
ハリハリ漬けのニセモノをメキシコで作ってポリポリする方法。【なんちゃって日本料理6】
「大根がないならヒカマを食べればいいじゃない」シリーズ、第四弾。
今日はこれまでになくヒカマ(jicama)が主役の回である。
ヒカマとは
メキシコ原産の豆科の根菜。メキシコでは皮を剥いて切り、レモンを絞ってチリパウダーをかけて食べたりサラダにトッピングしたりと生食するのが定番。見た目、味、食感は一言で言うなら「甘くない日本の梨」。
日本名はクズイモ(葛芋)、中国名は豆薯(トウショ)、英語名ヤムビーン(Yam Bean)。
今まで次の3つの調理法のヒカマを紹介してきた。
・生食=おなます
・半生=福神漬け
・煮る=きんぴら
そこで4回目の今回は「干す」。遊び半分、食い意地半分で試したら日本人にはめちゃくちゃウケて、メキシコ人には途中経過でめちゃくちゃビビられた(←後述)レシピを紹介しよう。
それではさっそく Vámos! (約4000字)
レシピ 『なんちゃってハリハリ漬け』
材料
・ヒカマ 大1(本来は大根1本)
・昆布 10cmくらい(理想)
・鷹の爪 1本(お好みで増やしても)
A: 酒 大さじ2
砂糖 大さじ3
水 100cc
B:酢・しょうゆ 各大さじ4
作り方
輪切り&切り込みを入れたヒカマをカラカラになるまで干す→Aを加熱。そこにBを入れる→干したヒカマを流水で洗い絞ってABの中に昆布・鷹の爪と共にチョキチョキ入れる
では写真付きで作り方の詳細を見ていこう。
1) ヒカマの皮をむき、輪切りにする。

大体このくらい(1センチ厚)の輪切りにしていく。端っこは干しにくいので別の料理に使う。今回私は片側は肉まんの具に、もう片方は……圧に負けて当然こうなった。

2) 片側をくっつけたまま切り込みを入れる。

3) 外に干す(金曜日の昼)

丸一日経ったのがコチラ(土曜夕方)。

VIVA乾燥地域!かなり水分が抜けている。この勢いで日曜日にはカラカラになるかな、と思ったが……

イマイチ芯に水分が残っている。本当はもう数日干したいけど明日は月曜日なので泣く泣く回収。これには深ーーーい理由がある。

実はうちの庭は勤務先の学校の校舎から丸見えなのだが。
以前気にせず平日にヒカマを干していたら、同僚が恐る恐る聞いてきた。
「あのぶら下げた鶏の足、日本人は何にするの?」
ヤバいヤバい。間違った日本文化の風習を伝えるとこだった。

そこで回収後はザルに入れて室内に放置。完全に乾き、比較的に時間もある水曜(丸五日後)に次の工程に進んだ。
4) マグカップに材料A(酒・大さじ2、砂糖・大さじ3、水・100cc)を入れ、レンジに1分ほどかけ砂糖を溶かす(別に鍋でやってもいい)。
5) これを保存容器に入れ、そこに材料B(醤油・酢 各大さじ4)を入れてよく混ぜ粗熱をとる。
6) その間に干しヒカマをボールに入れて流水で洗った後きれいな水に1、2分浸けておき、少し柔らかくなったら速攻ザルに取って水気をギュッと絞る。

7) 昆布と鷹の爪を5) の上でハサミで切る。

ヒカマも2cm幅くらいにハサミで切る。

8) 冷蔵庫に入れ、一晩おけば出来上がり。

↓ 1日後 ↓

大事なポイントは 6) の水で戻すときに戻しすぎないこと。
あの工程では洗うことと軽く戻すだけにして、漬け汁で完全に戻すようにしよう。
シミシミでコリコリ・ポリポリ。
この音、食感がたまらない。自分では大根で作った時よりは微妙な香りがある気がするが、まず他人にニセ大根とは見破られない。
ヒカマのない地域の皆さんへ

ちなみにこちらが本来の大根で作った場合(細いから切り干し大根だったかも。2019年。パンデミック前は時々この町でも大根と白菜がwalmartで買えた)。
大根の場合は輪切りではなく縦に細長く切って手延べそうめんみたいにブラーンと干そう!
ご飯のお供のほか、こんなのに合わせても◎

切って、干して、漬けるだけ。
実は超・簡単。ハリハリ漬け。
近所の人によるサイコパス疑惑だけ気をつけて、ぜひあなたもヒカマ(や大根)のハリハリ漬けに挑戦してみてね!
ところでハリハリ漬けって何?
(神奈川県)三浦半島の先端に位置する三浦市に伝わる郷土料理。地域の特産品である大根を、切り干し大根より太く切った「割り干し大根」にして、醤油やだし汁などの調味料に漬けたもの。
こちらの農林水産省のサイトにもレシピがある。スルメを千切りにしていてさらに本格的だ。ぜひ手に入る人は試してみてね〜
おまけエッセイ:
日本食の裏番・副菜と母、バンザイ!
海外生活者なら賛同してくれるのではないだろうか。海外が長くなると恋しくなるのはメインのおかずより実は副菜だったりする。
メインのハンバーグだのトンカツだのは結構現地の食材でできるのだ。だがしかし。副菜で使われる材料って日本独特のものが多くて簡単に海外で作れない。だから当然恋しくなる。
ひじきや高野豆腐の煮物
切り干し大根やオカラ
きんぴらに筑前煮。
白和えや胡麻和え……(以下永遠に続く)
これらの共通点。圧倒的に茶色い。
そう。茶色こそ恋し懐かしい日本食の色。
そして私にとっては、母のご飯の色である。
学生時代。母の作ってくれる弁当は、それはもう見事に笑えるほど茶色かった。
ブロッコリーやミニトマトだの、かわいいピックだのでカラフルラブリーな友人たちのお弁当に比べ、私の弁当は先ほど挙げたような副菜や常備菜&前日の夕食の残りで構成されていた。当然……茶色い。
母なりに彩りを考えたのかもしれない弁当専用ピーマンのおかずも、カツオ節と醤油で味付けされていてやっぱり茶色くなっていた。
ここで母の名誉のために言っておく。
母は間違いなく昔から料理の達人である。
私が小学低学年まで自宅で父の事業の手伝いをしていたので時間的な余裕もあり、おやつによくマドレーヌやスワンのシュークリームをホイホイ作ってくれた。当然毎日の食事は和洋中なんでもござれ。さらにお茶と生花の免許を持ち編み物はプロ級。母に作れないものは私のお兄ちゃんくらいだと当時本気で思っていた。
その後父の事業が傾きフルタイムで外で働きだした母は、帰宅後30分以内で食卓を完成させる達人にジョブチェンジした。しかしそこには強力な助っ人がいた。そう、私だ。
全く料理に関心のない姉を差し置いて、私は小学生の時から日々のサラダや月末の母の忙しい時期にカレーやシチューを作っていた。
こう書いていて思い出した中学時代の話。
期末試験の前に一週間分の一日の学習計画の円グラフを提出しなければいけなかった。私は毎日夕方5時に「米とぎ」という項をたてていた。担任のお母さん教諭には絶賛されたが、ジャイアンみたいな男子には「お前、15分も米とぎすんのかよォ」とバカにされまくった。
円グラフの1時間が数ミリしかないんだから仕方ないだろが、このアホンダラーーー!

閑話休題。
そんな私のアシストもあって、仕事から帰宅後の母が作るのは焼く揚げるといったメインと汁物くらい。時間がかかり味を染み込ませる必要のある煮物系はいつ作っていたのだろう。
私がひじきの煮物やおから、さつまいものレモン煮などの副菜群を教わったのは一人暮らしを始めてからだ。母が作っていたのを見た記憶がほとんどない。だから多分。私が寝た後や週末などにせっせと常備菜として作っていたんだろうな。
そんな母の作る茶色い弁当に、私は文句を言ったことはない。逆だ。大満足だった。
と言っても母の苦労を思っての孝行心……という道徳の教科書みたいな話では決してない。めちゃくちゃ自分都合の理由である。
例えば。
弁当箱は帰宅後洗うのは自分(洗っておかなければ次の日弁当はない)。その際ピックなんて余計なものはないに限る。どうしても必要なら捨てればいい楊枝が最強。はい。楊枝は茶色ですが何か?
例えば。
運動系の部活に入っていた私は早弁がデフォルト。冷凍食品のつぶつぶミックスベジタブルより、細切りピーマンは圧倒的に箸でつまみやすい。早弁のアシスト王、Good job!
例えば。
子供の頃から風邪薬はトンカツ。今でも好きな食べ物は?と聞かれるとトンカツ。だからフタを開けたら一面まっ茶っ茶のカツ丼弁当なんてご褒美以外の何者でもない。
そして何より。
料理上手の母の作る茶色いおかずは圧倒的に美味しいのだ。コレに勝るものがあるだろうか?
加えて二日目のカレーが美味しいように。前日に作られ味の染みた副菜が、味がスカスカだったり逆に濃すぎたりの冷凍食品や、色だけはキレイでも味のしない工場プチトマトに負けるわけがないじゃないか。
例え自作の常備菜がない時にご飯の上にイナゴの佃煮が三匹乗っていても。それを見た向かいの子にドチャクソ叫ばれようとも。
やっぱり母のお弁当が、私のなかでは最高で最強だ。
私はイナゴの足をわざと楊枝のように咥えてキシシシと笑ってやった。
見た目ではなく本質を味わう。
人と違っても気にしない。
人の常識は普遍ではない。
母の茶色い弁当には栄養と美味しさ以外にも、すごく人生にとって大事なものが詰まっていたのかも、しれない。
「インスタ映え」有史以前の話である。
お読みくださりありがとうございました。
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Hasta pronto! またお会いできますように
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