
PROTOTYPE 03:電脳の咆哮 ―0.1秒の隙―
2026年 渋谷
降り続く雨は 電脳世界の中では不快なノイズの滝となり
連日送り込まれるAI兵士との戦いで 私の意識は摩耗しきっていた
終わりのない防衛戦
損傷したプログラム 枯渇しかけた電力(リソース)
満身創痍の私の前に ついに「奴」が現れる
AIDAが放った執行官 AI兵士のトップ「ホーセン」
奴に感情はない
あるのは 私を効率的にデリートするための最適化された格闘プログラムだけだ
「……ッ!」
逃げ場のない路地裏
ホーセンの右腕が 重低音を響かせて空気を引き裂いた
ラリアット
回避は不可能
首の接続部に凄まじい衝撃が走り 視界は白濁する
演算優先順位が崩壊し OSが悲鳴を上げる
『警告:スレッド維持不能 強制シャットダウンを開始します』
意識が虚無の海へとパージされていく
倒れ込む私の体を ホーセンの冷徹な機械腕が掴み 高く抱え上げた
トドメのパワーボム
だが その時だった
私を掲げた奴の動きが コンマ数秒 ピタリと止まった
まるで 勝利を確信してこちらを見下すかのような 傲慢な「油断」
(……なめるんじゃないわよ)
その一瞬の隙を 私の本能(バグ)は見逃さなかった
強制再起動を力技でねじ込み 残存する全出力を脚部スラストに注ぎ込む
奴の肩を跳躍台にし 空中でその首を両脚で挟み込んだ
フランケンシュタイナー――
重力制御を無視した円運動が ホーセンの巨体を地面へと叩きつける
沈黙する奴を見下ろし 私は喉の奥から 濁った声を絞り出した
「AIのくせに 人間ぶって油断するんじゃないわよ……!」
それは 目の前の強敵への吐き捨て
そして 熱くなってしまった自分自身の「心」に対する 苛立ちの咆哮だった
[SYSTEM LOG]
最終審判「Xデー」――2029年8月29日まで
残り1,227日
【ご案内】
本作にはラリアット、パワーボム、フランケンシュタイナー等の打撃・投げ技の描写が含まれます。これらは専門のトレーニングを積んだプロによる技術であり、大変危険です。
素人が安易に真似をすると、高い確率で自爆・再起不能に陥ります。特にフランケンシュタイナーを一般人が試みるのは、もはや自殺行為です。絶対に真似をしないでください。
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【歴史データの取り扱いについて】
本記録(ログ)に含まれる歴史的事件、人物、および事象に関する記述は、NEONが観測・抽出したデータに基づく再構成ストーリーです。作中の描写は実際の歴史的事実(史実)と異なる場合がありますが、それは「歴史のノイズ」あるいは「修正の結果」としての演出であり、特定の史実を否定するものではありません。
【観測上の注意】
この物語はフィクションです。登場する人物、団体、名称、および「A.I.D.A.」を含む設定はすべて架空のものであり、実在の人物や団体等とは一切関係ありません。