見出し画像

ある日一本の長い髪の毛がショートカットの私の家に落ちていたわけをはじめから最後まで考えてみた。

あんまりだ。
嫌になってしまう。
浮気されていたなんて。
絵に描いたような証拠が目の前にある。
愚か者め、気づかれないとでも?

髪の毛が落ちている。
金髪で長い。
黒髪でショートの私ではない。
気配もなくて気がつかなかった。
コンチクショウ。

さてどんな仕返しをしようか。
しらばっくれるのは目に見えている。
スカッとするような結末は難しそうだ。
せめてぎゃふんと言わせたい。
そうでもしないと気が済まない。

たいがいのことは多めに見てきた。
ちょっと今度は許しがたい。
ついに修羅場になるのだろうか。
適当に済ますことはできない。
とうとう対決しなくてはならない。

なんてことをしてくれるのだ。
人間性を疑う。
抜かりなく工作することもしないとは。
根に持つタイプの私は絶対に許さない。
のうのうととぼけさせてなるものか。

腹が立った勢いだけでは弱い。
悲惨な結末になるかもしれない。
不安になってしまう。
平静を装って油断させてからだ。
本当のことを確かめないと。

まだ黒と決まったわけではない。
妙な偶然ということもある。
無理があるだろうか。
めまぐるしく思考は回転する。
もしかして…!

やっぱり!
湯につかった時だ!
良かった、それなら全ての説明がつく。

ライフスタイルからしてもありえない話だった。
理由は簡単だ。
留守に女を連れ込むような夫は存在しない。
冷静に考えればわかることだった。
ロマンスなんて欠片もない。

私は昨日銭湯に行った時に人の髪の毛を踏んで靴下につけて家の床にそれが落ちたに違いない。

をを~っと、髪の毛1本で幻の夫と浮気相手まで作ってしまったが、すべてはただの偶然に基づいた妄想でしかなかった。

ん? なんのはなしですか?




いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集