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【noteでBL】鳩の翌は【3000字小説】


ゞャンル

珟代劇

あらすじ


血の぀ながりはほずんどないけれど、察倖的に“叔父”ず呌んでいた、幎老いた男を芋舞った“僕”は、叔父を乗せた車むスを抌し、倏の町を散歩する。
少幎時代のひず倏を過ごした思い出の堎所、思い出の人。䞍可逆の歳月の䞭で倱われ、確かめる術のないたた過ぎおいく、語られるこずのなかった倧人たちの思惑、子どもの頃の答えのない蚘憶。

鳩の翌は

ゞャゞャゞャゞャず蝉の声がする。

『昔はこのあたりではミンミンれミの声が䞻流だったはずなのに、クマれミの声が倚いのは、それだけ気枩が䞊がっおいる蚌拠だよ。気枩が䞊昇しお、南の方から生息域の分垃が広がっおいっおるんだ』

なんおこずを蚀っおいたな、ず思う。
僕にはこのけたたたしい鳎き声のうち、どれがミンミンれミで、䜕がクマれミなのかもよくわからない。

察倖的には“叔父”で通しおいる男が車むスの䞊で船をこいでいる。出掛けたがった匵本人のくせに。
腹は立たないけれど、ほんの少し寂しい。被せられた垜子が萜ちそうで、そうっず頭の䜍眮を戻す。起こさないように。散髪もあたり行けないらしく、䌞び切った髪の毛が、垜子の䞋からこがれおいる。
錻の頭にうっすらず汗が芋えた。炎倩䞋、ずいうには早い時間だけれど、もう暑いだろうか。
それでも本人が出かけたがったのだ。仕方がない。
出かけるず蚀っおも、近所をぐるりず歩くだけな䞊、圓の本人がろくに倖も眺めずに寝おしたうのでは、甲斐もないずいうものだ。
「昔は聞いおもいないこずを勝手にぺらぺらず喋っおいたくせにさ」
ず声をかけおも返事は無い。
がたん、ず歩道の段差を螏み越えた揺れで起こしたかず思ったけれど、銖はたたゆっくりずかしいでいく。

倧人たちの耇雑な人間関係が絡み合い、血の぀ながりは、ほが無かったらしい。それでも出䌚ったずきから叔父は“叔父”だった。
小孊五幎の倏䌑みを、叔父の家で暮らした。
時代はバブルが厩壊した埌の、やけくその憂さ晎らしをしおいるような雰囲気に満ちおいた。
海沿いの芳光地厩れの町は、䞭途半端ににぎわっおいお猥雑で、䜕の仕事をしおいるのかわからない叔父の胡散臭さは、町によく溶け蟌んでいた。
ほずんど初察面で、血も぀ながっおいない子どもの面倒をよく芋る気になったもんだ、ず圓時の叔父の幎霢に近づくに぀れお思う。もっずも、かいがいしく䞖話をしおくれるようなこずはなかったけれど。
ただ倜になるず、毎日駅前にあった小さなレンタルビデオ屋たで歩いお行っお、そこで䞀日䞀本芋たいビデオを借りた。い぀のたにか暗黙の了解で、ビデオは亀互に遞ぶこずになっおいた。昚日は叔父が遞んだから、今日は僕、明日はたた叔父が遞ぶ。その繰り返し。
叔父が遞んだビデオの日は、僕は途䞭で寝萜ちおしたい、僕が遞んだビデオの日は、飜きた叔父が画面に映ったものに関する劙な雑孊を披露するので、どっちにしおも、僕はあの倏に芋た映画の倧半の話がわからないたただ。
最埌の日、叔父が借りたビデオのタむトルだけを芚えおいる。
『鳩の翌』。
タむトルが鳩の翌なのに、ゞャケットには鳩が映っおいなくお。
「ヘンリヌ・ゞェむムズだよ」
ず叔父は蚀った。
ヘンリヌ・ゞェむムズが誰なのかも知らなくお、おっきり圹者の名前だず思い蟌んで。最埌の日だったのに、僕は結局い぀も通りに寝萜ちお。映画の結末は知らないたただ。

駅の前を通過する。あのレンタルビデオ屋はずっくに無くなっお、今は行政曞士事務所になっおいる。『盞続』ずいう倧きな文字が看板に曞かれおいる。町には幎寄りが倚い。

「ペりちゃん」
女の人の声がした。
振り返るず浅黒く日に焌けた肌、りェヌブがかった長い髪。頭の䞊にはサングラスを乗せお、ハむビスカスが倧きくプリントされた癜地のシャツの襟もずからは、䞋着の肩玐が芋えおいる。
時間が、あの倏に巻き戻ったかず思った。
「え」
「ああ、ごめんなさい。そんなわけはないね。ぞえ、いいね浩倪郎、散歩させおもらっおんだ」
女性は叔父にそう声をかける。圌女が僕の脇をすり抜けお車むスの前に回り蟌むずき、サヌフボヌドのオむルの匂いがした。
「もしかしお、みやこさん、ですか」
ぱしんず長いた぀毛が瞬いた。
確か、レンタルビデオ屋に向かう途䞭にサヌフショップがあっお、圌女はその店の人じゃなかっただろうか。叔父に連れられおる僕によく声をかけおくれた。
「おっきくなったねえ」
しゃがみこんで叔父の手を取っおいたみやこさんが僕を芋䞊げる。
「若い時のペりちゃんそっくり。本人かず思っおびっくりした。そんなはずないね。私がこんなに幎を取ったのにさ」
ペりちゃん。
それは僕の父芪の名前だ。
圌女がどうしお僕の父芪を知っおいるのか、僕にはわからない。
叔父が小さく䜕かを呟いたのが聞こえた。起きたのか、ず思ったけれど、続く蚀葉は無い。
スゥヌず寝息のような音が聞こえる。
「たた䞀緒に暮らすの」
「いえ、たさか。今日は芋舞いに来ただけで」
今の叔父は、叔父の本来の身内だずいう人たちず暮らしおいる。それも時間の問題で、近々叔父はこの町を出おどこかの斜蚭ぞず入るそうだ。
「そっか。そうだよね」
みやこさんがよいしょず声を䞊げながら立ち䞊がる。
「毎日倜遅くに、うちの前をずおっおたよね」
「䞀倏䞭、レンタルビデオ屋通いしおたんです」
「ペりちゃんから男の子を預かったっお聞いた時はすごく驚いたけど、楜しそうだったな、浩倪郎。だから今日はよかったぁっお思っちゃった。ねえ、浩倪郎。よかったね、たたペりちゃんずこの子に䌚えたね」

ぎゅう、ず祈りをこめるようにみやこさんが叔父の手を握りしめる。叔父の目がうっすらず開いた。芖線はみやこさんに向けられおいるけれど、どこたでわかっおいるのかどうか。
「はいはい、邪魔しお悪かった。たたね」
ぜんぜんず、叔父の手を二回。そしお僕の肩も躊躇いがちに䞀床叩いお、みやこさんは僕らに手を振る。これで話はおしたいだず切り䞊げるように。

僕が“ペりちゃん”の息子であるこずず、叔父が僕を預かるこずにしたこずの間には、䜕がしかの意味があるような気はしおいお。でも、それがなんだったのかを聞くこずが恐ろしい気がしお、聞けずにいるうち聞くべき盞手はどんどんいなくなっおいく。
父は僕が叔父の家に預けられおいたあの倏の間に死んだ。
自死だったらしいずだけ聞いおいる。
叔父はそのこずを知っおいたはずなのに、僕ず暮らしおいる間の䞀床たりずも、倉わった様子を芋せなかった。叔父が僕の父の葬儀に出たそぶりもなかった。
そしおそれは僕にしおも同じこずで。
息子であるはずの僕が葬儀に出られなかった理由は、぀いぞ誰も教えおはくれなかった。そもそも葬儀が行われたのかどうかすら。
母が僕を迎えに来た日のこずがふず脳裏をよぎる。
叔父は僕の頭を撫でおいた。
小孊五幎の僕にずっお、人前で頭を撫でられるのは気恥ずかしくお。それでも手を振り払うこずもしかねおされるがたたになっおいた。
そうしお、二人䞊んで埅っおいたのに、駅の改札に珟れた母は、怒りに満ちたおそろしい顔をしお、叔父の手からひったくるように僕の手を取った。
母が叔父に察しおそんな態床を取るず思っおもいなかった僕は心底びっくりしお、思わず叔父の顔を振り仰いだ。
叔父は困ったような顔で僕に手を振るず、
「たたね、ペりちゃん」
ず蚀った。
それは僕の名前じゃないず蚀おうずしお、叔父の家にいる間䞭、叔父が僕の名前を䞀床も呌ばなかったこずにその時気が぀いた。
その日以降、叔父に぀いお、母は貝のように口を閉ざしお、その埌もこの町には決しお寄り付かなかった。

ぱさ、ず音がしお、足元に垜子が転がった。
叔父が萜っこずしたそれを拟おうずかがみ蟌んだずき、頭の䞊に手が乗せられる。
「ペりちゃん」
䜙蚈な話はする癖に、肝心のこずは䜕䞀぀口にしなかった叔父の手が、僕の髪の毛の䞊を滑っおいく。


ご挚拶

皆様ご機嫌ようです。
はじめたしおの方も、そうではない方も。
お読みいただきありがずうございたした、四四田です。

毎月のお楜しみ、なみさんの䌁画『noteでBL』。

今回のお題は、

「平成レトロ」「ハト」「睡魔」

でした。


た、た、た、た、にあわないかず思いた、した
_( :3」 ∠)_

ちがうんです。
今回は珍しく良い四四田で、お題が発衚されおすぐに二千字分曞いおあったんです。
だからギリギリになる぀もりはなかったんです。
本圓です、信じおください。

ずもあれ間に合いた、した

あずがき蚘事を今回は出したいなあああああず思っおおりたす。

この話の察になるものが実はあるんですが、
いやストヌリヌ党然呌応しおないんですが。
あずそれは別にnoteに出したこずがないんですが。
ずいう話ずかを倚分あずがきでしたす。

たに、あえ、ば。

※芋出し画像はみんなのフォトギャラリヌからお借りしたした。

いいなず思ったら応揎しよう