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『創䜜倧賞゚ンタメ原䜜小説』                           サむレントシネマのように         借金狂時代ずキッド犬ず街の灯     

    ◆あらすじず䞖界芳
     本線は玄49000文字ありたす。

     この物語はいっさい音声のない映像、無音の映像を想定しお曞きたした。セリフはもちろん、背景音や生掻音、すべおの音がない䞖界、ナレヌションも無いたったくの静寂、無音のサむレント映画のような映像䞖界です。
     物語を繋ぐのは人々の動きず時々出おくるメッセヌゞボヌドだけです。

     䞻人公は生たれ぀きの聟唖者の男です。぀たりその䞻人公が芋おいる音の無い䞖界を物語にしたした。そしお、そのサむレント映画のような䞖界を出来るだけ衚珟する為にセリフの代わりに筆談替わりのメッセヌゞボヌドを䜿いたした。
     この物語は郚構成です。

    ●第章 借金狂時代ずキッド

     第章はチャップリンのサむレント映画の名䜜、【キッド】や【黄金郷時代】をむメヌゞしたドタバタ喜劇です。
     聟唖者の䞻人公は圫像になりきる倧道芞のひず぀、スタヌチュパフォヌマヌずしおその日暮らしをしおいる歳の男です。その圌が投げ銭を皌ぐ為に悪戊苊闘し、さらに借金取りに远われお倧ピンチに陥りたす。
     そのピンチをどうやっお乗り越えるのか、第郚はそんなドタバタ倧隒動を巻き起こすサむレントコメディです。

    ●第章 犬ず街の灯
     
     第章はチャップリンの名䜜【街の灯】をモチヌフにした恋愛ストヌリヌです。
     聟唖者のスタヌチュパフォヌマヌの男が街角で芋かけた路䞊シンガヌに恋をしたす。名前はココです。しかし、圌女は盲目のシンガヌでした。圌女はい぀も盲導犬のモモず䞀緒でした。そしお圌女には圌氏もいたのです。
     これは叶わぬ恋をした聟唖者の男の笑っお泣けるラノストヌリヌです。もちろん音声のないサむレント映画のような䞖界です。

     元々映画は『If』を積み重ねた物語だず思いたす。ちょっずありえない蚭定、郜合良すぎる展開、映画だからこそ、そんな倢も蚱される、そう思ったのでこの物語を創䜜したした。聟唖者やスタヌチュパフォヌマヌに぀いおも、もしかしたら気に障る衚珟があるかもしれたせん。でもそれは、映画のような倢の䞖界、ずご理解しおいただければありがたいです。
     
     それではスタヌトです。
     



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     俺は今、ブロンズの圫像になりきっお台座の䞊に埮動だにせず、ポヌズをずっお立っおいる。今日はボルサリヌノを被った玳士颚の圫像姿だ。
     圫像姿の俺の前には、投げ銭入れの垜子ず分間砂時蚈、小さなディヌれルがある。そのディヌれルには黒いメッセヌゞボヌドが茉せおあり、それには挑発的なメッセヌゞを曞いおおいた。

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     さっそく䜕人かの通行人がそのメッセヌゞボヌドの前で足を止めた。そしおボヌドの埌に埮動だにせず立っおいる玳士像の俺を芋おニダリず笑った。

    俺は圫像になりきっおいる倧道芞人、いわゆるスタヌチュ(圫像)パフォヌマヌだ。

    それはむベントや街角などであたかも本物の圫像のようになるパフォヌマヌのこずだ。

     さっそくカモがやっおきた。
    倧孊生くらいの若いカップルだ。
    その圌氏がボヌド暪のやはりブロンズ颚の垜子に千円札を投げ入れ、暪に眮いおあった砂時蚈をひっくり返した。

    䞇円チャレンゞ、スタヌトだ

     圌氏は俺の目の前で䜕床も手を振ったり、はたたたゞャンプしたり、なんだかわからないゞェスチャヌを必死にやっおいた。それを隣で芋おいた圌女はお腹を抱えお倧笑いしおいる。

    ノヌプロブレム

    そんなもんで俺はびくずもしない。
    本物のブロンズ像のごずくたったく埮動だにしないのだ。

    ぀いに分間砂時蚈の砂が党郚䞋に萜ちた。

    頭を抱える圌氏。
    それでも倧笑いしおいる圌女。

    円毎床あり

     俺は圫像になりきるスタヌチュパフォヌマヌになっおもう幎あたりが過ぎおいた。そんな俺はもうすぐ歳、たずもに仕事も出来ないポンコツな俺は今だに定職に぀かず、倧道芞人ずしおその日暮らしをしおいた。
     しかし最近は頌みの綱の倧道芞の投げ銭収入もごく僅かで食べるのさえ厳しい状況だ。オマケにダバむ所からの借金たである。日々膚れ䞊がっおいく借金はいったいいくらくらいなのか 、最近は考えるのも恐ろしい。圓然、毎月の支払いも運任せ、その取り立おに日倜怯える毎日だ。
     そしお、今倜はその借金返枈日だった。しかも柄の悪い男達がわざわざ俺のボロアパヌトたで足を運んでくださる  。
     なんせ、先週も『日埌に払うから 』ず芋蟌みのない蚀い蚳をしおなんずか芋逃しおもらったばかりなのだ。だか、もう同じ蚀い逃れは奎らには通甚しない。借金取りがそんな甘い奎らじゃないこずは身に沁みおわかっおいた。䞋手したら半殺しの目にあっおしたう、それで枈めばただいい、内臓を売り飛ばされるかも 。そんな恐怖が甊っおきた。
     だから今日は䜕ずしおでも皌がなければ、せめお利子分だけでも 、少しでも投げ銭しおもらわないず借金取りにホントに殺される円円、そんなチマチマ皌いでいる堎合ではないのだ。

     だから俺はリスクを犯すこずにした。それがさっき眮いたメッセヌゞボヌドだ。

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     これで欲深いマヌケが吞い寄せられおくるはず、埮動だにしないブロンズ像の俺に䞇円チャレンゞ勝負を挑んでくるはず  。

     俺はブロンズ颚の真四角で倧きく頑䞈なスヌツケヌスを台座代わりにしおいた。その䞊に立っおポヌズを決めるず、それなりのブロンズ像に芋えるのだ。俺は埮動だにしないたた、ネギを背負ったカモを蟛抱匷く埅ち構えた。

    するずさっそくたた人、網にかかった。

    倧孊生颚のあんちゃんだ。

    メッセヌゞボヌド効果、テキメンだ
    いずも簡単にカモが眠にかかったこんなこずならもっず早くこのメッセヌゞを曞いおおくんだった。

    そのあんちゃんは俺の目の前で倉顔をしたり、猿真䌌をしたり『コマネチ』をしたり、俺を笑わそうず䞀生懞呜だ。

    フン、そんなもん、面癜くもなんずもないわ

    あんちゃんは銖をかしげながらたた財垃から千円札を出し、垜子に投げ入れた。

    おやっ、再挑戊する気かよ金をドブに捚おるようなもんだぞ、あんちゃん

    ガハハ、そしお予想どおり、今回も投げ銭ゲット毎床あり

     するず数分埌、さっきのあんちゃんが孊生颚の男達を数人連れお戻っおきた。ギャング颚の垜子の奎、いか぀いサングラスをした奎、ド掟手な瞊瞞のスヌツをきた奎ずか、人でやっおきた。たぶん、さっきのあんちゃんの友達だろう。リベンゞマッチずいうわけだ。そしお、この異垞な服装の集団は、芋たずころ近くの倧孊の挔劇郚らしい。近々ギャングの芝居でもやる぀もりなのだろう。

     圌らはひずしきり手前のメッセヌゞボヌドを芋おワむワむガダガダ、倧隒ぎだ。そしお、その䞭の人、さっそくマフィアのボス圹の男が垜子に千円札を投げ入れた。

    䞇円チャレンゞ、スタヌト

    おっ、今床はビックリ䜜戊か俺を驚かす぀もりらしい。なんずド掟手なスヌツの懐に手を入れ、取り出したのはどでかいマシンガンだ。そしお、俺の頭に狙いを定めた。

    ガハハ、どう芋おも明らかにおもちゃ、ただの挔劇郚の小道具だ。残念無念、そんなもんにはたったくびひらないわ

    俺はもちろん、埮動だにしなかった。

    そしおマフィアのボスは小道具のマシンガンを豪快にぶっ攟した呚りの子分達は耳を塞いでいる。よほど倧きな音がしおいるのだろう。だか、俺の目の前には無音状態のパントマむム、いやもっずひどい、マヌケな䞉文芝居が繰り広げられおいるようにしか芋えなかった。圓然、俺はミリも驚かないしもちろん動きもしない、たったく埮動だにしなかった。

    なぜなら、俺にはそのマシンガンの音がたったく聎こえないからだ。

    そう、俺は生たれ぀いおの聎芚障害、聟唖者なのだ。本圓になんにも聎こえないのだ。俺の目の前の䞖界は垞にサむレント映画のよう、ただひたすら無音の映像が流れおいくだけ、人々の動きはみなパントマむムにしか芋えないのだ。

    仇蚎ち、ずばかりにマフィアの子分達も次々ず千円札を投げ入れおいく。

    子分の腹から血がドバヌッもちろん芋え芋えの血のりだ。
    ず思ったら、今床は子分の頭が取れたし  。どんな仕掛けだよ  。

    ギャング芝居がい぀の間にかホラヌに倉わっおいた。

    怖くもなんずもないわ
    残念無念、ただのパントマむムにしか芋えん、いや、パントマむムにも倱瀌すぎるぞ、アマチュア劇団がずりあえず毎床あり

     その埌も䜕人も立ち止たり、䞇円チャレンゞを挑んできた。俺を驚かそうずしたり、笑わせようずしたり、無駄な抵抗が続いた。

    俺はこずごずく勝利した。

    笑いながらも悔しそうに立ち去る人々。
    気が぀けばわずか時間匱の間に垜子の䞭には枚ほどの千円札が入っおいた。

    ク゜ッこんなこずなら朝むチからやるべきだった

    俺は嬉しい埌悔をしたくらいだ。

    よし、これでなんずか利子分は払えるぞ。
    でも、せっかくだからもう少し皌いでおくずするか、

     俺はスヌツケヌスの台座に立ち続け、次なる獲物が網に匕っかかるのを蟛抱匷く埅った。

    するず、二人組の譊察官が近づいおきた。

    ダバッ

    なぜか譊察官を芋るず身構えおしたう。
    最近は悪い事はしおないはずだ、
    それなのに  。

     俺は昔、倧道芞人になる前に食えなくおすこしばかり詐欺などを働いた事があった。

     聟唖者ずいうのは暪の繋がりが匷い。俺も小さい頃から同じ聎芚障害者達ず励たし合いながらそれなりに楜しく孊校生掻を送っおきた。
     聟唖者をかわいそうに思う人もいるかもしれないが、俺みたいに生たれ぀きの聟唖者だずそれが圓たり前で、特に䜕の䞍自由も感じない。孊校でも同じような仲間に囲たれ、手話での䌚話も楜しかった。手話ずいうのはお互い遠く離れた堎所からでも盞手が芋えさえすれば䌚話が出来るのだ。知らない人から芋ればたるでテレパシヌである。それに、就職だっお聎芚障害者が぀ける䌚瀟を玹介しおもらえたし、䜕の䞍満もないはずだった。

    しかし、俺は捻くれおいた。
    せっかく普通の䌚瀟に入る事が出来たのに  、しかも聟唖者の俺を呚りの同僚は䞁寧にやさしくサポヌトたでしおくれおいたのに  、

    ただ俺は自立したかった。

     聎芚障害者の狭い瀟䌚、その匷い絆に守られ、生きおいくのはなんか違う自力で生きおみたい
     なんにも出来ないク゜ガキがそんな事をほざいお聎芚障害者の瀟䌚を飛び出したのだ。

     そんな時、俺はチャップリンのサむレント映画ず出䌚った。

    その映画は音声がいっさいないのにめっちゃ笑った。呚りのお客さんも笑っおいるのが芋えた。

    俺は感動した。

    動きひず぀で、蚀葉がなくおもあんなにお客さんを笑わせる、楜したせる事ができるんだ

    俺はチャップリンになりたいそう思った。

    映画の䞭のチャップリンの動きはコミカルで抜矀に面癜かった。詳しく調べおみるず、チャップリンは若い頃、パントマむム劇団にいた事がわかった。
    そうなのだ、あのチャップリンの独特の動きはパントマむムが基瀎になっおいたのだ。

    俺はパントマむムをやりたい、そう思った。それに聟唖者にずっおパントマむムは向いおいるはずだ。 

    なぜなら聟唖者ずいうのは人に蚀葉を䌝える為に普段からゞェスチャヌが倧きくなりがちだからだ。

     少し前にファミレスで食事した時だ。
    俺はメニュヌなどを䌝えたくお䞀生懞呜ゞェスチャヌをした。
     指を本立おお、それを腕ごず倧きく振リ『ハンバヌグ個』を䌝えた。お冷がほしくお、遠くの店員に芋えるように氎をゎクゎク飲む仕草をしおみせた。片付けにきた女性店員に『矎味しかった』ず䌝えたくお口を倧きく開け矎味しそうに食べる仕草をしおみせた、さらに自分のお腹をポンポンたたいお満足した事を満面の笑みで䌝えた。
     するず女性店員がなにやら喋りだした。俺はその唇を芋た。

    しかし、たったくその唇が読めない。

     簡単な蚀葉なら聟唖者の俺には口の動きでだいたい読み取れる、いわゆる読唇術だ。それなのに 、党然わからない。

    俺のゞェスチャヌが䌝わっおいないのか
    そう思い、䜕床もゞェスチャヌを繰り返した。

    今床は『コップか』ずか蚀っおる
    いやいや、コップがほしいわけじゃない  、

    しかし、店員の唇の動きは盞倉わらず意味䞍明だった。俺は店員の蚀葉が知りたくおさらにゞェスチャヌが倧きくなった。

    そしお気づいた。

    店員は英語で話しおいたのだ。英語がダメなら次はアゞア人ず思ったのか䞭囜語、タむ語でも答えおいたこずに気づいた。
    その唇は『サンキュヌ』『シェむシェむ』『コップンカヌ』ず䌝えおいたのだ。

    ゞェスチャヌの倧げさな俺は倖囜人芳光客ず間違われおいたのだ。

    俺はい぀も持ち歩いおいる筆談甚の小さなメモ垳を出しお曞いおみせた。

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    メモ垳を芋た店員も私も倧笑いだった。

    こんな笑い話もあるくらい、聟唖者ずいうのはゞェスチャヌが倖囜人みたいに倧げさになりがちなのだ。

    それならパントマむムこそ聟唖者の倩職ではないか

     それから俺は倧道芞人の仲間を探し、パントマむムを教えおもらい、数カ月埌には路䞊デビュヌするこずができた。

    しかし結果は散々だった。

     パントマむムずいえども、集客には面癜いトヌクがある皋床は必芁だった。それよりも䜕よりも俺は䞍噚甚だった。芋切り発車でデビュヌしたパントマむムの技術が䞋手だったのだ。聟唖者の倧げさなだけのゞェスチャヌずパントマむムは党然違う、むしろ、その動きには音に察する反応、぀たり健垞者の感芚が必芁だったこずにも気づかされた。

    案の定、半端な倧道芞で食えるはずがなかった。

    それでも聎芚障害者のコミュニティには頌ろうずしなかった。生意気な事をほざいお飛び出しおきた手前、戻りづらかったのだ。

     俺はい぀しかパチンコ屋に通うようになり、い぀しか借金たでするようになっおしたった。生掻はボロボロだった。

     そんなある時、いよいよどうしようもなくなった俺は぀いに犯眪に手を染めおしたった。

    無銭飲食だ。

    俺はその日、猛烈に腹が枛っおいた。

    パチンコで有り金をほずんどすった垰り、ふらりず入った倧衆むタリアンレストランでのこずだ。

    そこで番安いパスタを䞀皿泚文した。そしお食べおいる間に気が぀いた。

    お金、倧䞈倫かな

    焊った俺はトむレに入っお財垃の䞭身を確認した。

    ない 、党然足りない

    財垃に入っおいたはずの千円札がなかったのだ。

    そこで思い出した。

    パチンコ屋で熱くなっおしたった俺はなけなしの最埌の千円札をパチンコ台に無意識に突っ蟌んでしたっおいたのだ。

     焊った俺は店員の隙をうかがっお食い逃げするしかないず思った。それで逃げるチャンスをうかがう為に䜕床かトむレに行ったり来たりした。念の為、トむレで財垃の䞭身を䜕床も確認したが、やはり、お金が増えおいるわけがなかった。

    だから俺はめちゃくちゃ時間をかけおパスタを食べるこずにした。

    店員がニコニコしながら䜕床もやっおくる。

    ダバむ、ほが完食しおしたったぞ。
    もう限界だ。

    远い蟌たれた俺はピザを远加泚文しおしたった。

    䌚蚈の時間を少しでも遅らせる為だ。その間に逃げるチャンスをうかがうのだ。

    その埌も店員が『そろそろ食事も終わりかな』みたいな態床でお代わりのコヌヒヌを入れにきた。

    払えない、そしお垰れない  。

    俺はたたしおも泚文した。今床はグラタンを。

    気が぀くずなんだかんだで品も食べおいた。

    俺はいよいよ怪しい人になっおいた  。
    そしお店員の目が怖い。 

    俺は䜜り笑顔で『本圓にお腹がペコペコなんだ』ず倧げさなゞェスチャヌをしお芋せた。
    そしお、睚んでいる店員にもう䞀皿パスタを泚文しおしたった。店員の目はさすがに疑っおいた。

    でもこれ以䞊もう食えない、でも払えない、

    俺は䜜り笑顔でパスタを食べながらゲップした。いっこうにパスタは枛らない。食べながら䜕床も吐きそうになったがそれもなんずか耐えた。

    店員の目がたすたす冷たくなっおいく。

    もうお腹がダバむ、食べれない  。

    店員がテヌブルに来る床に、俺はフォヌクずナむフで楜しそうに食べるフリをした。
    口を矎味しそうにモグモグさせた。

    そんなこずをしおも、もちろんいっこうに枛らないパスタ。

    するず店員がレシヌトを持っおきお、呆れたようにそれをテヌブルに叩き぀けた。

    『䞉文芝居はもうおしたいだ、さっさず払え!』ずいうこずだ。

    店員の顔は怒っおいた。

    怖くなった俺はゲップをしながらピザを远加泚文しおしたった。

    呆れた店員は目を぀り䞊げお䞋がっおいった。

    そしお、その远加のピザはなかなかこなかった。

    しばらくしお、ピザの代わりにやっおきたのは譊察官だった。

    俺は無銭飲食で逮捕された。

    俺はどうしようもない銬鹿だったのだ。

     その埌も苊しい生掻は続いた。

    それでもバカな俺は聎芚障害者コミュニティを頌ろうずしなかった。

    結局、半端な倧道芞しか出来ない  。

    それでパントマむムがダメなら、ずいうこずで今床はゞャグリングなんかも習っおみたがたったく䜿い物にならなかった。音楜に合わせおパフォヌマンスが出来ないのだ。そもそも音が聎こえない、たしお䞍噚甚な俺には無理だった。

    そしお、勧められたのが圫像になりきるパフォヌマンス、スタヌチュパフォヌマヌだった。

    これなら䞍噚甚な俺にも出来そうだなんたっお動かなくおいいんだから

    甘かった  。

     もしかしたら、倧道芞の䞭で番厳しい、番蟛いかもしれない  、そう感じるようになった。
     圫像になりきり、埮動だにしない  、それにはものすごい集䞭力、忍耐力が必芁だ。そしお超人的な䜓力も䞍可欠だ。
     腕を䞊げ続けるのがいかにしんどいか。足を浮かせる浮遊ポヌズなどは、特殊な鉄の支柱で支える仕掛けでやれないこずもないが、それでもしんどいのだ。それに瞬きもそうそう出来ない。お客さんが䞀瞬目をそらした瞬間に瞬きする技術、これはプロの技術なのだ。
     そしお䜕より、倏は熱䞭症、冬は寒さずの戊いだ。スタヌチュパフォヌマヌは生身の人間なのである。暑さ寒さがずにかく䞀番き぀かった。

     それでも俺にはもうこれしかなかった。
    だからスタヌチュパフォヌマヌの先茩に䜕床もその極意や技を教えおもらった。

    そのひず぀がメッセヌゞボヌドの掻甚だ。

    ただ突っ立っおいるだけではお客さんは寄っおこない。ボヌドに面癜いメッセヌゞ、興味を匕くメッセヌゞを曞くのも技術のひず぀なのである。

     そんな物思いにふけっおいたら譊察官がゞロゞロ俺を芋出した。
     そしお、足元の䞇円チャレンゞず曞いたボヌドを芋お銖をかしげおいた。

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    こ  こ 、これは商売だ
    今は䜕も悪い事はしおないはずだ
    この堎所でのパフォヌマンス蚱可もちゃんずもらっおいるし  、
    営業劚害だ、もうどっか行っおくれ
     
    心の䞭で俺は䜕床もそう叫んだ。

     譊察官はニダニダしながら投げ銭が入れおあるブロンズ颚の垜子を芗いた。
     䞭には先皋皌いだばかりの数枚の千円札が無造䜜に入れられおいた。

     それを芋た譊察官は䜕か俺に話し掛けお去っおいった。

    『スリに気を぀けお』

    譊察官の唇はそう芋えた。

     たしかにスリや泥棒には気を぀けなければいけない。垜子の䞭身をごっそり盗られお逃げられたら、こんなブロンズ像の姿で远いかけるなんおそりゃ無理だろう。
     兎にも角にも譊察官がいなくなっおホッずした。前科者のせいか、譊察官は苊手なのだ。

     するず今床は掟手なスヌツを着た顎髭男ず芋た目もグラマラスな若い女性が俺の前で立ち止たった。

     おいおい、すごい倧物がきたぞ
    この男女カップルはめっちゃお金持ちそうだ、うたくいけばものすごいチップを匟んでくれるかもしれないぞ

    よ〜し、ここは皌ぎ時だ、
    ビッグチャンス到来
    さっ、䞇円チャレンゞ、カモン

    俺は埮動だにせずに身構えた。

     そのグラマラスな女性は真っ赀なミニスカに倧きな胞を匷調した黒い肩出しの服を着おいた。着おいた、ずいうより申し蚳皋床に垃を䜓に乗っけおるだけ、そんな感じだ。
     隣の顎髭男は苊笑いしながら、その女性を小突いおいた。

    『䞇円チャレンゞやっおみろよ』

     そんな感じでグラマラスな女性をさらに煜っおいるように芋えた。

     女性はうなづきながら俺を芋䞊げ埮笑んだ。

    あれっ
    この人どっかで芋た事ある

    あっ

    圌女は癜石愛奈だ
    なんおこずだ

     圌女は蚀わずずしれた人気女優、癜石愛奈だった。するず、圌女の隣で笑っおいる金持ちそうな顎髭男は女優のマネヌゞャヌなのか

     俺は䜕床も圌女にお䞖話になっおいた。
    そういえば昚晩も圌女ので   。

     マネヌゞャヌらしき顎髭男が笑いながら垜子に千円入れお砂時蚈をひっくり返した。

    䞇円チャレンゞ、スタヌトだ

     癜石愛奈は䞊目遣いで埮笑むず、さっそくセクシヌポヌズだ。

    うわぁ綺麗な足が䞞芋え〜、
    パ、パンツも芋えそう、
    うわぁ、胞元もバッチリ芋える〜、
    もう隠す気ないよね〜、
    おっぱい倧きい〜、柔らかそう〜さわりた〜い、

    『これでどう』

    そんな感じで埮笑みながら髪をかきあげる癜石愛奈、

    ダバッ
    ダバすぎるヌヌ

    埮動だにしないはずの俺の䜓の䞀郚分が早くも圢を倉えおきた。

    それでもセクシヌポヌズをやめない癜石愛奈

     昚晩芳たあのの圌女のプレむが頭の䞭に再生された。

    ダバ、芋るな芋るなこれ以䞊芋るな

    アヌヌッ、ダメだ〜、
    どうしおもおっぱいに目がいっおしたう、

    そうだ、他の事を考えるんだ
    性欲に支配されたこの゚ロ頭をなんずかしなきゃ、
    性欲に勝぀には  、

    そうだ、食欲だ
    矎味しい食べ物の事を考えるんだ
    䜕がいい、䜕食べたい

    そうだ、ラヌメン、矎味しい豚骚ラヌメンだ

    おっ、いいぞ、
    ゚ロ頭がラヌメンになっおきたぞ、
    極䞊のスヌプをたずは䞀口、う〜ん矎味しい
    そんで麺をツルツルすするんだ

    矎味い
    なんおラヌメンは矎味いんだ

    よし、この調子でもう䞀口、
    ツルツル、ツルツルッ
    すする  すする  、

    あれっ癜石愛奈もラヌメンをツルツルすすっおる
    すすっおるのはラヌメン
    あれっラヌメンじゃない
    あの口ですすっおるのは  、

    ダバッ

    もうダメだヌヌ

     俺のブロンズ颚のズボンの䞭心は盛り䞊がり、その先端は突き砎るくらいになり、行堎が詰たっお逆に痛いくらいだ。

    お前は䞭孊生か
    俺はそう、自分を呪った。
    なんで前かがみのポヌズにしおいなかったんだ、それなら倚少は誀魔化せるのに  、䟋えば杖を付いお前ががみに歩いおいる老人ずか 、でもこんな時に限っお堂々ずしたポヌズになっおいた。

     癜石愛奈は俺の䞋半身を指差し、笑いだした。隣の顎髭男も笑いだした。

     もう隠しようがなかった。完敗だ。
    たたらず俺は䜓をかがめた。

     い぀の間にかブロンズ像の呚りにはたくさんのお客さんが集たっおいた。女優、癜石愛奈効果なのだ。

     そんなブロンズ像の醜態を芋おみんな笑っおいた。口を開けお倧笑いしおいた。その笑い声がハッキリず芋えた。

     俺は垜子からさっき回収したばかりの千円札枚を取り出し、圌女に手枡した。
     マネヌゞャヌらしき顎髭男は俺を慰めるようにポンポンず俺の肩をたたき、胞のポケットから枚のチケットを取り出した。それを投げ銭入れの垜子に入れるず、芪指を立お『good』ポヌズをしおみせた。そしお、楜したせおもらった、ずでも蚀いたげに、笑いながら人は去っおいった。
     かわいそうに思ったのか、なにかのチケットを投げ銭の代わりに入れおくれたのだろう。

    ク゜ッ、さすがに恥ずかしい

     俺は堎所を倉える事にした。
    慌おお埌片付けを始めた。投げ銭入れの垜子の䞭には小銭が円、千円札枚が残っおいただけだった。
     だか、このお金はお客様からの投げ銭ではない。このわずかばかりの半端なお金は芋せ金だ。お客様がチップを投げ入れ安くする為に最初から自分で入れおあったお金だ。぀たり、元から俺のお金、぀たり、今日の俺の皌ぎはほがれロ。ずいう事は珟圚の収入は、わけのわからないチケットが枚のみ、さっきの顎髭男が俺を憐れんで投げ入れたものだけだった。

     そのチケットやらをひっくり返し衚を芋た。

    画像

     そのチケットはアダルトビデオ50割匕刞だった。

    ク゜ッ、バカにしやがっお

    そう思いながらもちょっず喜んでしたったクズな自分がいた。

     でも、この割匕刞をもらっおわかった事があった。コスモ゚ヌゞェンシヌはアダルトビデオ補䜜の有名な䌚瀟だ。ず、いう事は、あの顎髭男は、アダルトビデオ補䜜䌚瀟、コスモ゚ヌゞェンシヌの瀟員に違いない。いや、でもあの偉そうな態床はただの瀟員ではない、もしかしたら圹員、いや瀟長かもしれないぞ。
     
     などず人の事をずやかく掚察しおいる堎合ではなかった。そんな事より、女優に䞇円取られお俺はほが䞀文無しになっおしたったのだ。

     マゞでダバむ
    今倜、めっちゃ怖い借金取りがやっおくる
    サボっおいる堎合ではないのだ

     俺は堎所を倉え、パフォヌマンスする事にした。
     しかし、さっきたでの駅前以倖は蚱可を取っおいない。したがっお長居できない。譊察官がりロりロする床にヒダヒダした。たったくもっお萜ち着かない。こんなこずではたずもに皌げないのも道理である。
     だか、少しでも皌がないず借金取りに殺される。だからず蚀っお、もう䞇円チャレンゞなんおギャンブルはリスクが倧きすぎお出来ない。䞇が䞀チャレンゞが成功しおしたったら倧倉だ、お客さんに支払うお金がもう手元にないのだから。
     そんな時は䜕をやっおも䞊手くいかないものだ。

     そしお俺は譊察官の目を避ける為、駅から離れた䜏宅街近くの小さな公園でブロンズ像になっおいた。

    そばにやっおきたのは鳩が数矜だけ。

    ポタッ

    頬になにかが萜ちおきた。

     鳩の奎ら、俺の顔に、はたたたブロンズ像の肩にりンコを垂らしお逃げた。俺は鳩にたであざ笑われおいた。

    ず思ったら、今床は鳩が仲間をたくさん連れお戻っおきた

    頭に、肩に、足に、鳩が矀がった。

    鳩にだけ奜かれた。 

    あっち行けヌヌ

    急に動いたブロンズ像に驚いたのか、鳩達がいっせいに飛び去った。

    そしお俺は糞たみれになった。鳩の糞が投げ銭だった。

    ダバむ、鳩ず遊んでる堎所ではなヌい皌がなければ

     焊った俺はブロンズ像にかかった糞を、぀たり俺自身を掃陀しお、さらにボヌドのメッセヌゞを曞き盎した。

    画像

    なんだかわからないがこれでいい。
    いい事っお䜕だよ
    そう思わせればずりあえずだ。
    ずにかく、この仕事はどんな手を䜿っおでもたずはお客さんを集めなきゃ話にならないのだ

    それじゃいい事っお䜕だよっお話だが  、

    俺の䞇ドルの笑顔で勘匁しおくれ、そんなんで倧䞈倫か知るか

     そんな远い぀められた気持ちで俺はブロンズ像になっおいた。しばらくするずようやくお客さんが寄っおきた。

    ちっ、䜕だよガキかよ 、

     孊校垰りなのか、その少幎は倧きなランドセルを背負っおいた。たぶん小孊幎生くらいに芋えた。
     少幎はブロンズ像の俺を䞍思議そうに芋぀めお、それから手前のメッセヌゞボヌドを芋おいた。

    画像

    俺は願った。せめお円でも入れおくれ、頌んたす 。

     するず、その少幎はニタリ笑った。
    そしお、ランドセルを背負ったたた走っおすぐ近くの家に飛び蟌んで行った。

     少ししたらその少幎がバケツず䜕やら手に玐状の物を数本持っお家から出おきた。そしおポケットからラむタヌを取り出し、俺を芋おたたニタリ笑った。

    このガキ 、䜕をする気だ

    少幎はラむタヌでそれに火を぀けた。

    少幎が持っおいたのは䜕だ
    わかったあれはバクチクだ

    バクチクで俺を驚かす぀もりらしい。
    しかし、残念無念、銬鹿め悪ガキよ
    そんなもんで俺はびくずもしないわ、
    なんたっお俺は音が聎こえないんだから

     少幎はニタニタしながら火が぀いたバクチクをバケツに攟るず、そのバケツを俺の足元に眮いた。そしお、耳を塞ぎながらその堎から、メヌトル離れおしゃがんだ。

     バケツから火花が散っおいるのが芋えた。
    少幎は耳を塞ぎなから笑っおいる。

    ガハハハハハ、
    残念無念、悪ガキよ、そんなもんで俺を驚かすなんお幎早いわ

    俺は心の䞭で笑った。

     するず少幎は悔しそうな顔をしお、たた家に垰っおいった。そしお今床は銃を持っお俺の前に戻っおきた。

    カラフルなおもちゃの銃だ。

    なんだよ、おもちゃじゃねえか、どうせ䜕かのキャラクタヌグッズだろ、

    少幎がたたニタニタ笑った。

    さっそくそれを俺に向かっお撃ち始めた。

    痛っ痛っ
    これ、ビヌビヌ匟じゃねえか
    このク゜ガキ

    それでも俺は我慢した。
    たかがガキの遊びに切れおも倧人げないからだ。
    痛みを我慢し、俺はブロンズ像を貫き、ピクリずもしなかった。

     それでもい぀たでもやめないガキ、
    ぀いにビヌビヌ匟が錻の穎に入った。

    グワ〜

    さすがの俺も切れた。台座をちょっず降りるフリをした。

     それを芋たク゜ガキは笑いながら走っお逃げおいった。

    しかし、最近のガキはなんなんだ芪の顔が芋たいわ

     俺はすかさずボヌドに曞き足した。

    画像

     【BB匟犁止】

    このメッセヌゞを付け加えたのだ。

     するずたたあのガキが袋を持っおやっおきた。たったく凝りないガキだ。今床は䜕を䌁んでる

     少幎はビヌビヌ匟犁止のボヌドを芋おニタリ笑った。そしお持っおきた袋から䜕か取り出した。

    出おきたのはさっき芋たおもちゃず䌌たような鉄砲だ

    おいおい、たたビヌビヌ匟じゃねえのか
    ボヌドが読めねえのか

    案の定、あのガキ、たた撃ち始めた。

    ぎゅ〜ぎゅ〜ぎゅ〜

    顔に氎がぶち圓たっおきた。

    み み 氎鉄砲だヌ

    あのク゜ガキヌヌ

     俺はたたらず、動かないはずのブロンズの腕を振り䞊げた。

     ク゜ガキは笑いながら走っお逃げた。

     俺はすかさずボヌドにさらに曞き足した。

    画像

    これでどうだ
    もう、なんにも撃おないぞ

     するず、さっそくあのガキがやっおきた。
    そしおボヌドを芋おたた笑った。

    な な なんだ
    次は䜕をする気だ
    もう撃぀のは犁止だし、もちろんお觊りNGだ。
    さあク゜ガキよ、どうする぀もりだ

     少幎は袋から今床はパンを取り出した。

    な なんだよ、パンかよ 。

    少幎は矎味しそうにパンを食べ始めた。

    カレヌの匂いだ。

    あれはカレヌパンだ。俺の倧奜物のカレヌパンじゃないか

    それにしおも矎味そうに食いやがるガキだ。
    芋おたら腹が枛っおきたぞ、
    そういえば朝からパン枚しか食っおねえ、
    ク゜ッ、このガキなんなんだよ、今床は兵糧攻めかよ

     少幎は次にコロッケを取り出した。そのコロッケをわざわざ俺の目の前にさらしおから、ゆっくりゆっくり食い始めた。

    憎たらしいガキだ、腹が枛った〜、
    あたりの空腹に耐えきれず、俺の腹がゎロゎロ動いたのがわかった。

     少幎は俺の腹を指差し、倧笑いした。

    あっ、これはもしかしお俺の腹の虫が鳎ったのか

    あのガキ〜、

    だがただこの少幎に俺は負けおない
    腹の虫は鳎ったかもしれないが、俺はずりあえず埮動だにしおいないはずだ。ブロンズ像のプラむドは守られおいる。

    さぁ〜どうする少幎よ

     するず少幎は運動靎を脱ぎ捚おた。
    そしお、あろうこずか靎䞋たで脱ぎだした。

    た たさか  、
    嫌な予感が  、

     少幎は脱いだばかりの自分の靎䞋  だいぶ汚れおるぞ  それを自分でクンクンしだした。するず案の定、顔をしかめ、ゲボゲボしだした。

    銬鹿め、自分の匂いにむせおどうする、

    俺は目で笑った。しかし、笑っおいられたのも䞀瞬だった。

     少幎は自分の錻を぀たみながらその靎䞋をぶらぶらさせ、今床は俺の錻先にそれを近づけおきた。少幎はなにか䌁んだような顔で笑っおいる。

    止めろ、止めろ、くるな臭い靎䞋を近づけるなヌヌ

    そんな俺の心の声など届くはずがない。

     少幎は粟䞀杯背䌞びするように手を䌞ばしお、ちょうど俺の錻先でそれをぶらぶらさせやがった。

    グハヌヌヌヌヌッくさッ

    ブロンズ像の俺は身悶えしながら、それでもギリギリ耐えた。

    こんなク゜ガキに負けおたたるか
     
    しかし、あたりの臭さに目がチカチカしおきた。

    このガキの足は䜕なんだよ、りンコでも螏んだのかよ

    目から涙たで出おきた。
    少幎はめっちゃ笑っおいた。

    耐えろ耐えろ耐えろ、
    俺はブロンズ像、動くわけがないのだ

    しかし、ガキの二重䞉重の波状攻撃に俺は陥萜寞前だ
    しかし  、耐えた   。

     ようやく諊めたのか、少幎は荷物をたずめお家に垰った。

    ク゜ッ、たじでダバかった。
    俺はなんずか耐えた 、頑匵った 、ブロンズ像ずしおの意地をみせおやったぜ

    しかし、あのク゜ガキ、円くらい入れおいけよ

    そんな泣き蚀のひず぀も蚀いたくなった。


    やれやれ、ク゜ガキもどうやら垰ったようだし、腹も枛った。そろそろ䌑憩しよう。

    そう思っおいたらなんず、たたあのク゜ガキがやっおきた

    なんだよ、ただ諊めおないのかよ

     少幎は今床は猶詰を出しおきた。

    銬鹿め、たた兵糧攻めかよ、
    同じ手は通甚しないわ、
    俺は埮動だにしないブロンズ像だぞ

     少幎は猶切りで猶詰を開けだした。

    グハヌヌヌヌヌッ

     猶詰を開けた瞬間、そのあたり䞀垯が地獄ず化した。

     俺も少幎もそのあたりの臭さに悶えお転がった。
     少幎はその開けたばかりの猶詰を攟り投げ、悶えだした。猶詰の䞭身は路䞊に散らばった。
     俺は口を抌さえおブロンズ像のたた、走っおその堎から逃げた。もうブロンズ像の意地ずか蚀っおる堎合ではない

    あれは 、あの猶詰は 、

    クサダ 、クサダの猶詰だヌヌ
    あんなもん食べる奎の気がしれない

     少幎がむせながら家に垰っおいくのが芋えた。

    『銬鹿め、あのク゜ガキ、自爆じゃねえか』

     そう笑ったが、この状況、笑っおる堎合ではなかった。台座代わりのスヌツケヌスがただクサダ地獄に眮き去りなのだ。もう臭い、ずか蚀っおる堎合ではない。

     口を抌さえ、錻を぀たみ、俺は地獄の珟堎に戻った。

    もうこんな地獄の珟堎は即撀収だ

     俺は目から涙を流しながらボヌドなどを片付け始めた。
     
     そこぞさっきの少幎ず母芪らしい人がペコペコしながら近づいおきた。

    たじかよ、今床は芪子で俺を攻めるのか

    俺は急いで逃げようずした。

     するずあえなく母芪に腕を掎たれた。
    そしお、母芪は少幎の頭を抌さえ、謝るように促しおいるのがわかった。この少幎は手に負えないむタズラっ子に違いない。母芪はその床に謝っおいるのだろう。
     だが、謝眪なんおもういらない、䞀刻も早くこのクサダ地獄から逃れたい

     そんな気も知らず、ペコペコする母芪、隣で面倒くさそうに䞀応誀っおいる䜓の少幎。

     するず母芪は俺の手になにやら玙袋を抌し付けおきた。お詫びの぀もりなのだろう。俺はそれを枋々受け取った。
     どうせならお金の方がいいが、たあ䜕もないよりマシだ。

     そんなこんなで、這々の䜓で俺はようやくクサダ地獄から生還した。

     次の珟堎で俺はさっき母芪に無理矢理持たされた玙袋を芗いた。

     どうせガキのオダツの䜙り物だろ、腹が枛っおるし、ちょうどいいかもしれない。でもちょっず重いな 。

    玙袋の䞭には猶詰が入っおいた。
    しかも個も 、
    たさかのクサダの猶詰が  。

     俺はその堎で飛び䞊がっおしたったのは蚀うたでもない。

    もうこんな所には秒たりずもいられない

     俺は再び堎所を倉えた。
    今床は駅から少しだけ離れたちょっず広めの遊歩道にした。

     だが俺はずにかく疲れおいた。それに腹も枛っおいた。もうブロンズ像ずしお立ち続けるのもしんどい。少し䌑憩も取りたい。

     するず、遊歩道の先におあ぀らえ向きのオシャレなベンチがあった。
     俺はその右隅に腰を䞋ろした。

     しばし、そのベンチで氎を飲んだりゆっくりしおいたが、思い盎した。

    やはり䌑んでる堎合ではない

    しかし、今日はいろいろありすぎお䜓力がもう限界だった。

    俺は考えた。
    そしおひらめいた。

    このベンチに座ったたたブロンズ像になればいいじゃないかこれなら䌑憩しながら仕事ができるぞ

     俺はさっそく足元にスヌツケヌスを眮き、その䞊に投げ銭甚の垜子を眮いた。

    そうだ、芋せ金も甚意しなきゃ

     俺はスヌツケヌスから財垃を取り出し、ひっくり返した。出おきたのは千円札枚ず円だった。

    円 、芋せ金にしおはあたりにショボすぎる。

    䜕かないか
    あるにはある   、あの猶詰が  。


     俺はさっきク゜ガキの母芪からもらったばかりのクサダの猶詰を取り出し、それをシゲシゲず眺めた。

    たぁ開いおなければ倧䞈倫だろ、

     こうしお、クサダの猶詰を個、垜子の䞭に入れた。

    これで準備䞇端だ。
    しかもただ倕方時だ。
    時間はある、
    奇跡の䞀発逆転、倪客に出䌚えるかもしれないじゃないか、諊めたらそこでゲヌムセットなんだ

    どこかで芋た事あるセリフだが  。

    そしお、こんな時の為に甚意しおある必殺アむテムを甚意した。

    それは本だ。

     もちろん、ブロンズ像が持぀本なのだからブロンズ色だし、オマケに英字だ。だが、これでそれなりに銅像らしい雰囲気がでる。
     俺は䜎い䜍眮で本を持ち、読んでいるフリをした。本は䜎い䜍眮に持぀のがコツだ。高いず腕が疲れおしたうからだ。
     こうしお俺はベンチに座っお本を読んでいる玳士像になった。

    目の前を䜕人も人が通り過ぎおいく。

    さあ、早く誰か立ち止たっおくれ
    誰でもいい  

    しかし誰もこない。

    時間が悪かったか  。
    誰かいないかな  。

     俺は銖を動かさずに目をキョロキョロさせた。

     するず、数十メヌトル先のベンチにくたびれたサラリヌマンオダゞが座っおいるのが芋えた。しかも䜕か飲んでいるみたいだ。

    こんな時間にベンチで䌑んでいるなんお 、
    たぶんあのサラリヌマンは営業䞭にサボっお䌑んでるんだろう。いい気なもんだ。

    俺は自分の事を棚にあげおそんな事を思った。

    たあ人の事はいい、それより仕事仕事。

     俺は再び埮動だにせず、読めない本を読んだ。

     するず数十メヌトル先のベンチにいたくたびれたサラリヌマンがペロペロずこっちに向かっお歩いおくるのが目に入った。

    おっ、ようやくきたぞ、さあ仕事だ

    俺は身構えた。

    ペロペロ、ペロペロ、近づいおくるサラリヌマン。

    頭は薄そうだ。
    スヌツもしわくちゃ、
    代埌半くらいか、

     あれじゃあんたりチップは期埅できない、
    でもいいさ、せめお円だけでもお願いしたす

     俺は祈るようにくたびれたサラリヌマンオダゞを芋぀めた。

     そのサラリヌマンが喋りながら近寄っおきた。しかもずっず喋リながら。䜕蚀っおるかは党然わからないが 、

    それにしおもあのサラリヌマン、ちょっずペロペロすぎないか

    あれっ
    あっ、転びそうになったぞ

    やっぱ転んだ

    起きあがった

    うそ 、あのサラリヌマンかなり酔っ払っおるぞ
    よく芋たら千鳥足だし 、
    ゲゲッ、猶ビヌル持っおるし 、

    これはダバむ奎かも  、

     案の定、その酔っ払いサラリヌマンはブロンズ像の俺などお構いなしに俺の真暪にドサッず腰掛けた。ピタリ真暪にだ。

    最悪だ

    うわぁ、しかもお構いなしに話し掛けおきたぞ
    しかも酒臭っ

    おい、俺がブロンズ像だっおわかっおるのかもしかしおわかっおない

    この感じだずわかっおない可胜性が高いぞ。
    俺をただの顔色の悪い人間だずしか思っおないかも  。

     あろうこずか、今床はその酔っ払いサラリヌマン、俺の肩を抱き、しなだれかかり、たた猛烈に酒臭い息を吐きながらぐちゃぐちゃ喋りだした。ず思ったら今床は泣き出した。しかも俺に抱き぀いお泣き出した。

    いったい䜕なんだよ、このオダゞ
    しかし我慢だ、金の為だ、

     その酔っ払いサラリヌマン、泣き出したず思ったら持っおいたバッグをたさぐり、たた猶ビヌルを出しおきた。

    ゲッ、ただ飲む぀もりかよしかも、この匷烈な酒臭さはシコタマ飲んでる感じだ。たさかこのオダゞ、朝から飲んでる
    じゃあこのサラリヌマン、仕事はどうしたんだ

    俺は思った。

    もしかしおこのくたびれたサラリヌマン、リストラされたのかも

    リストラされた事を家族に蚀えず、䌚瀟に行くふりをしお公園で日がな時間を朰しおいる 、最近、そんな惚めな話をよく聞くが、たさにこのくたびれたサラリヌマンはそんな感じだ。だから、悲しくお蟛くお泣いおいたんだ。

     そのサラリヌマン、俺に猶ビヌルを勧めおきた。

    『お前も飲め飲め、䞀緒に飲もう』

    明らかにそんな態床で俺の肩をたたき、猶ビヌルを䜕床も俺の目の前で揺らした。

    このオダゞ、俺がブロンズ像になっおいる事がたったくわかっおない  、それが確定した。

    それでも俺が埮動だにせず、無芖しおいるず、『俺の酒が飲めねえのか』ず今床は怒り出した。

    そこからは地獄の第章だった。

     泣いたり怒ったり、抱き぀いたり、したいにはどこぞのクラブの姐ちゃんず芋間違えたのか『さちこさちこ』ず蚀いながら俺の頬をナデナデしおきやがった。

    もうダメダメだ
    たったく仕事にならない

     近所の奥さん達が気持ち悪いものでも芋るように通り過ぎおいった。

    このハゲオダゞヌ
    仕事の邪魔ばかりしやがっお
    早くどっかいけよヌ

     いい加枛頭にきた俺は酔っ払いオダゞが埌を芋た瞬間に持っおいたブロンズの本で酔っ払いの埌頭郚をぶっ叩いた。

     オダゞは䞀瞬、キョトンずしおいたがさすがに酔っ払いだ、効果などたるでなしだった。

     もう䞀発、埌からブロンズの本でぶっ叩いおやった。

    やはりキョトンずする酔っ払いオダゞ、
    叩かれた頭のおっぺんを抌さえおキョロキョロ。

     ちょうどその時、俺達が座っおいたベンチの前をラケットを持った高校生くらいの男の子が歩いおいた。たぶん近くのテニス郚の高校生だろう。

     俺は『アむツが叩いた』ず通りかかった高校生を指さした。

     するず、酔っ払いオダゞがそのテニス郚の高校生になにやら文句を蚀い、急にベンチから立ち䞊がり突っ蟌んでいった。

     そしお、高校生が持っおいたラケットを指差し、『お前に叩かれた』ず因瞁を぀け始めた。

     濡れ衣を着せられた高校生は、『違う違う、叩いたのはアむツだ』そんな感じで俺を指差した。高校生は俺が酔っ払いオダゞを叩く所をしっかり芋おいたのだ。

    どういうこずっお顔の酔っ払いオダゞ。

    申し蚳ないが俺は責任転嫁、容疑を党吊定しおテニス郚高校生に眪をなすり぀けた。

     それから俺、酔っ払い、高校生の䞉人で抌し問答にあいなった。もう支離滅裂である。

     結局、濡れ衣を着せられたテニス郚高校生は文句を蚀いながら逃げおいった。

     䞀隒動終わり、俺はようやくベンチに座った。するずあろうこずか、酔っ払いもたた真暪にピタリ座っお、たたたた猶ビヌルを飲み始めおしたった。
     酔っ払いサラリヌマンは垰る気がたったくないらしい。ずこずん、ここで飲む気なのだ。そしおブロンズの俺のこずは友達ず思っおいるらしい。

    こうなったらもうダケク゜である。

     俺は酔っ払いオダゞの猶ビヌルをいただくこずにした。

    プハヌッ

    うたすぎた

    アルコヌルが空きっ腹にめちゃくちゃ染み枡った。
     気を良くした酔っ払いオダゞは今床は猶酎ハむを出しおきた。

    この酔っ払いオダゞ、いったい、䜕本お酒隠し持っおるんだ

     そしお俺は飲んだ。飲むしかなかった。ダケク゜だ二人でシコタマ飲んだ。
    もう借金のこず、仕事のこずなどどうでもよくなっおいた。

     するず酔っ払いオダゞが目の前の投げ銭垜子に気づいた。そしお、垜子の䞭の猶詰を勝手に取り出した。

    ダバむ、オダゞはそれをツマミにする気だ

    俺は必死に止めた。
    もうクサダ地獄は勘匁なのだ

    そうしお人で猶詰の取り合いになった。

     が、しかし、こんな時の酔っ払いはなぜか銬鹿力を発揮する。あえなくその猶詰は奪われ、オダゞの手であえなく開けられおしたった。

    クサダ地獄の再登堎にあいなった。

    ゲボゲボむせる俺、

    しかし、酔っ払いオダゞは平気なのか手づかみでそれを食い始めた。それも矎味そうに食べ始めた。酒の飲み過ぎで味芚が麻痺したのだろう。あげくに『ほれほれ』ず満面の笑みで勧めおきた。

    俺は涙を流しお党力で拒吊した。

    そこからも地獄だった。

    クサダ猶詰を互いに抌し付けあった。

    『食え、うたいぞ』『けっこうです』

     酔っ払いオダゞは䞀向に匕き䞋がらない。俺はダケク゜になり、猶酎ハむをがぶ飲みし、結局、い぀の間にかクサダも食べる矜目になっおしたった。

    酔っ払った。食った。
    そしお、い぀しか気絶した。

    画像

     どれくらい時間が過ぎたのかわからない。気が぀いたら俺はベンチに人死んだように暪たわっおいた。
     あたりはもうだいぶ薄暗い。そしお、あのハゲの酔っ払いオダゞはもういなかった。

    しかし飲み過ぎた、
    それにクサダも臭すぎる  。

    俺はなんずか䜓を起こした。
    するず近くにいた幎配女性が腰を抜かさんばかりに埌にひっくり返った。

    たさか俺を本物のブロンズ像だず思っおた

     そしお、よくみるず駅前広堎のあたりに人がたくさん矀がっおいるのが芋えた。誰もがなぜか䞀様に慌おおいたし、隒いでいる感じだった。しかもたくさんの赀色灯がチカチカ点滅しおいた。よく芋るず近くにパトカヌや救急車がたくさん停たっおいた。
     さらに俺の前を䜕人もの譊察官や救急隊員らしき人が走っおいった。

    䜕か事件があったのだ。
    たくさんの譊察官が出動しおいた。

    これは倧量殺人事件たさかテロずか

    そんな物隒な考えも浮かんだ。

     俺は通りかかった女性に身振り手振りで䜕があったのか聞いおみた。しかし、䜕人かはブロンズ男が急に動いたのに驚いお逃げおいった。ようやく若い奥さんが盞手しおくれた。でも、やはりなかなか身振り手振りだけでは通じない。

     銖をかしげながら俺を芋おいた若奥さんは俺の身振り手振りが䌝わったのか、倧きくうなづいた。そしおなぜか財垃から円玉を出しお垜子に入れようずした。投げ銭を催促されたず思われたらしい。

    俺は『違う違う』ず倧きく腕を振った。

     若奥様は銖をかしげながら、今床は買ったばかりの倧根を出しお芋せた。

    腹は枛っおるが、それがほしいわけではない、
    俺は頭をかかえた。

     するず今床はバッグに手を突っ蟌み䜕かを取りだし満面の笑みで俺に芋せた。

    バファリンだった 。

    頭を抱えはしたが、頭痛ではない 、

    俺は呆れたように『違う違う』ず顔の前で手を振った。

     するず若奥様、うなづいお今床は満面の笑みで団扇を取り出し、俺の顔をあおぎはじめた。

    なんで団扇持っおるたしかに暑いが『暑い暑い』ず手を振ったわけではない 。

    俺は目の前のボヌドを手にずった。

    早くこうすべきだったのだ。

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     するず若奥さんがうなづきながら、ボヌドに答えを曞いおくれた。

    画像

    異臭隒ぎ

    それは、たさか  クサダのこずでは

    倒れおる犯人

    それはもしや、さっきの酔っ払いオダゞ

     俺は若奥様に頭を䞋げるず、すぐに人だかりをかき分け、その異臭の元、駅前広堎に近寄っおいった。

     前方にいくず芏制線が匕かれ、たくさんの防毒マスクをした人や譊察官がガヌドしおいた。

     その駅前広堎には倧小様々なオブゞェがいく぀かあった。その䞭心には裞䜓の女性が膝を぀いおお祈りしおいるようなブロンズのオブゞェがあった。
    その暪に男が倒れおいるのが芋えた。

    あのペレペレスヌツ、あのボロいカバン、その蓋が開いおいお、そこから食べかけの猶詰がチラッず芋えた。

    倒れおいたのはやはりあの酔っ払いオダゞだった。あれが異臭隒ぎの元凶だ。

    そしお裞䜓像の暪には猶酎ハむが本䞊んでいた。

    あの酔っ払いオダゞの姿が想像できた。
    オダゞはあの裞䜓像の女神ず仲良く飲んでいたのだ。そしお、クサダの猶詰をツマミに食い散らかしおいたのだ。

    でもピクリずもしおいない。
    たさか本圓に死んでる

    あの酔っ払いオダゞは死んだのか

    するずその死䜓がもそっず動いた。

    なんだ、酔っ払っお寝おいただけじゃないかよ。たったく人隒がせなオダゞだ。

     救急隊員に抱きかかえられなんずか起き䞊がった酔っ払いオダゞはただフラフラしおいお倒れそうだった。。

     結局、酔っ払いオダゞは救急隊員に担架に茉せられた。そしお人混みをかき分けながら運ばれおいった。

     その担架が俺のすぐ暪を通った。

     その瞬間、担架に寝かされおいた酔っ払いオダゞが俺を指差し、䜕かを叫んだ。
    䜕床も俺を指差し、䜕床も叫んでいた。

     それを芋た数人の譊察官が指さされた先、぀たり、俺を芋た。

    ダバむ、芋぀かった。

    でも、なんであの酔っ払い、俺を指さすんだよ、もう面倒はゎメンなんだよ 、

     俺はその時、人混みの埌、駅前広堎の端っこにいた。

     しかし、俺を芋た譊察官が銖をかしげおいた。
    䜕人かの譊察官も俺をゞロゞロ芋おいたが、やはり銖をかしげおどっかいっおしたった。

    どういうこずだ

    俺は隣を芋た。

    右隣には母芪に抱かれた赀ちゃんのがオブゞェがあった。
    俺はたたたたそのオブゞェの巊偎でピタリ静止、そしお抱かれた赀ちゃん像を撫でおいた。実際はただ酔いが芚めおいなくお、赀ちゃんの頭に぀かたっおいただけなのだが  、ずにかく俺はたたたた赀ちゃんを可愛がるお父さん像になっおいたのだ。

    酔っ払いオダゞが指差した先には仲睊たじいブロンズ像の俺達倫婊ず赀ちゃんしかいなかったのだ。それを芋た譊察官は酔っ払いの戯蚀だず思ったらしい。

    でも、もうあの酔っ払いず金茪際関わるのはゎメンだ。

    俺は譊察官がいなくなった隙にそっず逃げる事にした。

     人混みをかき分けながら、駅近の公衆トむレに玠早く駆け蟌んだ。そしお、ブロンズのりむッグを倖し、真っ黒のアフロヘアのりむッグを被リ、濃いサングラスず倧きなマスクをし、仕䞊げにブロンズ像の服を芆い隠す倧きな黒いコヌトに玠早く身を包んだ。これがい぀もの倉装スタむルだ。い぀もこの倉装スタむルで俺は仕事堎ずボロいアパヌトを行き来しおいるのだ。

    こうしおなんずかその堎を脱出した。

     倉装した俺の暪を譊察官が走り抜けおいった。

    譊察は嫌いだ。ホントに危ないずころだった。

     俺は至急退散するこずにした。
    ホントにこれ以䞊の面倒はゎメンなのだ。
    しかし、それ以䞊に倧問題があった。忘れおいたわけではない、今倜やっおくる借金取りだ

    しかし、蟺りはもうだいぶくなっおしたった。
    借金取りが諊めおくれるはずがない  。
    少しでも皌がなければ  。

     その埌も別の堎所で粘ったがたったくダメだった。

     酔いが冷めきらず、俺のブロンズ像はフラフラしたし、立ちながら寝おしたい、いきなりぶっ倒れたリもした。

     これではいけない、そう思った俺は、腰掛けるのにちょうど良い石碑の台座があったのでそこに座り、眠れる玳士像になった。ナむスアむデアである。

    そしお  、寝た。
    石碑にもたれお完党に寝た。

     最終的にはブロンズ像のたた、石碑の台座のそばで死䜓のように転がっおいた。そのたた䞀ミリも動かずに。たるで本物の圫像が壊れお台座から萜ちたみたいに、台座の暪で倒れおいたのだ。

     どれくらい寝おいたのかわからない、散歩䞭の柎犬にオシッコを顔にかけられおようやく目が芚めた。

     動いた俺を芋お柎犬ず飌い䞻の婆さんが飛び退いた。ブロンズ玳士の俺はペコリしながらその堎から逃げたのは蚀うたでもない。

    散々だった。

     その日は真っ暗になるたで頑匵ったが収入は結局、千円ちょいくらいずクサダの猶詰残り個だった。

     これで借金取りに半殺しにされる事が確定した。

     もうあたりは真っ暗だ。
    これではいくらなんでも仕事にならない。

     俺は恐る恐るボロアパヌトに垰る事にした。パフォヌマンス道具をたくさん入れた重いスヌツケヌスを匕きずリながらトボトボ垰った。
     疲れ果おおいた俺は顔のドヌランも萜ずさず、サングラスずマスクをしただけの姿だった。

    䞇が䞀、なにかの手違いで怖い借金取りも回収予定日を倉曎するかもしれないじゃないか  、

    垰る道すがら、ダメ男はそんな郜合のいい事ばかり考えおしたう。

     ようやく暗闇の先に俺の慎たしい寝るだけの我が家、階建おのボロアパヌトが芋えおきた。
     
    しかしなんおこずだ

     暗闇に人の男の圱が芋えた。チビデブの圱ずノッポの圱、い぀もの人組のデコボコ借金取りだ。圌らが埅ちくたびれお吞っおいたであろう䜕本目かのタバコの煙が俺の錻先にたずわり぀いおきた。

     やはり借金取りが埅䌏せしおいたのだ。
    俺の淡い期埅はあっけなく裏切られた。そもそも、そんな郜合のいい事なんお起こるわけがなかった。

    こうなったら逃げるしかない
    死んでも痛い目にはもうあいたくない
    そうだ、ずりあえず商店街の先の公園、そこの女子トむレに隠れよう

     俺はこっそり今来た道を匕き返した。
    しかし、重いスヌツケヌスを匕きずっお歩くわけにはいかない。こんな物を匕きずったりしたら想像぀かないがそれなりにすごい音かするはずだ。

    仕方ない、俺は重いスヌツケヌスを抱えお歩く事にした。が、やはり重すぎた

    案の定、躓いお転んでしたった

    ダバむ芋぀かる

     埌を振り返るず人の走っおくる圱が芋えた。
    そこは公園の手前、シャッタヌ商店街の倖れだった。

    もうダメだ、芋぀かる

     俺は芚悟を決めた。
    そしお、ブロンズ像を芆い隠す為に着おいたいた倧きなコヌトを脱ぎ、サングラスずマスクも倖し、それをスヌツケヌスにしたい、急遜、シャッタヌ商店街の街角でブロンズ玳士像になり、静止した。
     そこはちょうど朰れかけの青田玳士服店の前だった。
    俺はメッセヌゞボヌドも急いで曞いた。

     これでよし

    画像

     ブロンズ玳士像の俺は胞の前でこのメッセヌゞボヌドを持ち、ブロンズ颚ボルサリヌノを斜めに枋く被り、ニヒルなスマむルで静止した。

     静止した俺の目の前を人の借金取りが幞運にもドタバタず走り去っおいった。

    ず、思ったら戻っおきた。

    そしお、ブロンズ玳士像の俺が持っおいたメッセヌゞボヌドを疑い深そうに芋るチビデブ。

    画像

    ダバむ、気づかれる  。

     しかしチビデブは自分が着おいたスヌツをシゲシゲず芋぀め、埮笑んだ。
     そこぞ、近くを探しおいたのか盞棒のノッポがやっおきた。

     チビデブはシャッタヌの降りおいる青田玳士服店を指差し、なにやら隒いでいるようだった。

    『アルマヌニめっちゃ安いぞ明日買いにこようぜ』

    そんな口ぶりで借金取り人は話しあっおいるのだろう。

    バカな借金取りだ。

     人は『いいもの芋぀けたぜ』ずいう感じで満足そうに薄暗い商店街をたた先ぞ歩いおいった。

     俺はしばらく青田玳士服店の前で玳士像になっおいた。

    早く逃げたいが、奎らがい぀たたこっちに戻っおくるかわからない。

     その間も、䌚瀟垰りの酔っ払いサラリヌマンや倜遊び垰りの孊生達が俺の前を歩いおいった。そしお玳士像の俺が持っおいるメッセヌゞボヌドを芋おは䞀様にうなづいおいた。

    そろそろ移動しよう  。

     そう思ったら、たたしおも借金取りがこっちに戻っおきた。俺を探しにアチコチ回ったが、結局芋぀からず、仕方なくボロアパヌトで埅䌏せする事にしたのかもしれない。

     俺は再び玳士像になり、圌らが通り過ぎるのを息を朜めお埅った。

     借金取りはニタニタしながら俺の前を歩いお通り過ぎ、ボロアパヌトの方ぞ歩いおいった。

     するず前方から散歩䞭のお姉さんず秋田犬も近づいおきた。

    ダバむ、犬だ

    でもこんな時間に犬の散歩かよ。
    飌い䞻はハむミスっぜいお姉さんだ。ずいう事は  、たぶん仕事䞀筋のハむミスで垰りが遅いのだ。それで散歩はい぀もこんな遅い時間になっおしたうのだろう 。

    でもワンちゃん  、吠えるなよ、頌むから吠えるなよ  
    借金取りの奎ら、ただ近くにいるはず、
    気づかれたらダバむからね  、

     案の定、ブロンズ像玳士の俺をシゲシゲず芋぀める飌い䞻のお姉さんず秋田犬。

    『こんな所にブロンズ像なんおあったっけ』

    そんな衚情で俺を芋おいるハむミスお姉さん。

     そしお俺の匂いをクンクン嗅ぎ出した秋田犬。

    吠えるなよ  吠えるなよ  、

     そしおなんずペロペロしだした。
    俺の靎や足元にじゃれ぀いおきた。

    や や 止めろ  、

    心の䞭で叫んでも無駄だった。秋田犬は尻尟フリフリ、たったく止める気配はない。
    秋田犬だけは気づいおいた  、俺が圫像でないこずに  。

    『早く行こう!』ずリヌドを匕っ匵るハむミスお姉さん。
    それでもペロペロをやめない秋田犬。

    お姉さんがよそ芋しおいる隙に俺は秋田犬を怖い顔で睚んだ。远い払おうず目も芋開いた。

    逆効果だった。

    ビックリした秋田犬が口を倧きく開けお吠えやがった

    たずい

    たたらず、俺は玳士像のたた走リ去った。

     それを芋た飌い䞻のお姉さんが驚いたのは蚀うたでもない。

     お姉さんず秋田犬を眮き去りにしお倜のシャッタヌ商店街を走っおいくブロンズ玳士の俺。

     なんずか蟿り着いた公園の入り口で俺は商店街を振り返リ芋た。デコボコの圱が぀揺れ動くのが芋えた。

    ダバむ、芋぀かったかも  、
    秋田犬が吠えたせいだ

    それでも俺は必死に逃げた。

     そしお、今床は公園の女子トむレに䞀目散に駆け蟌んだ。借金取りもたさか男の俺が女子トむレに入るずは思わないだろう。俺は奎らの裏をかいたのだ。
     それにこんな重いスヌツケヌスをい぀たでも匕きずっお逃げる事なんおできるわけがない。俺は女子トむレの個宀にその重いスヌツケヌスを突っ蟌んだ。

    そしおしばらく女子トむレに籠もるこずにした。出来れば早く出たいが  。

     しかし、音が聎こえないので借金取りがどの蟺りを探しおいるのかがわからない。ただこの近くにいお、トむレの呚りで匵り蟌んでいるかもしれない。
     そうなるず、女子トむレから出おきた瞬間に埡甚ずなっおしたう。しかし、だからず蚀っおい぀たでも女子トむレに籠もっおいおも仕方がない。

     俺は意を決しおブロンズ像の姿で恐る恐る女子トむレから顔を出した。そしお男子トむレの入り口の方を芋た。公園の薄暗い街灯が男子トむレの入り口を照らしおいた。

    するず出おきた

    借金取りのチビデブだ

    奎らは男子トむレの䞭を探しおいたのだ。

     俺はすかさず銖を匕っ蟌め、再び女子トむレに籠もった。
     間䞀髪、ちょっずでも銖を匕っ蟌めるのが遅かったら芋぀かっおいた。

    危ない危ない  。

    ここはしばらく女子トむレの䞭で成り行きを芋守るしかない。

    今はもう倜の時くらいだろう。
    あず時間だけ我慢しよう。
    真倜䞭の時を過ぎたら借金取りもさすがに諊めおくれるはずだ。

    懲りもせず俺はそんな甘い期埅をしおしたう。

    ダクザずいうのはめちゃくちゃ執念深いずいうこずを嫌ずいうほど身に沁みおわかっおいるはずなのに 。

    それにしおも、腹が枛った。ずお぀もなく腹が  。

     個宀の䞭はい぀もの静寂に包たれおいた。俺は垞にそんな静寂の䞖界にいる。だが真倜䞭のこの時間は、静寂よりさらに静寂だった。

     そうしお円にもならないのに時間ばかり個宀の䞭で固たっおいた。

    そろそろ倧䞈倫だろう 。

     俺は空腹に耐えきれず、女子トむレから出る決心をした。 

    ゆっくり個宀のドアを開けた。


    ギャ〰〰〰〰〰

     目の前に黒い劖怪が珟れた
    しかも人珟れた
    髪もゞャラゞャラ長くお気持ち悪かった

    『アヌヌヌヌッ』

     あたりの恐怖に俺は口を倧きく開けお叫んでいた

     するず目の前の黒い劖怪人も目も口も倧きく開いお叫んで逃げるように女子トむレから出おいった。

    さすがの劖怪もブロンズ男に驚いたのか

    しかしなんなんだこのトむレは
    やっぱりトむレっおいうのはお化けずやらが出るもんなのか

    俺は恐ろしくなった。 
    たしかに真倜䞭だし、時間も時間だ、お化けが出おもおかしくないのだ。

    でもあの黒い劖怪はダマンバに䌌おいたような 、ず蚀っおも本物のダマンバなんお芋た事はないが 、

    ちょっず冷静になっお考えおみた。

    あの黒い劖怪  、あれっおもしかしおダマンバ  、ダマンバギャル

    最近流行りの顔面真っ黒のギャルかもしれない。それならTVで芋た事あるかも 。そうか、そうなのださっきの劖怪はダマンバギャルだ

     女子トむレの個宀からたさかのブロンズ像が出おきたら、しかもこんな真倜䞭に動いお出おきたら、そりゃさすがのダマンバギャルでも腰を抜かすだろう。
     しかし、い぀たでも女子トむレに籠もっおいるわけにはいかない。

     俺は再び女子トむレから恐る恐る顔を出した。

     蟺りはもう真っ暗だ。
    あの劖怪、いや、ダマンバギャルもどこかに逃げおいったようだ。

    もう誰もいない  。

    助かった 、
    借金取りも今倜は諊めおくれたんだ 。

     俺はすぐさた女子トむレに戻リ、スヌツケヌスを匕きずり出し、ボロアパヌトぞ歩き出した。
     その垰り道、無人のシャッタヌ商店街を歩いおいるず男の圱が぀揺れおいるのが芋えた。

    甘かった。

    奎ら、借金取りはやはり諊めおいなかったのだ。このたたでは芋぀かっおしたう。

    俺は再び公園に匕き返すこずにした。
    だが、背埌から人が远いかけおくる気配をビシビシ感じた。聟唖者ずいうのは音が聎こえない代わりにそういう気配だけは人䞀倍感じるものなのだ。

    もし捕たったら、たたゎミのように奎らに殎られ半殺しにされおしたう。

     俺は気配を消しおゆっくりゆっくり逃げた。なんずかもう䞀床女子トむレに逃げこむしかない。

     ようやく公園が芋える所たで蟿り着いた時、背埌の暗闇に぀の圱がたた芋えた。街灯に照らされ、その圱が倧きくなり、揺れながら埐々に近づいおくる。

    ダメだ、女子トむレたでは間に合わない

     俺はたたしおもシャッタヌ商店街の倖れ、青田玳士服店の前でポヌズをずった。急遜、街角のブロンズ像になったのだ。埮動だにしない青田玳士服店のブロンズ玳士像だ。

     薄暗い街灯が俺を、ブロンズの玳士を怪しく照らしおいた。

     そこぞ借金取り人組がりロりロしながらたたしおもやっおきた。そしお、チラチラ、ブロンズ像の俺を芋おいた。

     俺は芚悟を決めお今床も青田玳士服店のブロンズ像になりきっおいた。

     人組は銖をかしげながら公園の方ぞ走っおいった。

    やっぱりバレおない

     たしかに借金取り人組はこの蟺の商店街のこずなどあたり知らないのだろう。近所の人だったらこんな商店街の倖れ、青田玳士服店の前にブロンズ像があるのはおかしい  、っおなるはずだ。最も奎らはそんな事にはたったく興味がないのだず思うが。

    でも、どっちにしおも助かった。

    しかし、油断は犁物だ。い぀ここに戻っおくるかもわからない。俺は気を匕き締めおブロンズ像になりきった。

     この堎所からは芖界の倖れにさっきの公園を芋る事ができた。芋おいるず、借金取り人組がたた男子トむレに入っおいった。

    盞倉わらず銬鹿な借金取りだ。

     誰もいなかったのか、男子トむレから出おくるず、今床は二手に別れお探しにいった。

     チビデブの方がたた俺の近くをりロりロしだした。チビデブは怒らせたらホントにダバむ奎なのだ。前に前歯を䞀本折られたこずがある。

    ダバむ、

    チビが俺をゞロゞロ芋おる。

    俺はブロンズ像だ俺はブロンズ像だ、
    心の䞭で念仏のように䜕床もそう唱えた。

    銖をかしげるチビデブ。

    俺の額から脂汗が滲み出おきた。

    俺は薄目を開けおチビデブを芋おいた。

    やはりチビデブは俺をただ芋おいる。

    気づかれたか  、

    その時、蛟が俺の錻の䞊に止たった。

    たじか

    よく芋るず、俺は薄暗い街灯の真䞋にいたのだ。

     真䞊の街灯を䞊目遣いで芋るず蛟がわんさかいた。その䜕匹かがたた俺の顔に舞い降りおきた。

    気色悪かった。
    しかし動けない、耐えろ耐えろ、
    ク゜ッ、蛟が錻の蟺りをりロりロしやがる  、
    ダバッ、くしゃみ出そう  、

     チビデブが銖をかしげながら商店街の方を振り向いた。仲間が呌んでいたのだろう。

     俺はその䞀瞬の隙を぀いお錻先や顔に舞い降りおきた蛟を手に持っおいたボヌドで振り払った。

    うわぁどっか行けヌ

     するずチビデブがたた俺を振り返り芋た。
    俺は蛟を振り払っおいた手を䞀瞬で止めた。

    ダバッバレた  、

    銖をかしげるチビデブ。

     俺は蛟を振り払ったおかげでボヌドを持っおいた手の䜍眮がさっきよりだいぶ高くなっおいた。

     そこぞ背の高い盞棒ノッポが『こっちにはいなかった』みたいなゞェスチャヌをしながら戻っおきた。
     チビずノッポはなにやら話しながら、タバコを吞い始めた。

    蛟がたたやっおきた。

    ク゜ッ、俺は人組が公園の方を芋ながらタバコを吞っおいる隙に再び蛟を远い払う為に
    たたしおもメッセヌゞボヌドを振り回した。

    あっち行け

     急にノッポが振り向いた。

    『あっち行け、このク゜蛟』ずボヌドを振り回す俺  。

    今の動き、えっ、完党に芋られた  

     俺は瞬時に動きを止めたはず  。
    しかし、たたしおも手の䜍眮が違う。それに今床は被っおいたブロンズ颚のハットが顔をぶんぶん振ったせいで埌にずれおしたった。

    完党に最初のブロンズ像ずは違うポヌズだ。

    銖をかしげるノッポ。

    たじかコむツラ節穎なのか、この借金取り人組、チビずノッポの人は揃いもそろっお節穎なのか

     そしおチビデブも振り向いた。
    チビデブは䜕床も俺を睚むように芋おる。さすがに気づかれたかも  。

     するずタバコの煙をモクモク吐きながらチビデブが俺に近づいおきた。

    けむっ  、煙い  、
    俺は必死にむせるのを耐えた  。

     しかし、チビデブがモクモク吐いたタバコの煙を俺は吞い蟌んでしたった。
    そしお、その煙をたたらず錻から出した。少しず぀少しず぀出した。

    すヌっず俺の錻から立ち登る癜い煙  。

    䞇事䌑す
    さすがにバレた  。

     チビデブがニタニタしながら俺を芋た。

    俺は芳念した。
    間もなく半殺しに合うだろう。
    いや、借金取りをこんな倜䞭たで手こずらせた、ずなるず、そんな半殺しで赊しおくれるずは思えない。

    『俺はブロンズ像、俺はブロンズ像』虚しい念仏を唱えるこずしか出来なかった。

     するずチビデブがなにか蚀いながらブロンズ像の俺の足をトントンずたたきだした。

    『おめえは人間だろ』そんな感じでトントン俺のブロンズの靎を叩いおきたのだ。

     笑いながらノッポも近づいおきおやはり俺の右足をトントンたたいた。

    蛟がさらに俺の顔に舞い降りおきた。

    どうやら俺は鳩や蛟に奜かれるようだ。
    俺は薄目で芋぀める事しか出来なかった。

    そしおいよいよ俺の凊刑の時間になったようだ。

    恐怖で動けなくなった俺に借金取り人は笑いながらタバコを抌し付けおきた。

    俺の靎に  

    俺の靎を灰皿代わりにタバコを抌し付け、火を消した。そしお足元に捚おた。

     そしお人組はたた公園のトむレの方ぞ行った。

    チビずノッポ、圌らの目はありえないくらいの節穎だった。

    そしお、人組は女子トむレに入っおいった。

    俺はその幞運に感謝した。

    今や誰もいない、空っぜの女子トむレに探しに入っおいったのだ。

     しかし、奎らはどういうわけか知らないが、俺を本物のブロンズ像だず思っおいるらしい。あんなに䞍自然にポヌズが倉わったのに、たったく気づかれなかった。
     たしかにもう倜䞭で、薄暗い街灯だけではよく芋えないのかもしれないが  。
     そういうこずなら、ここでもう少し蟛抱しよう。い぀たた奎らが女子トむレから出おくるかもわからない。それにこんな真倜䞭でも探し回る奎らだ。諊める事は決しおないだろう。女子トむレにいない事がわかったらもう䞀床、今床は朝たで俺のボロアパヌトを匵り蟌むはずだ。そのくらい借金取りは執念深いのだ。

     ずいうわけで、俺は街灯の真䞋、青田玳士服店の前で蛟にたみれながらブロンズ像になった。

     するずそこぞあの黒い劖怪、いや、あのダマンバギャル人に連れられた譊察官が自転車に乗っおやっおきた。
     そしお、なにやら話しをしながら女子トむレの方ぞ歩いお行った。

     もしかしお、ダマンバギャル人は近くの亀番に駆け蟌み、女子トむレに䞍審者がいるず通報したのかもしれない。䞍審者ずは先皋遭遇したブロンズ像の玳士、぀たりこの俺だ。
     譊察官はダマンバギャルに促されお䞀緒に女子トむレに入っおいった。

     そこぞ偶然にも借金取りの人組、チビずノッポがちょうど女子トむレから出おきた。
     女子トむレの入り口で譊察官ず鉢合わせしたのだ。

     ダマンバギャルは借金取り人を指差し、隒いでいるように芋えた。

    『䞍審者は圌らよ』

    そんな感じで譊察官に䌝えおいるようだ。

     借金取りずブロンズ像の男はどう芋おもたったく䌌おも䌌぀かないが、ダマンバギャルにしたらどっちもどっち、たしおや真倜䞭の出来事、ブロンズ像の俺ず顔を合わせたのも䞀瞬だ。ハッキリ芚えおいる方がおかしい。だからこんな真倜䞭に倧の男が女子トむレに入っおいる、それだけで充分䞍審者になっおしたうのだ。
     お気の毒な借金取りデコボコ人組である。

     譊察官は借金取り人組に激しく詰め寄っおいた。人組も蚀い返し、なにやらめちゃくちゃ揉めおいるのが芋えた。

    ざたあみろ

     ずころが揉み合っおいた借金取りは譊察官を振り切っお逃げだした。

     するず譊察官はダマンバギャル人を眮き去りにしお借金取りを自転車で远いかけお行っおしたった。

     しかし、なんおいう幞運なのか  。
    譊察官が借金取りを远い払っおくれたのだ。

     するず、ダマンバギャル人が歩いお俺に近づいおきた。
    そしおブロンズ玳士像の俺を芋぀めおきた。

     ゞロゞロ芋぀めおきた。

     人のダマンバギャルは笑いながら俺を芋おいた。そしお銖をかしげた。

    ダバッ、俺を思い出した

    女子トむレで遭遇したブロンズ男の顔、『どっかで芋たかも〜』そんな感じで思い出したのか

     するず人のダマンバギャルがなぜか俺に觊っおきた。嬉しそうに觊っおきたのだ。そしおあろうこずか、俺のブロンズの腕に腕を絡たせおきた。もしやダマンバは玳士がお奜きなのかたしかに俺は今、玳士颚のブロンズ像だが  、

     するずもう人のダマンバギャルが笑いながら『写ルンです』をポケットから取り出し、ダマンバギャルずブロンズ男のツヌショットを撮りだした。蚘念写真でも撮る぀もりなのだ。

     パシッパシッ、

     シャッタヌ音は聞こえないが䞀枚撮るごずにダマンバギャルはポヌズを倉えおきた。

    ダバむ、動けない  。

    ダマンバは今床は巊腕にぶら䞋がり、足をぶらぶらさせおきた。

    お、重い
    だが動けない    、
    俺は耐えた  、

    ダマンバ、重すぎんだろ
    俺の巊腕はプルプルしおいた。
    しかし、それだけでは終わらなかった。

    ダマンバギャルの唇が『キスの緎習しよう』そう芋えた。

    嘘でしょ

    嘘ではなかった。

     ダマンバは目を瞑りながらあの黒い顔を近づけおきた。そしお俺の唇にキスしおきた。
    逃げられるわけがなかった。

     写ルンですで撮っおいるもう人のダマンバギャルは『キャ〜』っおな感じで倧盛䞊がリだ。

    耐えた  。

     俺はダマンバギャルにキスされた。
    䜕床も䜕床もキスされた。しかし、舌の䟵入だけは口をき぀く閉じ、呜がけで阻止した。唇が舐められおもそのくすぐったさに耐えた。その堎面を写真にたくさん撮られた。

    耐えた  。

     そしお、写真撮圱を亀代しおもう人のダマンバギャルずもめでたくキスをした。

    耐えた  。

     ダバむ事にもう人のダマンバギャルはふざけお俺の股間を觊っおきた。

    耐え    、耐え    、られな  、

     情けなくも反応しおしたった。

     もうダメだ  。

    ダマンバギャルの唇が『銅像っお硬いね』ず蚀っおいた。

     ひずしきり、ダマンバギャルは蚘念撮圱に倧忙しだった。そしお、倧盛䞊がリのたた、笑いながら垰っおいった。

     街灯の䞋に俺は蛟ずずもにポツンず取り残された。

    しかし、今日はなんお日だ

    いろいろな事がありすぎた。

     だが、逆にこれほどの幞運もないかもしれない。なんず蚀っおも、譊察官が怖い借金取りを远い払っおくれたのだ。それもこれも玳士奜きのダマンバギャルのおかげだ。

     俺はおかけでボロアパヌトに無事垰る事が出来た。
    ずりあえず、今倜は生き延びたようだ。

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     翌朝、青田玳士服店の前にダマンバギャルが再びやっおきた。
    しかし、そこにあるはずの、あのブロンズ玳士像は消えおいた。
     ダマンバギャルは昚倜キスした自分の唇を觊っお銖をかしげた。その唇は蚀っおいた。
    『あれは倢』

     そしお、その開店前の青田玳士服店の前にはたくさんのお客さんが行列を䜜っおいた。その先頭にチビデブがいた。


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     俺は恋をした。
    叶う事のない恋、片思いだ。
    圌女を芋た時、俺は䞀瞬で恋に萜ちおしたった。
    その圌女は盲目の女の子だった。

    盲目の女性に恋する物語ずいえば 。

     幎公開のモノクロ、音声のたったくないサむレント映画の傑䜜、チャップリンの【街の灯】だ。チャップリン映画の䞭でも番奜きな映画だ。
     それは、チャップリン挔じる浮浪者が矎しい花売り嚘に叶わぬ恋をしおしたう、笑っお泣ける、感動的なサむレント映画だ。
     もっずも聟唖者の俺にずっおは日垞がサむレント映画の䞖界にいるようなものだが  。

     あれはゞメッずした空気が肌に纏わり぀いおいた月のある日の倕暮れ時だった。

     俺はい぀ものように、ブロンズ男の仕事を終え、重い荷物を匕きずり駅たで歩いおいた。
     もちろん、ブロンズ男のたたでは䞍審者そのものだ。䟋によっおブロンズに染められた衣装の䞊に倧きめのコヌトをたずう。暑いが我慢するしかない。そしお、アフロのりむッグを被り、仕䞊げに顔の倧半が隠れおしたう倧きくお濃いサングラス、倧きめのマスクをしおいた。
     これでもただ怪しい人に芋えるかもしれないがブロンズ男よりはマシだ。なんずか電車には乗れるだろう。
     その栌奜で俺は駅に向かっお歩いおいた。駅前にはたくさんの人々が行き亀っおいた。そんない぀もの垰り道だった。

     駅近の歩道で人の女の子がスタンドマむクで歌っおいる姿が目に入った。もちろん俺にはその歌声はいっさい聎こえない。

     圌女はゞヌンズに癜いシャツ、そしおトレヌドマヌクなのかサングラスをしおいた。䜓の小さな圌女は倧きなギタヌを抱えるように掻き鳎らし、口を倧きく開け、䞀生懞呜歌っおいた。リズムを取るためにステップを螏み、その床に黒髪が揺れた。
     その圌女の右暪には黒いラブラドヌルが倧人しく座っおいた。

    なんお可愛い女の子ずワンちゃんなのか 。

    俺は、歌も聎こえないのに立ち止たるようになり、い぀しか遠くから圌女を芋るようになっおいた。

     数回芋おいおわかった事があった。
    䞀生懞呜歌っおいる圌女の前にはお客さんが少ない、い぀芋おも、みな忙しそうに通り過ぎおいくだけなのだ。
     運良く芋いだされおデビュヌできる人なんおほんの䞀握りなのだろう。

     俺は圌女に䌚いたくお、甚もないのにこの駅前にきおは圌女を芋るようになった。歌声なんお聎こえないのに聎こえるような気がした。

     次第に近くで芋るようになった。

     そんなある日、俺は぀いに投げ銭をした。圌女が足元に眮いおあるギタヌケヌスに円玉を投げ入れたのだ。
     それに気づいたのか、圌女がちょこんずお蟞儀をしおくれた。サングラスに隠れお圌女の目は芋えなかった。でも、その仕草、その埮笑み、すべおが可愛かった。

    圌女は代前半くらいだろうか、
    あの幎霢だずデビュヌはもう厳しいのだろうか 。

    その埌も立ち止たるお客さんは少なかった。

    俺はそんな圌女を応揎したかった。

     それからもほが毎日、倕暮れになるずこの駅前に来お圌女を探した。圌女は週に、日はここで歌っおいた。

     俺は圌女の歌を聎いた。
    もちろん䜕も聎こえない。
    でも圌女の歌声を感じた。
    圌女の息吹、圌女の汗、圌女のリズムを感じた。
    聎こえないのに手拍子した。
    圌女のギタヌを匕く指先に合わせお、圌女がリズムを取っおステップを螏むのに合わせお手拍子した。

    テンポがちゃんず合っおいるかなんお関係ない。その時間が心から楜しかった。

    音楜っお聎こえおいなくおも楜しい、玠晎らしい

     ある日、俺は思い切っお千円札を投げ銭した。チラッず芗いたギタヌケヌスの䞭にはお金があんたり入っおなかった。

    圌女の歌はあんなに玠晎らしいのに 。

    聎こえもしないのに俺はそう思った。

    もっずもっずたくさんの人に聎いおもらえれば圌女の玠晎らしさがわかるはず  。

    そんな悔しい気持ちでいっぱいだった。


    スタンドマむクの手前にい぀も眮かれおいたメッセヌゞで圌女の名前を知った。 

    画像

    むラスト入りの可愛いボヌドだった。
    それで圌女ずワンちゃんの名前がわかった。

    圌女の名前はココ。
    そしおワンちゃんのモモ。

    なんお可愛いい名前なんだ。
    『私はココにいるよ』
    そう呌びかけおいるように感じた。

    かわいすぎる名前もかわいい党郚かわいい

     俺はたすたす圌女のファンになった。そしお自分の倧道芞の少ない皌ぎの䞭から出来るだけ投げ銭するようになった。

    男のバカな恋ず思われおもいい、
    恋人になんかならなくおもいい、
    俺のような聟唖者、䜕事も半端な男、たしお俺のような前科者が圌女の恋人になれるなんお元々無理な盞談だ。そんな事は癟も承知しおいる。ただ芋おいるだけでいい。

    俺は圌女を応揎する事に決めた。
    圌女の為にもっずもっず投げ銭したい、
    その為にはもっずたくさん皌がなければ  。

    俺は昌のパフォヌマンスの時間を倧幅に増やした。

    その努力は早くも報われた。

    ものすごい幞運が蚪れたのだ。

     その日、俺は初めおの堎所、初めおの駅前でハットを被った玳士の圫像になりきっおいた。でも倕方たでの皌ぎはむマむチだった。
     蟺りも倕暮れに染たり『今倜も発泡酒か 』そう諊めかけおいた倕方時過ぎだった。

     仕事垰りっぜいサラリヌマン颚の男が投げ銭入れの垜子になんず財垃を投げ入れたのだ。

    千円札、五千円札ではない、
    財垃そのもの、財垃たるごずだ

    でもたじか

     俺は呆気にずられながらもちょこんずロボット颚にお蟞儀しお芋せた。するずその男はニダリ笑っおすぐに人混みに消えおしたった。䞀瞬だった。その神様みたいなサラリヌマンはあっずいう間に雑螏に消えた。

     しかし、あの男性はい぀から俺のパフォヌマンスを芋おいたのだろう

     俺は近くに寄っおくる人々は垞に芳察しおいた。そのお客さんの反応を芋ながら、わざずちょっず動いお芋せたりする。
     䟋えばお客さんがちょっず埌を振り向いた瞬間に持っおいる杖でそのお客さんの肩を軜く叩く、ビックリしたお客さんがキョロキョロする、その反応を芋おいた呚りのお客さんがクスクス笑ったりする  。そんな面癜い挔出も出来るのだ。
     だから垞に呚りを芳察しおいた。投げ銭しおくれたお客さんはどの蟺で芋おいたのか、どんな反応をしおいたのか、だいたいわかった。
     しかし、さっき、財垃ごず投げ入れたサラリヌマンには党然気が぀かなかった。 

     でもそんな事はもうどうでもいい。
    きっずちょっず遠くで芋おいたのだろう。
     それにしおも財垃ごず投げ銭するなんお倪っ腹なお客さんもいるもんだ。たるで神様だ。たしかに䞍芁になった叀い財垃なのかもしれない。でも財垃ごず投げ入れられたのは初めおの経隓だった。

     俺はすぐさた䌑憩をずっお興奮しながら財垃の䞭身を確認した。

    ものすごい倧金が入っおいたらどうしょう
    いやが䞊にもそんな期埅が膚らんだ。

    そしお  。

    䞭身は空っぜだった  。

    なんおこずはない、あのサラリヌマンは神様でもなんでもなかった、ただ叀い財垃を投げ捚おただけなのだ

    ク゜ッ、期埅させやがっお
    垜子はゎミ箱じゃない
    俺はバカにされたのだ。

     頭にきたのでその財垃を、その日の倜に近くの質屋に持っおいった。
     グッチかなんか知らないがかなり叀そうだし、それでもずりあえず数癟円にでもなればいい  。そんな軜い気持ちだった。

     質屋の高霢のペボペボ爺さんがその財垃を䜕床もひっくり返しながら拡倧鏡で顔をしかめお芋おいた。
     そしお、ゞロっず俺の方も芋お、ブツブツ䜕か独り蚀を呟いた。しかし、ブツブツすぎお唇がたったく読めない。

    きっず『こんなショボい物、持ち蟌むんじゃないよ』そう蚀っおるような気がした。

     そのペボペボ爺さん、たた財垃を芋たかず思ったら銖をかしげおたたたた俺を芋た。そしおたたたたブツブツ独り蚀。

     もしかしお、アフロにサングラスの俺が怪しく芋えたのだろうか。もしかしなくおも充分怪しいが  、俺はたずもな人間だずいう事を身振り手振りでアピヌルした。

     するずペボペボ爺さんが俺の目を䜕床も指差した。

     サングラスを倖しお顔を芋せろ、ずいうこずらしい。

    それはたずい、非垞にたずい、なぜなら俺の顔は濃い茶色、぀たりブロンズ像そのものだからだ。

     するずペボペボ爺さん、やはり口からマスクも取れ、ずいうようなゞェスチャヌもしおきた。
     たすたすたずい、マスクを倖したら顔面ブロンズ男が登堎しおしたう。こんな所で公開するのはたずい、それではあたりに怪しすぎるからだ。
     でも、俺は考え盎した。だっおそうだろう、俺はなんにも悪い事はしおいないもらった財垃をただ換金しようずしただけだ。
     俺は意を決しおサングラスをずり、マスクを倖した。

     ペボペボ爺さんが怅子からひっくり返った。その堎で  。

     俺は急いでペボペボ爺さんから財垃を奪い返すず、質屋を飛び出した。そしお倜の人混みに玛れた。

    ク゜ッ、なんで逃げなきゃならない
    そう思ったがどうしょうもない。

     そしお、俺は急いでボロアパヌトに垰り、ブロンズ颚のドヌランを分かけお綺麗に萜ずし、ブロンズ衣装を脱ぎ捚お、カゞュアルな普段着に着替え、今床は別の質屋ぞ行った。その質屋はさっきのペボペボ爺さんより、はるかにペボペボだった。持ち蟌んだ財垃を芋ながらその超ペボペボ爺さん、拡倧鏡を芗きながら途䞭で寝おいたし  。質屋の業界も埌継者問題で悩んでいるのかも  そんな事たで考えおしたった。そしお  、

    奇跡が起きた

    その超ペボペボ爺さんからなんず䞇円もらったのだ

    よくわからなかったがあれはすごいレアなブランド財垃だったのだなんおラッキヌなんだあのサラリヌマンは神様だった。俺はこの信じられない幞運に感謝し、心の興奮を芋せない様に小躍りした。そしお、その䞇円をビニヌル財垃に即したい、逃げる様にその堎を離れた。
     もしかしお超ペボペボ爺さんが千円ず間違えお䞇円枡したのかも  。それくらいの超ペボペボ爺さんだったのだ。

    間違いに気づかれないうちにずっずずこの質屋を離れるのみだ 

    俺は人混みをすり抜け、走っお逃げた。


     そしお、次の日から、このお金のほずんどをココちゃんに投げ銭した。䞀床に党郚ではない。毎回少しず぀少しず぀だ。
     ココちゃんはい぀もちょこんず必ずお蟞儀をしおくれた。

    嬉しかった。

    でも、それだけではただ足りない。
    もっずもっず応揎したい

     俺はパフォヌマンスで䜿うメッセヌゞボヌドに応揎メッセヌゞを曞いお芋せる事にした。

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     俺はそのボヌドを振りながらココちゃんを応揎した。しかし、圌女はそのボヌドにはいっさい反応を瀺さなかった。

    やりすぎたのかな 、これは迷惑なんだろうか

     よく考えたら、パフォヌマンス垰りの俺は暑いのに黒いコヌトを着おサングラスにマスク姿だ。

    普通に考えたら怪しすぎる。

    これでは、危ない奎、ず思われおいたずしおもしかたがない。倉な奎に目を぀けられた 、䞋手したら、あのサングラスの男っおストヌカヌかも  、なんお勘違いされ、怯えおいるのかもしれない。 

    こんな応揎、あたりやりすぎない方がいいかもしれない。

    それでも俺は圌女の近くにいたかった、圌女を芋おいたかった。だから次からは投げ銭する時だけ近づくようにした。そしお、投げ銭をしたらすぐその堎を離れた。

     俺はその埌も投げ銭をやり続けた。
    日に日にその金額は倧きくなっおいった。
    あの䞇円もあっずいう間になくなった。
     それからは唯䞀の楜しみだったビヌルも控えお投げ銭に出来るだけ回した。
     圌女は俺がギタヌケヌスに投げ銭する時だけ、い぀ものようにちょこんずお蟞儀をしおくれた。
     所詮、お金なのか  、そんな淋しい気持ちになる時もあったが、それでも圌女の事が奜きだった。

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     それからも俺は投げ銭をし続けた。

     最近は圌女の暪に倧人しく座っおいる黒いラブラドヌルのワンちゃん、モモの為にず、ドッグフヌドも投げ入れるようになった。それを芋たモモもなんだかお瀌をしおいるようにうなづいおくれた。

     でも、い぀芋おもギタヌケヌスの䞭には投げ銭はほずんど入っおいなかった。

     その日もい぀ものように投げ銭をしお、すぐその堎を離れようず立ち䞊がった。

     するずいきなり圌女に腕を掎たれた。

    俺は慌おた

    圌女に怒られる

    なぜかわからないがそんな気がした。
    だからすぐに謝った。ずにかくペコペコ頭を䞋げながら䜕床も謝った。

    危ない男に付きたずわれおいる 圌女はそう思っおいるかもしれないのだ。

    ただ聟唖者の俺は䞊手く喋れない。圌女にはそんな俺の呻くだけの謝眪がどんな颚に聎こえおいるかわからなかった。それはただの呻き声、それならただいい、最悪、怪物が唞っおいるような䞍気味な音かもしれない。

     うなだれながら圌女から離れようずするず、圌女に俺の服の袖を䜕床も匕っ匵られた。

     なにか䌝えたい事があるらしい。でもそれはたぶん、最終譊告、立ち入り犁止宣告に違いない。
     よく考えればわかるこずだ、こんなサングラスにマスク姿、しかもク゜暑いのにコヌトを着おいる䞍審者のような男が圌女の近くを毎回毎回りロりロしおいたら、他のお客さんだっお寄っおこない  、
     そうなのだ、俺は䞍審者、邪魔者なの、圌女の敵なのだ。

     俺はうなだれながら恐る恐る圌女の口元を芋た。圌女はしきりに䜕かを叫んでいるようだった。その唇が芋えた。

    『埅っお埅っお』

    そうも芋えたが  、ハッキリずは芋えない。
    もう䞀床口元をよく芋た。

    『ありがずう、い぀もありがずう』

    今床はそう蚀っおいるのがハッキリ芋えた。

     そしお圌女はワンちゃんを呌んだのか、黒いラブラドヌルがのっそり立ち䞊がり、俺のそばたで来た。
     圌女はラブラドヌルのモモを撫でた。そしお、掎んでいた俺の腕をモモの頭に導いた。

     ラブラドヌルを撫でおあげお、そんな感じだ。

    俺は恐る恐る撫でた。
    倧人しくおかわいいワンちゃんだった。

    そしお気づいた

    その黒いラブラドヌルにはハヌネスが付いおいた。
    盲導犬だったのだ。

    ずいう事は、圌女は盲目。
    圌女は盲目の路䞊シンガヌだったのだ

    だから俺が曞いお芋せた応揎メッセヌゞには䜕も反応しなかったのだ。

    俺は避けられおいたわけではなかった。
    怪したれおいたわけではなかった。

    しかし、こんな事になんで今たで気が぀かなかったんだろう。よく芋ればすぐわかったはずなのに  。

    圌女の口元をもう䞀床芋た。
    かわいい圌女の唇が動く。柔らかい唇が埮笑みながら動く。

    『ありがずう、たた来おね』

    そう蚀っおいるのがハッキリ芋えた。

    もうそれだけで充分だった。
    どのみち、俺の恋心が実るはずがないこずは癟も承知しおいた。俺はうだ぀の䞊がらないその日暮らしの倧道芞人の端くれ、しかも前科持ちだ。さらに圌女は代前半の若さだ。もう半ばも近いくたびれた男なんお錻から盞手にされるわけがない。だから近くで芋おいるだけで良かった。それだけで幞せだった。

     するず圌女は俺の䜓を觊っおきた。俺は固たっおしたった。圌女のなすがたただ。服の䞊から腕、そしお顔、顎、耳、錻、唇を順番にやさしく確かめるようにゆっくりゆっくり觊っおきた。

     圌女の唇が可愛く動いた。

    『芚えたわ』

     そう芋えた。

     するず、そこぞ代くらいの若い男の人がやっおきた。
     その若者はカラフルなスタゞャンに今流行りなのだろう、ヒザ䞋に砎れがあるダメヌゞゞヌンズを穿いおいた。しかも尻たで䞋げお履いおいた。

     そのスタゞャン男は圌女の頭をポンポンするず『調子はどう』みたいな感じで、さらにお尻も圓たり前のように撫でおいた。
     なんだか圌女も埮笑んでいお嬉しそうに芋えた。

    そうなのだ
    圌女にはちゃんず圌氏がいたのだ。
    あんなにかわいい圌女だ、圌氏がいないはずがなかったのだ。

     スタゞャン男はタバコに火を぀けながら圌女ず笑いながら談笑䞭だ。
     
    これではお邪魔虫になっちたう。

    俺はもう垰ろうず立ち䞊がった。

     するず、スタゞャン男が俺に話し掛けおきた。
    しかし、早口すぎお唇が読めない。
    その衚情は笑っおいるようだが、怒っおいるようにも芋えた。

     俺は戞惑った。
    でも、圌氏も登堎したこずだし、俺がい぀たでもこの堎所にいるのはおかしい。そう思い、ペコペコしながら退散しようずした。
     しかし、垰ろうずするず、たた圌女に腕を掎たれた。

     圌女の唇が『埅っお』ず蚀っおいた。

     その暪でスタゞャン男がギタヌケヌスから俺が先皋、投げ銭したばかりの千円札を掎み、その千円札を俺の目の前で䜕床も䜕床も振っお話し掛けおきた。

    やはり早口すぎお蚀葉が芋えない。

    スタゞャン男の唇は『この五千円はお前か』そう蚀っおいる、ず掚枬した。だが合っおいるかはわからない。

    たしかにギタヌケヌスの䞭にお札は千円札枚しか入っおなかった。それは俺が投げ銭したものだ。圌女にはわかっおいたのかもしれない。

     でも俺は戞惑い銖をかしげた。

     するず、スタゞャン男が自分の耳を䜕床も指差し、さらに顔の前で倧きなバッテンマヌクを䜜る動䜜をした。

     銖をかしげおいるず、スタゞャン男はその動䜜を䜕床も繰り返した。最初に俺を指差し、さらに、

     耳、バッテン、耳、バッテン、耳、バッテン、そのゞェスチャヌを繰り返した。

    それでわかった。

    『お前、耳、ダメ』

     スタゞャン男が䜕を聞いおも俺が銖を傟げ、たずもな蚀葉も話さないので、きっず気づいたのだろう。俺が聎芚障害者だずいうこずに  。

     俺はうなづいた。

     するずスタゞャン男は倧笑いした。
    そしお、圌女にその事を䌝えおいるようだった。

     するず、圌女は気配がするのか、俺の方を振り返りちょこんず頭を䞋げた。䜕床も䜕床も頭を䞋げた。
     
    千円くらい、どうっおこずない、
    そんなに感謝されおも  、これは俺が奜きでやっおいるだけなんだから  。

     俺は思い぀いおボヌドにメッセヌゞを曞いおスタゞャン男に芋せた。

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     圌女に俺のメッセヌゞを䌝えおほしかったのだ。

     それを芋たスタゞャン男がなぜか今床は怒ったように俺のボヌドをひったくり、消しおから䜕か曞いお俺に芋せた。

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    『違う違う』俺は銖を倧きく䜕床も振った。
     
     俺はスタゞャン男に誀解されおいた。
    䜕床もオヌバヌアクションで『違う違う』ずゞェスチャヌしお誀解を解こうず焊った。

     スタゞャン男は怪蚝な顔で再びメッセヌゞを曞いお俺に芋せた。

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     奜きだ  。ココが奜きだ  。

     俺は唖然ずそのボヌドを芋぀めおいた。そしお䞀瞬『うん、奜きだ。』そう、うなづきそうになった。

    スタゞャン男が詰め寄っおきた。

     俺は我にかえっお、慌おお吊定した。オヌバヌアクションで『違う違う、そんなんじゃない』そう䜕床も䌝えた。

     スタゞャン男がそのむケメン顔を俺の顔の真ん前たで近づけおきた。そしお俺のサングラスが倖された。

    目を芋開くスタゞャン男、

    俺の茶色いブロンズ顔が芋られおしたった。ただブロンズ像のドヌランが完党に萜ずし切れおいない、怪しいブロンズ男そのものの顔をスタゞャン男に芋られたのだ。

     スタゞャン男が笑いながら怒り出したのがわかった。『やべえや぀』スタゞャン男の唇がそう怒鳎っおいた。

     俺はボヌドを奪い返し、玠早く曞いお芋せた。

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     それでもスタゞャン男は疑わしい目を俺に向けお眵っおきた。

     圌の気持ちもわかった。
    音楜も聎こえないのに、高額の投げ銭たでする人なんおいない、これでは䞋心があるず思われおもしかたがない  。さらにその男は顔がブロンズ颚の倉な男なのだ。

     俺に詰め寄り眵るスタゞャン男に圌女が䜕か叫んでいるのが芋えた。そしお、俺を眵るのをやめさせようずしおなのか、スタゞャン男の腕を匕っ匵っおいた。

     そしお圌女は、俺の気配のする方を芋お䜕床も頭を䞋げた。
     そしお、手で䜕か曞くゞェスチャヌをした。

     耳の聎こえない俺に筆談で䜕かを䌝えたいらしい。

     俺はさっきのメッセヌゞを消しおから圌女にボヌドを手枡した。
     圌女はそれを手探りで受け取り、手探りで文字を曞き始めた。

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     俺はそのボヌドを返しおもらうず、駅の改札たで逃げる様に走った。嬉しいのず、圌氏がいるんだ  、ずいうショックな気持ちがない混ぜになっおいた。
     そしお、俺が蚀葉もたずもに話せない聟唖者だずいう事が圌女に぀いにバレおしたった。
     これで俺がただの傍芳者ずいう立堎が決定的になった。
     それでも俺は圌女を芋おいたかった。

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     俺は昌のパフォヌマンスを終え、たたい぀ものようにココちゃんの路䞊ラむブを芋に来おいた。もちろん、ブロンズ像の自分を隠す為に黒い倧きなコヌト、アフロのりむッグ、サングラスにマスクずいう怪しい姿だが  。

     比范的早めの時間だずスタゞャン圌氏は珟れない。だからい぀もより少し早めに行った。

     そしお、䞀生懞呜歌っおいる圌女の足元、ギタヌケヌスに近づいた。
    今日もなけなしの千円札枚ずドッグフヌドを入れるのだ。

     その時  、

     こっちに譊察官が近づいおくるのが芋えた。その暪にはペボペボの爺さんがいた。
    その爺さんはしきりに俺を指差しおいる。

    なんなんだ、あの爺さん
    俺に甚があるのか

     俺は爺さんをサングラスの䞭から泚芖した。

    あれっ、あの爺さん、どっかで芋た事あるかも

    あっ、あのペボペボ爺さんは質屋のじじいだ

    嫌な予感がした。

     俺は急いでギタヌケヌスになけなしの千円札枚ずドッグフヌドを投げ銭した。

     圌女がペコリずお蟞儀をした。

     そしお、俺は急いで立ち去ろうずした、

     遅かった  、

     譊察官が俺の肩をたたいた。
    そしお、職質がスタヌトした。
    隣でペボペボ爺さんがなにか喚いおいる。
    近くにいたココちゃんがこっちの気配に耳をそばだおおいるようだった。

    これは気たずい  。

     耳が聎こえない為、なかなか話しが通じない俺を芋お譊察官が苛立ちを芋せた。俺が䜕を聞かれおも知らんぷり、無芖しおのらりくらり譊察の質問をかわしおいるように思われおいたのだ。
     だが俺は必死のゞェスチャヌで自分が聟唖者であるこずを䌝えようずした。しかし、やればやるほど、若い譊察官は頭にきおいるようだった。俺が聟唖者だ、ずいうのは、逃げ切る為の口実、譊察をバカにしおいる、そう思われおいたのだ。

    これはもうコント、䞉文芝居だった。

     するず偎で聞いおいたココちゃんが若い譊察官に声を掛けた。譊察官はココちゃんずなにか話し始めた。
     ココちゃんは『俺が本圓に聟唖者だ』ずいうこずを䌝えおいるのがわかった。

     譊察官がもう䞀床俺に向き盎り、なにかペンで曞くゞェスチャヌをしおきた。
    筆談したいらしいこずがわかった。

     ココちゃんのおかげでようやく俺が聟唖者だずいう事を信じおくれたようだ。

     俺はい぀ものボヌドを譊察官に枡した。
    譊察官がなにか曞いお俺に芋せた。

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     俺は唖然ずそのメッセヌゞを芋぀めた。

    あれれ、俺  、もしかしお疑われおる
    しかもスリ  スリっお䜕

     譊察官は疑い深そうに俺を睚むずもう䞀床ボヌドを、今床は曞いたばかりのメッセヌゞをコンコンたたきながら芋せおきた。

    なんおこずだやはり俺はスリの犯人ず勘違いされおいる

    なぜ
    どうしおこうなる

    もしやあのグッチのレア財垃 あの時の 。

    ペボペボ爺さん  質屋の爺さん  

    なんずなく状況がわかっおきた。

     俺は必死に吊定した。これは誀解だ  。あたふた吊定した。吊定すればするほど怪しく思われた。

     しかし、萜ち぀いおよく考えればわかるこずだった。
     あの日、スリの犯人は䞭身だけ抜いお、財垃だけ投げ銭しおいったのだ。぀たり、あの日、あの時、䞀瞬珟れた神様、いやサラリヌマンこそがスリの犯人だったのだ。

     ペボペボ爺さんの唇は『この人で間違いない』ハッキリそう芋えた。

     俺は身振り手振りで必死に『違う違う、俺はスリじゃない』そう蚎えた。

     だが、䜕をどうやっおも無駄だった。
    盗品の財垃を質屋に持っおいったのは事実なのだ。そしお、その姿をペボペボ爺さんにハッキリ芋られおいたのだから  。

     俺はその堎で捕らえられ、譊察官に連行されおしたった。それも圌女の目の前で  。
     そしお、譊察官ずペボペボ爺さんの䌚話は圌女の耳にも聎こえおいたかもしれない。

     これで圌女に、俺はチンケなスリ、しょうもないこそ泥、ゎミ以䞋の人間だず思われおしたったこずだろう。

     振り返るず、圌女の顔が泣きそうに芋えた。


     そしお日埌、俺は疑いが晎れおなんずか釈攟された。

     しかし、こんなこそ泥が路䞊ラむブの応揎なんおしおいたら圌女にもきっず迷惑だろう。それに圌女にはれっきずした圌氏もいるのだ。どのみち勝ち目のない恋、未来など望めない恋だったのだ。

     しかし、それでも、どうしおもこんなクズ男でも、俺は圌女を芋おいたかった。

     だから俺は遠くから圌女が歌う姿を芋るようになった。ただし今たでのようなパフォヌマンス垰りの怪しい姿ではない。ボロアパヌトに䞀旊垰り、分かけお䜓のドヌランを萜ずし、ブロンズ像から出来るだけ普通の人間に戻るようにした。そしお、普通の服に着替え、圌女の近くに珟れたのだ。その為に、い぀もよりだいぶ早くパフォヌマンスの仕事を終える必芁があったが  。それでも時間が遅くなっおしたい圌女の路䞊ラむブも終盀に芋る事が倚くなっおいた。

     でも玠顔なら近づいおも気づかれないはずだ。

     俺は圌女に呌び止められないように、圌女がただ歌い終わらないうちに、ギタヌケヌスに近づき、投げ銭やドッグフヌドを投げ入れ、そしお、逃げるようにその堎を立ち去った。

     背䞭にココちゃんがなにか呌んでいる気配は感じたが、気づかぬフリで立ち去った。

     駅の入り口手前で振り返るず、圌女はただ歌っおいた。
     立ち止たるお客さんはほずんどいないようだった。
     
     圌女も苊劎しおいるのだろう。
    盲目のシンガヌ、ただそれだけで売れるほどその䞖界は甘くないのだ。だからこそ、もっず近くで応揎したい。でも俺に出来るのはチマチマ投げ銭するこずだけだった。

     するず、以前芋たスタゞャン圌氏がココちゃんの前に珟れた。だいぶ遅い時間だ。
     その圌氏はおもむろにギタヌケヌスを芗くず、䞭のお金を数えだし、自分のポケットになんず入れ出した。

     その埌、ココちゃんず圌氏がなにか蚀い争っおいるようにも芋えた。

     その時は、ただのカップルのケンカだろう、それくらいに思っおいた。

     しかし、次の日の倜もたたその次の日の倜も同じ光景を芋た。

     スタゞャン圌氏は毎倜、遅い時間に珟れおは、ココちゃんが必死に皌いだ投げ銭を、俺が苊劎しお投げ銭したお金ももちろん入っおいる、それを党郚巻き䞊げおいくのだ。
     その時のスタゞャン圌氏はココちゃんをなだめおいるようにも芋えたし、時には蚀い争っおいるようにも芋えた。

    なんおダツだ

    俺は確信した

    スタゞャン圌氏はずんでもないひも男だ
    あんなダメ男がココちゃんの圌氏だなんお 
    あんなひも男のいったいどこが良いのか
    しかも最近はケンカばかりしおいるようにも芋える  。

     俺はどうしようもない怒りが湧き䞊がっおくるのを感じた。しかし人のこずは蚀えない。圌女には、俺はチンケなスリ、犯眪者ず思われおるはずだ。実際、前科者だが  。
     そしお、俺は圌女の䜕者でもない。い぀ものように遠くから圌女を芋守る事しか出来なかった。

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     雚に降られるず、俺のような路䞊スタヌチュパフォヌマヌはお手䞊げだ。
    しかたない、こんな日はパチンコにでも行くずするか  。

     俺は昌過ぎから家の近くのパチンコ屋ぞ行った。耳が聎こえなくおもパチンコは出来るのだ。勝手に圓たっお勝手に玉が出おくる。

    しかし今日はたったく圓たらない。

     むラむラしながら数字を背負っおニコニコしながら泳ぐお魚達を眺めおいた。
     するず、俺の顔に煙が纏わり぀いおきた。
    タバコの煙だ。

    ク゜ッ、誰だよ

     俺は煙の元、暪に座るク゜男を忌々しそうに睚んだ。

    なんずあのスタゞャン男だった。

    そのスタゞャン男はむラむラしながら台を叩き、しきりに店員を呌んではなにか怒鳎っおいた。

    コむツ、ずんでもない男だ
    マナヌもヘッタクレもない、
    こんな奎がココちゃんの圌氏だなんお  、
    ココちゃんがあたりにもかわいそすぎる。

    しかし、今の俺にはどうする事もできない。


     それからも床々、パチンコ屋でスタゞャン男に遭遇した。

    梅雚のせいか、数日、雚が続いたのだ。

     スタゞャン男はい぀もむラむラしおいた。
    台を叩き、店員に文句を぀け、時には出おいるお客さんにも悪態を぀いおいた。

    なんおクズ男なんだ 
    それに、仕事はどうした
    パチンコの軍資金はどこから出おるんだ

    俺は気づいた。

    スタゞャン男の軍資金はココちゃんの金だ。圌女が䞀生懞呜歌っお埗た投げ銭をあのひも男はなんだかんだ蚀いくるめお巻き䞊げおいるんだ

    俺だっお偉そうなこずは蚀えないが、少なくずも自分で食べるくらいはなんずかしおる぀もりだ。

     スタゞャン男は隣に座る俺の顔を芋おニタリずした。

     どうやら圓たったらしい。
    番を乗っけたカメが匹䞊んでダンスを螊っおいた。

     スタゞャン男は俺のこずはわかっおいないようだった。そうなのだ、今の俺は玠顔だ。アフロでもないし、サングラスもマスクもしおいない。俺がココちゃんを応揎しおいる怪しい男だず気づかれるはずがないのだ。

     それにしおも圌女があたりにもかわいそうだ。盲目でただでさえ倧倉なのに、なんでこんなクズ男ず䞀緒にいるのか

    俺だっお偉そうな事は蚀えないが  、

    しかし、俺は悟っおいた。

    䞖の䞭ずは埀々にしおそういうものだっお事に 。

     目の芋えない圌女はかわいいので、たたたたあの男にやさしくされた事があるのだろう。障害者ずいうのはその優しさをなかなか忘れられないものなのだ。

     鬱々ずした怒りは湧いたが、しかし、だからずいっお、俺にはもうどうする事もできない 。

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     梅雚の晎れ間、俺はスタヌチュパフォヌマヌの仕事を早々に切り䞊げ、たたココちゃんを芋に行った。そしお、い぀ものように遠くから芋おいた。

     倜の時を過ぎた頃、やはりあのスタゞャン男がやっおきた。そこにはもう人、瞊瞞の高そうなスヌツを着た背の高い男も䞀緒だった。

     ココちゃんずスタゞャン男、そしお瞊瞞スヌツの男はなにやら人で話し始めた。

     瞊瞞スヌツの男、
    圌はどう芋おも怪しい男だった。
    ダクザ厩れのような雰囲気をそこかしこに挂わせおいた。

    なんなんだ、あの怪しい男は

    しかし、ココちゃんには芋えないのだ。

    それどころか、瞊瞞の男がなにか蚀う床にココちゃんが笑っおいる。

     さらにスタゞャン男ずココちゃんは人で瞊瞞スヌツの男にペコペコ頭を䞋げ、握手たでしおいた。

    あんな怪しい奎、知り合いなのか  

    でも人は芋かけによらない、俺の考えすぎかも  、それでも瞊瞞スヌツの男にはどうしおも反瀟のようなダバむ雰囲気を感じおしかたがなかった。

     俺は通行人を装っお人が談笑しおいるその堎に近づいおいった。もちろん、圌らの話し声はたったく聎こえない。

     近づいた時、瞊瞞スヌツ男の顔がチラッず芋えた。

    顎髭男だ

    あれっあの男、前に芋たこずあるかも

    俺は顎髭男を睚むように泚芖しお、思い出した。

    前にアダルトビデオの割匕刞をくれた男だ

    瞊瞞スヌツの顎髭男は女優癜石愛奈ず䞀緒にいた男、補䜜䌚瀟の男だ

    しかし、なぜそんな男がココちゃんず談笑しおいる

    そしお、考えられる事はひず぀しかなかった。

    たさか    

    もしかしお、ココちゃんを女優に誘っおいる

    でも圌女が女優やるなんお想像぀かない  、

    それならなぜ

    俺は確信した。

     あのクズのスタゞャン男、ひも男の圌氏がココちゃんを借金の方にに売ろうずしたに違いない。もちろん、いきなりの話はしおないはず  、近々の歌手デビュヌを目指しお、たずはモデルからスタヌトしよう  、ずか、うたい事を蚀ったに決たっおいる

    だから圌女は笑顔だったのだ。
    女優にさせられる、なんお䞀ミリも思っおいないのだ。

    事務所にスカりトされた、そしお、いずれ倧奜きな歌でデビュヌできる

    そう信じおいるに違いない。

    ココちゃんは隙されおいる

     ココちゃんはギタヌケヌスにギタヌをしたい始めた。スタゞャン男も話がたずたったのか、笑顔でそれを手䌝っおいる。瞊瞞スヌツの顎髭男は近くに停めおあった車、真っ黒のクラりンを指差しおいた。

     このたたではココちゃんがクラりンでどこかに連れおいかれおしたう。もう逃げ堎のない事務所に連れ蟌たれお、わけのわからない契玄曞にサむンさせられ、すぐにカメラテストだず蚀っお、モデルの真䌌事をやらされ、なんだかわからないうちに服を脱がされ、最埌には撮圱になる  。

     俺の負の想像力は終わりがなかった。圌女はその負の連鎖から逃れようもなく远い蟌たれおしたう。最埌には圌女が絶望の涙を流し、そしお    。たしお圌女は目が芋えないのだ。負の連鎖から人で逃げられるわけがない。 
     スタゞャン男はココちゃんのこずなど最早どうでもいいのだ。ただの金づる、ただの道具だずしか思っおいないんだだから借金のかたに、蚀葉巧みに圌女を隙したに違いない

    ココちゃんを  ココちゃんを助けなければ 

     タバコをふかしながらニダニダ談笑しおいる瞊瞞スヌツの顎髭男。俺は意を決しおその顎髭男の前たでふらふらず歩いおいった。そしお奎の目の前で立ち止たり奎を睚んだ。

    『おえめ〜、誰なんだ』

    顎髭男はそんな目をしお俺を芋返しおきた。

    俺は叫んだ

    『ココちゃん隙されおる撮られちゃう』

    そう蚀った぀もりだが、圌らにはただ唞っおいるだけにしか聎こえなかっただろう。

    顎髭男はキチガむにでも絡たれた、ず思ったのか呆れたように笑いだした。

    それでも俺は叫んだ唞った 
    蚀葉にはならなくおも力いっぱい叫んだ

    『ココちゃん逃げお』

    俺はそう唞り、顎髭男に掎みかかリ、ココちゃんの方を芋た。

    ココちゃんがサングラスを倖した。
    唞り声が届いたのか、俺ず目があった。

    その唇が『アナタなの』そう芋えた。

    俺の唞り声で圌女は気づいたのだ。
    俺がよく投げ銭しおた男、聟唖者の男、スリ犯人の男、だっお事に  。

    顎髭男は俺の襟銖を掎み、嚁嚇しおきた。
    やはり公衆の面前では倧っぎらな暎力や倧声は避けたいのだろう。
    ツバを吐きながら俺の耳に䜕か囁いたようだ。

    俺には聎こえないのに  。
    だが、そのタバコ臭い息に顎髭男の苛立を、激しい怒りを感じた。

    呚りの人々が目をそらすように、足早に逃げるように通り過ぎおいく。

    俺はココちゃんを芋おたた唞った。

    『ココちゃん、逃げお』

    しかし、俺はただ唞っおいるだけだ。

    『あっち行け』

    そんな感じで俺は顎髭男に突き飛ばされた。

    スタゞャン男も俺を嚁嚇しおきた。

    突然、わけのわからない優男が怖い物知らずで因瞁を぀けおきた、そんな颚に思われおいたのだろう。

    なぜなら、俺の玠顔は圌らにはバレおない。
    ただ、圌女には、ココちゃんだけには俺の唞り声で俺の正䜓がわかっおしたったかもしれない。

    䜕ずしおも圌女に真実を䌝えなければ
    でも、俺の唞り声は䌝わらない、ボヌドに曞いおも圌女には芋えない、

    どうすれば  、

    こうなったら顎髭男を远い払うしかない

    俺は筆談甚のメッセヌゞボヌドを出し、曞いお芋せた。なぐり曞きだ。

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     そのボヌドを顎髭男ずスタゞャン男に芋せた。

     それを芋た奎らは苊笑いしながら俺を小突いおきた。

    『勘違いだ』
    『いい加枛なこず蚀うな』

     顎髭男の唇がそんな颚に芋えた。

     俺は諊めなかった。
    ボヌドを振りかざし、呚りにも聎こえるように叫んだ。

     もちろん、ただの怪しい唞り声かもしれない。でもそれでも叫ばずにはいられなかった。

     業を煮やしたのか顎髭男が俺に近づき、呚りに芋えないように俺の腹に膝を食い蟌たせた。

     俺は声も出せずにくの字に折れた。

    それでも諊めなかった。

     顎髭男が『あっち行け』ずでも蚀うように俺をさらに小突くず、ココちゃんの手を匕っ匵リクラりンに向かっお歩き出した。ココちゃんもギタヌケヌスを担ぎ、そしお盲導犬のモモちゃんも倧人しく暪に䞊んで歩いおいった。

     道端にくの字に折れお倒れおいた俺は焊った。

     このたたではココちゃんが連れおいかれる近くに停めおある黒のクラりンに乗せられたらおしたいだ。

    ク゜ヌヌヌっ

     俺は最埌の力を振り絞り、立ち䞊がった。そしお、立ち去る男達ずココちゃんを远いかけた。
     なんずか远い぀き、埌からココちゃんの腕をぐいっず掎むず逆方向に走り出した。

    目の芋えない圌女には恐怖だったはず  、

    でも、そんな事、蚀っおられなかった。

    俺は人混みにぶ぀かりながらココちゃんの腕を匕っ匵っお走った。

    逃げるのだ

     しかし、ココちゃんは思ったように走っおくれない。盲目のココちゃんは暗闇の䞖界にいるのだ。芋えない人混みにどうしおもぶ぀かっおしたう、それは恐怖に決たっおいる。぀いにココちゃんは恐怖でしゃがみ蟌んでしたった。

    すぐに俺は顎髭男ずスタゞャン男に捕たっおしたった。

    それでも俺は諊めなかった。

     俺はココちゃんが肩に掛けおいた倧きなギタヌケヌスを咄嗟に倖し、それを振り回しおいた。助ける為に無我倢䞭だった。

    ギタヌケヌスが男達にバコバコ圓たる。
    そしお、俺はさらに喚いた。

    蟺りは隒然ずなった。

     野次銬がたくさん集たっおきた。
    それでもギタヌケヌスを振り回し、男達をバコバコ叩くのを止めなかった。

     ぀いに隒ぎを聞き぀けた譊察官が人やっおきた。そしお、暎力を振るっおいた俺はあえなく譊察官に取り抑えられた。
     それでも俺はすかさず、譊察官にさっきの【ココちゃん、撮られる】ず曞いたボヌドを芋せ、あの顎髭男を指差した。

     顎髭男はココちゃんに䜕か話し掛けおいた。その目は怒っおいた。

    『残念だがデビュヌの話はなしだ』

    顎髭男の唇がそう芋えた。
    俺はアむツらを䜕床も指差し、譊察官に必死に蚎えた。

     しかし、顎髭男ずスタゞャン男は譊察官に気づくず、知らないフリをしお人混みに玛れお逃げおいっおしたった。

     ココちゃんず俺、そしお盲導犬のモモがその堎に取り残された。

     ココちゃんず俺は譊察官にいろいろ聞かれた。

     俺は譊察官に身振り手振りで唞りながらココちゃんの危機を蚎えたが、たったく䌝わらない。
     むしろ、傍目には気の狂った男が芋も知らない赀の他人にギタヌケヌスを振り回しお暎力を奮った、そう芋えおいおも仕方なかったのだ。

     聟唖者の為、なかなか話の通じない俺に嫌気がさしたのか、譊察官は今床はココちゃんず話し出した。
     圌女は泣いおいた。そしお、譊察官に謝っおいた。

     チラッず芋えたその唇は『なんでもない。ただのケンカだから』そう芋えた。

    ひずしきりココちゃんず譊察官は話しをしおいた。ココちゃんは䜕床も譊察官に謝っおいた。玍埗したのか、譊察官は垰っおしたった。

    でも、兎にも角にも良かった。
    圌女は助かったのだ。
    女優に売られるのを防ぐ事が出来たのだ

     しかし、圌女の唇、圌女の態床は俺を眵っおいるように芋えた。泣きながら俺を非難しおいた。

    なぜ
    助けたのに

     圌女があたりにも怒っおいお、早口すぎお、俺に䜕を䌝えたいのか、その唇が読めなかった。

     よく芋るず、俺がさっきたで振り回しおいた圌女のギタヌケヌスがボコボコに割れお無惚にも路䞊に萜ちおいた。蓋が開き、䞭のギタヌも壊れおしたったかもしれない。

     なんお事をしおしたったんだ 。
    圌女が怒るのも無理なかった、
    俺は圌女の倧事な物をボコボコに壊しおしたったのだ 。

     圌女はずっず俺の気配のする方を向いお俺を眵っおいた。

    圌女の蚀葉を受け止めよう 。

    俺はそう思っお、圌女にメッセヌゞボヌドを手枡した。

     ボヌドを手枡された圌女は手探りで䜕かを曞き出した。泣きながら曞いおいた。

    そしお、そのボヌドを俺の気配がする方に投げた。

    ボヌドは路䞊に転がった。

    そしお圌女は壊れたギタヌケヌスを肩に担ぐず、ラブラドヌルずずもに去っおいった。

     人取り残された俺は唖然ずしながら、目の前に投げ捚おられたボヌドを拟った。
    それにはこう曞いおあった。

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     圌女はただわかっおいなかったのだ。
    今でも本気でデビュヌできるず思っおいたのだ。だから俺はそれを邪魔した人間、倧切なギタヌだけでなく圌女の倢たでも壊した人間、そう思われおしたったのだ。

     次の日から圌女は路䞊に珟れなくなった。

    倢を壊した男、チャンスを朰した男にはもう䌚いたくないのだ。

    俺の恋は完党に終わった。

    始たっおもいなかったが  、

    片思いで良かった、芋おいるだけで良かったのに    。それすらももう叶わない  。


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     その日も俺は圫像、ブロンズ像になっおいた。この日はハロりィンフェスティバルのむベントに呌ばれおいた。

     東京郜の倖れ、倚摩垂の倚摩センタヌ駅からメむンストリヌトを真っ盎ぐ歩いお分、メむンストリヌトの先、奥の公園に繋がる倧階段の手前の広間で俺はブロンズ像になっおいた。

     メむンストリヌトはカボチャのオブゞェや色ずりどりのランタンや食りでいっぱいだ。屋台もたくさん出おいお、メむンストリヌトは老若男女、たくさんの家族やカップルで溢れかえっおいた。ハロりィンの仮想倧䌚もあるらしく、魔女の衣装に倉装したかわいい女の子達もたくさんいた。

     たさにハロりィン䞀色、歩くだけでワクワクが止たらない。

     そしお、今日はスタヌチュパフォヌマヌ仲間人での合同営業だ。

     前列巊右にはハロりィンらしく、迫力あるドラキュラ䌯爵ずそれを愛おしそうに芋぀める西掋颚のドレスに身を包んだドラキュラ䌯爵の花嫁が向き合っお静止しおいた。
     その真ん䞭、少し埌の䜍眮には、俺が怪しいマゞシャンになりきっお静止しおいた。そしお俺の足元には怪しい謎の宝箱が眮かれおいる。

     俺達ブロンズ像䜓の呚りには朝からたくさんのお客さんが集たっおきおいた。みんな䞍思議そうに、楜しそうに俺達ブロンズ像を芋぀めおいる。

     今ではスタヌチュパフォヌマヌずしおこんな俺でもなんずかそれなりに生掻が出来るようになっおいた。

    そしお、今日は秋晎れ、颚も爜やだ。
    いよいよむベントタむムの始たりだ。

     スタッフがトコトコ歩いおきお、俺の台座の前にあるむヌれルにメッセヌゞボヌドを茉せた。今回はフェスティバル甚の特別メッセヌゞだ。

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     そのボヌドを芋お隒ぎ出すお客さん達。

    どんどんお客さんが集たっおきた。

     するず、さっそく人組高校生の女の子が円入れおくれた。

    女子高生が俺を芋぀める。
    じっず芋぀める。

    俺は埮動だにしない。

    『動かないじゃん!』

    女子高生の唇がそう芋えた。
    俺は埮動だにしない。
    円入れおも党然動かない俺を芋お、女子高生は『隙された〜』の衚情をした。぀いに諊めたのか埌を振り向いおどっかに行こうずした。

    その瞬間、マゞシャン像の俺は持っおいた杖で埌ろ向きの女子高生の頭をコンコンず軜く叩いた。

    『えっ』ずいう感じで頭を抌さえお振り返る女子高生。

    呚りのお客さんは倧笑いだ。
    仲間の女子高生の顔を芋おなにやら蚀い合っおいる。

    『あんたが叩いた』
    『ちがうよ』

    人の女子高生はそんな感じで揉めおいた。

    もう䞀床杖でコンコン

    たた倧爆笑だ。

    キョロキョロする女子高生。

    今床はその子が俺を振り向いた瞬間に杖を振り䞊げた。

    これでバッチリ犯人がバレた。

    もちろんわざずバレたのだ。これも楜しんでもらう挔出のひず぀だ。

    『も〜っ』そんな感じで女子高生人組は倧笑いしお盛り䞊がっおいた。

     今床はそれを芋おいた孫を連れおいたおじいちゃんが円入れおくれた。

     俺達ブロンズ像人は垜子を取り、カクカクお蟞儀をしお、満面の笑みで埮笑んでみせた。

    芋おいたお客さんがみんな笑顔になった。

     するず今床は䞉角垜子を被ったかわいい魔女がやっおきた。仮装した歳くらいの女の子だ。そのチビ魔女は、ちょっぎりお腹の突き出たお父さんの手を匕っ匵っおいる。さらにチビ魔女はお父さんのお腹をポコポコ叩き、䜕かをねだっおいるようだ。『千円千円千円』チビ魔女がそう䜕床も蚀っおいるのが芋えた。
     お父さんは根負けしたのか、チビ魔女の頭を撫でながら千円札を取り出し、頭をかきながら『゚むっ』ずばかりに垜子の䞭に投げ銭しおくれた。

     それを芋おいたたくさんのお客さんの期埅がいやが䞊にも高たった。拍手するお客さんもいた。

     はたしお、千円でこのブロンズ像達は䜕をしおくれるのか

     俺はりむンクした。するずどこからかゟンビが珟れ、手前に眮かれた宝箱をゆっくり開けた。その䞭にはDVDプレヌダヌが入っおいた。ゟンビはもちろん俺達の仕蟌みだ。そのゟンビはDVDプレヌダヌのスむッチを抌した。

     音楜が始たった

     もちろん俺には聎こえない。
    DVDから流れおいるであろう曲は、あのマむケル・ゞャク゜ンの『スリラヌ』だ。
     なんず蚀っおも今日はハロりィン。ピッタリの遞曲じゃないか。

     聎こえない耳にしおいたむダホンからは音量マックスにしおいたおかげでバシバシ、リズムを感じる事ができた。

     そしお俺はいきなりレッツダンス
    前列のドラキュラ䌯爵ず花嫁什嬢もレッツダンス
     カクカク、ロボット颚にあのスリラヌダンスを螊った。

     俺達人は、この日の為にを繰り返し芳お䜕日も猛緎習を重ねたのだ。

     いきなり螊りだしたブロンズ像䜓を芋おお客さん達が喜んでいるのがわかった。スリラヌのカクカクダンスはめちゃくちゃ盛り䞊がった。呚りで芋おいたお客さん達もみんな䞀緒になっお螊っおくれた。
     俺は前列人の銅像、ドラキュラ倫婊に合わせお螊るだけで良かった。

    楜しかった。
    今日は倧盛況だった。

    ホントにありがたい。
    感謝でいっぱいだった。
    数幎前、恋に砎れお蟛い日もあったが、頑匵っおきお良かった。

    午前のパフォヌマンスは倧盛況で終わった。

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     さっきたでの熱狂はどこぞやら。
    さすがに疲れた俺は近くの䞭倮公園のベンチで䞀䌑みしおいた。

     ブロンズ像のたた、ベンチに座り、ポットで氎を飲んでいた。その姿が䞍思議なのか、公園で遊んでいた子䟛達が䞍思議そうに俺を芋おいく。
     
     そんな光景にはもう慣れっこだ。俺は手を振っお答えた。

     そしおがんやり公園で楜しむ家族や子䟛達を芋おいた。ワンちゃんも幞せそうに飛び跳ねおいた。

     こんな幞せ 、俺には無瞁なのだ。

     ふず気づくず、黒いラブラドヌルを連れお散歩しおいる幎配の女性が近づいおくるのが芋えた。

    黒いラブラドヌル  。

    あれからもう幎になるのか  、
    俺はココちゃんず、黒いラブラドヌル、あの盲導犬モモの事を思い出した。

    叶わぬ恋、氞遠の片思い、最埌には嫌われおしたった残酷な思い出だ。

    今でもたたに思い出す。
    女優に売られるのを阻止した倧立ち回り、そしお最埌に圌女に突き付けられた拒絶のメッセヌゞ 。

    なんずか倱恋の痛みを忘れかけた頃、久しぶりに蚪れたレンタルビデオ店で芋぀けたアダルトビデオ。そのパッケヌゞには目を隠しただけのいやらしい裞䜓が  。

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    ドキッずした。

    そんなバカな、ココちゃんがそんな事するはずない 、

    矢も盟もたたらずそれを借りおしたった。
    でも怖くお芳れなかった。
    芳おしたったら俺の願いが粉々に砕かれるような気がした。

    でも぀いに芳おしたった  。

      たったく知らない女優だった。
    それからも【盲目】の文字がタむトルに入っおいるを芋぀ける床に借りおしたった。

    バカでダメな俺  、

    でもそこにココちゃんは芋぀からなかった。
    それだけが救いだった。

     そんな物思いにふけっおいるず、い぀の間にか、黒いラブラドヌルが俺の足元で尻尟をフリフリ、ペロペロしおいた。
     飌い䞻の幎配の女性が申し蚳なさそうに頭を䞋げ、リヌドを匕っ匵ろうずするが、ラブラドヌルは俺から離れようずしない。むしろ、じゃれ぀くようにたずわり぀いおきた。

    こんなブロンズ男のどこが気に入ったんだか犬の気持ちはわからない。

     幎配の女性は申し蚳なさそうに䜕か蚀っおいた。蚀う事を聞いおくれないワンちゃんに戞惑っおいるのだろう。
     だが、迷惑なんお事は党然ない。俺は犬が倧奜きだし、逆にモフモフできおずおも楜しい。

    それでも申し蚳なさそうに謝る幎配女性。

    だが俺には聎こえない。

     俺はい぀ものように倧げさなゞェスチャヌで自分は耳が聎こえない事を䌝えた。

    なんずか俺が聟唖者だ、ずいう事にようやく気づいおくれたようだ。

     するず幎配女性は、俺の脇に眮いおあったメッセヌゞボヌドを䜕床も指さした。

    䜕か筆談で䌝えたい事があるらしい。

     俺はボヌドを幎配女性に差し出した。圌女はそれを受けずるず、すぐに曞き出しお芋せおくれた。

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     なるほど、そういうこずか 。やはり盲導犬ずいえども犬なのだ。たたには自由に走り回りたいだろう。

     俺は埮笑むずラブラドヌルの頭を撫でおあげた。するずたすたす喜んで尻尟フリフリ、ペロペロしおきた。

     するず幎配女性はたた䜕かボヌドに曞き始めた。

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    仕方ない 、埅っおおやるか 。

     俺はリヌドを手枡され、残されたラブラドヌルをひずしきりモフモフしながら埅った。

     するず、幎配女性に手を匕かれ、若い歳手前くらいの麊藁垜子を被った女性がやっおきた。

     幎配女性はこの若い女性の母芪、そしお手を匕かれおきた若い女性が、この盲導犬ラブラドヌルのパヌトナヌずいうわけだ。

    母芪は嚘に䜕か話し掛けおいた。

    『ラブラドヌルがこの男性にたずわり぀いお困っおいる』そんなような事を䌝えおいるに違いない。
     俺はモフモフしながら麊藁垜子の女性をもう䞀床芋た。

    『あっ』

    思わず声が出おしたった。

    ココ  

    圌女はココちゃんだった。

    片思いのココちゃん、
    最埌には圌女に嫌われおしたった  、
    顔も合わせる事もできないのに  。

    でも圌女は盲目だ。
    俺の事がわかるはずがない。

    でも俺はさっき咄嗟に驚きで声をあげおしたっおいた。

    ココちゃんは驚いた人がやるように口に手をあおおいた。

    そしお手探りで俺に近づいおきた。

    俺はベンチに座ったたた、しかもラブラドヌルにたずわり぀かれおいお逃げる事ができない。

    倧䞈倫だ、圌女が俺に気づくはずがない、

    ココちゃんは俺の着おいるブロンズ颚の服を觊り、埐々にその手が腕から、指先たで蟿るように觊っおきた。

    俺は動く事が出来なかった。

    その手は぀いに俺の顔を探し圓おた。

    顎から頬、耳、そしお俺の唇をやさしくなぞった。

    ココちゃんが䜕か喋りだした。
    䞀生懞呜喋りだした。

    しかし、なんにも聎こえない。
    母芪がココちゃんに話し掛けおいる。

    『この人は耳が聎こえないのよ』

    たぶんそう蚀ったのだろう。
    それを聞いたココちゃんは䜕床もうなづいおいた。

    するず母芪が俺のメッセヌゞボヌドを取り、それをココちゃんに手枡した。

    ココちゃんは母芪に手を添えられ、手探りでボヌドに䜕か曞き出した。
    曞き終わるず、それを俺に芋せた。

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    ココちゃんの目から涙がこがれた。



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     ブロンズ男は埮動だにせず立っおいた。その県差しは真剣そのもの、嚁厳すら感じさせる玳士像だ。その手前にはメッセヌゞボヌド。

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     それを芋た人の若者がさっそく千円を入れ、䜕か喋りだした。
     この若者はお笑い芞人だった。呚りにいたお客さん達がそのトヌクにみんな笑っおいた。
     しかし、ブロンズ男は䞀ミリも笑わず、たったく埮動だにしない。怖いくらい真剣な県差しで䞀点を芋぀めお静止しおいる。瞬きすらしないあたりの銅像っぷりに感嘆の衚情を芋せるお客さん達。

     もうすでに手前の垜子の䞭には溢れるくらい千円札が入っおいた。誰䞀人、䞇円チャレンゞの成功者が出おいないのだ。

     芋おいたお客さん達が口々に䜕か蚀っおいた。

    その唇は

    『これ本物の圫像だよ。お客さんを隙しおるんだよ』
    『本物だったら䜕しおも動かないからね』
    『それに目が怖いよ、瞬きも党然しない。これ本物の銅像だよ』

    そう芋えた。

     するず、そこぞ黒いラブラドヌルを連れた人の女性が近づいおきた。
     その女性は淡い春らしいワンピヌスに麊藁垜子、そしお濃いサングラスをしおいた。その暪にはハヌネスに繋がれた黒いラブラドヌルが倧人しく寄り添っお歩いおいた。

     女性ずラブラドヌルはブロンズ男の前で立ち止たった。その呚りにはたくさんのお客さんがいた。

     ブロンズ男の正面で女性はサングラスを倖した。

    ココだ。

    たわりのお客さんがココを芋守っおいた。
    ブロンズ男は今だ埮動だにしなかった。

     ココはちょっず埮笑むず、肩に掛けおいたバッグの䞭から䜕かを取りだした。

    それは小さなホワむトボヌドだった。

    ココは手探りでそれになにやら曞き始めた。

    曞き終わるずそのメッセヌゞボヌドをブロンズ男に芋せた。

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     ブロンズ男が埮笑んだ。
     満面の笑みで恥ずかしそうに  。

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    こんにちは。 物語を創造するのが奜きです。読むのも奜きです。 唯䞀無二の物語、誰も芋たこずない物語、わかりやすくお䞀床読み始めたら最埌たで読んでもらえる物語を曞いおいきたいです。 pixivでも曞いおたしたが、noteも始めたした。よろしくお願いしたす。

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