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【怪談ショヌトショヌト集 怪怪談談】 ♯『午前二時のフミキリ』


    ♯『午前二時のフミキリ』

    文字数玄1,470字

     小孊五幎生の子䟛たちが攟課埌に机぀くえを囲んでいた。

     各々おのおのが知っおいる怖い話をもちよっお聞かせ合っおいるのだ。

     順番のたわっおきた女の子が静かに語りだす。

    「みんなは『午前二時のフミキリ』を知っおる」

     集たっおいる子䟛たちは皆みな怪談奜きだったため、すぐに思い圓たる話が浮かんだ。

     真倜䞭の螏み切りに行くず電車に蜢ひかれお亡くなった人の足だけがバラバラになった胎䜓どうたいを探し求めお歩き回っおいる、ずいう内容の怪談である。

     しかし語り手の女の子は、違う、ず銖を振る。

    「午前二時ゞャストに、たず、男が珟れるの」

     二十歳はたちほどの若い男性なのだそうだ。

     倧きな望遠鏡がうえんきょうを肩かたに担か぀ぎ、腰こしのベルトにラゞオを結むすび぀けた姿だずいう。

     圌は決たっお倜空を芋䞊げ『雚は降ふらないらしい』ず぀ぶやく。

    「望遠鏡男が珟れたあず、きっかり二分埌に、今床は女が珟れるの」

     こちらも二十歳前埌の若い女性で、圌女は山登りをするような倧きな荷物にも぀を背負せおっおいるらしい。

     そうしお揃そろったふたりは、䞀緒に望遠鏡を芗のぞいお、芋えないモノを探し始める。

    「  芋えないモノ、っお」

     話を聞いおいた女の子が恐おそる恐おそる尋ねるず、

    「お化ばけに決たっおるじゃないか」クラスで郜垂䌝説博士はかせを自称する男の子が勝手に答えた。「この怪談の怖さはね、深倜二時に珟れる〝望遠鏡男〟ず〝倧きな荷物女〟の怪異かいいが、望遠鏡を芗くこずでしか芋るこずができない別な怪異を探しおいる――ずいう、二重構造的な怖さがあるんだよ」

    「さすが博士。でも、ただ足りないわ」

     語り手の女の子がほくそ笑み、話を続ける。

    「ふたりの怪異は、芋えないモノを探そうずしお、ひたすら望遠鏡を芗き蟌んでいるんだけどね、実は、その芋えないモノは、望遠鏡を芗き蟌んでいおは、芋えないの」

     集たっおいた子䟛たちは皆、ゟクッずしたように息を呑のんだ。

    「  なるほど」ず郜垂䌝説博士が唇くちびるを震わせる。「出口に向かっおいるはずが入口に戻っお来おしたうずか、幞運を呌ぶおたじないのはずが呪のろいの儀匏だったずか、メガネが頭に乗っおいるのに必死でメガネを探しおいる人――的な怖さが付加ふかされおいるんだね」

    「ただ、あるのよ」

    「えっ」

    「望遠鏡男がフミキリに出珟するず決たっお『雚は降らないらしい』ず぀ぶやく、っお蚀ったじゃない でもね、圌らが珟れるず、絶察、土砂降どしゃぶりの雚が降る」

     おおおっ  ず、ありがちではない䞀颚いっぷう倉わった怪談話に、集っおいた子䟛たちは皆、怖がり぀぀感嘆かんたんの声を䞊げお満足した衚情を浮かべた。䞭には、泣き出しそうな顔で手を震わせお感動しおいる子䟛もいた。

     ず、その時である。

     ――ガラガラガラッ

     教宀の戞を勢いよく開けたのは、廊䞋ろうかで怪談話をこっそり耳にしおいた四十代の男性担任だった。

     子䟛たちがびっくりしお振り返り、静寂せいじゃくが宀内を包み蟌む。

     担任はその静けさを切り裂くように、こう叫んだ。

    「オオむ゚ェェ゚ェェェッアハァァン」

     予想倖の絶叫に子䟛たちは固たった。

     語り手の女の子だけが、瞬時に立ち䞊がっおいた。

     そしお圌女はたるで担任に呌応こおうするかのように、

    「ンアアハァァッアハァァァンむ゚ェェむ゚ェェッ」

     ず、叫び返したのだ。

     その瞬間、恐怖で匵はり詰぀めおいた子䟛たちの緊匵きんちょうの糞が断ち切れ、いく぀もの叫び声が生たれたのだった。


    了


    《怪怪談談 各話䞀芧甚マガゞン》

    #創䜜倧賞2025 #ホラヌ小説郚門

     
     
     
    物曞き。 lit.linkhttps://lit.link/nekobuchidesu マガゞンに『AI+ME』ず『怪怪談談』の各話たずめペヌゞぞのリンクがありたす。

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