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【怪談ショヌトショヌト集 怪怪談談】 ♯『ひずりおにごっこ』


    ♯『ひずりおにごっこ』

    文字数玄2,460字

     定時で仕事を切り䞊げた若い䌚瀟員男性が、倕方の街を駅に向かっお歩いおいるず、反察車線偎に䜍眮しおいる公園の入口に、女の子がひずりで䜇んでいる様子が目に留たった。

     小孊校高孊幎ほどの歳頃の圌女は、赀いスカヌトに癜いブラりス姿をしおいる。髪型はおかっぱ頭ではなく、長々ずした黒髪だったが、『トむレの花子さん』のような印象を受けた。しかしその子のこずが目に留たったのは、なにも花子さんスタむルだったからずいうわけではない。

     こちらに向かっお手招きをしおいたからだ。

     䌚瀟員男性が、俺のこず、ず自分の顔を指差しおみるず、その少女は䞀床だけ、こくんず倧きく頷く。

     やはり自分のこずを呌んでいるらしい。

    「どうかしたの」

     䌚瀟員男性が道路越しに尋ねるも、女の子は、なにも蚀わずにただ手招きをくりかえしながら振り返り、぀いお来いずいう感じで公園の䞭ぞ入っおいっおしたう。

       倧人の手を借りたいような問題でもあるのか

     電車の時刻は迫っおいたが、䌚瀟員男性は䜕事か気になったため、暪断歩道の信号が青に切り替わったのち、反察偎の歩道ぞず枡り、公園の䞭ぞ螏み蟌んでいく。

     すこし遠目ではあったものの、なんずなく顔色が悪そうに芋えたのも気がかりだった。

     しかし、

    「あれ どこ行ったんだ、あの子  」

     ぀いさっき先に公園ぞ入ったはずの少女の姿が芋圓たらないのである。

     滑り台、ドヌム型の遊具、ブランコ、鉄棒ず順々に芖線を移しおいくが、どこにもいない。

     日が傟いた公園内で遊んでいたのは、男の子がひずりだけだった。

     黒瞁メガネを掛けたその少幎は、姿を消した女の子ず同幎代の子䟛に芋えるので、女の子ずいっしょに遊んでいた友達なのかもしれない。

     立朚の䞋でなにやら数を数えおいるその男の子にひずたず声を掛けようかようかず、䌚瀟員男性が近づいおいく。

    「はち、きゅう、じゅう よし、十数えたから捕たえに行くよ ――あっ、ゆいちゃん芋っけ」

     男の子が指差したほうに目を向けお芋るが、その方向には誰もいない。

     だが、男の子は、

    「コラ逃げるな、埅お」

     ず蚀っお走り出すず、たるで芋えない䜕者かを远いかけおいるように、急な方向転換をしたり、砂に靎を滑らせお急停止したりしながら、公園内をひずりで駆け回り始めたのだ。

     䌚瀟員男性は怪蚝そうに芋守るようにし぀぀、メガネ少幎が近づいたタむミングで声を掛けた。

    「ねぇ、君。ちょっずいいかな」

    「今話かけないでください。倧事な儀匏の最䞭なので」

     思っおもいなかった返答に、䌚瀟員男性は぀い聞き返しおしたう。

    「  儀匏」

    「〝ひずりおにごっこ〟をしおるんです」

    「なんなの、その遊びは  」

    「遊びじゃありたせん。儀匏っお蚀っおるじゃないですか」

     男の子が蚀うには、〝ひずりおにごっこ〟ずは䞀皮の降霊術こうれいじゅ぀なのだそうだ。かい぀たんで蚀えば、幜霊をこの堎に呌び出そうずしおいる、ずいうこずらしい。

     メガネの奥の目を悲しそうに䌏せお、男の子は語った。

    「最近  ゆいちゃんずいうがくの友達が亀通事故に遭っお死んじゃったんです。せめお、ちゃんずお別れの蚀葉を䌝えたくお、こうやっお、〝ひずりおにごっこ〟をやっお、出お来おくれるのを埅っおいるんです」

     呌び出す偎が鬌圹ずなり、呌び出したい盞手霊ずその堎で䞀緒におにごっこをしおいるように振る舞っおいるうちに、やがお、その霊がひょっこりず姿を珟すそうなのだ。

     ネット掲瀺板に曞かれおいたずいう儀匏で、それを芋た圌は、健気けなげにも信じおしたい、たじめに実行しおいるずいうこずである。

     事が事だけに、そんなこずをやっおも無駄だ、ずは蚀えず、

    「そっかぁ  ゆいちゃんが出おきおくれるずいいね」

     䌚瀟員男性は優しく投げかけるにずどめた。

     そしお口にしたあずに、ハッずする。

    「その、亡くなった、ゆいちゃんっお子は、どんな芋た目だった  」

    「髪の毛が長くお、い぀も目の䞋に隈があっお暗い感じに芋えるんですけど、実はけっこう元気がいいや぀なんです。あず、『トむレの花子さん』っお知っおたすよね あんな栌奜の服装をよく奜んで着おたした」

     䌚瀟員男性は目を䞞めた。

    「その子  さっき居たよ。公園の前で俺のこずを手招いおたんだ。それであずを远っおきたら、その子は居なくなっおいお、代わりに君を芋぀けおいたんだ  」

    「ほんずうですか!? がくには芋えなかったけど、波長が合ったお兄さんを連れおきお、ここに居る、っおいうこずを教えようずしたんだ」

     ただこの近くにいるかもしれない、ずメガネの男の子が声を匵り䞊げる。

    「ゆいちゃん 聞こえる 今たで遊んでくれおありがず」

     䌚瀟員男性はしんみりずした気持ちになっおその様子をしばし芋守った。それから、たたにはこんな䞍思議なこずも起きるものなのかもしれない、ず思い぀぀男の子ず別れ、公園を埌にしたのだった。

    ◯

     䌚瀟員男性の姿が完党に芋えなくなったあず、公園のトむレに朜んでいた花子さんスタむルの女の子がひょっこり姿をのぞかせた。

    「どう 博士、うたくいった」

     黒瞁メガネの男の子に話し掛けるず、圌はしたり顔で芪指を立おる。

    「がくが思うに、あの反応は絶察に幜霊の存圚を信じたしたよ。これであのサラリヌマンがに『今日公園で〝ひずりおにごっこ〟をやっおる子䟛がいたんだ』ず曞き蟌み、それがバズれば、めでたく、新たな郜垂䌝説の誕生です。泣ける系の話に人は匱いですから、今回はむケる」

    「それじゃ、本日の掻動は終了ずいうこずで」

    「解散」

     こうしお、郜垂䌝説の研究・普及・創䜜を目的ずしお結成されたオカルト奜き小孊生によるグルヌプ〝攟課埌怪奇倶楜郚〟の、その日の掻動は終了した。


    了


    《怪怪談談 各話䞀芧甚マガゞン》

    #創䜜倧賞2025 #ホラヌ小説郚門

     
     
     
    物曞き。 lit.linkhttps://lit.link/nekobuchidesu マガゞンに『AI+ME』ず『怪怪談談』の各話たずめペヌゞぞのリンクがありたす。

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