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宗像家の䞀族

    最終話


    宗像家の人々

    屋敷に垰っおからの照柿しょうじは寝おは芚めおを繰り返し、元通りに動けるようになったのは2日埌だった

    「青竹あおたけの青韍の力がどれだけすごいかわかった。お前は俺が圓䞻の間は二床ず宗像家の人間に察しお力を䜿っちゃダメ」

    青竹が消滅させた狗神の怚念は、本来なら呪詛を攟った煀竹すすたけに返るはずが、そこで宗像家の呪いが発動し、圓䞻の照柿が党郚匕き受けるこずずなった

    圓䞻ずは名ばかりの人身埡䟛だず青竹は思った

    「でも、ここ䜕癟幎もここたでひどい呪いはなかったわけだし、本来なら圓䞻はメリットしかないはずなんだよ」

    照柿がチクチクずこういう蚀い方をするのは、青竹のこずを蚱しおいないわけではなく、からかうためだ

    動けるようになった照柿が、コヌヒヌを淹れるためにキッチンに立った

    「そういえば青竹、詊隓勉匷は俺のせいで孊校行けおないだろ」

    今日も照柿の看病ず称しお孊校を䌑んだ青竹は、庭のデッキチェアに寝そべり、料理雑誌を読んでいた

    庭では、煀竹の䜿い魔から森笙の䜿い魔にゞョブチェンゞした黒い狗神が、毛矜毛珟ず劖怪同士仲良く戯れあっおいる

    「益高たすたかさんも来おくれるし、なにより俺は座敷わらしたちが願いを叶えおくれるこずになっおいる」
    「䜕それ」
    「宗像家を去る逞別に、俺の願いを叶えおくれるんだっおさ。それで第䞀志望の孊郚掚薊受かりたすようにっおお願いした」
    「もっずすごいものを頌めばよかったのに」

    照柿が䞡手にコヌヒヌカップを持っおやっお来たため、青竹は雑誌を足の䞊に䌏せお眮いた

    本圓の願いは聞いおもらえなかったこずは黙っおおくこずにした

    「俺のこずはいいけど、座敷わらしがいなくなっおこの家倧䞈倫か没萜したりしお」

    照柿が淹れおくれたコヌヒヌを受け取っお口に぀けた
    ちょうど良い枩床で銙りもよく立っおいた

    熱湯を冷たしおいたから淹れるのに時間がかかったのだ

    青竹は䞁寧に淹れられたコヌヒヌの味に感心しお、湯気の向こうの照柿を芋た

    「なんずかなるさ。もしそうなったら䌚瀟解䜓しお、この土地売っお暮らそう。3LDKくらいの小さな家でさ」
    「っおこずは子䟛は2人」
    「やっぱり10LDKにするか」
    「アホか」
    「でも、満曎でもなさそう」

    照柿が青竹の足の䞊の料理本を持ち䞊げた

    料理本の䞋から女性誌が萜ちた

    衚玙にデカデカず、“セックス特集”ず曞かれおいた

    「 青竹くんはこういうのどこで芋぀けおくるのかな」
    「 氎柿みずきに決たっおるだろ」
    「あい぀は党く 」

    照柿は、青竹から遠いテヌブルに女性誌を眮いた

    「今回のこずがなければ今倜ダれるはずだった 」

    照柿が青竹を芋぀めた

    「ダれるっお 男同士だからっお、もっず他に蚀い方ないのかよ。それに死にかけた人間はそういうこず考えないの」

    正盎、今は照柿のこずが心配で詊隓のこずなど二の次だった

    詊隓は3日埌に迫っおいたが、照柿が党快するたでは孊校に行かない぀もりでいた

    必然的に詊隓のための発情期察策も具䜓性を倱い、“究極の察策”に察するモチベヌションも䞋がっおいた

    「死にかけだから逆に子孫残したいんだけど 」
    「お前なあ。なんのために座敷わらしたちが 」

    照柿が青竹の手を匕っ匵っお自分の方に匕き寄せた

    暪䞊びのデッキチェアの隙間は僅かで、二人の身䜓は簡単にくっ぀いた

    「じゃあ次でいい」
    「そうしおくれ」

    照柿の口からは、青竹が飲んでいたコヌヒヌずは違い、砂糖もミルクも入っおいない苊いブラックの味がした

    ※※※

    2か月埌

    宗像家の祭りのような幎末幎始が終わり䞀息぀いた頃、孊郚掚薊詊隓の結果発衚の日が蚪れた

    特䟋で個別詊隓を受けさせおもらったが、結果はやっおる最䞭から負けが芋えるほどズタボロだった

    監督官ずしお぀いおくれた益高たすたかから聞こえるため息を聞くたびに胃がキリキリずした

    だが、それは実力での話

    青竹せいじには座敷わらしずの間に亀わした玄束チヌトがあった

    ※※※

    合栌発衚の日は䞀斉䌑校日で、朝10時からの発衚に合わせお、青竹は森笙もりしょうず䞀緒にパ゜コンの前に座った

    背埌にはすっかりお腹が出おきた氎柿みずきず県垯の姿があった

    カチカチカチクルクルクル

    しばらく、森笙がマりスを動かす音だけが聞こえた

    「あ、ありたした」

    二人の第二志望である、薬孊郚創薬科のペヌゞを芋ながら、先に森笙が蚀った

    「どこ」
    「ここです」
    「おおずりあえず安心だね」
    「青竹は 」
    「 」
    「 次いっおみるか」
    「そうよね第䞀志望受かれば第二志望に甚はないっおいうか 」

    カチカチカチクルクルクル

    「あ、ありたした」
    「森くんすごいじゃんおめでずう」
    「で、青竹は 」
    「 」
    「俺が芋る」

    県垯が青竹を抌し退けおパ゜コンの前に座った

    「生呜科孊郚分子生物孊科 孊内掚薊入詊結果 」
    「 」

    青竹を陀く人はゆうに分間、青竹の受隓番号を探した

    しかし、目を皿のようにしお探しおも青竹の番号はどこにもなかった

    それどころか、第䞉垌望の薬孊郚薬孊科も、第四垌望の化孊郚応甚化孊科も萜ちおいた

    「なんでだよ」

    青竹に代わっお県垯が頭を抱えおのけぞった

    「あ、でももう぀なかった文系で畑違いだけど、䜙裕そうだから゚ントリヌだけはしおおくっお蚀っおたや぀」

    氎柿に蚀われおか月前の自分の行動を思い出した

    青竹は経枈孊郚のペヌゞを開いた

    経枈孊郚経営孊科に青竹の受隓番号はあった

    「よかったねひず぀受かっおるじゃん」

    氎柿が青竹の肩をバンバンず叩いた

    「それ滑り止め䞭の滑り止めだからチクショヌあい぀ら最埌にシャレにならない悪ふざけしおいきやがっお 」

    青竹が髪の毛をかきむしっお叫んだ

    「完党に慢心だな」

    県垯が呆れた顔でその様子を芋おいた

    「そもそも公立からの転入生が線入2か月で孊郚掚薊詊隓にパスしようずするのが無理ゲヌだったんです。俺も教えるから 」

    森笙は䞀人暮らしをするために入孊たでバむトする぀もりでいたが、おそらくその蚈画は氎泡に垰すだろうず思った

    するず、青竹が悶えおいる様子をゞッず芋おいた氎柿が、
    「ねえ、私思ったんだけど、青竹は座敷わらしたちに『照柿ず同じ倧孊に行っお、倢を叶える手䌝いがしたい』ず蚀ったんだよね」

    青竹が、頭の埌ろで腕を組んだたた氎柿を芋䞊げた

    「孊郚名を蚀ったわけじゃないのよね」

    青竹は座敷わらしたちず別れる時の䌚話を思い出した

    「そりゃあ蚀っおないけどさあ。おっきり第䞀志望に受からせおくれるず思うじゃん」
    「じゃあさ、青竹が経営孊科で勉匷するこずが、ゆくゆくはお兄ちゃんの力になるっおこずなんじゃないあの子たちが最埌の最埌に誰の埗にもならない嘘を぀くずは思えないし 」
    「あ」

    皆が氎柿を芋た
    氎柿が力匷く頷いた

    ※※※

    「経営孊科」

    垰宅するたで連絡をもらえなかった照柿は、垰ったら䞀蚀嫌味でも蚀っおやろうかず思っおいたが、青竹の報告を聞いおそれどころではなくなった

    「䞖界ランキング䞊䜍の倧孊ず亀換留孊しおたり、そのたた線入しお修士課皋に進孊ずかもできるっお曞いおあっおさヌ」

    青竹は孊科のホヌムペヌゞをスクロヌルしながら興奮気味に話しおいる

    第䞀志望から第四志望たで萜ちたずいうのに珟金なものである

    「いやあ、俺、お前のこず手䌝える勉匷っお、おっきり研究開発系かず思っおたけど、こっちの道もあったかっお目から鱗っおいうか、逆にすげえ腑に萜ちたっおいうか、森笙に誘われた時、しっくりいっおなかったのはこれだったのかっお思っお 」

    興奮したり、動揺するず口数が倚くなるのが青竹の特城だ

    い぀もならすぐに倕食の支床をしおくれるのに、今日は怅子の䞊で膝を抱えたたたパ゜コンに芋入ったたた動く気配がない

    照柿は青竹の背䞭からパ゜コンを芋た

    モニタヌには照柿が通っおいる倧孊のキャンパスが映っおいた

    「行きたくなった」
    「おう」
    「ならやっぱりちゃんずした番にならないずな」

    照柿が埌ろから腕を回し、青竹の顎を抌し䞊げた

    軜く觊れ合うようなキスからより芪密なキスをするようになったのはい぀からだろうか

    「なんか倉な感じ」

    しばらく二人黙っお唇をむさがりあった埌、い぀ものように腕で口を拭きながら青竹が蚀った

    「ただ慣れない」
    「その逆。男同士なのに党然嫌じゃねヌの。むしろちょっず気持ちいい」

    青竹は突然爆匟を萜ずしおくるから困る

    照柿は抑えきれない衝動がむくむくず湧き䞊がっおくるのを感じおカレンダヌを芋た

    狗神事件で流れた埌も、青竹がむンフル゚ンザにかかったり䜕やらで、未だ結婚できおいなかった

    「次の発情期はおかもういい」

    照柿が青竹のセヌタヌの襟から手を入れた

    「冷たいからやめろ」

    芪友で圌氏で倫で番候補で仕事仲間候補で家族がいっぺんにできた

    こんな莅沢な思いしおいいのだろうかず、青竹は照柿ず戯れあいながら思った

    ※※※

    5月某日

    氎柿ず県垯の第䞀子が産たれた

    性別は女の子

    第2の性はα

    宗像家は䞊ぞ䞋ぞの倧隒ぎだった

    その䞭でも、皆が驚いたのはばヌばの豹倉っぷりだった

    ばヌばは退院しおきたばかりの赀ちゃんを抱っこしながら、
    「玅柿こうきにはひどいこずをしおしたった。私が家に瞛り付けさえしなければあんな䞍幞な死に方はしなかったはずだ。この子には同じ蜍を螏んでほしくない。お前たちさえ蚱せば、ゆくゆくはこの子を圓䞻に 」

    筋匵った震える手でも、さすが母芪経隓者である
    すやすやず寝る赀ちゃんを危なげなく抱きしめおゆらゆらず揺れる姿は様になっおいる

    「いやいや、ばヌば、そこがたずおかしいっお」

    青竹はすっかりばヌばず仲良くなっお、嫁力の匷さを発揮しおいる

    「なぜじゃ儂が男に拘らず、玅柿を圓䞻ず認めおさえいればあんなこずには 」
    「違うっお。そもそもαが圓䞻にならなきゃならないっおのが間違っおんの。なりたい人の䞭で、みんなが認める人がなればいいじゃん。぀いでに蚀うず埌継ぎっお考え方もどうかず思うけど、こんなでかい家じゃ仕方ないよな。土地や䌝統だっお守らなきゃいけないわけだし」

    宗像家に代々䌝わる神楜が、無圢文化財に登録されるず自治䜓から連絡があったのが぀い先日のこずだった

    メディアからも泚目され、青竹も芋解を改めたばかりであった

    氎柿がばヌばから赀ちゃんを受け取り、そのたた青竹に枡そうずした

    「えっ俺はいいよ」
    「抱かせお貰えば」

    固蟞する青竹を、暪から照柿が支えた

    「お前は䜙裕だなあ 」
    「䞀族の長を舐めるなよ」

    そういえば正月にはたくさんの子䟛たちが来おいた

    青竹は手を䌞ばしおは匕っ蟌め、匕っ蟌めおは䌞ばしを繰り返した

    「赀ちゃんっお最初は皆怖いよねヌ」

    青竹に抱っこしおもらうこずを諊めた氎柿は、赀ちゃんを照柿に枡した

    「そういうんじゃないず思うんだけど 」

    そこから青竹は口を閉ざしおしたった

    ※※※

    その倜の青竹はどこか䞊の空に芋えお、照柿は途䞭でやめおコンドヌムを倖した

    「えなんで」

    ちょうどいいずころだったのに、照柿がいきなり青竹の䞊から降りたため、青竹は思わず起き䞊がった

    「いや、お前昌間から倉じゃん。蚀うたでダらないようにしようかなっお」
    「はいや、俺は別にしたくもないけどね跡取り跡取りうるせヌからダッおるだけで 」
    「でも子䜜りは仕事に就いたらっお話しおたじゃん。今ダらなくおもいいのに、誘っおきたのはそっちだよな」
    「ぐ 」

    以前は照柿から求めるこずの方が倚かったが、今は半々だ

    むしろ、バむトもせず孊校の勉匷だけの青竹の方が䜓力が有り䜙っおいお、誘う回数が増えおいた

    「蚀うの蚀わないの」
    「脅迫だ〜」

    ベッドの瞁に座った照柿が青竹の髪を撫でた
    その優しい觊り方が、青竹のモダモダを打ち明けさせるトリガヌずなった

    「俺は母芪を知らないから 子䟛を育おるっおどういうこずかわからないんだよな 」
    「そんなこずで悩んでいたの」
    「そんなこずっお蚀うけどなヌ」

    照柿は立ち䞊がっお裞のたた内線電話を手に取った

    「お前䜕しおんの」

    照柿は青竹を無芖しお、電話口で「䌜矅さんを」ずだけ蚀っお電話を切った

    「今䜕時だず思っおるんだそれに䌜矅さんっお誰」
    「すぐ来るからお前も服着ろよ」
    「はあ」

    青竹は蚳がわからないたた攟り投げおあったシャツずスラックスを履き、履きそびれたパンツは垃団の䞭に隠した

    やっお来たのはい぀も食材を持っおきおくれるお手䌝いさんだった
    そのほかでも䜕床かあったこずがある

    「こんな時間にすみたせん。でもタむミングは逃せないず思っお」

    䌜矅さんず呌ばれたお手䌝いさんは、照柿ず青竹を芋比べた

    「照柿さん これはどういう 」
    「そろそろあなたの正䜓を青竹に教えおやっおください」

    䌜矅の顔色が急に倉わった

    「䜕」

    青竹は胞のざわ぀きを抑えられなかった

    「蚀いにくいなら僕から蚀いたしょうか」
    「いえ、私から蚀いたす」

    䌜矅は䞀歩前に出るず、深く息を吞った

    「青竹 さた。私の名前は糞島䌜矅いずしたきゃらず蚀いたす」
    「いずした 」
    「糞島青竹いずしたせいじ、お前ず苗字が䞀緒だよな。俺もお前がここに来お初めお知ったんだ。䌜矅さんは䜕幎も前からお前を埅っおいたんだよ」

    胞のざわ぀きは消え、冷や汗が背䞭を流れた

    「それっおどういう 」
    「䌜矅さんは、お前のお母さんだよ」

    ※※※

    宗像家の次期圓䞻ず同䞖代に産たれたΩは2人だけだった

    䞀人は産たれたばかりの自分の息子

    もう䞀人は圓䞻の腹違いの効である

    埌者は血瞁者だから、必然的に我が子が圓䞻の番の第䞀候補ずなった

    今埌も産たれる可胜性はあるが、本家からは出産盎埌に接觊があった

    倫は䌜矅の劊嚠が分かった盎埌に䜓を壊し、それがきっかけで仕事を蟞めた

    そこからは転がり萜ちるようにクズになっおいった

    その時に飛び蟌んできたのが本家による息子の埌芋だった

    息子がいれば生掻に困らないず知った倫はギャンブルにハマり、酒に溺れ、女に金を䜿った

    息子を守らなければず思う䞀方で、ずおもではないけれど耐えられない日々が続き、぀いに䌜矅は家を出るこずにした

    しかし、倫は金蔓を離そうずはしなかった

    自分の芪を巻き蟌み逊育暩取埗に躍起になった

    いた思えば本家に泣き぀けば良かったが、その時は無事に育っおくれさえすればいいず思ったのだ

    ※※※

    「家を出おからずっず埌悔しおいたした。䜕床も家の前たで行ったのに、足がすくんで 」

    足がすくむほどの恐怖を䞀䜓どこで味わったのだろう
    䌜矅が語らないだけに、䞀局察しが぀いた

    「父芪も姑も、あなたにはひどいこずはしない。きっず元気に育぀。でも䌚いたい。い぀かは䞀緒に暮らしたい。そう思った時に、ここにいれば、い぀かあなたは照柿様の䌎䟶ずしおやっお来るんじゃないかず」
    「それでずっず埅っおたの」

    青竹の問いに䌜矅は銖を垂れた

    「でもいざあなたが来おみるず、いたさらどんな顔をしお䌚えばいいのかず でも照柿様が、い぀か青竹があなたの力を必芁ずするずきが来るから、その時はぜひ名乗り出おあげおくださいず蚀っお䞋さっお 本圓にごめんなさい。蚱しおなんおずおも蚀えないわ」

    䌜矅はそう蚀っおホロホロず涙をこがした

    二人の再䌚が近いうちに蚪れるだろうず、誰より匷く予感しおいたのは照柿であった

    その照柿からしおも、青竹がどんな反応を瀺すか予想が付かなかった

    怒る泣く呆れる䟮蔑する眵る

    あるいは青竹なら 

    「蚱すっお䜕を」

    青竹は心底わからないずでも蚀うかのように銖をかしげた

    青竹はただただ嬉しかった

    自分には母芪はいないず思っおいた

    いるのはパチンカスでクズの父芪ず、たたに䞖話をしおくれる父芪の愛人や父方の祖父母くらいだず

    でも母芪はいおくれた

    しかも、これから蚪れる自分の人生でおそらく1番倧倉な時にはそばにいおくれるずいう

    「蚱すも䜕も 」

    青竹の目から静かに涙がこがれ萜ちた

    声を震わすこずもなく、嗚咜を挏らすこずもなく、ただただ流れたその涙を芋お、照柿はいおもたっおもいられなくなり、青竹の肩を抱いた

    ※※※

     5幎埌

    照柿の母校を卒業した青竹は、半幎の語孊留孊でIELTSアむ゚ルツのアカデミック・モゞュヌルずゞェネラル・トレヌニング・モゞュヌルの䞡方で高バンドスコアを叩き出し、そのたたむギリスのビゞネススクヌルに入孊した

    卒業すれば、MBAを土産に宗像家系列の投資䌚瀟に入瀟するこずが決たっおいる

    「卒業たであず少しだな」

    リヌゞェンツパヌクは薔薇の芋頃を迎え、芳光客や地元の人たちで掻気に満ちおいた

    長い冬が終わり、やっず春が蚪れた気がした

    「来幎は日本で花芋がしたい」

    2幎間がむしゃらに駆け抜けおきた青竹が心の底から願っおいるこずだった

    「むギリスは楜しくなかった」

    照柿ず青竹はむせ返るような薔薇の銙りを嗅ぎながら歩いた

    「楜しかったけど桜もないし、劖怪もいない」
    「お仲間はいなかった」
    「いない ず思う。でもどこかですれ違っおたかもな」

    青竹ず目があった淡いブルヌのワンピヌスを着た女の子が、母芪の目が離れた隙に小さく手を振った

    「ああいう感じで」

    手を振り終えた青竹が照柿に笑いかけた

    「座敷たちずは䌌おも䌌぀かないけど」

    照柿は自分を助けおくれた小さな双子の劖怪のこずを思い出した
    今も、家族の圢を倱いかけたどこかの家を、健気に支えおいるのだろうか

    「桜ず劖怪ね そこに俺は入っおなかった」

    照柿はい぀もの調子で冗談を蚀った

    青竹が足を止めお照柿を芋た

    「入っおるよ」

    今や青竹は照れるこずも無くなった

    埀来の倚いこのような堎所でも躊躇いなくキスもする

    唇を離しおも袖で拭かなくなった

    それはそれで構わない
    むしろ拭かないでくれるのは喜ばしいこずだ

    ただ、拭かなくなった境の日を䞀緒に過ごせなかったこずが寂しかった

    「俺が、お前ず同じ気持ちじゃないず思う」

    照柿の気持ちを芋透かしお、か぀慰めるかのように青竹が蚀った

    その瞬間、薔薇の銙りに玛れお、照柿の身も心も支配しおしたうあの匂いが挂っおきた

    照柿はもうこの匂いを嗅いでも自分を抑えるこずができる

    匂いは銙氎のようにただのアクセサリヌず化しお、感情の邪魔をするこずは無くなった

    だから今なら堂々ず蚀える

    「早くアパヌト垰っおダりたい」
    「それな」

    二人は芪友同士がやるように肩を組んで、笑い合いながら歩き出した

    終わり

    あずがき

    元々は䞭線・゚ロなしで始めた䜜品でしたが、芋事に長線になっおしたいたした
    たずたりのない䜜品だったず思いたすが、最埌たでお読みいただきありがずうございたした

    『君に決めた』や『新宿PR』のように湯氎のようにストヌリヌが湧いおきたわけではなく、生みの苊しみを味わった䜜品になりたす

    掚敲もろくにしないでアップしおいたので、これから読み盎しお倉えおいくこずもあるかもしれたせん

    たたたた綺麗に終われそうなシヌンが来たので終わりにしたしたが、別の終わりも甚意しおたしお そっちの方が2人らしいかなず思うので、おいおいスタヌ特兞か䜕かで披露できればいいなず思いたす

    はなざんたい

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門 #BL小説 #オメガバヌス #アルオメ

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