
逆転のビフォーアフター
最近、トモコレを買った。
流行に乗ったというよりは、日々の疲れをデフォルメされた自分に押し付けるための避難所としてである。
まずは自分のMiiを作る。
ここは大事だ。
第一印象というやつだ。
髪型は現実よりツヤを三割増し。
目はほんの少し大きく、しかし「やりすぎてませんよ?」という顔で配置。
口元は控えめな微笑み。
そう、あくまで“ナチュラルに美しい私”だ。
鏡の前の自分とは、ほんのり別人。
だがそれでいい。
これはゲームなのだ。
夢の中くらい、多少は盛ってもバチは当たらない。
「うん、いい感じ🩷」
満足して一旦その場を離れた、その隙だった…
戻ってきた時、私は言葉を失った。
そこにいたのは、さっきまでの理想の私ではなかった。
代わりに現れたのは――
妙にリアルな私だった。

目は少し細まり、輪郭は相当に丸く、
普段見ない様にしているほくろがやけに説得力を持って鎮座している。
犯人はすぐに判明した。下の子である。
「似てるでしょ?嘘は良くないねん😏」
悪びれる様子もなく言い放つその一言。
いや待て、似せなくていいところまで似せている。
「これ、誰よ?」
「ママ🤪」
即答だった。
ためらいは一切ない。
まるで夏休みの観察記録を提出された気分である。
その後、この“新しい私”は家族の前に公開された。
結果――大爆笑🤣🤣
「ちょw😂この顔ww」
「なんか見た事あると思ったらママだ!」
「ほくろがいい味出してる!」
いい味とは何だ。
私は出汁か。
しかし不思議なもので、ここまで満場一致で似てると言われると、否定する気力がじわじわ削がれていく。
改めて画面を見る。
……確かにいる。
いるな、これ。
私だ。
むしろ最初に作った美化された私の方が、どこか落ち着かない。
よそ行きの顔というか、少し(かなり)頑張りすぎている。
それに比べて、下の子作の私。
なんだか妙に馴染む。
見れば見るほど、「まあ、こんなもん…か?」と思えてくる。
結局、これはそのまま採用された。
世間のビフォーアフターは、たいてい美しくなる。
だが我が家の場合、アフターは現実に寄る。
そしてその現実は、思ったより悪くない。
少なくとも、家族が笑ってくれる位には。
今日もゲームの中で、ほくろ付きの私は元気に暮らしている。
真ん丸の、やけに居心地がいい顔で。