メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bysagako0302

潜航艇の肉

    猫足三粒@高知

     少し祖母の思い出を。母方の祖母は健在だった頃、高知市中心部にある中種(今のはりまや橋商店街)にある呉服屋で働いていた。

     おしゃべり好きな祖母は営業もよくこなし、着物の売れ行きはとても良かったという。母も友人と連れ立って着物を畳むアルバイトに借り出されたほど、よく儲かっていたようだ。

     仕事の帰りは近くにある魚の棚(うおのたな)商店街で買い物をするのがお決まり。さあ今日はすき焼きだという日には、「今日は『潜航艇』の肉や」と皆に言いふらし、お肉を買っていたらしい。

     潜航艇の肉とは何か?潜航艇=波以下、つまり並以下の肉のことである。よくこんな言い回しをしたものだと感心する。

     当時食べ盛りの叔父2人を抱え、少しでも沢山の肉を食べさせてやりたかったのだろう。食に関してはずいぶん気を使っていた祖母のことを思い出す。

     祖母と食に関する話題は切っても切れない関係にある。家族で東北旅行に行った時、ひとりだけ興味本位でイナゴの佃煮を口にしたこと。

    「見たら死ぬ団子を見た」と大騒ぎしている祖母の後ろにあったのは、「みたらし団子」の旗だったこと。「水を飲んだち太る」と言いながら、台所へ行きに帰りにつまみ食いしていたこと。

     お正月に毎年祖母が作ってくれた鮎の飴炊きは、他には無いほど絶品だった。潜航艇の肉で思い出された祖母の姿が、今はとても懐かしい。

     
     
     
    ねこあしみつぶ・高知県出身・在住。地元紙高知新聞の読者投稿欄「声ひろば」常連。高知のこと、日々のできごとなどを、ゆる〜く書いていく。広汎性発達障害&双極性障害の掛け持ちだが、ヨロヨロ生きております。読者の皆さまの心に少しでも引っかかりますように♪

    あなたへのおすすめ