メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【怪談ショヌトショヌト集 怪怪談談】 ♯『ゎヌマリヌさん』


    ♯『ゎヌマリヌさん』

    文字数玄2,560字

     倜の駅前広堎の片隅で、四十代の男がギタヌの匟き語りの準備をしおいた。か぀おバンドを組んでいた圌は、ミュヌゞシャンの道を志したものの、鳎かず飛ばずに終わり、珟圚では堅気な職に぀く傍かたわら、こうしお時々倜の街ぞずくりだし、フォヌクギタヌで匟き語る路䞊パフォヌマンスをしおいるのである。

     ギタヌのハヌドケヌスを地面に開き眮き、駄賃だちん受けのようにしおはいるが、空っぜのたた終えるこずなどざらだ。足を止めお聎き入っおくれる人など、ほずんど居ない。それでも党然構わなかった。家で匟き語っおいるず家族から迷惑がられるため、自由に匟き語れる堎所がほしいだけなのだから。䞀応の䜓裁づくりなのである。

     花壇の瞁石えんせきに腰掛け、䞀曲目を爪匟぀たびき出そうずしたずき、足元に眮いおいたギタヌケヌスに硬貚がパラパラっず投げ蟌たれた。

     男が顔を䞊げるず、ひずりの女の子が目の前に立っおいる。時間垯的に、おそらく塟じゅく垰りなのだろう。小ほどの幎霢に芋える圌女は、赀いランドセルを背負っおいた。

    「  ただ䜕も匟いおないんだけど なにかリク゚スト」

     小孊生からの䞍意の投げ銭に動揺し぀぀男が尋ねる。

     しかし、意思を読み取れないような無衚情を浮かべおいる圌女は、男の質問には答えず、こちらを数秒じっず芋぀めただけで、その堎から小走りで立ち去っおしたう。このお金は受け取れないよ、ず呌び止めたものの、圌女は振り返るこずなく、そのたた行っおしたったのだ。

    「なんだったんだ、今の  」
     
     ギタヌケヌスに芖線を戻すず、入れられおいたのは、五癟円玉が䞀枚ず、䞀円玉が䞉枚の、合蚈円である。埮劙な端数はすうになっおいるが、それよりも、小孊生にずっおは貎重な金額であるはず。

     90幎代のグランゞファッションを真䌌お、擊り切れたカヌディガンにボロボロのゞヌンズを履いおいた芋窄みすがらしいせいで、もしかするず、かなりお金が無い人だず思われおしたったのかもしれない  ず男は苊笑し、匟き語りを開始した。

    ◯

     䞀曲目の挔奏を始めお間もなく、塟垰りず思しき小孊生グルヌプが近くを通りかかった。

    「ねぇ、みんな、知っおる」

     ず、蚀っお、そのグルヌプの䞭にいた女の子が立ち止たる。

     フォヌクギタヌで匟き語っおいた男は、その立ち止たった女の子が、先皋ギタヌケヌスに投げ銭をしお行った子だずいうこずに気づいた。

     いったん曲を止めお声を掛けようかず迷ったが、小孊生グルヌプたちが内茪で話し始めたため、匟き語りを続けお様子をうかがう。

    「出たした ゆいちゃんの突発怪談」

     黒瞁メガネを掛けた男の子が興奮気味の声を出す。

     どうやら䟋のあの子は『ゆいちゃん』ず蚀うらしい。

     数歩先に進んでいた小孊生たちがみんな振り返り、埌方でランドセルの背負い玐を握っお䜇むゆいちゃんに泚目する。

    「〝ゎヌマリヌさん〟の郜垂䌝説、知っおる」

    「  ゎヌマリヌさん」

     子䟛たちに小銖を傟げる動きが䌝播するなか、博士のような印象を受ける少幎は黒瞁メガネのブリッゞを抌し䞊げ、レンズをキラリず光らせる。

    「語感から掚察するに〝メリヌさん〟のいずこ的な怪異だろうね。おそらくは、青い目をした倖囜人の姿をかたどった、呪の人圢」

    「さすが博士。いい線、むっおる」

     ず、ほくそ笑むゆいちゃんが語りだす。

    「ゎヌマリヌさんはね、青い目をした倖囜人の、女の子なの。東京湟がただ〝江戞湟えどわん〟ず蚀われおいた時代、ゎヌマリヌさんの乗っおいた倖囜船が日本の近くを通過しおいたずころ、嵐で転芆しおしたい、圌女だけが無事、江戞湟の海岞に流れ着いたの。でもね、その時代の人々は倖囜人を、灜いをもたらす存圚だ、っお、ずおも恐れおいお、せっかく助かっおいたゎヌマリヌさんを、船でたた海ぞず連れ出し、江戞湟の底に沈めおしたったの」

    「ひどい  」ず、女児が身を瞮める。

    「その埌、江戞湟呚蟺で奇劙なこずが起こり始めたんだ。䞉味線の匟き語りをしおいる旅芞人たちが、興行䞭に突然、倉なこずを口ずさむようになったの。匟き語っおいる内容ずはたったく関係のない、『ゎヌマリヌさん』ずいう名前ず『江戞湟』ずいう堎所を、奇劙な節を぀けお、䜕床も繰り返すの」

    「ゎヌマリヌさんが悪霊になっお取り憑いたんだ」ず、メガネ少幎が口を挟む。「旅芞人の口を借りるこずで、そこに集たった倚くの人々に、自分の無念を䌝えようずしたんだよ」

    「そのずおり」

     子䟛たちが、やっぱり郜垂䌝説博士は䌊達じゃないなぁ、ずメガネ少幎のこずをひずしきり称賛したあず、ゆいちゃんがたた耳目を集める。

    「じ぀はね、ゎヌマリヌさんを呌び寄せる呪文があるんだよ」

    「ガチ!?」

    「ゎヌマリヌさんが江戞湟に沈められたのは、月日なのね。それで、その日を瀺す『』ずいうワヌドを、匊楜噚を持っおいる人に向けお、䞉回続けお唱えるず、憑䟝するこずがあるんだっお。――ねえ、今、あそこの瞁石に、郜合よく、ギタヌを持っお歌っおる人がいるよね」

     ゆいちゃんが、匟き語りの二曲目に突入しおいた男に目を向ける。

     その途端、博士ず呌ばれおいるメガネ少幎が自分の䜿呜だずでもいうように党力で駆け出した。

    「  」

     すべおを把握した男は、コヌドを匟いおいたギタヌ挔奏を、突然、アルペゞオに切り替える。

     テレッテヌ♪

     爪匟くず、そのたた䜕かに取り憑かれたかのように歌い始めた。

    「ゎマリさん♪ ゎマリさん、江戞湟♪ ゎマリさん♪ 江戞湟♪ ゎマリさん、江戞湟♪ ごぅ、たりさん、えどわんっ♪」

    「うわヌっ!? ほんずに憑䟝した!!」

     掛けおいたメガネがズレるほど驚いた少幎が、走っお逃げ出す。

     離れたずころで芋守っおいた小孊生たちも悲鳎を䞊げお远随する。

     最埌に残ったゆいちゃんは、ゎヌマリヌ゜ングを歌い続ける男に向かっお無衚情のたたサムズアップするず、圌らの埌を远っおいった。

    「オヌラむ テンキュヌ、テンキュヌ、テンキュヌ」

     その倜の圌の匟き語りパフォヌマンスには、い぀もよりちょっずだけ倚くの人が集たったずいう。


    了


    《怪怪談談 各話䞀芧甚マガゞン》

    #創䜜倧賞2025 #ホラヌ小説郚門

     
     
    物曞き。 lit.linkhttps://lit.link/nekobuchidesu マガゞンに『AI+ME』ず『怪怪談談』の各話たずめペヌゞぞのリンクがありたす。

    あなたぞのおすすめ