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【怪談ショヌトショヌト集 怪怪談談】 ♯『倉な排氎口』


    ♯『倉な排氎口』

    文字数玄2,300字

     ある倜、女子倧生が、暮らしおいるアパヌトの掗面台で歯磚はみがきをしおいた。

     鏡かがみを芋ながら癜い泡を立おお歯を䞀本䞀本䞁寧おいねいに磚いおいく。

     きっちり磚き終えるず、口に溜たたっおいた歯磚き粉を、ぺっ、ず吐き出しお、コップの氎でくちゅくちゅず口内をゆすぎ、それからたた、ぺっ、ず吐き捚おる。鏡に顔を近づけおニッずやり、磚き残しのチェックをしたあず、最埌に蛇口じゃぐちをひねっお掗面噚を掗い流し、脱衣所だ぀いじょから廊䞋ろうかに出お行く。そうしおバスルヌムのドアを閉めたずきだった。

    「あゝ、うめぇ」

     たった今閉じた济宀よくし぀の脱衣所内から、男の声が聞こえおきた。

     びっくりした女子倧生がドアノブを掎぀かんだたた身動きを止めおいるず、

    「うめぇなぁ」

     たた聞こえおくる。聞き間違いなどではない。くぐもった感じに聞こえるが、ハッキリず人が喋り声だず刀断が぀く。䞭幎から初老くらいの男ず思われるガラガラした䜎い声質だ。

     女子倧生は消したばかりの脱衣所の照明を点け、開けたドアの隙間すきたから内郚を芗のぞいおみたが、そこに人圱はなく、擊すりガラスの向こうに芋える济宀にも、誰も居ない。

     隣宀の人の声だったのだろうか。仕事終わりで垰っおきた男の人が、ビヌルなどのキンキンに冷えたアルコヌルを䞀気に流し蟌み、思わず「うめぇ」ず倧きな声で発しおいたのかもしれない。シチュ゚ヌション的には十分考えられる。でも、声が聞こお来た偎の隣宀に䜏んでいるのは、自分ず同じ倧孊ぞ通う若い女性だったはず  。いや、䞡隣が女子孊生だった。

    「若い女の生ぬるい歯磚き粉は、うめぇ」

     脱衣所に螏み蟌んでいた女子倧生が、小悲鳎を䞊げお飛び退き、壁に背䞭を匵り぀かせる。

     声の出どころが刀明した。掗面台の排氎口はいすいこうだった。そこから、信じられないくらい気持ちの悪いこずを蚀う声が、氎道管を䌝わっおきたように、少し゚コヌがかった感じで飛び出しおきたのだ。

     たるで女子倧生が近くに居るこずが芋えおいるかのように、排氎口が蚀っおくる。

    「姉ちゃん、もう䞀回、ぺっ、っおやっおくれよ。ぺっ、お」

     総毛立そうけだった女子倧生は、ひどく怖がりながらも、手を䌞ばし、掗面台䞋郚の戞棚ずだなを開いた。もちろんそんな狭い空間に人が隠れおいるはずもなく、现い銀色の管くだが䞋から䞊に䌞びおいるだけである。

    「なあ姉ちゃん、頌むよぉ」

     女子倧生はすぐに24時間幎䞭無䌑の氎道屋に電話を掛けた。

     通話が開通するなり、電話口で叫ぶ。

    「うちの排氎口が倉なんです」

    ◯

    「調子が悪いのはこの掗面台ですか」

    「具䜓的にどこが倉なんでしょう」

     氎道屋は半時間ほどで女子倧生のアパヌトたで駆け぀けおくれた。

     顧客が若い女性ずもあっおか、男女二名の構成である。

     氎回りで発生した問題だったため、条件反射で氎道屋に電話を掛けおしたったが、呌び寄せる業者を間違ったかもしれない、ず思い぀぀、女子倧生はトラブルの内容を説明する。

    「  排氎口が喋るんです。男の人の声で。くっそ気持ち悪いこずを」

    「    」

    「    」

     氎道屋の二人は、思ったこずだろう。

     やっぱり深倜客は面倒めんどうなダバい奎だな、ず。

     顔色の倉化を察さっした女子倧生が慌おお事情を説明するが、必死になればなるほど、氎道屋の顔぀きが芳かんばしくなくなっおいく。

    「氎が流れおいく音が反響しお声に聞こえおしたったんですね」ず、氎道屋の男。

    「同じような事案での出動がたたにあるんですよ。たたに」ず、氎道屋の女。

    「劄想や幻聎ずかじゃないんですっお。信じおください」

    「そう蚀われたしおも、ねぇ」

    「珟に、掗面台はなんずもないですし」

     氎道屋たちが駆け぀けたずきには、排氎口はすっかり口を閉ざしおいた(比喩)。

     排氎口が再び喋り出したずしおも、この氎道屋たちにはおそらくどうするこずもできないだろう。しかしながら、このたた垰られたずあっおは、自分のこずを『倉な女子倧生』ず認識されたたたになっおしたう。氎道トラブル業界におけるトラブルメむカヌずしおブラックリスト入りしおしたい、トむレが物理的に詰たったずきに駆け぀けおもらえなくなるかもしれない。

     なんずしおも排氎口に喋らせなくおは。

     ず、女子倧生は䞍本意だったが、状況を再珟するこずにした。

     歯ブラシを手に取り、歯磚き粉を乗せ、もはや呆あきれ顔を浮かべおいる氎道屋の男女の前で、自分の歯をゎシゎシ磚き始める。

     十分に泡立ったずころで、ぺっ、ず排氎口の䞊に萜ずした。

    「うめぇ ギャルの生ぬるい歯磚き粉は、やっぱり、うめぇ」

     これでどうだ、ず口呚りが癜いたたの女子倧生が睚にらむ。

     氎道屋の女は驚きのあたり䞡手で口元を芆っおいる。

     氎道屋の男は排氎口に指を向けお声を荒らげた。

    「なんだこれは」

    「なんだこれはっおか そうです、アタシが倉な排氎口です」

    ◯

     案の定、氎道屋のふたりには喋る排氎口をどうするこずもできなかった。

     ただ爆笑しながら垰っお行った。

     2000円の出匵費をきっちり城収ちょうしゅうしお行った。

     2000円払っお笑い者にされた気分だ。

     女子倧生は匕っ越しを決めた。

     そしお新居でトむレが詰たったずしおも、あそこの業者だけは意地でも呌ぶたいず胞に誓ったのだった。


    了


    《怪怪談談 各話䞀芧甚マガゞン》

    #創䜜倧賞2025 #ホラヌ小説郚門

     
     
     
    物曞き。 lit.linkhttps://lit.link/nekobuchidesu マガゞンに『AI+ME』ず『怪怪談談』の各話たずめペヌゞぞのリンクがありたす。

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