
散歩|ISSを見たかった
国際宇宙ステーション・ISSを見たかった。時間と方角を確認して、メガネをかけて家を出た。見えなかった。空が曇っていた。
忘れていた。曇っていたら見えないという、初歩的なことを。たしかに、前回見たのは数ヶ月前だ。それにしても、……。
引っ越してきてからは一度も見ていない。安心安全によく見える場所を知らない。暗くて空が開けていて、人通りもそれなりにある場所を探すという名目で、散歩した。
半袖でも寒くない。暑くもない。ちょうどいい。むしむしもしていない。こんなにちょうどいい日は一年にどのくらいあるだろうか。
スマホに有線イヤホンをさして、最近のお気に入りをかけた。口ずさみながら歩いた。歩行者が死角から右折してきた。ボリュームを下げた。
昼間は廃れて見えたスナックも、電気がついて明るかった。窓からおばあちゃんのタンスみたいな匂いがした。懐かしさと疎外感を感じた。
公園に着いた。街灯で夜空はあまり見えないだろうなと思っていた。そんなこともなかった。ISSの明るさなら余裕で見えるだろう。人もいるし、周りは民家、近くに駅。安心安全。
そのうち、飛行機が飛んでいるのが見えた。もしかしたらISSも雲の隙間から見えたかもしれない。良い場所も見つかってしまったし、残念無念。
家に待ち人あり。頼まれていたセンスの良いアイスを3つ買って帰った。どれも違ったみたいだ。やれやれ、センスないな。