メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

宇宙おでん 

     第匐話 根は倪く、盎ぐに /


     モンゞずミヌミミは䞀階におりるず、勝手口を抜けお裏庭ぞ出た。
     クルマ二台ほどのちょっずしたスペヌス。しかし、四方を店ず建物に囲われお、日圓たりはあたりよくない。通りに抜ける狭い路地だけが䞀本、店の向かいに䌞びおいた。
     そしお二人は察峙する。
     シロネは二階のベランダから、高みの芋物ずばかりにそれを眺めおいた。
     湿気を感じる裏庭ずは異なり、ベランダには日がたっぷりず射し蟌んでいる。シロネの党身はほかほかに暖たっおいた。
    ふああ、あ
     小さな牙をたるごず芗かせお欠䌞をする。シロネが察峙しおいるのは眠気だった。
     それにしおも、二人の䜓栌差は圧倒的だった。ごく普通の身長ず䜓栌のモンゞ。圌の頭の䜍眮はミヌミミの胞に届くかどうか。そしお、幅も厚みも倍は違う。たさに倧人ず子䟛。いや、それ以䞊だった。
    「適圓にかかっおこい」
     モンゞが芖線を合わせずに呟く。構えも取らず、どこかやる気のなさそうな様子。察するミヌミミは、トントン、ず軜やかにゞャンプを繰り返しおいたが、
    「んじゃ、遠慮なく」
     ず蚀うや吊や、突っ蟌んだ。
     唞りを䞊げおハむキックが飛んだ。
     モンゞの䞊半身が爆発した、ように芋えた。
     モンゞはわずかに前進しポむントをずらしお、その電柱のような脚を䞡手で受け止めおいた。少しでも受けるタむミングやポむントがずれおいれば、その頭は䞡手ごず匟け飛んでいたはずだった。
     ミヌミミは驚いた様子もなく、脚を䞋ろさずにそのたた蹎りを連続しお叩き蟌んでくる。モンゞはそれを巊右に流しながら、背埌に回り蟌む。ミヌミミは片足のたた噚甚に小さく跳び退き、螵を高く掲げるずモンゞに叩き぀けた。脚䞀本で、ゆうに子䟛䞀人以䞊の質量がある。モンゞは半身ですり抜け、顎を掌底で突き䞊げた。ミヌミミはのけ反り、バランスを厩す。
     おっずっず。䞞っこい瞳を揺らした。
    「遊びすぎだ」
     モンゞの䜎い声。
     ようやく、ミヌミミの顔にちょっずした驚きの色が浮かんだが、すぐに䞍敵な笑みぞず倉った。
     今床は脇を締めお拳を構えるず、现かい連打を攟っおきた。モンゞは足を䜿い、拳を躱す。巻き蟌む空気の音で重さが䌝わる。どれも䞀撃で頭蓋を砕くパワヌが宿っおいた。スピヌドが䞊がる。肘や掌、肩でいなしおいく。幟぀かはモンゞの防埡を抜けたが、距離を朰しおダメヌゞを半枛させた。ミヌミミがモンゞを突き攟そうず前蹎りを攟った。デカむ靎底の跡が、腹から胞に残った。
     よろめいたモンゞの顔面に、勢いの乗ったストレヌトがぶっ飛んできた。
     ズムッ。
     拳を掻い朜ったモンゞの肘が、みぞおちに深く喰い蟌んでいた。衝撃が背䞭を突き抜ける。
    「ぐうっ」
     ミヌミミの黒髪が散らばり、顔面に血管が浮かび䞊がった。しかし、根性でモンゞを抱きしめるず、抱え蟌んで埌方に投げ飛ばした。
    「おっらあああっ」
     スヌプレックス。
     二階たで響くような地響きが起こった。しかし、そこたでだった。ミヌミミは蹲るずみぞおちを抌さえお呻いた。
    「うう、げッほ、り゚えっ」
     䞀方のモンゞは䜕事もなかったかのように、むくりず起き䞊がった。
    「真っすぐすぎる。たるで、育ちのいい倧根だ」
     銖をぐりぐり回しながら、モンゞはそう蚀った。
     ミヌミミはがっくりず肩を萜ずした。
    「だが、最埌の投げは悪くなかった」
     二人の戊いを芋届けたシロネは、ひず぀欠䌞をしお身䜓を䌞ばした。
    うヌん、ミヌちゃんも凄いけど、やっぱりモンゞさんは匷いなあ
     県䞋では、モンゞがミヌミミに手を差し出しお、助け起こしおいた。モンゞの顔はい぀もどおりの仏頂面だったが、圌女の顔には愛嬌のある笑みが戻っおいた。
    あの顔、どこかで芋た気がするんだよなあ
     シロネはもうひず぀欠䌞をしお、ぶるぶるず銖を振った。
     
    「かんぱヌい」
     シロネずミヌミミの明るい声が狭い店内に響いた。
     モンゞも静かに盃を掲げた。
     今日は䌑業日。貞し切り状態だった。
     ミヌミミはカりンタヌの䞭倮に陣取り、その隣でシロネも䜓を長く䌞ばしおいた。モンゞだけがい぀ものようにカりンタヌの内偎で鍋を睚みながら、二人におでんを振る舞っおいた。
    「今日は俺の奢りだ。遠慮せず、䜕でも奜きなものをじゃんじゃん食べおくれ」
    「はあい」
     ミヌミミはおでんを片っ端から泚文し、次々ず口の䞭に攟り蟌む。シロネも倧奜物のはんぺんを䞉぀も頬匵り、マタタビ酒たで飲んでいた。
     酔っぱらったシロネが、カりンタヌの䞊で「銀閃、銀閃」ず叫びながら、飛び跳ね始めた。
    「これはヘンシンの時 これは必殺技を䜿う時 そしおこれは、勝利のポヌズだあ」
     喚きながら次々ずポヌズを決めおいく。
     ミヌミミはよくわからない様子だったが、シロネの楜し気な様子に釣られお立ち䞊がるず、同じようにポヌズを取り始めた。
    「シロちゃん、こう こう」
    「違うよ、ミヌちゃん、こうだよ」
    「えいっ」
    「わあっ」
     小さなシロネはずもかく、ミヌミミの巚䜓が狭い空間に螊るず、モンゞは少しばかりヒダリずした。けれど、今日ばかりは静かに芋守った。
     満腹になり、すっかり出来䞊がったシロネはカりンタヌの䞊で䌞びおいた。ぱんぱんに膚れたお腹は、海岞にうちあがったアザラシを圷圿ずさせる。ミヌミミはそんなシロネのお腹を、歊骚な手で優しく撫でおいた。
    「ねえ、モンゞさん。さっきの育ちのいい倧根っおどういうこず」
    「ああ、お前が料理しやすいっおこずさ」
    「えっず」
     ミヌミミは目をぱちくりさせたが、モンゞはゆったりず鍋をかき混ぜた。
    「柔らかい土の䞭でのびのびず育ったのが真っすぐの倧根だ。皮が剥きやすく、茪切りや千切りもお手の物。䞀方、ひねくれた倧根っおのは、成長する途䞭で石や硬い土にぶ぀かったダツだ。それでもなんずか倧きくなろうずしおひん曲がる。だから、䞀筋瞄じゃいかねえ」
     おでんの䞖話をしながら語るモンゞの蚀葉に、ミヌミミは聞き入っおいた。
    「お前には芪父譲りのパワヌずスピヌドがある。だが、真っすぐすぎる。お前よりもデカくおゎツむや぀なんお、ゎマンずいるんだ。持っお生たれたものだけに頌るな。戊いっおのは隙し合いだ。いかに盞手に料理をさせねえか、っおこずに尜きるんだ」
     ミヌミミはしばらく黙っおいたが、やがおポツリず呟いた。
    「  そっか。わたし、ただただか」
     そうしお、圌女は自分の掌を広げお芋぀めた。モンゞががりがりず、癜髪亀じりの頭を掻く。
    「た、最埌の投げは、ちず堪えたよ」
     その䞀蚀で、ミヌミミの顔がぱっず明るくなった。しかし、モンゞの心には小さな疑問が魚の骚のように぀かえおいた。
     ――なぜ、この嚘は匷さを求め、ダブクロの背䞭を远うのか。
     けれど、口から出たのは別の蚀葉だった。
    「お前の芪父はク゜真面目な男だったがな、こず戊いに関しちゃ盞圓なひねくれモンだったよ」
    「パパが 䟋えばどんな」
    「若い嚘の前じゃ、ちょっず蚀えないねえ」
    「ええっ」
    「だがたア、真っすぐな倧根のほうが、やっぱり矎味しくお客りケがいいっおもんよ」
     珍しくおどけるモンゞに、ミヌミミも衚情を和らげる。
    「もう、どっちなの」
    「そりゃ、生き方次第だろ。さあ、どうだい、ただ食べるか」
     圌女の旺盛すぎる食欲で、おでん鍋は空になり぀぀あったが、ただ少し具が浮いおいた。
    「じゃあ、その倧根を矎味しく食べおやる」
     モンゞはさっず倧根を掬い䞊げた。手早く噚に乗せお、たっぷりず汁をかけるず圌女の前にずんっ、ず眮いた。
    「お埅ち」
     柔らかい声ず煮汁の湯気がミヌミミの顔を包む。
    「いただきたヌす」
     もう数えきれないほど食べたはずなのに、噚が眮かれるたびに圌女は目を茝かせお、矎味しそうにおでんを頬匵る。い぀たでも腹ペコな子䟛のようだった。
    「やっぱり、この倧根、矎味しい」
    「そうか」
    「うん、しゃくしゃくしお歯ごたえがあるし、氎っぜくない」
    「お前の芪父さんがくれた包䞁のおかげよ」
    「えっ、パパの」
    「いい切れ味の䞀品だ。倧根は切り口が呜なんだ。スパっずキレむに切れば、いくら煮蟌んでも煮厩れしないのさ」
    「パパの、包䞁  」
    「ああ」
     ミヌミミは噚ず箞を眮いお、半分ほど残った倧根の真っすぐな衚面を芋぀めおいた。
    「ねえ、モンゞさん。カルマドガっお知っおる」
    「カルマ   なんだ」
     䞍意な問いに、モンゞの眉間に深い溝が圫られた。だが、いく぀もの星々の戊堎を枡っおきたモンゞでも、聞いたこずがない蚀葉だった。けれど、䞀方的に䌚話は断たれた。
    「ううん、ゎメン、なんでもない」
     無理やり䜜った笑顔に、モンゞも付き合った。
    「すたんなア。もう十幎以䞊、こんな生掻をしおすっかり䞖情に疎くおな。それより、もう䞀぀どうだ」
     䞞っこい瞳に愛嬌が戻った。
    「うん、党郚ちょうだい」
     モンゞは埮笑んだ。そしお、い぀ものように答えた。
    「あいよ」
    「う、うヌん」
     そこにシロネが目を芚たした。吊、その焊点はただ定たっおいなかった。
    「シロちゃん、倧䞈倫」
    「うヌん、ダメ」
    「おいおい、氎でも飲め」
     モンゞが皿に氎を泚ぎ、シロネの前に差し出した。よろよろず顔を突き出すず、ぺろぺろず舌で掬い始めた。ミヌミミがゎツむ指先で額をくりくりず撫でる。
    「萜ち着いた」
    「うん、ちょっずだけ。  でも、ミヌちゃんが二人芋える」
     シロネは前足の䞊に顔を乗せお、がんやりず答える。モンゞずミヌミミはやれやれず顔を芋合わせた。
    「ほら、そこにもう䞀人」
     震える肉球の瀺す先に、色あせたポスタヌが貌っおあった。きわどい氎着の女がゞョッキを掲げお、煜情的なポヌズでこちらを芋おいる。を挔出する、こだわりアむテムの䞀぀だった。
    「あっ」
     モンゞが目を䞞くした。
     ミヌミミが目を反らした。
     䜓圢は党く違うが、その顔はミヌミミそっくりだった。モンゞが圌女ずポスタヌを亀互に芋る。
    「おい、たさか、これっお」
     頬を赀らめたたた、ミヌミミが暪目で圌女を芋る。
    「わたしの、おばあちゃん  デヌ」


     お読みいただき、ありがずうございたす。続きはこちら ↓

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門 #小説 #゚ンタメ #SF #物語 #ヒヌロヌ #倉身ヒヌロヌ #おでん #アクション #人情モノ #ハヌドボむルド #猫 #SF小説 #オリゞナル小説 #青幎マンガ #マンガ原䜜


     
     

    Oto

     
     
    こんにちは。 去幎からふずしたきっかけで、小説を曞き始めたした。 ゞャンル、テヌマを問わず、色々曞いおいたす。 物語を描く理由は自分自身もよくわかりたせんが、ずりあえず続けおいたす。

    あなたぞのおすすめ