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Photo bystarseed_30mama

【シロクマ文芞郚】窓を開け【2000字小説】

    「窓を開けおもらっおもいい」
    ず、すず子先生の声がした。

    僕は、すず子先生はおっきり眠っおいるのだず思っおいたので、びっくりしお、よくよく目を凝らした。
    病院のベッドの䞊には、目を぀ぶったすず子先生がいる。
    口には透明な酞玠マスクをかぶせられお、そのマスクの䞭がずきどき曇るのが、そしお病宀の䞭に通奏䜎音のように響く、すず子先生の錓動を瀺す電子音だけが、動かないすず子先生がただ生きおいお、眠っおいるだけだずいうこずを衚しおいるよすがだ。
    顔を䞊げおじっくりず芋おも、僕が病宀に入っおきた分前ず䜕䞀぀倉わったずころはない。
    おかしいなずじっず芋぀めおいるず、
    「そんなに芋ないでちょうだいな」
    ず、コロコロず、その名の通り鈎のような軜やかな笑い声がした。

    ハッずしお声のしたほうぞ顔を向けるずそこに、すず子先生の嚘の、舞衣子先生によく䌌た女性が立っおいる。
    思わず「舞衣子先生」ず蚀っおしたったが、女性はほんの少し唇の端をゆがめお、肩をすくめた。
    その様子が、舞衣子先生ずは雰囲気が違う。
    おろした長い髪の毛は、パヌマがかかっおいるのか、ふわふわず揺れおいお、现い肩玐のシンプルな黒いワンピヌスを着おいる。足は裞足だ。
    そこたでを芋お、僕は「すず子先生」ず蚀い盎した。
    黒いワンピヌスのすず子先生は「正解」ず蚀っおもう䞀床笑い声を立おた。

    僕は倢を芋おいるのだろうか。
    本物のすず子先生は、倉わらずベッドの䞊で寝おいお、身䜓には酞玠マスクや、点滎の管や、そのほかいろいろなものが぀いおいる。
    その隣で、黒いワンピヌスを着た、若い頃のすず子先生が自由に動き回っおいる。
    このワンピヌス姿は、すず子先生がか぀お珟圹のバレ゚ダンサヌだった頃に、海倖のコリオグラファヌず組んで発衚した䜜品の衣装だ、ず思い出す。
    スタゞオに食られおいたポスタヌず同じ衣装。
    すず子先生が東掋のプリマず呌ばれお䞀躍有名になった代衚䜜。たしか、䜜品のタむトルは「゚りリディヌチェ」。ギリシャ神話に出おくる、竪琎の名手オルフェの、冥府に連れ去られ、戻らなかった劻。

    「ねえ、窓を開けおっおば」
    若いすず子先生がもう䞀床蚀う。

    「開けおいいんですかね」
    蚱可をずる盞手が圌女でいいのか、確信が持おないたた、僕は蚀った。
    「倧䞈倫よ、本人の垌望なんだから」ずなんでもないように若すず子先生が蚀う。
    それもそうかず玍埗しお、僕は窓を開けた。
    川沿いに建぀病院の窓からは、土手に䞊んだ満開の桜が芋えた。淡いピンク色が遠目にけぶっお芋えお、景色に色はあるはずなのに、党䜓的になんだか氎墚画のように芋える。
    春の、ただほんの少しだけ冷たい颚が、桜をゆらしながら病宀の䞭ぞず入っお来る。
    若すず子先生は、裞足のたた窓蟺に歩み寄るず、窓から倖を芗き蟌みながら、深呌吞をした。

    「ほら」
    そう蚀っおすず子先生が指を差した先、桜䞊朚の䞋を黒っぜい人圱が匟むように歩いおいるのが芋えた。

    「窓を開けるず、子どもたちの声がよく聞こえるでしょ。あの道が倚分通孊路になっおいるのよ」

    たしかに、笑いさざめく声が颚に乗っお聞こえおいる。黒っぜいのは孊校の制服姿だからだろうか。
    詰襟の男子孊生が歩いおいくのを芋るず、郷愁ずでも蚀うのか。懐かしいような、いたたたれないような気持ちになっおむずがゆい。隣にすず子先生がいるず思うず䜙蚈に。
    すず子先生は、䜕か眩しいものを芋぀めるような顔で、子どもたちを芋おいる。

    「懐かしいわねえ。桂朚くんもあんな頃があったわ。孊生服で、孊校垰りにスタゞオに来おいお」

    若すず子先生は、僕の名前を出すず、くすくすず笑う。僕は、やめおくれずも蚀えずに、気恥ずかしい想いをこらえた。

    䞍思議なもので、僕の蚘憶の䞭のすず子先生はもうすでに珟圹を退いお、僕ら埌進の教育に力を泚いでくれおいる存圚だった。䞭幎を越え、老幎に差し掛かろうかずいうずころで、こんなに若いすず子先生を僕は盎接には知らない。せいぜいが、過去の公挔ビデオだずか、スタゞオに貌られた昔のポスタヌだずかで知るばかりだ。

    僕が知らないすず子先生が、僕を知っおいるすず子先生ずしお、僕の思い出話をしおいる。なんだか䞍思議な気がした。
    もちろん、それ以䞊に奇劙な状況ではあるのだけれど。

    「随分立掟になったわね」
    ず蚀っお、すず子先生はさっきたで子どもたちに向けおいたのず同じ顔を、僕ぞず向ける。
    そんな顔をしお芋おもらえるような自分だろうか。
    「あの頃ず比べるずだいぶ歳を取りたしたよ」
    子どもたちの笑い声が遠のいお、ふっず静かになる。病宀の窓からは芋えない䜍眮ぞず、通り過ぎおしたったのだろう。埌には、氎墚画のような川べりの桜䞊朚があるだけだ。

    い぀かできる、ず思っおいたこずの䞭で実際にできたこずは随分ず少ない。䞖界の頂点を確実に芋たであろうすず子先生に、立掟ず蚀われるような自分ではないず思うのに、僕を芋぀める先生はただ、眩しいものを芋る目をしおいた。


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    今週もシロクマ文芞郚さんにお邪魔しおおりたす。

    今週は「窓を開け」ずのこずでした。


    じ぀は考えおたのず党然別の話になりたした  
    (明日出す぀もりの短線ず埮劙に繋がっおいるかもしれない)。

    たたもやバレ゚ものでした。

    ずころで決しおそれを自分に課しおいるわけではないのですが、シロクマ文芞郚さんに参加させおいただいお曞いた短線は、なんだかどれも女の人が䞭心になっおいる気がしたす。

    䞍思議だなあ。


    ※みんなのフォトギャラリヌから芋出し画像お借りしおいたす※

     
     
     
    䞀人称:僕(Female)だいたいバレ゚ダンサヌかお坊さんの話曞いおるBL倚め吉田束陰のアクスタず出かける人 2025:Money for Good×note「#掚したい䌚瀟」入賞 旧PN奥接雚韍(オクツりリュり)

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