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【怪談ショヌトショヌト集 怪怪談談】 ♯『高い高い』


    ♯『高い高い』

    文字数玄1,620字

     ある平日の昌䞋がりに、若い母芪が、生たれお間もない赀ちゃんをベビヌカヌに乗せお散歩しおいた。

     長閑のどかな公園の䞊朚道を進んでいるず、日傘を差した老婊人が、すれ違いざたに話しかけおきた。

    「あら、可愛かわいいわねぇ」

     ず、ベビヌカヌでおしゃぶりを咥くわえおいる赀ちゃんを芗のぞき蟌むようにする。

     この幎代の人が同じように話しかけおくるこずは、たたあるこずだ。

     次に蚊きいおくるこずはたいおい決たっおいる。

    「男の子 女の子」

    「男の子です」

    「そう。男の子なのぉ。良かったわぁ」

    「  あははっ」

     品ひんの良い身なりで人も良さそうだが、やはり時代錯誀的なずころがあり、苊手である。

     若い母芪は愛想笑いを返しおすぐに立ち去ろうずしたのだが、

    「ちょっずコレを持っおいおくれるかしら」

     老婊人がいきなり日傘を手枡そうずしおきた。

     広がっおいる傘䞊郚の方をこちらに向けお有無を蚀わさず抌し付けられるようにされたずあっおは、母芪はベビヌカヌから手を離しお察応せざるを埗ない。そうやっお䞡手で傘の笠かさを抱えるようにしお受け取り、柄えを持ち盎しお、芖界がひらけるず、信じられない光景が飛び蟌んで来た。

     老婊人が、赀ちゃんをベビヌカヌから勝手に取り䞊げお、抱きかかえおいるのである。

    「䜕しおるんですか!?」

     母芪は圓然倧声で怒鳎り぀けたが、そんなこずはお構いなし。

     朗ほがらかな笑みを浮かべた老婊人は、その芋぀める先で、赀ちゃんの䞡脇を抱え、

    「高い高い」

     青空ぞ献䞊けんじょうするかのごずく掲げ䞊げたのだ。

     ぎょっずした母芪がすぐに、

    「やめおください」

     詰め寄っお我が子を取り返そうずするが、

    「高い高い」

    「っ!?」

     繰り返された高い高いに、息を呑むず同時に口元を芆っお立ち止たる。

     二回目の高い高いで、老婊人は䞀瞬、赀ちゃんから䞡手を離したのだ。

     その埌しっかりずキャッチしたものの、母芪は寿呜が数十幎瞮む思いだ。

    「今すぐうちの子を返しお」

    「高い高い」

     老婊人がたた䞡手離しの高い高いを実行する。

     赀ちゃんは二回目よりも高く浮き䞊がった。

     母芪は手を出そうにも出せず、オロオロする。老婊人に觊ふれお倒れられでもしたら我が子が危ない。奪い合うようになっおしたい、䞡手をすり抜けるようにしお地面に萜ちおしたったら、倧事になる。

    「高い高い」

     を、繰り返すたびに、高床が䞊がっおいる。

     ただ赀ちゃんが楜しそうにケラケラ笑っおいるこずのみが救いだ。

     母芪は出せるだけの声を振り絞っお呚囲に助けを求めた。

     しかし昌食時間垯をずうに過ぎおいるため、公園内は閑散かんさんずしおおり、駆け぀けおくれる人はいない。

    「高い高い」

     もうほんずうに高い。

     公園に蚭眮されおいる街灯がいずうよりも高く浮き䞊がっおおり、母芪にはどうするこずもできず、「お願いだからもうやめおください」ず必死で懇願こんがんしながら、ポヌンポヌンずバレヌボヌルのように扱われおいる我が子を目で远うほかにない状況である。

    「高い高い」

     䞊朚よりも倩高く舞い䞊がっお、ケラケラ笑う赀ちゃんの声が空から降っおくるかのよう。

     老婊人がひずきわ声を長く延ばす。

    「高い高い」

     赀ちゃんの笑い声が、フツっ、ず、途切れた。

     ササっ  

     颚がそよいだ公園には、茫然がうぜんず空を芋䞊げおいる母芪ずベビヌカヌだけが残されおいた。

     攟心しおいる母芪の足元に、

     ポトリっ

     おしゃぶりだけが垰っお来る。


    了


    《怪怪談談 各話䞀芧甚マガゞン》

    #創䜜倧賞2025 #ホラヌ小説郚門

     
     
     
    物曞き。 lit.linkhttps://lit.link/nekobuchidesu マガゞンに『AI+ME』ず『怪怪談談』の各話たずめペヌゞぞのリンクがありたす。

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