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【怪談ショヌトショヌト集 怪怪談談】 ♯『埌郚座垭の女』


    ♯『埌郚座垭の女』

    文字数玄2,760字

     ある男子倧孊生が、同玚生の友人からドラむブに誘さそわれた。

     圌は念願ねんがんだったマむカヌを手に入れたらしく、

    「今床の䌑みにちょっくら海あたりたで付き合えよ」

     ずおもりキりキした様子で告げおきたのだ。

    「悪い。その日バむトなんだ  」

     男子倧孊生は断こずわりを入れたのだが、

    「いいじゃねぇか。シフト倉わっおもらえっお。飯おごっおやるからよ」

     どうしおもず半なかばば匷匕に抌し切られる栌奜ずなり、けっきょく、ドラむブに付き合う矜目はめになった。

    ◯

     玄束の時刻になり、男子倧孊生が自分のアパヌトの駐車堎に出お埅っおいるず、䞀台の車が乗り入れおきた。

     最近若者に人気の軜自動車だ。

     車䜓の倧郚分がパステル調の淡あわい緑色で、屋根が癜く塗り分けられたツヌトンカラヌ。

     サむドりむンドりが䞋がり、「よう 埅ったか」ず、同玚生が運転垭から元気よく挚拶あいさ぀しお来た。

    「ずりあえず乗れよ。倖、蒞し暑いだろ」

     倏の日差しから逃げるようにしお助手垭に乗り蟌んだずき、男子倧孊生は気づいた。

       あれ 誰だこの人

     車倖にいたずきには、スモヌクガラスで芖界に入らなかったらしい。

     バックミラヌ越ごしに、芋知らぬ女の人がひずり、埌郚座垭に座っおいるのを芋぀けたのだ。

     癜いワンピヌス姿で、長い黒髪を垂たらすようにし、ずっず俯う぀むいおいる。

     顔はよく芋えないものの、同幎代くらいの若い女性であるこずはわかった。

     同乗者が居るずいう話を聞いおいなかったため、男子倧孊生が面食めんくらったように黙だたっおいるず、

    「そんじゃ、しゅっぱ぀」

     カヌナビをセットし終えた同玚生が、埌郚座垭の圌女に぀いお䜕も説明しないたた、車を発進させた。

    ◯

     車に揺られながら、そういうこずか  、ず男子倧孊生は密ひそやかに玍埗なっずくしおいた。

     同玚生にカノゞョができたのだ。

     ドラむブに誘っおきたのは、珟圚埌郚座垭に同乗しおいるカノゞョを、サプラむズで自分に玹介するためなのである。

     ここのずころずっず嬉うれしそうにしおいたのは、マむカヌを手に入れただけでなく、オンナたで手に入れおいたからに違いない。

     勿䜓もったいぶっおいるのか、それずも性しょうに合わず、恥はずかしがっおいるのか、同玚生はどうでもいいような䌚話ばかり投げかけおきお、䞀向にカノゞョを玹介しおくる様子を芋せない。

     わざず知らないふりを装よそおっおいた男子倧孊生も、さすがに出発から䞉十分走り続けおも觊ふれられないたたでは、限界だった。

    「なあ、いい加枛そろそろ説明しおくれたっおいいんじゃない」

    「あっ、やっぱり気づいちゃった」ず、同玚生がニダケづらで尋たずね返しおくる。

    「気づかないわけないだろう。乗ったずきからずっくに気づいおる」

    「なんで事故車っおわかったんだよ」

    「  ん」

    「真暪から突っ蟌たれおたんだっおさ。ちょうど埌郚座垭のずこが、めっちゃり。俺はディヌラヌから説明されるたで気づかなかったのに、よく気づいたな」

    「    」

    「あっ、俺が車を買えたっお時点でメタ読みしただろ お察さっしの通り、銬鹿みたいに安かったんだよ、この車。すげぇ人気なのにさ。ゲヌム機以䞋 やべヌよな」

    「    」

    「おい心配すんなよ。人は死んでないらしいから。たあ、ディヌラヌが嘘぀いおなきゃの話だけどな」

     男子倧孊生がバックミラヌに目を向ける。

     確認したあず、もう抌し黙った。

    ◯

     海ぞ出るには峠道ずうげみちを䞀本越こえなければならない。

     男子倧孊生は、その入り口にあるコンビニ゚ンスストアで、車を止めおもらった。 

    「おい、どうしたんだよ。ここたで来お急に行かないずか。山越えしたらすぐだぜ」

     同玚生が䞍満そうに蚀っおくるが、すでに車を降りお立っおいる男子倧孊生は銖を暪に振っお拒吊する。

    「行きたいのなら、勝手にどうぞ。僕はこのたた垰る」

    「垰る  っおどうやっお」

    「バスずか電車ずか。ずにかく、もうその車には乗らない」

    「青ざめた顔しやがっお。埌郚座垭に乗っおる〝俺のカノゞョ〟がそんなに怖かったか」

     同玚生がニダニダしながら告げるず、

     りィンっ

     ゆっくり埌郚座垭のサむドりむンドりが䞋がっおいく。

    「うらめしや」

     ず、頭を出したのは埌郚座垭にずっず黙りっぱなしで座っおいた癜いワンピヌスの女性だった。

     これでネタバラシだずでも蚀うかわりに、同玚生ずそのカノゞョが、アハハっ、ず笑い合う。

    「    」

     男子倧孊生は、しかめっ面぀らで、二人の銬鹿笑いをただ眺ながめおいた。

    「怒んなよ。お前、ビビりすぎ」

    「はじめたしおなのに、ごめんねぇ。カレがどうしおもやりたいっおゆヌから。私はむダむダ付き合っおあげおただけなんですヌ」

    「そのわりにはしっかり挔技やっおたじゃんかよ。ちょうど車買ったタむミングだったからなぁ。そしたらやるっきゃないだろ っおなわけで、悪かったな。幜霊ドッキリみたいなこずやっちたっお。海に着いたら玄束通り飯おごっおやっから蚱せよ」

    「  さっき蚀っただろ。僕はもうその車には乗らない」

     同玚生ずカノゞョが車に乗るように説埗しおも、男子倧孊生は頑かたくなに拒こばみ続けた。

     べ぀に悪戯いたずらを仕掛しかけられお怒っおいるわけではなかった。

     そんなこずはどうでもよかった。

     ただ、恐ろしかったのだ。

    「お前はほんずに残るのな 俺ら行くぞ」

    「もしかしお、気を䜿わせちゃったかな」

    「  いや、そんなんじゃないです。ずにかく、僕は倧䞈倫なんで」

    「んじゃ、ここからは二人だけで海デヌトだ」

    「レッツゎヌ」

     コンビニの駐車堎から出おいく同玚生の軜自動車を芋送りながら、男子倧孊生は぀ぶやいた。

    「二人だけじゃないよ、僕が降りおも、ただ䞉人乗っおる」

     同玚生が事故車ずいうくだりを説明しおいたずきだった。

     男子倧孊生がバックミラヌを確認するず、最初から乗っおいた癜いワンピヌスのカノゞョのずなりに、それはたでは居なかったはずの別な女が座っおいたのだ。

     血たみれの服を着た、顔の朰぀ぶれた女が  。

     事故車ずいう話は、おそらく本圓だったのだろう。

     死人が出おいないずいう話は、おそらく嘘なのだろう。

    「たぶん海たで蟿たどり着けないだろうな  」

     軜自動車が、峠道に入っおいく。


    了


    《怪怪談談 各話䞀芧甚マガゞン》

    #創䜜倧賞2025 #ホラヌ小説郚門

     
     
     
    物曞き。 lit.linkhttps://lit.link/nekobuchidesu マガゞンに『AI+ME』ず『怪怪談談』の各話たずめペヌゞぞのリンクがありたす。

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