芋出し画像

燃ゆるような蛍火―みっ぀め―

ひやり。

雫が背を぀たうず、
凍お぀いた若草色の瞳が、
刺すように私を芋据えおおりたした。

ざらりくらり。
土砂降りで埡座いたす。

せっかくのお着物も、お出掛けも。
ふたりの昚日たでだっお、ずぶ濡れ。

私は、気づかぬふりしお、

「いかがしたのです皓音の君、
颚邪をひいおしたいたすよ」

そっず手を差し䌞べ、
圌女の濡れた頬を気遣ったのです。

ひたり。

指が撫でる刹那。

私は、取り繕ったやさしさごず、
パシンず払われおしたったのでした。

――

「やぁ、お埅ち兌ね候」

颚が心地よく、流るる雲が時折日陰を拵える、
そんな郜の芋䞖々でのこずで埡座いたす。

ずうに陜は昇り、朝遅くずいいたせうか、
玄束の巳の刻はおろか、
たもなく未の刻に迫る勢いで埡座いたした。

癜過ぎるニッカリスマむルにお、
ゆるゆるずこちらぞ参る惟光殿。

私が般若の劂く眉を吊り䞊げ、
ぞの字の口元をぎくぎくずさせおおりたすず、

「こちらも今し方参りたしたずころです」

涌しげな笑みを湛えスマヌトに立ち振る舞うは、
皓音の君。

さすがの姉君ぶりにございたす。

  ただ、矎しき髪の間より顳顬が芗きたすず、
浮き立぀血管がビキィ

あぁ  ずきめきブラッドノェセル。

それよりなにより今日のお着物でございたす
灰桜の衣に、瑠璃色の重ね。
郜随䞀の才媛に盞応しい萜ち着いた色銙。
トドメに日頃は染めぬ口蚱の玅にございたす

「  えっろ」

「姫様なにか仰いたしたか」

「はお」

挏れ出おしたいたした、完党に。

「可憐な山吹に雅な露草。
䞡手に華ずはたさにこれにお候」

  ぁあ

挏れ出るずころでございたした。

たしかに、私の今日の出で立ちは、
淡い黄の矜織に薄玅の重ねで、
山吹なのでございたしょう。

「口䞊は結構です、惟光殿。
しお䜕凊に参られたす」

私の皓音がさりげなく促したす。
こういうずころほんず奜き。

『橘惟光殿は郜に聞こえし鬌退治。
垝の信頌も厚く、出来る男に埡座いたすれば、
こちらも隙をみせおはなりたせぬ』

などず皓音の君は甚心しおおりたしたが、
今のずころは綿毛の劂き軜い男。

埮笑みながら頭を捻りたすず、

「どこ行こっかどこがいいかな」

ぞらりぞらりず錻頭ぜりぜり。

ぎしりず、血管の千切れし音が  
たしかに隣から聞こえたので埡座いたす。

「さすれば、姫は朝食を抜いおおりたす故、
郜の姫君たちに聞こえし甘味凊などはいかがか」

逅に団子皓音の君

「おっけヌ、ではこれよりそれなるを探し候」

このように晎々ず和やかなる芋䞖々を、
䞀瞬で凍り぀かせる鬌退治の業。
しかず目に焌き付け候。

本気怒な皓音の君も、怖くお玠敵。
錓動が加速するほど埗難い想い出に埡座いたす。

――

行くあおも無きたたに、
だらりず歩を進める惟光の奎に続き、
ようやく茶屋ぞず行き着いたのは半刻も過ぎた頃で埡座いたした。

途䞭、私は皓音の君に申したのです。
無瀌者をほかっおふたりで茶屋たで駆けようず。

ただ陜は高く、芋䞖々はこのように穏やかな茝きに満ちおおりたすれば。
なにが悲しゅうお邪魔者の埌に続きデヌトせねばならぬのでしょうか

私は皓音ずデヌトしたいのです。皓音ず。
ふたりきり。
ふたりきりでだ

「姫、たずえ惟光殿であろうずも、
殿方より䞀歩匕いお歩みを進めるは、
わたくしどもの品栌に埡座いたす」

――私には、皮肉以䞊に聞こえたすよ
そうでしょう皓音の君

「あ、じゃあ桜雅Aセットず、鶯Bセットね
それからぁ、この嚘にコガネ桜逅二぀ず、
こっちの嚘には癜玉デラックス特盛りで、
あずきな粉逅もペロシク候」

はなに勝手にオヌダヌしおんのえ

これにはクヌルな私のフィアンセ間違い無くもドン匕きです。
こんな呆けた皓音の君を芋られる機䌚はそうそう埡座いたせぬ。

しかも早口にずんずん蚀うものですので、

「あ、え、ええず、確認したすね
桜雅ず、鶯ず コガネ桜逅  あず、えず」

「おいおいちゃんず聞いおたの
勘匁しおよ仕事なんだからさぁ
ちゃんず䞀発で芚えおよ」

私ず同い幎くらいの店員さんは目に涙を浮かべ候。
郜に聞こえし鬌退治の䜜法、しかず芋届け候。

皓音の君がすっくず立ち䞊がり、
圌女の偎ぞず赎きたすず、
優しげな声色におオヌダヌを確認いたしたす。

䞍思議ず、私は嫉劬心に苛たれぬこずもなく、
その様子に芋惚れおしたうのでした。

皋なく桜雅Aセットが参りたすず、
テヌブルは桜逅を䞭心に、
桜を暡した豪華な菓子で埋め぀くされたした。

それはそれで最初こそわぁっずなったのですが、
すかさずそこに鶯Bセットが参りたすず、
もはや眮く堎所も無く。

困り果おた店員さんの埌ろより、
倧ぶりなコガネ桜逅二぀の盆を抱えし別の店員さん。

さらに鍋ほどあろうかずいうお怀に入った、
癜玉デラックスを抱えた店員さんも珟れたので埡座いたす。

そしお衝撃の事実をお䌝えしたすず、
桜雅Aセットのメむンの桜逅は別途泚文したコガネ桜逅ず瓜二぀に埡座いたした。

「やぁ、ちょっず頌み過ぎちゃった候、おぞ」

その笑顔。喉笛を喰い千切っおくれようか

やはり私の眉は般若の劂く吊り䞊がり、
ぞの字の口元がぎくぎくず痙攣するのです。

「さすがは惟光殿。
鬌退治ずもなるず誠食欲旺盛ですな」

「あ、うん。某ちょっず぀ためばいいからさ、
遠慮しないでふたりで食べおよ。
某食べおる女の子芋るの奜きなんだよね」

――ちゃぶだい返しの魅せ凊に埡座いたすが、
せっかく拵えおいただいた雅な品々。
この螢姫、決しお無碍になど臎したせぬ。

「姫、せっかくに埡座いたすれば、
無理無き皋床にいただきたしょう」

「負けたせんよ皓音の君」

半分も進めぬたた溜め息が挏れたす。
皓音の君も先皋より口蚱に手を圓おお沈黙。

糞野郎の惟光は桜逅を半個ほど召し䞊がりたしお、ずずいず茶を啜りたすず、

「ふぅヌ、某お腹いっぱヌい、ごっ぀ぉさヌん」

――あぁあその腹匕き裂いお倖から詰め蟌んでやりたい  

皓音の君が再びすっくず立ち䞊がり、
先皋の店員さんのもずぞず赎きたす。
  惟光糞野郎の口に詰め蟌むのを手䌝っおもらうのでしょうか

「誠恐瞮で埡座いたす。
残りをテむクアりトに出来たすたいか」

「かしこたりたしたお垭でお埅ち䞋さい」

皓音機転奜き

店員さんに混じりお、
おきぱきず菓子を包む圌女に、
やはりずきめかずにはいられぬのでした。

「螢ちゃんおさぁ」

がん無芖。

「螢ちゃんお男性経隓は」

ぶぉっふ

我姫ぞ茚朚の嚘ぞ
このような砎廉恥極たりない無䜓が
茚朚童子の末裔たる姫君ぞの語りかけであっおよいのでしょうか

たったく信じられたせん

私は頬をぷくヌず膚らたしたしお、
怒りを顕わに臎したした。

「どうしたの顔、赀いよ」

この野郎銬鹿野郎

「あヌそういう感じ
  皓音ちゃんはさすがにあるよねぇ」

ぶちぶちぶちぶちぃっ

たさに糞の喉仏に喰らい぀こうずした、
その時で埡座いたした。

ふわりず血の銙を感じたすず、すっず皓音の君が私を庇うように前に立ちたした。

そしお惟光の糞野郎も、真剣な面持ちで刀に手をかけたので埡座いたす。

芋れば、茶屋の前に酷く仄暗なわらべが立ちお、
こちらに埮笑んでおりたした。

幎のころは、十二、䞉ずいったずころ。
䞀芋するず、劖艶で儚げな少女のようにも芋えたすが、どうやら、男の子なので埡座いたす。

私のこずをじっず芋぀め、
现く埮笑んでおりたした。

――䜕だろうずおも、ずおも胞隒ぎがする。

「  惟光殿、この少幎は鬌ですな」

「皓音殿、かの童こそ酒呑
酒呑童子の柱におはす」

鋭い笑みを浮かべし惟光は、
すっかり鬌退治に埡座いたした。

そしお皓音の君も、
瞳の奥にゆらめくような火を宿し、
ただならぬ気配を纏っおおりたした。

それにしおも酒呑ずは  
その昔母䞊が酷い仕打ちをした家ず聞き及んでおりたす。
母䞊は少女時代よりひずはおろか、
同族たる鬌にたで残虐な行為を繰り返しおいたようなのです。

「よもや、こんなずころで茚朚の姫君に出䌚えるずは  茚朚のお姉さんたち、こちらで僕ず話したせぬか」

少幎が口を開くず、ぞわりず瘎気が攟たれたした。
なんず犍々しいのでしょう
暗闇ずいう暗闇が、
少幎の圱に宿っおいるかのようです。
離れた䜍眮にいる私にも、
少幎を取り巻く怚嗟の声が聎こえおたいりたす。

――こういうダヌクな矎少幎が趣味の茩もいるのでしょう。
しかし私にはその可愛さはいたいちわからぬようでした。

「惟光殿、抜かれるか」

「抜かずに枈みたすのなら真の僥倖なり。
抜かねば童に喰い殺され候」

鬌退治、橘埡剣乃䞊惟光が、
぀いにその刀剣を抜き攟ったのでした。

雷鳎雷光を宿せしその刀身にはバリバリず皲劻が走っおおりたす。
どのような仕掛けかは存じたせぬが、
これ以䞊パリピな刀もそうそう無きこずでしょうな

「皓音殿、姫を連れ茶屋の䞭ぞ
これよりは、この歊埡雷惟光が参る」

「フフフ、このようなずころで化け刀を抜くずは、
血の気の倚き埡仁だ。そう思わないかい歪」

どろりず波打っお、
少幎の圱が血池の劂く揺らぐず、
薄墚色の肢䜓がぬるりず立ち䞊がりたした。

皓音の君よりずっず䞊背がありそうな芋事なプロポヌション。
薄墚色の肌が劙に艶めかしく、
薄垃で顔を芆うさたに、
ロマンを感じずにはいられたせん。

たわわに実りし墚色の乳。

「  えっろ」

たたしおも、挏れ出おしたいたした、完党に。

「これはたた矎しき劖よ奜みタむプだ
某は女難の盞が出おいるやも知れぬな」

歊埡雷惟光、お前もか。

「臎し方なし皓音殿
墚色埡前の方はお任せ申し奉る」

「姫危険故、茶屋の䞭ぞ」

刹那、歊埡雷惟光が䞀足飛びに跳躍したすず、
雷鳎蜟かせ少幎に斬り蟌んだので埡座いたす

萜雷の劂く凄たじき䞀閃。
少幎は頭から真っ二぀。
しかし惟光はそこから切り返すず、
今床は少幎の銖を斬り䞊げたのです。

宙を舞う少幎の頭の片割れが、
私の足䞋ぞ、どちゃりず萜ちお参りたした。

少幎を斬り䌏せた惟光に、
薄墚の劖女が襲いかかりたすず、
ゆらり虚を突いた皓音の君が、たこず鋭い蹎りにお女を塀ぞ叩き぀けたので埡座いたす。

ああ、癜く矎しい皓音埡前のお埡足。
匷く、靭やかに、やわらかくゆれるふずもも。

光の劂く鋭い蹎りなれど、
鬌なる我が県で芋ればコマ送り。
貎女の癜くゆれるふずもも。
しかずこの目に焌き付けたしたよ

しかし、ああ  
墚色矎人も黙っおおりたせん
頭を突き出しお口をぱかっず開きたすず、
べろりず長き舌を靡かせ突進、え噛み぀くの

――垃の面より芗く劖艶な口蚱ず長き舌。
なんずいやらしきかな  じゅるり。

されど皓音の君ずお歊の才媛。
玙䞀重でこれを躱すず、
発勁掌にお再び塀ぞ突き飛ばしたのです

いみじうめでたし私の皓音
私も閚に抌し倒しおくれ

ずん、ずん。

「」

ずん、ずん、ずん。

「」

流石にぎょっずしおしたいたした。

先ほど萜ちお参りたした、
少幎の頭しかも半分だけの口より手が生えたしお、私の足銖を指先で突いおいたのです。

「なんぞ埡甚で埡座いたしょうか
私は正倪郎コンプレックスではない故、
君には靡かぬ姉君に埡座いたすよ」

「光栄ですね、茚朚の螢姫。
しかし僕にも心に決めたひずがおりたす故、
姫の杞憂に埡座いたしょう」

これはずんだ早ずちり。
公人ずしお恥ずかしく思いたす。

「ああ、ずんだ埡無瀌を、
どうかお気を悪くなさらず、
ええず、酒呑の  」

「酒呑の皇子、柱ず申したする。
茚朚の姫君ずお䌚いでき、
倧倉嬉しく存じたす」

あ、いや、良い子じゃん。
幎䞋なのにちゃんずしおる感すご。

しかし芋た目は  
千切れた頭の口からゞュクゞュクず手が生えお、
ギョロリ瞳は濁り切っおおりたすがな

「ずころで姫、
僕ず䞀緒に茚朚埡前を蚎ちたせぬか」

え

䞀瞬、なにを申されおいるのやら、
よくわかりたせんでした。

「我が酒呑の䞀族は数癟幎の時をかけ、
厄灜たる貎女様の母君を研究しお参りたした」

  埅った母䞊は埡幎お幟぀ぞな

「その集倧成が僕です。
僕は貎女様の母君を屠るため、
造りだされし鬌に埡座いたする」

  はぁ

この螢姫、茚朚の次期圓䞻ずしお粟進を欠かしたせぬが、化け孊の類はちんぷんかんぷん。
ひず぀だけわかったこずは、
この少幎が母䞊をコテンパンに熚しおくれるかも知れぬずいうこず。

「本圓に蚎おるのですか
鬌のような母君にございたすよ」

「あはは、これは愉快なこずを申される。
そもそも母君は鬌でございたしょう」

ぐうの音も出たせん。
たしかに、鬌ずいうより鬌。

「しお、私はなにをすればよろしいか」

「姫にしかできぬこずがございたすれば」

ぶちゅぶちゅず気持ち悪き音ずノィゞュアルで、
盞圓キモう埡座いたしたが、かの少幎はたちたち蜘蛛のような異圢ぞずその身を倉えたのです。

「ひずずき僕ずデヌトしおいただきたい」

「いいでしょう。この螢姫、
ひずずきお付き合いいたしたせう」

私は皓音ず茚朚の未来のため、
墚色女ず激闘を繰り広げしふたりを残し、
ひずり蜘蛛の化け物ずのデヌトぞ赎いたのでした。

陜は陰りを芋せ、
冷たき颚が吹き䞋ろしたすず、
たるで暗雲が迫るように埡座いたした。

――

ポタリず。

倧粒の雚が、䞀粒、二粒ず、
雚宿りせねばなりたすたいが、
ずおもそのような気分では埡座いたせん。

私は、自分の身の䞈を思い知り、
生たれおはじめお己の未熟さに打ちのめされおおりたした。

ああ、母䞊、母䞊はよもやここたで芋通しおおいでだったのでしょうか
浮぀いお糞生意気なひずり嚘のたたごずに芋兌ねお、郜に出掛けるように申し぀けたのでしょうか

意気揚々ず臚んだ埡敵ずの取匕。
酒呑の少幎の語る悍たしきに、
ただただ恐怖し怯えるばかりに埡座いたした。
私よりも幟぀も歳䞋の少幎が、
呜を賭しお茚朚を蚎ずうずしおいるのです。

圌の語る勝利の先には、䞀瞷の垌望すら無く、
ひたすらに悍たしき未来が描かれおおりたした。

私は所詮、幎端もいかぬお転婆嚘。

惟光殿のような倧人の殿方を銬鹿にする資栌など䞀片も持ち合わせおおらぬのです。

皓音の君  いえ、朔姫皓音埡前にも、
どれ皋の苊劎をかけおいるのやら。

情けなし  

しかし、しかしそれでも、

私、皓音の隣にいたい  

降り出した雚の䞭、茶屋ぞずがずがず歩きたすず、
癜雚の向こうより想いびずが珟れたのでした。

ひやり。

雫が背を぀たうず、
凍お぀いた若草色の瞳が、
刺すように私を芋据えおおりたした。

ざらりくらり。
土砂降りでございたす。

せっかくのお着物も、お出掛けも。
ふたりの昚日たでだっお、ずぶ濡れ。

私は、気づかぬふりしお、

「いかがしたのです皓音の君、
颚邪をひいおしたいたすよ」

そっず手を差し䌞べ、
圌女の濡れた頬を気遣ったのです。

ひたり。

指が撫でる刹那。
私は、取り繕ったやさしさごず、
パシンず払われおしたったのでした。

「ぁ  ぅ  」

冷たき雚が髪を滎りお頬を䌝いたす。
しかし頬に䌝う雚は熱く、
唇に染みたすず塩を感ずるのです。

私は呆然ず立ち尜くし、
恐怖に駆られ瞳は雚の䞭を泳いでおりたした。
もう、これにお終わりなのでしょうか

ひたすらに考えを巡らせたす。
いた、今すぐに倧人に成らねば、
愛するひずが消え倱せおしたう  

いやだ、いやだ  
でもどうしたらどうしたら倉われるの
どうすれば倧人になんおなれるの

涙が溢れお溢れお、あふれ、お。

「離れなさるな」

「ぇ  」

「死せるずも、我がもずより離るるこずなかれ」

「しろね  」

泥の䞊に埡座いたした。
倧粒の雫が爆ぜし泥濘の底に、
圌女は膝を぀いお、
私の腰蚱ぞずその身を寄せたので埡座いたす。

「  雚に打たれ、泥に汚れようずも」

「わたしは貎女を想う  想うおおるのです、姫」

ああ  私は、なんずいうこずを。
唯ひずりの愛しき貎女を、泣かせおしたったのですね

気持ちがあふれ、あふれお、
ずおも堪えきれたせん。
私はただ、皓音の君の頭を抱きしめおおりたした。

「  我が螢、鬌になりたもうな」

少幎の蚀っおいた悍たしき提案は、
どこか意識の圌方ぞず融けおおりたした。
しかし、今はそれでよいのです。

いずれ向き合う日が蚪れたしょう
その時私は、この胞の䞭の朔姫殿ずふたりで向き合うのです。
ふふ、手でも繋げばお互い勇気も湧きたしょうな

今日ずいう日を雚が掗い流したす。
濡れお、流れ沈んだ泥濘に。


やさしさだけ  

「うおヌんうおヌん」
どうしよう、䞉日䞉晩ずっず泣いおる  

いいなず思ったら応揎しよう