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『女性活躍』に、うまく頷けなかった日のこと


    「これからのキャリア、どうしていきたい?」
    「どんな制度があったら助かる?たくさん意見聞かせてほしい。」

    社長の声と、
    「女性活躍推進委員会」と名付けられた同僚たちの顔が浮かぶ。

    考えたことがないわけじゃない。
    むしろ、何度も考えてきたはずなのに。

    その場で、うまく言葉が出てこなかった。
    言葉にしようとすると、少しだけ何かがずれていく。

    あの場で、うまく答えられている人はどれくらいいるんだろう。




    働くことに疑問はない。
    ただ、「これからも働き続けたいですよね?」という前提には、気持ちよく頷けない。


    子供ができたら、仕事は一度ストップしたいと思っている。

    毎日じゃなくてもいい。
    でも、一緒に過ごした時間を、ちゃんと覚えていられるくらいには、そばにいたい。


    私の母は、小学校を卒業するまでは家にいてくれた。
    中学・高校になるとパートを始めていたけれど、それでも生活の中心には、いつも家庭があった。

    テレビを見ている私の横で、母はよく、漢字検定の勉強をしていた。
    なんの役に立つのかもわからなかったし、子どもの頃は、それを特別だと思ったことはなかった。


    昔の私は、そんな母を理解できなかった。

    スキルがないから、社会に戻れないのだと思っていたし、尊敬したこともなかった。


    でも今は、少しだけ見え方が違う。

    母には、自分が一番大事にしたいものを大切にしながら、自分を磨き続ける強さがあった。




    仕事を一度ストップするということは、いまの仕事を手放すということでもある。

    不安がないわけじゃない。
    それでも、そうしたいと思っている自分がいる。


    誰かにとっての正しさと、自分にとっての心地よさは、同じではない。
    だから、うまく頷けなかったのだと思う。

    「これからも働き続けたいですよね?」

    その問いに、今はまだ、はっきりと答えられない。
    けれど、無理に誰かの言葉で答える必要もないのだと思う。


    PCを閉じて、背伸びをする。
    この小さな違和感を抱えたまま、私はこれからのことも書いていこうと思う。

    たぶん、この質問にうまく頷けないのは、私だけじゃないはずだから。


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