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ずっと気になっていた盆栽を、ついに自分の手で仕立ててきた話

    前から盆栽が気になっていた。

    美術館や旅先で見かけるたびに、小さな鉢の中に凝縮された自然の迫力に目を奪われていた。でも「盆栽って始めるにはハードル高そう」「何から手をつければいいのかわからない」という気持ちが先に立って、ずっと眺めるだけの存在だった。

    そんなとき見つけたのが、Otonamiで予約できる春花園BONSAI美術館の「はじめての盆栽づくり講座」。盆栽界の巨匠・小林國雄氏が設立した美術館で、職人さんに教わりながら実際に一鉢仕立てて持ち帰れるという。
    これはもう行くしかない!と即予約した。


    春花園BONSAI美術館とは

    東京・江戸川区の閑静な住宅街の中に、ひっそりと佇む盆栽の楽園。園主の小林國雄氏は内閣総理大臣賞を複数回受賞した盆栽界の巨匠で、2002年にこの美術館を開館したそうだ。

    敷地内には1,000鉢以上の盆栽が並び、数寄屋建築の日本家屋や錦鯉が泳ぐ庭園と一体になった空間は、都内にいることを忘れるほど。体験の後にゆっくり鑑賞できる。
    また、プロが仕立てた小さい盆栽も購入することが可能なので、気に入ったら購入していくのもいい。

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    店頭に並んでいた、可愛すぎる盆栽

    体験の流れ

    体験は約1時間。まず10分ほどのレクチャーで盆栽の基礎知識を教わり、その後20~50分ほどかけて実際に盆栽を仕立てていく。

    今回わたしが手がけたのは、樹齢約7年の真柏(しんぱく)。ヒノキ科の常緑樹で、盆栽の代表的な樹種のひとつだ。
    五本松の場合もあるらしいが、個人的には真柏の方が可愛くて好きだったのでよかった。


    学んだこと・体験メモ

    実際に手を動かしながら教わったことがとにかく新鮮だった。忘れないうちにメモしておく。

    針金かけのコツ

    盆栽の枝を曲げて形を作る「針金かけ」は、盆栽づくりの基本技術。2本の枝を1本の針金でまとめて巻いていくのだが、コツはV字を意識すること。枝の分岐点でV字に針金を当てると、しっかり固定できる。
    V字の箇所も、職人さんが毎度1箇所ずつ教えてくれる。

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    赤がV字で黒く見える部分が針金

    驚いたのは「結構雑に曲げても大丈夫ですよ」という職人さんの言葉。生きている木だからこそ、折れることを恐れすぎなくていいらしい。もちろん加減は必要だけど、思い切りの良さが大事だと学んだ。
    下の写真くらい曲げていい。

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    職人の手によってありえないくらい曲げられる枝

    2Dから3Dへ

    盆栽を仕立てるとき、つい正面から見た姿ばかり気にしてしまう。でも大事なのは奥行き。「後ろ枝」や「裏枝」を使って後ろにボリュームを持たせることで、平面的だった盆栽が一気に立体的になる。

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    赤い部分が裏枝に当たるもので、正面から見て空間を埋めつつ立体感を出す

    ちなみに長い枝は思い切って折り返してもいい。折り返した後に方向を変えることで、自然な動きが生まれる。

    剪定のポイント

    枝は基本的に下向きに曲げるのが盆栽のセオリー。そして下向きに生えている葉っぱは切り落とす。

    仕立てている途中で、盆栽を目線の高さに持ち上げて全体を確認する。「余白が余っていないか」を考えるのがポイント。空間の使い方まで意識するあたり、盆栽はまさに小さな芸術作品だと実感した。

    半懸崖(はんけんがい)スタイル

    今回わたしが仕立てたのは「半懸崖」というスタイル。鉢の縁から幹が斜め下に垂れるような形で、崖の途中から生えている木を思わせる姿だ。ダイナミックで気に入っている。

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    最終的に持ち帰った私の盆栽

    白い幹「舎利(シャリ)」の秘密

    そしてずっと気になっていた、真柏の盆栽でよく見る、幹の白くなった部分。あれは自然に枯れたのではなく、意図的に樹皮を剥いて枯れさせたものだと知って衝撃を受けた。木が安定してから(だいたい1年くらい経ってから)枝の皮を剥くことで、その部分だけを白く枯れさせていく。生と死が一本の木の中に同居している。盆栽の美学の奥深さを垣間見た瞬間だった。
    私の盆栽もいつかできる日が来るらしい。

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    職人が仕立てている、カッコ良すぎる盆栽

    持ち帰ってからの育て方

    体験では、持ち帰った後のお手入れ方法もしっかり教えてもらえる。これが初心者にはありがたい。

    • 置き場所:基本的に雨の日でも一年中外に置く。盆栽は屋外の植物

    • 水やり:夏場は朝と夜の1日2回。それ以外の季節は1日1回

    • 根の手入れ:月に1回くらい根を切り、鉢を変えるタイミングで行う

    • 成長:1〜2年もするととんでもなく伸びるので、定期的な手入れが大切


    体験してみての感想

    正直、たった1時間で盆栽の世界がこんなに広がるとは思わなかった。

    針金を巻き、枝を曲げ、葉を切り、全体のバランスを整える。その一つひとつの工程に「なぜそうするのか」という理由があり、すべてが自然の姿を小さな鉢の中に再現するためのものだった。

    特に印象的だったのは、「奥行きを出す」という考え方。盆栽は正面だけでなく、横から、後ろから、上からと、あらゆる角度から見て美しくあるべきだという。それはどこか、ものづくりや仕事にも通じる哲学だと感じた。

    そして何より、自分で仕立てた一鉢が家にあるというのがいい。毎朝水をやりながら「もう少し曲げたほうがいいかな」「新芽が出てきたな」と眺める時間が、日常にちょっとした豊かさを加えてくれている。

    盆栽、気になっている人はぜひ一度体験してみてほしい。

    ちなみに、見学していたらお茶をいただけただけでなく、お話もお聞きすることができた。今は観光客の9割は外国人らしい。日本の文化に興味を持ってくれるのはとてもありがたいが、日本人自体がもっと日本の文化に興味を持つことも大事だと感じた。

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    帰りに小さい紅葉ももらった。


     
     

    Uehara

     
     
    自社開発のエンジニア / PM。AI関連の社内整備や、お客様への提案も担当しています。 旅館や職人の仕事が、テクノロジーでどう続いていくのかに興味があります。旅館や伝統工芸、AI・テックの話を書きます。

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