
春が連れてきたものは
先日私の半生を洗いざらい白状する機会があった。
というと尋問でもされたかのようだが
相手はただじっくりと聞きながら気になる箇所を少しずつ質問してくださっていて、だから殆ど私の独白に近かった。
とはいえそれは公の取材であるから
「洗いざらい全て!」という訳にはいかないので本当に人には言えないあれこれは、口から飛び出してしまわないよう羽交締めにしておいた。
それにしても「じゃあちょっと外でお写真撮りましょうか」と言って頂いた頃にはもう2時間も経っていて、こんなにも私は話し続けたのかと驚愕した。
かなり熱中して話したせいか、帰りの駅のホームでほわほわと、何だか身体が浮くような感覚がした。
ぽっかり、心の中が空っぽになってしまっていた。
早急に何かで埋めたくなって、最寄駅の駅ナカの花屋で薔薇を買い、スタバに入ってベンティサイズのコーヒーと甘いタルトを自分に買い与えた。
ばばばっと詰め込むように食べ、ベンティ片手に歩いて帰った。
暖かい日が続いていたのに、その日は北風の到来で寒くて凍えた。
美しいものや甘いものをどれだけ買い与えても「ぽっかり」は消えなくて、なんだこれは、と思っていたのだけど、実感があるくらい不安定に傾いていく精神状況を眺めていて気がついた。
半生を話したら、何で未だに生きてるのか分からなくなってしまった。
過去なんてものがどうであっても、今生きる為に何をするのか!というマインドで普段は生きているけれど、たまに自分の過去に殺されそうになる。
過去の話題に触れたり、嫌な記憶が残る場所に行った時にどーんと谷底へ落とされる時がある。
だけど立ち直りは年々、鬼早くなっていく。
一時ぐわーっと底に落ちるけれど、落ちたまま仕事バリバリ出来るし、笑顔で人とも会える。
我ながらあっぱれである。
そしてそのうち「ま、何とかやっていきますか!」と重い腰を上げるのだ。
随分図太くなったもんだ。
20代の頃の様に泣き暮らしてもいられない。
ひとりで泣いても一円にもならない。
ずっと暗がりの様な日々を生きてきて
黒い背景にカラフルな絵を描くようになった。
過去があっての私を、今の私が描きとめていく。
季節柄か、近頃人とのお別れ&次のフェーズへ!という機会が重なっている。
その度どうしても揺さぶられるけれど。
揺さぶられたのち、また重心を戻して。
その繰り返しの日々である。
ではまた。