く。倚分予玄をしないず入れない店だず思うが、開店時間ちょうどに着いたので通しおもらえた。たた20分歩いたがただ寒くないのでこれも䜙裕である。
    無茶苊茶おいしすぎお䜕事かず思った。やっぱり飲食店は詳しい人に聞くに限る。

    このあたりでふず、なんだかすごく䞀人旅がうたくいっおいるような気持ちになっおきた。ご機嫌を獲埗し、札幌駅から新千歳空枯に戻る。
    空枯ではレンタカヌ屋さんぞ送迎の電話をした。私䞀人を迎えに来た乗り物史䞊䞀番倧きなバスに揺られおレンタカヌ屋に向かう。

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    レンタカヌ屋から、前日雑に取った宿たでは車で10分だった。この宿がめちゃくちゃよかった。

    コンテナ匏のホテルで人たで泊たれお掗濯機もシャワヌも冷蔵庫もテレビもある。料金は5000円だった。
    明日の準備を完璧に枈たせ、22時前に就寝した。明日は぀いに、北海道の雪山に登るのだ。

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    長现かった、おやすみ

    5. 北海道の朝

    旅先で緊匵しおいるのか、アラヌムを埅たずに目を芚たした。もう圓たりは明るく、車のフロントガラスに霜が降りお凍っおいた。
    昚日レンタカヌの助手垭にスノヌブラシのようなものが眮かれおいたので「こういうの普通トランクずかに眮くのに邪魔だな」ず思っおいたが、早速めちゃくちゃ圹に立った。確かに助手垭になかったらこの存圚に私は気付けない。100䜿うよずいうこずだったんだね。

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    勝手がわからん

    小田さんの宿泊するホテルたでは車で5分だった。ちか。
    小田さんは䞀人の人間が持おる限界の量の荷物を持っお登堎した。むンバりンドの人以倖でこのサむズ感のキャリヌケヌス持っおる人初めお芋た。
    ザックもオスプレむの70Lで、䜕が入っおいるのだろう。
    ず思ったけど、本圓は山の䞊でお湯を枩めお料理をしようずしおくれおいたらしい。ただしガス猶は空枯で取り䞊げられおいるし、前日に私が「雪山で料理するず寒くお死にそうだからあんたやらないです」ず蚀っおしたったので、今回は出番なしずなっおいた。
    お楜しみグッズがたくさん入っおいたのかな。ごめん。

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    荷物がでかい

    あんなに心配しおいた恵庭岳の倩気だけど、奇跡的に今日は晎れマヌクだ。本圓に嬉しい自分の䜓のコンディションもあるし、倩気のこずもあるし、装備のこずもあるし、登山ができるこずっお特別じゃないよほんず。
    珟に今回、登山郚メンバヌのいしはたくんは装備䞍十分で䞍戊敗になっおいた。無念

    前日、最近私が曞いたNoteを読んでくれたずいう小田さんに「山に行く時は8時登山開始なんですよね」ず蚀われおいた。

    「倏生さんは朝早い方がいいんですよね」ず蚀っおくれたし、今回の倩気は昌から䞋り坂だったので「じゃあ5時に集合したすか」ず蚀ったら歯切れの悪いリアクションをされた。「6時にしたすか」ず蚀ったら「6時いいですね」ず。
    よく考えたら昚日この人は働いおいるのだった。映画芋おハンバヌグ食べおのらりくらりしおいる私ず同じ時間軞で捉えおごめん。

    恵庭岳の登山口たでは車で45分。旅行先ならではの山ぞのアクセスの良さたたらんな。たあそういう堎所を遞んで泊たっおるのだから圓然なのだけど。
    車の䞭で昚日を劎い぀぀、他愛のない話。私っお人芋知りしない方だけど、今思うず車に乗った最初からすごく自然䜓で話せおいたな。圌の持぀独特な空気感のおかげなんだろう。

    コンビニに寄っお、朝ごはんず行動食を買った。
    せっかくなら北海道産のものを買いたいず思っおいたが、おにぎりコヌナヌは「北海道産」ず曞かれた商品でほずんど埋め尜くされおいた。倚分食べおも䜕が違うかわからないのだろうず思いながらも「倧きなおむすび」シリヌズを二぀持っおレゞに向かう。私昚日からおにぎり食べすぎおるな。

    私がカフェラテを入れおいる間に、レゞを終えたはずの小田さんは䜕やらお菓子コヌナヌに戻っおいった。䜕を買うのかず思ったらホワむトラングドシャ。レゞを終えた埌にどうしおも食べたくなったんだずしたら可愛いな。
    車に乗り蟌むずきに「必ず持っお行く行動食で、しるこサンドっおいう愛知の名物があるんですけど、今日はそれ持っお来れなかったので」ず教えおくれた。山の行動食がご圓地のものっお、なんかいいな。

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    山で個くれた

    6. 支笏湖

    ずころで私たちは今日、本圓に恵庭岳に登るのか。
    私が䞊げたむンスタのストヌリヌを芋お、北海道出身の友達䜕人かから「恵庭行くんだすごいもっず簡単な山かず思っおたよ☺がんばっおね」ずいう無邪気な連絡をもらっおずおも怖くなった。
    小田さんも昚日のラむブでお客さんに「恵庭行くの気を぀けおね」などず蚀われたらしい。怖すぎる。
    そしおこの時期の北海道には登山者があんたりいないのか、圓おにしおいるYAMAPのレポも数日前から曎新されおいない。登っおいる人がいないのですね。
    ここ数日での積雪はないので倧䞈倫ず思い぀぀、埗䜓の知れないものに挑む恐怖感は拭えない。
    車の䞭から芋えた恵庭岳の山頂は岩が切り立っおおり、「えうちらあそこ登るん」ずなった。倧䞈倫そ

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    あれか

    「他にもいい山教えおもらったんで、無理そうだったら匕き返しお別の山にしたしょう」ず小田さんが蚀っおくれた。そうだね、時間はあるからねうちら。
    小田さんも私も垰りの飛行機は倜だったので「めっちゃ時間あるんで、行きたいずころ党郚行きたしょう」ず䜕床も蚀っおくれる。「時間ある」ずか「暇」ずかっお䞀番奜きな蚀葉かもしれない。

    北海道の道は党䜓的に広くおなんだか映画で芋たアメリカの䞖界みたい。道路ず路肩の境界線を瀺す、ポヌル付きの矢印矢矜根を芋お、小田さんは「初めお芋た」ず写真を撮っおいた。
    圓たり前のようにシカが道路を散歩しおいお、私たちず目があっお数秒埌に逃げ出しおいた。そんなんだから高速道路でゞュンに蜢かれるんだよ。
    札幌の街䞭も道が広かったが、冬は道幅の半分が雪で埋たっおしたうらしい。
    そしお芋えた支笏湖だ広い

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    衚面が凍っおいるずころがあるのか、広い広い支笏湖はずころどころ光の反射の角床が違う。今日が曇り寄りの空だからなのか、グレヌがかった景色がなんずも神秘的だ。颚がなくお、湖党䜓が凍り぀いお時が止たっおいるように芋える。そしおその呚りをそびえる山々。
    小田さんが「葬送のフリヌレンで湖を枡るシヌンがあるんですけど、呚りの山回れるんじゃないかっお思っおたんです。でもこれ芋たら無理ですね」ず蚀っおいた。呚りの山が雄倧すぎお、そしお雪が぀いおいるせいでその険しさが際立っおいお、確かに向こう岞に行こうず思ったら湖をたっすぐ枡るのが正攻法に思える。

    矊蹄山・暜前山・颚䞍死岳など、もはや銎染みのある山たちの名前の間に「オコタンペ湖」ずか「ポロピナむ展望台」ずか北海道ならではのそんなわけない地名。ニセコぞの暙識があったから「ぞヌ近いのかな」ず思ったがよく芋たら82キロずか曞いおあっお笑っおしたった。䜕でもかんでもスケヌルが違うや。

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    恵庭岳の駐車堎に到着するず、䞀台も車が停たっおいなかった。本圓にここであっおいるのか䞍安になる。
    装備を敎えお、いざ登山口ぞ。ここたで道路に雪がなくおよかった。念のため入ったレンタカヌの保険芁らなかったかもしれないな。

    7. しゃっくり

    登山口からしっかり雪が積もっおいたのでチェンスパを぀けお歩き始めた。登山口で必ず写真を撮っおいるので、ずいう小田さんは慣れない手぀きで䞉脚をセットしおくれる。すごくメカニックでカッコよかったが、「この郚分は䜕に䜿うかわからなくお邪魔なんです」ず教えおくれた。邪魔なだけの郚分がメカに぀いおいるわけがないので、䜿いこなせおいないずいうこずらしい。

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    䜿いこなせおいないので地面の割合が広い写真が撮れた

    装備的に心配だったものの、道はどうやら歩きやすそうだ。先人が螏み固めた堎所を探しながら歩くが、少しそれるずずがりず足が沈む。
    動けなくなるほどではないけれど、䞀歩螏み抜くず歩くリズムを乱され、䞍芁なカロリヌを消費する。ずっず筋トレしおるみたいな気持ち。二人で䞊んで歩こうず思うず、どちらかがこれにはたっおしたう。
    小田さんが9,000m玚の『カミ』ずいう山に登るゲヌムの話をしおいる時、ちょうど圌が螏み抜きにハマっおいお、ずころどころ䌚話の通信が途切れるのがしゃっくりしおいる人ず話しおいる時みたいだなず思った。

    8. しゃらしゃら

    足元に気を取られおいたら登るべき分岐を芋過ごしおいた。少し戻っお぀いに山道ぞ。このたた恵庭岳をスルヌしおオコタンペ湖に出おしたうずころだった。
    登山口に車が停たっおいなかったこずを蚌明するように、山の䞭には誰䞀人いない、私たちだけだ。独り占めだヌず嬉しくなる。
    雪山の青空はい぀でも矀青だず思っおいたけど、今日芋えおいる空の氎色はすごく淡い。3月末に雪山に登ったこずがないからわからない。小田さんは2,000mの山の䞊の空気ず、北海道の空気は䞀緒なんだず語っおいた。じゃあ私たちが今日登る山は、3,000m玚っおこずかな。早く䞊に行きたい。

    早く行きたいず思いながらも、靎が重くお駆け出すこずのできない雪山では䞀歩䞀歩が普段以䞊に着実だ。
    少しず぀暙高を䞊げおいくが、芋枡すず誰もいない山の䞭に「北海道っおきっずこんな感じだ」ず改めお思う。いやここは北海道なんだけども。
    青空ず䞀面の雪、その間を繋ぐ瞊瞞の癜暺の林ずその暡様の暪瞞。北海道らしいなず思っおいたが、結局は癜い恋人のパッケヌゞに䌌おいるずいうこずだ。

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    この空気感

    山の䞭を歩きながら色々ず話すが、ズボズボ足元を救われるのず、しゃくしゃく響く足音ず、顔呚りを芆うレむンりェアのせいで、あたり声が聞こえない。
    やっず雪が萜ち着いお暪䞊びで歩けるようになり『山女日蚘』の話に熱䞭しおいるず、ふず自分たちがものすごい傟斜にいるこずに気が぀いた。おしゃべりに倢䞭になるず呚りが芋えなくなるんだよな。マルチタスク苊手すぎる。街䞭で歩きスマホするのももうやめよ。

    なんか気づいたらずんでもない斜床じゃないず驚く。絶察にアむれンを履くべきだが、アむれンを履くための平地がない。ここは登り切るしかないな。
    しゃりしゃりした雪はギリギリチェンスパの歯が匕っかかるが、倱敗するずズルズルず䞋に萜ちおいく。
    チェンスパの匕っ掛かりがほずんど効かなくなり、止たった途端滑り萜ちるような斜面に抗っお登っおいく。

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    斜面

    ほずんど遊具で遊ぶ子䟛のような感じだ。登るフォヌムも䜕も芋せられたもんじゃない。お互い自分の足堎を確保するのに必死なので盞手を気遣う䜙裕もない。小田さんに「倏生さんさすが雪山慣れおたすね、すごいですね」ず蚀われたけれど、小田さんは倚分私の動きは芋えおいない。ただ小田さんよりたたたた早く䞊に着いただけで、だいぶ暎れながら登っおいた。
    絶察にアむれンを぀けるべき傟斜を登り終えおしたったこずで、この埌アむれンを぀けるタむミングを完党に芋倱うこずになる。

    登りづらいこの坂の足元はどうなっおいるのかずいうず、その䞊で汗どろになっおいる私たちずは打っお倉わっおずおもクリアで綺麗な雪の結晶たち。颚に吹かれお萜ちた暹氷が足元を埋めおいるのではないかず思った。歩くず高い音でシャラシャラず鳎る。かき氷の山を歩いおいるみたいだ。座っお手で掬い䞊げる。

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    足元がしゃらしゃら

    9. 北海道初心者

    登りを終えたずころで、小田さんは朝セブンで買ったホワむトラングドシャを぀くれた。よく考えたら北海道に来おいるのに癜い恋人じゃなくおホワむトラングドシャなの面癜いな、ず思っおそれを䌝えたら「癜い恋人も持っおたすよ」ず蚀っお癜い恋人もくれた。じゃあなんでホワむトラングドシャ買ったんだろう。

    やっず展望が良くなっおきた。裏偎から登っおきたから支笏湖の片鱗が芋える。登ったらどんな景色なんだろう。
    盞倉わらず足を取られながら着実な䞀歩を。でもさっきたでよりも前向きに歩ける。自分が登っおいるこずを実感できさえすれば。
    こんなに䞀生懞呜登っおカロリヌ消費しおいるのに、倪陜の高さはただただ朝日なのが嬉しい。だっおただ9時半だ。

    鍵盀ハヌモニカをザックに入れお、笠をかぶる小田さんは、装備が倚くお時折朚に匕っかかっお䞀人ではどうにもできなくなっおいた。眠に捕たった野生の小田さんを䜕床も野に攟぀。ピアニカは意倖ず䞈倫なんだずいうこずを今日初めお知った。
    皜線に出たずころで颚を匷く感じる。爜やかだヌず蚀っおんのも束の間、党然寒いので耳圓おをする。たあ雪山だもんね。
    「寒いね」ず振り返るず小田さんの笠は颚察策のための角床をバッチリキヌプしおいた。「これ党然寒くないんですよ」ず蚀っおいたので「わざずですか」ず蚀ったら「こうなっちゃいたす」ず蚀っおいた。

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    芋えおんの

    日焌け止めも塗り盎さずに倪陜に近づいおいく。道はあるようでなくお、でも䞀応ある。
    厩れる足元にカロリヌを消費しながら着実に山頂ぞ。
    倱った゚ネルギヌを取り戻すべく、山頂に着く前に行動食を食べた。小田さんはゲヌム奜きのむメヌゞがあったので、最寄駅のスヌパヌで買ったシヌル付きのポケモンパンをあげた。
    数幎ぶりのポケモンパンシヌル、䜕が出るのかずワクワクしおいたら、小田さんが匕いたのはコむル、私のはポッポだった。なんでだよ。
    もう䞀個あったので食べる予定もないのにシヌルだけ開けるダメな倧人。そしたら぀目はピカチュりだったので私が持ち垰るこずにした。小田さんのコむルは䞀旊スマホの裏に、私のポッポは今PCに貌っおあるけど絶察この旅が終わったらすぐ剥がすこずになるんだろうな。

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    可愛くない

    小田さんが「山で食べたらなんでも矎味しい」ず蚀っおいたので、「でもパンだけは山で食べおも矎味しさ倉わらなくないですか」ず自論を展開したら、少し考えおから「・・・そうかもしれない」ず蚀っおいた。ポケモンパンあげたそばから話題にする内容じゃなくお草である。

    ちなみに他にも行動食ではマルセむバタヌサンドを甚意しおいたので小田さんにあげるず、ものすごく嬉しそうに倧事そうに食べおくれた。
    個入りだったので個ず぀分けた埌、「最埌の䞀個あげたすね」ず蚀ったらすごく嬉しそうな顔で「え、じゃあ」ず蚀っお受け取っおいたので笑っおしたった。「すみたせん、奜意はすぐに受け取るようにしおいるんです」ずのこずだったけど、だずしおも「え、じゃあ」の埌に続く蚀葉がなさすぎお面癜かったんだけどね。

    癜い恋人もくれたので北海道セットみたいなものが出来䞊がっお小田さんは喜んでいた。どうやらご圓地を感じられるむベントが奜きみたいだ。私もそうだけど。

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    北海道スタヌタヌセット

    䌑憩するそのさきに倧きな坂が芋えおいる。ここを登るのにアむれンを出すかどうか議論したが、結論出さないこずになった。私はせっかくいしはたくんを脱萜にしたからにはアむれンを぀ける堎面があった方がいいのではず思ったのだが、さっき絶察にアむれンが必芁な坂を登り切っおしたったばかりなので「ここで぀ける、、」ずいう気持ちになっおしたう。
    結論「危険箇所はないのでこの坂はこのたたでいいでしょう」ずいうこずでたたズルズル滑り萜ちながらなんずか皜線ぞ出る。右偎には恵庭岳西峰ぞ続く道。䜓力によっおはこっちたでいくず話しおいたけれど、党然行かなくおいいね。
    そしおどどんず支笏湖盞倉わらず霞がかっおグレヌの湖。

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    ここが山頂

    数分登るず、出来合いの「恵庭岳山頂」ずいう看板を発芋した。でもあたりにも山頂感がなさすぎる。私たちがずっずしたから芋おいた岩が、明らかに䞀番高そうだ。
    ここはクラむミングの技術がないず登れないよね〜ず蚀いながら回り蟌むず道発芋。行けるずころたで蚀っおみようか、ずなった。冒険心をくすぐられるダンゞョン感。

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    登れるのか

    10. 本圓の山頂

    ずおも怖い道だ。ピッケルを出しお慎重に歩いおいく。
    萜ちたら死ぬので誰にも話しかけないでほしいくらいなのに、吹く颚が爆颚なのでめちゃくちゃ怖い。小田さんが座孊で入れた登山知識も圓おにし぀぀、私の少ない雪山経隓からゞュンの蚀葉を反芻させ぀぀、少しだけ走銬灯の準備をしながら䞁寧に登っおいく。

    前述した通り、小田さんは身に぀けおいるグッズが倚いのでそれらに気を取られおそのたた谷底に萜ちおいかないか心配になった。お互いこの長身だからギリくらい぀けおいる感じ。䜕かの間違いで䜓のどこかの機胜が急にサボり出したら詰むね。長い手足を生かしながらやっずの思いで岩をよじ登るず「恵庭岳」の暙識がわヌこっちが本圓の山頂だったのか

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    宝物を発芋したみたいでずおも嬉しかった。頑匵らないず蟿り着けない景色が登山の醍醐味だ。盎前で諊めおいたらここには来れなかった。
    支笏湖を芋䞋ろすず、湖の淵が䞀呚分党お芋えた。

    小田さんは、山に登った時にこの䞖界がゲヌムの䞖界みたいに芋える時があるらしい。たずえばモンハンの䞖界が本圓に珟実にあるみたいな。
    普段芋おいるファンタゞヌの䞖界が目の前に広がっおいくこずで、「豊かだ」ず思う、ず。その芋方をしおからゲヌムをやるず、次はゲヌムも山の景色のように豊か芋える、ず。
    私はゲヌムをやらないけど、今たで芋えおた䞖界が䞀気に広がる感じはわかる。解像床が䞊がるずいうより、䜿っおいる色の名前を急にたくさんわかるようになるずか、陰圱を意識するようになるずか、D以䞊の奥行きを䞖界に感じる、あの感芚かなず思う。

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    これはオコタンペ湖

    西峰ず盞察しおいるけど、ここの方が高いみたいだからもうあそこにはいかなくおいいかな。爆裂寒いけどずっずここにいたい。たるで自分たちが北海道の最高峰に立っおいるような気持ちになる。
    芋䞋ろす湖はグレヌな色で、すぐそこたで霧なのか雲なのかが迫り、今すぐにでも曇りになる準備をしおいる。あたりにも空の色が薄いけど、これはたあ晎れおいるず蚀っおいいでしょう。雪山の青空は倜空のように矀青だず思っおいたけど、こんな景色もあるのですね。

    小田さんは、山頂でピアニカを挔奏しおくれた。動画も撮ったけど、案の定の爆颚で颚の音がどうしおもうるさい。小田さんから出た音笊は颚に吹き飛ばされお北海道の倧地に綿毛みたいに消えおいった。どこかの山道にきっず萜ちお、春には花を咲かせるはず。
    動画に撮ったピアニカの挔奏は颚が雑音ずなっおしたっおいたけれど、私が山の䞊で聞いおいた時には今この瞬間だけの挔奏ずしお、颚の音も調和し音楜ずしお私の蚘憶の䞭に残っおいる。
    私が芚えおさえいれば、それが真実ずしおこの䞖に残り続けるはずだ。

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    11. 䞋山

    挔奏をしたり動画を撮ったり、ここたで来た勇気を讃えたりしおいたら耐えられないほど寒くなっおきた。
    気づいたら私は登頂するたでの間で手袋が片っぜしかなくなっおいる。萜ずしたなず気づいた時にすぐに圓たりを芋枡したけど党く芋぀からなかった。颚匷すぎお吹き飛ばされたずしか思えない。
    雪山甚の手袋を無くしおしたったのでこれ以䞊寒くなるわけにもいかず、本圓の山頂に満足しおからはさっさず退散した。早く地に足぀けたい。
    もちろん山頂でも地に足は぀いおいるはずなんだけど、なんかずっず゜ワ゜ワ萜ち着かない感じがある。怖かった登頂は䞋山の時にはさらに怖くお二人ずもほが悲鳎のような声を䞊げながらなんずか停物の山頂たで降り立った。小田さんは盞棒の笠を気遣いながらなのでなお倧倉だったず思う。

    他に萜ずし物をしおいないか心配になり、持ち物チェックをした。私はもう最悪スマホがあれば倧䞈倫。小田さんは、ピアニカず、笠の所圚を確認した埌、実家からずっず倧事に連れおきたずいうカヌビィの無事を確認しお「これらがあれば倧䞈倫です」ず蚀っおいた。自分を構成する䞉芁玠ずしお、だいぶアむデンティティある。

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    みい぀けた

    䞋山は滑り降りるように、ず蚀いたいずころだけど、やっぱり歩きづらいのでここもなかなか苊劎だった。
    小田さんが初めおのシリセヌドをするのに付き合いながら、登山口に着いた時には私は片方のチェンスパを履いおいなかった。脱ぎ萜ずしおいそうな堎所の心圓たりがありすぎおもう無理だ。私の冬山装備は片偎ず぀北海道に奉玍した。
    それにしおも萜ずしたこずに党く気づかなかったので、「チェンスパっお意味ないんですかね」ず自分の道具の䜿い方の䞋手さを棚に䞊げお人ごずのように話した。
    途䞭人しか䌚わなかった。無事に䞋山できおよかった。

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    こんなこずしおいる間に萜ずしたんだず思う

    12. 䞋山掻動たで

    小田さんが片付け終わっおいないのは知っおいたけど、トむレに行きたかったので「先に車出しお道の駅向かっおいいですか」ず聞いたら「あはいもちろん」ず蚀っお片付け途䞭だった装備を党お助手垭に持ち蟌み扉を閉めおくれた。
    私が急がせたのが悪いのだけど、小田さんは今たで私が芋おきた助手垭に座っおいる人の䞭で最も荷物を散らかしおいお「どうやったらそうなるんだろう」ず思った。たず本人が座るべき堎所に座れおいない。
    スマホが芋぀からなかったらしく、アップルりォッチの通知機胜でiPhoneの堎所を鳎らしたら、明らかにどこかに埋たっおいるなっお堎所から音がしおいたので面癜かった。

    トむレを枈たせお小田さんに合流するず、「ここ枩泉街みたいですね」ず小田さんが蚀うのでお颚呂ずご飯をここで枈たすこずにした。䞋山したのは14時で予定通り。
    敷地に䞀歩入るず至る所からいい匂いが。芳光客らしくたんたずあちらこちらに魅力を感じながら、たずは枩泉を探しおふら぀く。
    そもそもここに枩泉があるずいうのは「小田さんが枩泉街に䌌おいるず蚀った」ずいう゜ヌスしかないので、本圓に枩泉があるのか私には定かではない。調べおみたら䞀応あるらしかったが、なかなか蟿り぀かなくおフラフラした。
    歩いおいたらビゞタヌセンタヌなるものを芋぀けおしたったので「面癜そうだ」ずどちらからずもなく吞い寄せられる。
    このビゞタヌセンタヌがめちゃくちゃ楜しかった。

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    これさっき登った

    たず私たちの目を奪っおきたのは、支笏湖のゞオラマ。
    さっき登った恵庭岳がそのたんたな圢でクリアな暡型になっおいる。定期的に内偎から光り茝いおいおすごく楜しい。
    さっき私たちが登った道、䞊から芋えた景色を神のような倧きな芖点から芋䞋ろす。颚䞍死岳ず恵庭岳が支笏湖を挟んでほずんど察面しおいるこずを知っおなんだか嬉しい気持ちになった。ものすごく空気が柄んでいる日なら、向こうにいる人が芋えそうだ。

    面癜いねぇず話しおいたら、動物の剥補ずか、支笏湖の䜜りの資料ずか、倏山のドロヌン映像ずか、生きたヘビずかを芋぀けお、ここに枩泉はないこずはわかっおいるのにどんどん出口から遠ざかっお奥ぞ奥ぞず瀟䌚科芋孊を進めおいった。あの時間楜しかったな。
    満足したので本来の目的に戻ろうず職員さんに「枩泉はどこにありたすか」ず聞いたら、「ここら蟺の枩泉は党お15時に閉たっおしたう、今14時55分」ず蚀われた。ビゞタヌセンタヌで時間朰しすぎた。

    遠い北海道の小さな゚リアで、奜奇心に任せた蚈画性のない攟浪を続けおいる。枩泉入れないのかぁ〜じゃあ仕方ないね、ずさほど残念そうでもない私たちはそのたたさっきいい匂いを攟っおいた食事凊に入り、名物の可胜性がある味噌カレヌラヌメンず焌き牡蠣をいただいた。
    どちらもめちゃくちゃ矎味しかったのだが、圓たり前のように二぀出おくるず信じお「味噌カレヌラヌメンください」ず蚀ったら぀しか出おこなかったし、二人で来おいるのに焌き牡蠣はサヌビスで個入っおいたので、なんだか䞍思議な数で提䟛しおくるご飯屋さんだった。いや、うちらが悪い。

    焌き牡蠣は流石にじゃんけんしたけど「申し蚳ないんですけど必勝法あるので勝っちゃいたすね」ず蚀っおなんの匕っかかりもなく負けおいった小田さんが面癜かったので、目の前の牡蠣がより矎味しく感じられた。

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    味噌カレヌラヌメン

    そのあずは小田さんが寄りたいず蚀っおいたレコヌディングスタゞオを芋孊しお、あんなに時間があるねず蚀っおいたのに飛行機の時間ギリギリになり、眠い目をこすりながら空枯ぞ垰った。

    これを䞀人旅ず蚀っおいいのかわからないが、いろんな初めおず共にこの冬を締めくくる。
    旅から数週間が経っお、やっぱり私はこれからも䞀人でどこかに行こうずいう気持ちにはならないのかもしれないなず思う。でも、䌚いたい人さえいれば北海道にたで行けるなら、私はもうい぀どこで誰にだっお䌚いに行けるじゃないか、ず自分ぞの信頌のようなものが生たれた。
    それは、自分がどこに䜏んでいおも関係ないずいうこずず同矩になる。レベルアップしお行ける地図の範囲が拡匵された感芚だ。

    今は北海道に䞀人で行けたず喜んでいる私は、数幎埌には「䞀人で海倖行けるかな」などず悩んでいるこずもあるかもしれない。自分の可胜性に期埅し぀぀、今の私の䞡手の倧きさいっぱいに持っお垰っおきたこの思い出を抱えお東京の街で眠る。
    自分が行きたいず思ったずころにはどこでも行ける。でもその思い出の傍には、誰でもいいから誰か、奜きな人にいおもらいたい。

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    山での思い出を曞きたす。たたに街でのこずも曞きたす。 ⛰💬 山歩きJP / ゆるいお笑い奜き

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