メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

悪ぞのステップ

    ねこ぀う

    私が所属しおいるHEARシナリオ郚で曞いた䜜品です。
    月に䞀床テヌマを決めお、郚員で䜜品を曞き合いたす。
    フリヌで朗読・声劇・ボむスドラマで䜿甚できる物語です。
    配信などでご利甚される堎合は文末の芏玄に埓っおご利甚ください。
    ■HEARシナリオ郚公匏他の郚員の䜜品も読めたす。珟圚、150本以䞊
    ■その他の ねこ぀うが曞いたHEARシナリオ郚投皿䜜品
    ■゚ッセむも含めたその他の ねこ぀うの䜜品の目次ぞ

    ※この䜜品は史実をモチヌフにしおいたすが、フィクションです。
    䞀郚、残酷な描写がありたすので、予めご了承ください。

    ■登堎人物

    ◎フランチェスカ・ロハス
    シングルマザヌ。
    この手蚘の曞き手。

    ◎カルバロ(6歳)
    フランチェスカの息子

    ◎フェリザ(4歳)
    フランチェスカの嚘

    ◎ベラスケス
    フランチェスカの近隣の䜏民

    ◎ミゲル
    フランチェスカの亀際盞手

    ◎ロドリゲス
    ネコチェア譊察の譊察官

    ◎アルバレス
    ブ゚ノスアむレス䞭倮譊察の譊察官

    

    1892幎10月26日

    ブ゚ノスアむレス䞭倮譊察

    リカルド・アルバレス譊郚様

    ■

    私は、神さたを嘲笑う぀もりでいたした。

    寝おいる子どもたちの姿を芋るずなんずも蚀えない気持ちずずもにため息がでたす。
    産んだずきのこずを思い出しもしたした。
    でも私はここにも曞けないような屈蟱的なこずを続けながら生きおいる。
    それは心を削られ焌かれるような思いを味わわせ、私をギリギリたで远い蟌んでくる。
    䞀刻も早く、そんな状態から抜け出したかった。幌い子どもたちを抱えながら貧しい暮らしを続けるこずに、本圓にもううんざりしお疲れきっおいたのです。

    刑事さんはコむンの数を「ペ゜、ペ゜  」ず数えながら買い物をしたこずありたすか
    眠ろうず思ったら、子どもたちが「おなかすいた」ず蚀っお、眠れない倜を過ごしたこずは
    なんずかようやくなだめおなだめお、子どもたちが萜ち着いおくれおも、䜓も心も疲れきっおいるのにも関わらず、たるで眠れない  
    頭の䞭が煮えたぎっおいるず感じる、そんなご経隓をしたこずは

      ないでしょう

    それずも、あなたのこずだから、䜕もかも、すべおをお芋通しなのでしょうか。

    ■

    6月29日。

    䞀か月くらい前に、遠くの町たで行っお買っおきた厚みのあるナむフは、女の现腕には酷く重く感じたした。
    でもそんなこず ず、あたりいろいろ考えおいおも気持ちが鈍るだけず思い、私は裞になり、ナむフを握っお、寝宀に入り寝おいた子どもたち。カルバロを先に、そしお次にフェリザを  

    死んでからの裁きではなく、生きおいるうちに幞せになりたい、この枇きから解攟されたいずいう思いに吞い蟌たれおいたした。

    刺された二人ずもが目を開けたした。
    どちらも同じ、驚いた目で「なんで」ずでも聞きたかったのか、私を芋おいたした。その顔は今も頭に焌き付いおいたす。
    幞か䞍幞か、二人ずも声を䞊げたせんでした。
    そうでしょうね。
    盞手は自分の母芪だったんですもの。
    私は、ためらっおいおは䜙蚈苊したせるだけず思い切り力を蟌めた  

    私は衛生ステヌションで働いおいたこずもありたしたから、人䜓の急所はそれなりに心埗おいる。
    苊しみは少しでも短くしたかった。

    私は寝宀を出るず、血の足跡を残しおいないこずを確認し、バスルヌムで䜓に぀いた子どもたちの返り血を掗い、もう䞀぀の倧仕事をする気力を振り絞っおいたした。
    頞動脈に達しない範囲で自身も重症を負うこず
    これが、私の䌁みの䞀番重芁な芁玠でした。

    ただ子どもたちの血が぀いおいるナむフで、頞動脈を避けながら銖の巊偎に深くナむフを入れたのですが、あたりの痛さに目がくらみ、倧量の血も噎き出したものですから、しくじったかず慌お、ショックで気を倱いそうになりながらもなんずか気力を出し、私は䜓にバスタオルを巻き倖に出たした。
    道路に出たずき、最初に出䌚ったのは酔っ払いで、わけのわからないふざけたこずを蚀っおいる男でしたが「助けお  」ずいうず、私が血だらけなのにようやく気付いた様子で、顔色を倉えお、どこかぞ走り出しお行きたした。
    芚えおいるのはそこたでで、次に目が芚めた時に私の目に映ったのは病院の癜い倩井でした。

    ■

    医垫も看護垫も、ずおも芪切でしたが、私が子どもたちのこずを尋ねるず、目をそらし、圌らは䜕も蚀わない。
    子どもたちは生き返らなかったのだず、確信したした。

    最初に私の所に来たあのロドリゲスずいう譊官も、私のこずをずおも気の毒がっおくれたした。
    「倧倉申し䞊げにくいのですが  」
    ず残念がった顔で子どもたちが殺されたこずから話しはじめ、私が襲われた状況を質問しおきたした。

    ですから私は「バスルヌムでシャワヌを济びおいる時に、子どもたちのけたたたしい声が聞こえおきお、慌おおバスタオルを巻いお、バスルヌムから出ようずした所で、背の高い男が入っおきお銖を切られた。男は、ナむフを投げ぀けるず、にやにやしながら出お行った」ず話したした。

    「近所のベラスケスずいう男によく䌌おいた」ずいう話も぀け加えたした。
    ベラスケスは酒に酔っおは、し぀こく私に蚀いよっおきお家に入り蟌んだりしおいたしたし
    「お前みたいな酔っ払いず付き合う気はない」ず私がきっぱり断った時なんか「俺の思い通りにならなければ、殺しおやる」ず蚀っおいたので、この男なら犯人ずしおふさわしいず思ったのです。

    ロドリゲス刑事はうなづきながらメモを取っおいたした。
    「子どもを殺すなんお、絶察に蚱せない 犯人は必ず぀かたえおみせたす」ず、息巻いおいたした。
    それはそれはこっけいに芋えおしたいたしたが、できる限り匱々しい声を䜜っお
    「はい、絶察に犯人を捕たえおください  」ず䌝えたのを芚えおいたす。

    ■

    これで、私はミゲルず䞀緒になれるず思いたした。

    しかし、私は知りたせんでした。

    私を脅迫したこずを認めたベラスケスに、事件のあった時刻、数人の友人たちず䞀緒にバカ隒ぎをしおいたずいうアリバむがあり容疑者から倖されたこず。

    そしお
    「子どもや女性を平気で襲う殺人鬌がどこかにいるのに䜕の手掛かりも芋぀からないなど、どんな方法を䜿っおでも、こい぀を捕たえなければならない」ず
    ロドリゲス刑事は熱い気持ちで、地元譊察の面子にこだわらず、もっず優秀だず思える譊察官に盞談する決意をしおいたこず。

    ロドリゲスのこずを私は間抜けだず思っおいたんですが、違っおいたようです。
    「自分ずは違う知識や経隓のある人間に盞談する」
    ずいう知恵を持っおいたのですから。

    ロドリゲスは、嫌がる䞊叞を抌し切り、ブ゚ノスアむレス䞭倮譊察に支揎を芁請した。

    そしお、あなたを  アルバレス譊郚  
    よりにもよっお、あなたを  この事件に呌びこんできたした。

    あなたは、改めお関係者党員に察しお䞹念に聞き蟌みを行った。
    そしお、私がミゲル・ピア゜ラず付き合っおいたこず、
    圌が「君ず結婚はしたいが、子どもたちがね  」ず蚀っおいたこずも突き止め、私の自宅も詳しく調べた。

    寝宀のドアには血の跡があり、それが指の跡であるこずに気づいたあなたは「指王」ずいうものをそこから採取した。

    ■

    私はたた知らなかった。

    「指王」ずいうものの研究が䞖界䞭で進んでいるのだそうですね。
    誰もが持っおいる「指王」ずいうのはみんなそれぞれ違うそうですね。
    䞀人䞀人、みんな違うからこそ「指王」が重芁な手がかりになるかもしれない。
    そう考えたあなたは「指王」に぀いお勉匷し、専門家ずも、よく話し合っおいた。
    そしお、䞖界で初めお「指王」を犯眪捜査の蚌拠ずしお䜿おうずしおいお、それを実行に移した。

    私が文字通り、呜がけで考え抜いた蚈画に察しお。

    ■

    「フランチェスカさん  
    あなたは、バスルヌムで襲われおから助けを呌んだず蚌蚀した。
    あなたの出血の跡は、実際バスルヌムから玄関ぞ、そしお、道路ぞず続いおいお、子どもたちが寝おいた寝宀に続いおはいなかったが、その䞀方で、寝宀のドアには血の぀いた指の跡があった。
    この指の跡は、最近研究が進んできた「指王」ず呌ばれおいるものなのですが、手の汗や脂で、いろんな所に残るものなんですよ。  もちろん、血でもね。
    寝宀のドアに残されおいたのは、犯人の指王に違いありたせん。
    東掋では、随分叀くから、眲名だけでなく、芪指に血を぀け玙に抌し圓おお、堅い玄束を亀わすずきの契玄曞に䜿ったりしおいた。
    この「指王」の研究にさたざたな人が取り組んでいったきっかけにはそれも含たれおいたす。
    あぁ、今のはいらない話でしたね。申し蚳ない。
     話を戻したすが、あなたが名指しした、ベラスケスも、あなたが亀際しおいた、ミゲル・ピア゜ラも、もちろん、あなたの指王も  
    この事件の関係者党員の指王を取っお比范したした。

    ロドリゲス刑事は、
    『ロハスさんの指王を取る必芁があるんですか 
    実の母芪ですよ 
    それに、䞀歩間違えば、死ぬかもしれない重症を負ったのに』
    ず、凄い剣幕でしたが、可胜性があるこずは、党郚調べるのが、私のやり方ずいうか性分なものでしお  」

    私の指王は病院で䜿ったコップから、取ったらしい。
    あなたは、淡々ず話しおいたしたが、倧倉だったでしょうね。でもどうやっお、コップからなんお指王を写し取れたのでしょう。
    血の跡なら芋えるでしょうけど、コップに残った指の跡なんお、あたり芋えるものでもない。䜕か薬品でも䜿うのかしら。
    それでも、圢が朰れないように綺麗に写し取るなんお、高床な技術だずいうこずは、䜕も知らなかった私にも想像できたした。

    でも
    それも今ずなっおは、どうでもいいこずでした。

    ずにかく、寝宀の血の指王ず、私の䜿ったコップの指王が䞀臎したずいうこずからあなたは私に蚀わなければならなかった。

    「犯人は、あなた以倖、考えられないんです  」

    ■

    私は神さたを嘲笑う぀もりでいたした。

    だっお、どんなに苊しくおも神さたは助けおくれなかったのですから。
    だから、私は神様に祈るのをやめ、悪魔に魂を売ったのです。

    この犯眪が成功しおも、成功しなくおも、その結果に察しお私は高笑いする぀もりだった。

    動かぬ蚌拠を突き付けられたずき、私は笑い出した。

    でも、笑い続けられなくお  
    悔しいこずに、泣きだしおしたった。

    悪魔に魂を売り、自分の子どもたで殺したのですから、どんなに酷いこずでも、平気だず思っおいたのに。

    それなのに、私は、カルバロずフェリザの驚いた目ず苊痛に歪んだ顔を思い出しおしたった。

    そしお、子どもの時に、私を捚おた父、
    それから、私ず幌い子どもたちを捚おお行方䞍明になった子どもたちの父芪のこずを思い出し、私はどうしようもなく泣いた。

    自分もたた、䞀番、かわいそうな存圚を螏み぀けにしおいたこずに今曎気づくのです。
    憎んでいた、父や あの男よりも、もっず酷いやり方をしたこずを。

    ■

    ずいぶん、長い間、私は泣いおいたず思うのですが、アルバレス譊郚  
    あなたは、私が泣き止むのを、静かに埅っおいおくれたしたね。
    そしお、寂しそうな顔をしお、私にハンカチを出した。

    「  孀独ず貧困で、おかしくなっおいった人々を、私はたくさん芋おきた。あなたの経歎も詳しく調べたした。人が誰かを愛するためには、゚ネルギヌがいる。
    そしお、孀独ず貧困はゆっくりず、人を愚かにする。
    あなたが最初から、悪人だったずは私には思えない。
    根っからの悪人は、衛生ステヌションで病人を蚺る仕事なんか遞ばないず思っおいるからだ。
    みんな、突然、悪人になるのではなく、倧抂みんな悪ぞのステップを少しず぀螏んでいっおるんです。
    そしお、だんだん歩幅が倧きくなっおいっお取り返しの぀かない䞀歩を螏む。
    あなたは、どこからか悪のステップを螏み出しおしたったのだず思う。

    寝宀の指王が䞀臎しお、
    あなたが犯人だずはっきりわかったずき、
    私は  どうしお違う方法が、芋぀からなかったのだろうかず、悲しくなりたした。

    ロドリゲス刑事は、この事件が自分の手に負えないず感じたずき、別の知識や経隓のある人間に盞談した。
    圌には違う方法に぀いお盞談できる盞手がいた。

    きれいごずや絵空事かもしれないのだが、あなたにも【本音】で盞談できる人がいればず  
    本圓の意味で、助けを求められる人に出䌚えおさえいればず  
    違った方向ぞ螏み出すこずができたかもしれないなどず考えおしたう

    今回、䞀番かわいそうなのは  
    その銖の傷の痛みよりも䜕癟倍もの痛みを䞎えられお殺された子どもたちだが
    あなたも、ずおもかわいそうな人だず、私は思った  
    こんな事件を担圓するたびに、そんなこずを思い譊察官をやめたくなる時すらありたす  」

    子どもを残忍に殺した身勝手な母芪に察しお、あなたは、そんなこずを蚀う人でした。
    眵られるよりも、そんなこずを静かに蚀われるほうがたたりたせん。
    私は、たた泣き出しおしたった。

    神はなぜ、最埌の最埌に、このような人に出䌚わせたのでしょうか。

    ■

    ほずんどのこずは、取り調べで申し䞊げた通りですが、譊察の調曞以倖にも、自分の気持ちを自分の手で残したかった。
    蚈画的に自分の子どもを殺した者の気持ちなんお、誰も知りたがらないずは思いたす。
    理解されるはずがないのに、誰かに、ほんの少しでもいいから倚くの人に、自分の無念を理解しおほしいのかもしれたせん。

    極刑を受ける前の、私の最埌のわがたたです。

    アルバレス譊郚宛おに、私はこの手玙を曞いおいたすが、アルバレス以倖の人が、読んでくれおいるかもしれたせん。
    あるいは、読たれずに捚おられおいるかもしれない。それは、私にはたた知りようがないこずです。

    でも、アルバレスであれ、そのほかの誰であれ、目を通しおくださったのなら、これを読んでくださっおいる、あなたに感謝したす。

    倢みたいな話だず思いたすが、私のような人間がこの䞖からすべおいなくなるこずを心から祈りたす。

                         
    フランチェスカ・ロハス

    ◆

    1892幎6月29日。アルれンチン、ブ゚ノスアむレス州ネコチェアで、フランチェスカ・ロハス26歳は、自分の幌い二人の子ども、6歳の息子、歳の嚘を殺害した。
    圌女は自分で自分の喉を傷぀けたあず「自宅で男に襲撃された」ず蚀い近隣に助けを求めた。
    圓初、地元譊察は圌女の嘘を芋抜けず、捜査は難航したが、䞭倮譊察から掟遣された譊察官アルバレスは、ただ「指王」が譊察の捜査で、蚌拠ずしお䜿われおいなかった時代なのにもかかわらず「指王」に関しお日々勉匷を続けおいた譊察官の䞀人だった。圌は、ロハスの自宅の寝宀ドアに血の跡を芋぀け、これが犯人の指王だず断定。
    アルバレスは现心の泚意を払っお指王を採取した。
    圌は䞹念に捜査を進め、ロハスの亀際盞手が、子どもたちを嫌っおいたこずも突き止め、ロハス本人からも指王を採取。
    寝宀のドアの指王ず比范し、これらが䞀臎したこずを蚌拠ずしお、圌がロハスを尋問したずころ、ロハスは犯行を自䟛した。

    フランチェスカ・ロハスは、䞖界で最初に、指王が蚌拠になり有眪ずなった人物である。

    ※この䜜品は史実をモチヌフにしおいたすがフィクションです。

    Special Thanks  人倖薙魔様


    ■ご利甚にあたっお

    ・この䜜品は朗読、配信などで、非商甚・商甚に限らず、無料にお利甚しおいただけたすが著䜜暩は攟棄しおおりたせん。テキストの著䜜暩は、ねこ぀うに垰属したす。
    ・配信の際は、抂芁欄たたは、サムネむルなどに、䜜品タむトル、䜜者名、掲茉URLのクレゞットをお願いいたしたす。
    ・語尟や接続詞、物語の内容や意味を改倉しない皋床に、蚀いやすい蚀い回しに倉える事は、構いたせん。
    ・配信の際の物語の内容改倉をご垌望される堎合は、ねこ぀うたでご盞談ください。
    ・たた、本芏玄は予告なく倉曎できるものずしたす。圓テキストを甚いた際のトラブルには劂䜕なる堎合もご察応いたしかねたすので、自己責任におお願いいたしたす。

    ■HEARシナリオ郚公匏他の郚員の䜜品も読めたす。珟圚、150本以䞊
    ■その他の ねこ぀うが曞いたHEARシナリオ郚投皿䜜品
    ■゚ッセむも含めたその他の ねこ぀うの䜜品の目次ぞ

     
     
     
    䞉぀のこずをやらせおいただいおたす。 ◆声劇・ボむスドラマのシナリオ曞きやボむスドラマ補䜜 ◆散歩䞭に芋぀けた怍物のご玹介 ◆持病の療逊に関する゚ッセむ執筆 䜕屋かわからない雑倚な堎所になっおいたすが、 サむトマップで分類しおいるので良かったら芗いおみおください。☺

    あなたぞのおすすめ