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NEBUTA SPIRIT第1ç«  第1話 前線「雪の䞭の少幎」

青森を舞台にしたオリゞナルファンタゞヌ
『NEBUTA SPIRIT』

蚘憶を倱い、真冬の青森に立っおいた少幎・ラむガ。

芚えおいたのは、自分の名前だけだった。

ここから、ラむガの物語が始たりたす。

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【PROLOGUE】

北ぞ、北ぞず行った先に、その街はある。

山を背に、海を前にした街だ。

背には八甲田の山々。冬には癜く芆われる。
北には陞奥湟が広がっおいる。

倏になるず、この街は眠らなくなる。
人の背䞈の䜕倍もある玙ず光の塊が、倪錓ず笛ず倧勢の声を匕き連れお、倜の道路を進んでいく。
䞀幎で䞀番隒がしい数日間。
それが過ぎるず、街は少し静かになる。

そしおもうひず぀。
この土地には、遠い昔から人が䜏んでいた。
䜕千幎も前、この土地で火を焚き、食べ、子どもを育おた人々がいた。
その跡が、いたも郊倖の䞘に残っおいる。

山。
海。
倏の灯り。
はるか昔の暮らし。

そしお冬になれば、そのすべおの䞊に雪が降る。

2026幎、冬。

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【1】

雪が、顔に圓たっおいた。

少幎は目を開けた。

癜い。
䞊も、䞋も、暪も、党郚が癜い。
街灯の光の䞭だけ、雪が萜ちおくるのが芋える。光の倖は、ただの暗さだった。

「  どこだ、ここ」

声が出た。自分の声だ。それは分かる。

道路の䞡脇に、雪が高く積み䞊げられおいた。人の胞くらいの高さで、抌し固められお壁みたいになっおいる。

少幎は立ち䞊がった。

その瞬間、党身に寒さが来た。

「寒っ  」

足の指の感芚がない。頬が痛い。息を吞うず、錻の奥たで冷たいものが入っおくる。

「いや、寒すぎだろ」

自分の栌奜を芋䞋ろした。

黒。
赀。
金。

和服みたいな圢だが、正月の服でも、時代劇の服でもない。袖に金色の線が入っおいお、街灯の䞋でわずかに光っおいる。

「  䜕これ」

自分の服だずいう感じはする。着おいお倉じゃない。
なのに、どこで手に入れたのか思い出せない。

そこで、気づいた。

「俺、どこから来た」

思い出そうずした。

家。
家族の顔。
昚日、自分が䜕をしおいたか。

出おこない。

䞀぀も出おこない。

「  マゞかよ」

もう䞀床やった。母芪の顔。父芪の顔。友達。孊校。
真っ癜だった。雪より癜い。

かろうじお、䞀぀だけ残っおいた。

ラむガ。

自分の名前だ。それだけは、間違いなく自分のものだず分かる。

「名前しか分かんねぇっお  どういうこずだよ」

誰にも聞いおいない。だから返事もない。

ラむガは自分の頭を軜く叩いた。二回叩いおも、䜕も出おこなかった。

その時。

ゎロ、ず。

雪雲の奥で、䜎く鳎った。

ラむガは顔を䞊げた。

雷だ。

音を聞いた瞬間、胞のあたりがざわっずした。
怖いのずは違う。䜕かが反応した、ずいう感じだった。

「  なんだ、今の」

分からなかった。

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【2】

「おめ、こったどごで䜕しおらんず」

背埌からの声で、ラむガは飛び䞊がった。

振り返る。老人が立っおいた。
分厚い防寒着に、黒いニット垜。長靎。手にはスコップを䞀本、杖みたいに持っおいる。

眉が倪い。目぀きが鋭い。

「  は」

「聞いでらんだが」

「いや、ちょっず埅っお」

ラむガは片手を出しお止めた。

「たず䜕蚀っおるか分かんないんだけど」

老人の眉が䞊がった。

「分がんねっお、おめ」

「怒っおるのは分かる」

「怒っおらんだ」

「そこは分かったっお」

老人は舌打ちをした。だが、そのたた行っおしたいはしなかった。䞊から䞋たで、ラむガをじろりず芋る。肩の雪。凍った袖口。

「そったら栌奜で、い぀からここさ立っおら」

「  分かんない」

「分がんねのが」

「さっき起きたら、ここにいた」

老人は空を芋䞊げ、倧きく息を吐いた。癜い息が、街灯の光の䞭で広がっお消えた。

「このたただば凍えるべ」

顎で、道の先を瀺す。

「来い。うぢ、すぐそごだ」

ラむガは動かなかった。

「  知らない人に぀いお行っお倧䞈倫なのか、それ」

老人は䞀瞬だけ黙った。

「知らね」

「え」

「んでも、ここさいれば先に凍える」

ラむガはたばたきをした。

嘘を぀かれなかった。それが、なぜか䞀番信甚できた。

「  それは、困る」

「んだべ」

老人は歩き出した。スコップの先が、雪の䞊に现い線を匕いおいく。

ラむガはその線をたどりながら、远い぀いお暪に䞊んだ。

「なあ、じいさん今の蚀葉なに。日本語?」

「日本語だ」

「日本語には聞こえなかった」

「接軜匁だ」

「぀がるべん」

聞いたこずのない蚀葉のはずだった。

「じゃあここ、どこなんだよ」

「青森」

「青森  」

口に出した瞬間だった。

匕っかかった。

胞の内偎で、䜕かが小さく匕っかかった。知っおいる、ずいう感じだけがある。

ラむガは足を止めた。

「なんだ、今の」

思い出そうずした。青森。青森。䜕床か口の䞭で繰り返しおみた。

䜕も出おこなかった。

「なにしおら。眮いでぐぞ」

「  あ、埅っお」

小走りで远いかけた。

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【3】

歩き出しお十歩ほど。

老人の足が、䞀瞬だけ止たった。

芖線がラむガの䜓を暪切っおいく。黒。赀。金。袖の線。胞のあたりの暡様。

ほんの䞀瞬、老人の顔から䞍機嫌が消えた。
代わりに䜕かが乗った。驚きにも、怖さにも、懐かしさにも芋える顔だった。

すぐに消えた。

だが、ラむガは芋おいた。

「この服、なんか知っおる」

「  知らね」

「今絶察知っおる顔したじゃん」

「気のせいだ」

「絶察違うっお」

「うるせ。歩げ」

老人の歩幅が少し倧きくなった。

ラむガは远いかけながら、自分の袖を芋た。金の線が、街灯の䞋を通るたびに光る。

この服が䜕なのか、自分でも分からない。
その自分より、あのじいさんの方が知っおいる顔をした。

そのこずが、寒さずは別のずころで匕っかかった。

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――第1話 埌線「青森での最初の倜」ぞ続く。

最埌たで読んでいただき、ありがずうございたす。

雪の䞭で目を芚たした、名前しか蚘憶のない少幎・ラむガ。

そしお、圌の䞍思議な服を芋お、䞀瞬だけ衚情を倉えた老人。

この出䌚いが䜕を意味するのか。

ラむガの青森での最初の倜は、埌線ぞ続きたす。

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