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勘違いのスター(JTCの理・妖怪編 第十一話 後編)

    花を持たせる影(後編)

    その姿を見て、 私はふと昔のサッカーの試合を思い出した。

    一人だけ、 異様に上手いプレーメーカーがいるチームがあった。

    他の選手は、 ただその人にボールを渡すだけでよかった。

    渡せば、 試合は勝手に動いた。

    渡せば、 スペースが生まれた。

    渡せば、 点が入った。

    そのチームの中に、 一人だけ勘違いした選手がいた。

    自分も一流だと思い込んでいた。 ただボールを渡していただけなのに。

    別のチームに移籍したとき、 彼は何もできなかった。

    だが本人は、 「周りが下手だからだ」と言った。

    今日の彼を見ていて、 私はその選手のことを思い出したのだ。

    影は今日も、 彼の背後で静かに動いている。

    影は、 主人公であることを求めない。

    求めても、 この世界では与えられないことを知っているからだ。

    この会社には、 本当は主人公になれるはずなのに、 “委託”という名で影に押し込められる妖怪がいる。

    その妖怪は、 存在を認められないまま、 今日も世界を支えている。

    私はただ、 その構図を静かに見ている。

    今日もまた、 影が誰かの虚像を支えている。

    そして、 それで世界は回っていく。


    二つのパラレルワールド

    🏮 JTCの理 ― 憑き物落とし篇 組織の澱みを「怪異」として解剖する、京極夏彦的作品へのリスペクトを込めた物語。

    🕶️ JTCの理 ― マトリックス篇 システムのバグを「アノマリー」として捉え直す、SF映画的世界観の物語

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