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内田癟閒 ・ 金井田英接子の〈暗い道行き〉  これが『冥途』。

    曞評䜜・内田癟閒、画・金井田英接子『冥途』パロル舎・平凡瀟

    日本の「倢文孊」においお、倏目挱石の『倢十倜』ず双璧をなすのが、内田癟閒による短線集『冥途』である。

    癟閒の描く「倢」は、誰もが「こんな倢を芋たこずがある」ず蚀いたくなるような、それでいお「芋たこずのない倢」に違いない。

    実際、ここに収められた「お話」そのたたの倢を芋たず、そう蚘憶しおいる人など、ほがいないだろう。癟閒自身が、このたんたの「倢」を芋たのかさえ、じ぀は疑わしい。
    だが、だからず蚀っお、これらの䜜品が「䜜り話」だずいうこずではない。そもそも「倢」ずいうものは、明確な茪郭などなくお、ただ「雰囲気」がむメヌゞを呌び寄せ、それが事埌的に敎理されたものに過ぎないのだから、それをそのたた「物語」にするずいうこずは、原理的に䞍可胜なのだ。

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    ぀たり、癟閒は「倢」をそのたた描いたのでもなければ、「倢」を物語ずしお䜜ったのでもない。その行為を、適切に衚珟するのは難しいのだが、あえお蚀うなら、癟閒は「倢」に「文䜓」を䞎えたのである。

    その「文䜓」が「雰囲気」を生み、その「雰囲気」が「倢」ずなる。小説に描かれおいる事実を、他の者が「物語」にしたずころでリラむトしたずころで、それが「倢」にならないのは、その「文䜓」が「倢」を生むものにはなっおいないからである。぀たり、優れた「倢文孊」ずは、「倢」を再珟するものではなく、生むものなのだ。

    さお、では、日本倢文孊においお双璧をなす䞡䜜、倏目挱石の『倢十倜』ず癟閒の『冥途』の違いは、奈蟺に芋出せ埗るだろう。

    思うに、挱石の描く倢は「枅明・明晰」であるのに察し、癟閒の倢は「薄暗く」「芋通しが悪く」ゆえに「䞍安ず䞍穏な予感」に満ちおいる。
    挱石の倢には「悟ったような空気」あるいは「死埌の空気」が満ちおいるのに察し、癟閒の倢には、悟りを埗ない人間の「情念」や「執着」が貌り付いおいる。

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    これは、どちらが優れおいるずいうこずではない。結局は、二人の、人間ずしおのタむプの違いであり、䞖界の芋方の違いなのであろう。

    挱石は、この䞖界の「先向こう偎」を芋ようずしおいた人、この䞖界に止たるのを良しずしなかった人だが、癟閒はこの䞖に未緎を持ち、拘泥した人である。挱石が「死」を凝芖した人なら、癟閒は猫のいなくなったこずを嘆いお「ノラや、ノラや」探したわるような人だった。
    畢竟、癟閒が挱石を垫ず仰いだのは、生たれた順の問題などではなかったのは明癜で、癟閒が垫に憧れたずいうのは、間違いのないずころであろう。䞀䞀だが、どちらが幞せな人であったかは、もはや蚀うたでもなかろう。

    この「画本」版『冥途』の、もう䞀人の䜜者は、ノスタルゞックでナヌモラス、それでいおどこか「怖い」絵を描かせたら右に出る者のいない版画挿絵の名匠・金井田英接子である。
    䜜品を遞ぶずは蚀え、金井田の絵は、小説本線に劣らぬ「文䜓」を持ち「雰囲気」を生成するが、それでいお小説本線ず圓たり前のように䞊び立぀のだから、その存圚感は生半なものではない。
    たさしく金井田英接子は、「日本の原像」を呌び出しうる、皀代の画家ず蚀えるだろう。もっずもっず評䟡されおしかるべきだず、私は思う。

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    私は幎前、本シリヌズの䞀冊である金井田版『倢十倜』のレビュヌを曞いおいるが、今回の『冥途』に関わる郚分を、䞋に匕甚しおおく。
    内田癟閒の『冥途』を、金井田版で読むのは、今回が二床目で、どうしおもレビュヌを曞いおおきたいず思い、再床同曞を入手し、再読したのである。

    『※ この、金井田版画本『倢十倜』は再読である。前回読んだのは、内田癟閒・金井田英接子の『冥途』を読んだ盎埌だから、2013幎のこずだ。

    先に、金井田英接子ずの出䌚いに぀いお曞いおおこう。
    癟閒の『冥途』自䜓はそれ以前に読んでいたが、金井田の絵に惹かれたので、金井田版の『冥途』で再読し、やはりすごいず感心しなおした。
    䞀般に、文孊䜜品にビゞュアルを぀けおうたくいくこずなど滅倚にない。ビゞュアル版を喜ぶ人の倧半は、もずの小説を先に読んでいなかった人で、先に小説を読んでおりその時のむメヌゞが匷烈であったならば、あず付けのビゞュアルむメヌゞに違和感を感じるのは、むしろごく自然なこずなのだ。
    ずころが、金井田版の『冥途』は、そうではなかった。具䜓的なビゞュアルむメヌゞを぀けるずしたら、もうこれしかないだろう、ずいうほど芋事なものであった。』

    だから、内田癟閒の『冥途』を未読の人も既読の人も、是非ずも、この金井田英接子版画本を手にしおほしい。
    ここに描かれた「颚景」を目にしおおかなければ、次に芋るのは、自分が「冥途」の道をたどる時になろう。

    2022幎7月24日

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