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フォトコンテスト入賞者が伝えたい、「文具撮影ビギナー向けマインドセット・小テクニック集」

    ◇はじめに

     こんばんは、ボクは万年筆好きのミミズクであるナルコスカル。軽く自己紹介をすると、前回記事で「次の記事はnote大賞応募に締め切りに間に合わないだろう」と書いていたけど、なんだかんだ言ってしっかり間に合わせてしまった。

     前回の記事でも述べたとおりボクは先月、日本最大級のカメラ機材ネットショップである「マップカメラ」とその関連サイトで開催されたフォトコンテストやカメラ機材レビューコンテストにおいて、「マクロ/テーブルフォトフォト部門準グランプリ」や「メーカー別ベストレビュー(大賞)」に選ばれた。

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    「Map Camera Photo Contest 2026」結果発表ページスクリーンショット
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    「10Brand Review Selection」結果発表ページスクリーンショット

     これらの受賞時点で、ボクのカメラ歴は10ヶ月。しかも、入賞した写真はカメラ歴6ヶ月時点で撮ったものだ。その身の上では極めて優れた結果を得られたと思う。受賞者として、あらためて多大な感謝を申し上げる。

     今回は、ボクの入賞作や普段の写真を作例として、「ボクの文具撮影マインドセット・小テクニック」を語っていく。去年の8月まではスマホ撮影だったとはいえ、ボクの文具撮影歴は文具歴と同じ9年だ。

     そして、ボクはこの記事を「撮影専用機材所有者だけの特権」にするつもりはない。一部ではカメラ機材特有の話が出てくるけど、大部分はスマホ撮影でも再現性があるものだ。それに、かなり恥ずかしいけどボクのスマホ撮影時代の写真も載せている。そういう意味も含めて、この記事を楽しくお読みいただけたら幸いだ。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF24-105mm F4 L IS USM + EL-10
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    📷iPhone8

     コンテスト入賞者とはいえ、ボクは専門的なプロフォトグラファーじゃない。ボクのこの記事は、あくまで「アマチュアが述べるもの」として認識してほしい。

     それから、この記事はビギナー向けのマインドセット・小テクニック集記事だ。君が「マクロレンズとライティングしか勝たん」と思っているタイプなら、どこかのフォトコンテストでボクと真剣勝負をしよう。

     ボクと一緒に夜の帳のもとで同じ時間をすごす準備ができたなら、さっそく始めていこう。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術①「文具写真は『作為的に見えない作為的写真』」

     ボクとしては、君へ最初にこのマインドセットを伝えたい。

     一般的に写真撮影においては、「被写体や撮影環境に負担をかけないこと」が前提とされている。特に、スナップや自然動物撮影、乗り物系ではこの傾向が強い。スナップは非演出性・非再現性が強い表現部門。自然動物の生息環境を荒らしたり、ペットに対してもストロボ使用は基本的にNG。撮影者が列車や航空機の出発や到着を左右したら事件になりかねない。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF70-200mm F2.8 L IS USM Z
    撮影場所:盛岡市動物公園"ZOOMO"

     それらとは対照的に、文具写真を含めたテーブルフォト全般では、基本的に撮影者が被写体の状態や撮影環境を自由に操作することができる。部屋が暗ければカーテンを開けたり照明をつけてもいいし、ストロボだって使える。被写体の向きや構図を練り込むことだってできるし、時間が許す限り何度だって撮り直せる。接写機能つきマクロレンズ使用時には、複数枚の写真を合成する手法も存在する。

     そう、基本的に文具写真は「作為的前提の撮影」なんだ。

     とはいえ、たとえば文具メーカー・ブランドの公式サイトに載っている写真を見て、君は「ガチガチに練り込んで撮影したな」と感じるだろうか? おそらくは、ボクのこの記事を読む前は、「プロがパッと撮ったのかな?」くらいの認識だったと思う。

     あくまでボクの持論だけど、「文具写真では『作為的に見えないこと』を求められる」と思っている。たとえるなら、文具ユーザーの視界をそのまま写真にしたようなものだ。

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    これはあえて、文具店のショーケースを意識して撮ったものだ。
    📷EOS R6 MarkIII + RF85mm F2 MACRO IS STM

     老若男女問わず、一般的に写真という表現ジャンルには非演出性・非再現性が求められがちで、「わざと」は難色を示されやすいと思っている。

     君にはまず、前提としてこの壁を突破することを念頭に置いてほしい。とはいえ、「作為的に見えない写真」はそれほど難易度が高いものじゃない。翼の力を抜いて読み進めてほしい。

     え? 「鳥はナルコスカルだけで自分は人間」? ……次章に行こう。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術②「文具写真では撮影環境を明るくしよう」

     視覚情報の本質は光だ。これは肉眼でもレンズでも変わらない、光学的な大前提だ。暗闇ではなにも見えず、写真は黒一色になる。ミミズクであるボクだって、夜目を輝かせるにはすくなからず光が必要だ。

     つまり、文具撮影時には撮影環境を明るくしてほしい。前章で述べたように、部屋が暗いならカーテンを開けたり照明をつける。フラッシュ・ストロボ使用も選択肢に入るだろう。

     ああ、そうだ。これは当たり前だ。だけどここからは、カメラの機械性能的・光学性能的な事情を簡単に説明していく。

     ざっくり表現すると、スマホカメラや撮影専用機材を問わず、一般的な室内は暗所寄りなんだ。「光量が足りている状態」とは、基本的に日中屋外かしっかりと照明機材を組んだスタジオだけと思ってほしい。

     光量が足りないと機械はどうするか。「光へのISO感度を上げる」や「シャッタースピードSSを遅くする」という手法を選ぶ。ISO感度設定が高ければ、すくない光量でSSを稼げる。SSを遅くすれば、ISO感度を上げずに撮影できる。文具撮影においては、この二者が天秤の状態であると認識してほしい。

     スマホカメラの場合は誰でも撮影できることを重視して、ISO感度やSSが自動設定である場合が多い。君がスマホを使って夜間や暗所で撮影したときに、「シャッターボタンをタップしてから、カメラロールに写真が保存されるまでにラグが起きる」という現象を目の当たりにしたことがあるはず。それが「SSが遅い状態」だ。

     それから、この話には絞りF値も関係するが、この記事はビギナー・カジュアル層向けとして割愛する。

     だけど、この天秤にはどちらに傾いてもデメリットがある。ISO感度を上げれば写真のノイズ感が高まる。SSを遅くすると手ブレリスクが高まる。

     つまり、この二律背反を打破する行為こそ、「撮影環境の絶対的な光量を高める」だ。これならISO感度を下げつつSSを上げることができる。

     もうひとつのメジャーな解決方法があるが、それは次章で述べる。

     とはいえ、君は今、「なら、真夜中の静謐な雰囲気で文具写真を撮りたい場合は?」と思ったはずだ。ここでミミズククイズだ。このふたつの写真、夜中に撮影したものはどちらだろうか?

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    📷EOS R6 MarkIII + RF85mm F2 MACRO IS STM
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    📷EOS R10 + RF85mm F2 MACRO IS STM

     ああ、そういうことだ。身も蓋もない話をすると、文具写真では「編集で夜間っぽい雰囲気にすること」が可能だ。これはテーブルフォトならではの手法だな。

     そして、光量が高い環境で撮った写真、つまりISO感度が低い写真ほど編集耐性が上がる。その意味でも君が文具写真を撮るときには、室内の光量に気を配ってほしい。

     あ、さっきのミミズククイズの答えは「1枚目」だ。2枚目は日中の窓際で撮影したものだ。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術③「撮影機材をできるだけ動かさず撮ろう」

     日中屋外なら1/4000秒や1/8000秒といった、野鳥や航空機さえ画として空中で静止できるほどの高速シャッターが可能だけど、前章で語ったとおり、文具撮影では低速寄りのSSになることが一般的だ。

     SSが遅くなると、それだけ手ブレのリスクが高まる。基本的に文具撮影では撮影時間すべてがシャッターチャンスだけど、撮影総数に対する採用級写真の比率歩留まりが低下すると作業効率やモチベーションも落ちる。

     機材を構えたときには、自分では動いていないように見えて意外と微細に揺れ続けてる。詳しくは後述するけど、文具撮影では「中望遠域」などの「狭い画角」を使って撮影する場合があり、それらでは特に手ブレの影響を受けやすい。

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    このポストカード写真は、SS1/15秒の低速シャッターで撮影したものだ。
    📷EOS R6 MarkIII + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM

     つまり、君が文具撮影するときには、「できるだけ機材や機材を構える腕を動かさないこと」を意識してほしい。自分でISO感度やSSを設定できる撮影専用機材はもとより、スマホ撮影でも(機械が「固定されている」と自動で感知して)意図的にSSを下げて画質を確保する「夜景モード」などがある。

     とはいえ、これは決して「数万円クラスの立派な三脚などが必須」という意味じゃない。以下はゼロ円で可能な手ブレ回避テクニックの一部だ。

    • 撮影時は脇をしめる(すべての写真撮影における基本中の基本)

    • 机などの上に肘を置く

    • 撮影機材を置いて撮影

    • タイマー機能などを使って、「物理的にシャッターボタンを押す」という行為自体を省く

     どうだろうか? ビギナーでもすこし意識すれば簡単にできるものばかりだと思う。

     ちなみに、別のアプローチとして「機材の手ブレ補正機能を頼る」という方法論もある。ボクはいつも、ボクの機材のメーカーであるキヤノンの技術力の高さを実感している。

     ボクの体感では、キヤノン製現行ミラーレス機材なら、カメラ本体側に手ブレ補正機能がなくてもレンズ側にそれがあれば、中望遠〜望遠域の画角でもSS1/20秒程度なら歩留まりがそれほど落ちないと思っている。

     余談になるんだけど、キヤノン純正マクロ機能つき現行ミラーレス用レンズは、非高級レンズを含めてすべて手ブレ補正が入っている。その反面、キヤノン製レンズは他メーカーよりも値段が比較的高めだ。とはいえ、文具写真の歩留まりの観点から見たらとても頼もしい上に、撮影者の好みや懐事情に対して柔軟に対応している。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術④「魅力的な文具写真には『主題と副題』がある」

     ボクがときおり動画を拝見する、写真・カメラ系Youtuberの「ゆ〜とび」氏は、ことあるごとに「写真は主題と副題が重要」と口にしている。

     ボクはそれを、文具写真におけるひとつの真理だと認識している。

     文具は、言ってしまえば「日常の延長」なんだ。文具は、大きなライブ会場を満員にするほどのアイドルじゃない。大きな憧れや目標になり得る高級車や、サーキットを猛々しく駆けるレース車両じゃない。優雅に空を舞い、物好きに高級望遠レンズを買わせるほどの野鳥や航空機じゃない。

     文具写真はよくも悪くも、「日用品の写真」だとボクは思っている。

     だからこそ、魅力的な文具写真にはある程度の撮影技術が必要だ。そのひとつが「主題と副題」だ。ここからは、ボクの写真を例にして、それを解説していこう。

     最初に例として挙げるのは、ボクが件のフォトコンテストで準グランプリをいただいた写真だ。君が感じているとおり、写真そのものの情報総量は多い。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF85mm F2 MACRO IS STM

     主題であるペンは、パイロット製最高級万年筆である「カスタムURUSHI」。ペン先は超大型18金染め分け仕様であり、美麗な刻印が入っている。黒一色だけど、ボディは漆塗りだ。

     背景は、名作童話である「狼と七匹の子山羊」の一節を描いたオシャレで可愛らしいイラストであり、一部で箔押しが輝いている。

     前述のとおり、情報総量は多い。だけど、この写真は「引き算」を念頭に撮ったものだ。

     背景のイラストは、実は市販のポストカード1枚だ。つまり、写真と撮る上で並べたアイテム数は、万年筆とポストカードの2つだけ。

     ピントはカスタムURUSHIのペン先に合わせ、背景のイラストが童話のワンシーンであると判別できる程度に調整してボカした。つまり、「ピントが合ったペン先」と「ボケた背景のイラスト」だ。

     この写真では撮影専用機材の光学的で自然なボケ感を使っているけど、現代スマホなら撮影後の後処理で背景のボケ感を得ることができる。とはいえ、スマホの後処理ボケ精度は発展途上だ。

     こういった「主題と副題」の関係や「引き算」を重視したことこそ、準グランプリに選ばれた理由のひとつなのかもしれない。

     おっと、ミミズクの思惑自慢をはじめてしまうところだった。次の例にいこう。次は、「主題1つ、副題2つ」のパターンだ。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM + EL-10

     この写真では万年筆のペン先にピントを合わせ、キャップとそれらの下に敷かれたノートの表紙をボカしている。「キャップがあることで、実際の筆記中の雰囲気に近づける」という狙いだ。それから、白金色のペン先刻印のカリッとした描写と、情報量が多い副題の対比にもしている。

     今度は「主題8つ、副題1つ」の、「ペンケースに並べられた複数のペン」の写真だ。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF24-105mm F4 L IS USM + EL-10

     主題が多い上にそれぞれに相応の情報量がある。文具写真としてはリッチな主題だ。この状態で副題まで情報量が多いと主題の魅力が損なわれるので、シンプルながらも高級感があるペンケースに並ばせた状態で撮影した。

    「主題と副題」とは、言い換えると「情報量の調整」と表現できるだろう。文具写真では無地のノートを開けば白一色の背景が得られるけど、君が撮るときには是非思い出してほしい。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術⑤「『構図』を使うと写真の魅力がアップする」

    「構図」とは、「『被写体を写真上のどの位置に置くか』や、『被写体で線や図形を描くこと』により、画としての魅力を引き出す技法」だ。究極的に言えば写真に構図を与えなくても写真として成立するけど、表現を意図した写真作品では必須と考えてほしい。

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    構図がない写真は、画として表現写真より記録写真に近くなる。
    📷iPad Air M2
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    逆に構図があれば、解像感やボケ感、「主題と副題」などが控えめでも画としてある程度成立する。
    📷iPhone8

     とは言っても、そんなに難しいものじゃない。構図はすでに決められた複数個のパターンがあり、ビギナーでもすこし意識すれば取り入れやすい。それに、個々の構図はシンプルなものが多い。

     構図のなかで一番シンプルなものは「日の丸構図」だ。これはその名のとおり、主題の被写体を写真中央部に据える構図だ。これにより画として強い安定感が得られる。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF85mm F2 MACRO IS STM
    被写体:イギリス製手動活版印刷機

     日の丸構図はビギナーでも作りやすく、プロでも用いることがある。その反面、日の丸構図の写真はよく見かけるので、悪く言えば個性に乏しい。

    「対角線構図」もまたその名のとおり、被写体で写真を横切る対角線を作る構図だ。これにより安定感と躍動感が両立できる。文具写真では、ペンやノート・紙類をななめに置いただけで得られる構図だ。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
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    対角線構図は同一の被写体だけじゃなく、複数の被写体で作ることもできる。
    📷iPhone8

    「三角構図」もまた、被写体で三角を形作る構図だ。底辺が下にある三角構図は、特に強い安定感を得られる。三角形の被写体だけじゃなく、複数の被写体で三角を作ることも可能だ。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF85mm F2 MACRO IS STM

    「C構図」や「S字構図」は、被写体でCやS状の曲線を描く構図だ。これらは画として奥行き感を演出できる。文具写真は平面的になりやすいので特に効果的だ。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM

    「フレーム構図」や「額縁構図」と呼ばれる構図は、被写体でフレームを作る構図だ。実際の額縁と同様に、囲まれたものを強調できる。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF24-105mm F4 L IS USM

    「三分割構図」はすこし複雑だけど、その分テクニカルだ。これは写真の縦横へ三分割になるように線を引き、その線の上や線と線が交わる点に被写体を置く手法だ。

     この写真では、右上で線同士が交わる点にピントを置いている。それをクリアしつつ、写真左側に空間的なゆとりを持たせた。また、横線は背景の子山羊の首元と腰の位置で揃えている。

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     構図は単体だけじゃなく、組み合わせて使うこともできる。この写真では日の丸構図と対角線構図の組み合わせだ。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF85mm F2 MACRO IS STM

     この写真では日の丸構図と対角線構図、C構図も使っている。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF85mm F2 MACRO IS STM

     これらのように、構図を使うとさらに写真を魅力的にできる。撮影後の編集時に取り入れることもできるので、是非積極的にチャレンジしてほしい。

     なんだか偉そうに言っているけど、ボクは撮影専用機材や撮影知識を持たずに文具写真を撮っていた期間が長く、撮影で構図を取り入れるときは極めて感覚的だ。編集時に「あ、構図になっている」と気づくときがよくある。よくも悪くも野生のミミズクの勘すぎる……。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術⑥「広角画角と中望遠画角の、特徴と使い方」

     写真の描写特性の多くは機材に由来する。センサー面が大きくなるほど高いボケ感が得られやすいし、画角焦点距離が異なれば遠近感に違いが出る。

     とはいえ、これらをすべて解説すると情報量が膨大になって、君が「じゃあ結局どうすればええの?」と首を傾げてしまうだろう。

     君にそんなミミズクみたいな仕草をさせないために、「広角画角」と「中望遠画角」の特徴やメリット・メリットをピックアップして語っていく。

     ややこしい話になるので軽く触れるだけにするけど、一般的に中望遠域は焦点距離85mm以上、つまりレンズ中心点とセンサー面が8.5cm以上離れたものを指す。スマホには明らかに8.5cmの厚さはない。スマホレンズにおける焦点距離は、「35mmフィルムの大きさで計算すると、どれくらいの焦点距離相当の画角になるのか」というものだ。

     まずは広角画角からだ。これはスマホで広く普及している画角なので、君も馴染みがあるだろう。

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    📷EOS R10 + RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM

     広角の特徴は「画の遠近感」だ。ざっくり表現すると、近いものを大きく、遠いものを小さく描写する。これによりダイナミックな写真が得られる。文具写真では、卓上全体を写したいときにも重宝するだろう。画角が広いので、自宅のような限られた撮影環境にも適している。

     反面、広角では実物と比べると不自然に伸びたり大きくなったり曲がっている写真になる場合がある。それに、広く写せるということは、「画として散漫になりやすい」ということでもある。

     広角画角では、前述した「主題と副題」を意識しつつ、撮影角度や構図を練ってほしい。スマホカメラはある程度接写機能に長けたモデルが多い。それから、広角はスナップ・(自然)風景などにも転用可能な画角だ。持ち腐れになることはまずないだろう。

     次に中望遠画角だ。iPhone17 Proには、焦点距離100mm相当の望遠レンズが搭載されている。これが中望遠域のちょうど中心あたりだ。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM + EL-10

     中望遠画角の特徴は「主役作り」だ。画角が狭く、「まっすぐなものはまっすぐ、短いものは短く」という素直な描写を得られる。また、被写体の遠近感が狭まる「圧縮効果」という現象を得やすい。この圧縮効果により画の散漫が軽減され、迫力ある写真を狙いやすくなっている。

     反面、中望遠は複数の被写体すべてを写真内に収めるのが難しい。もし自宅で卓上全体を撮ろうとすると、「離れて、脚立を立てて、登って、撮って、降りて、確認して、片付け」と撮影効率が落ちる。それに、画角が狭いということは、わずかな動きだけで撮影角度が変わりやすく、それだけ手ブレの影響を受けやすい。

     中望遠画角では、得たい写真を頭のなかである程度シミュレーションしてから撮影することを意識してほしい。それから、中望遠は人物・ペット・(一輪だけ主題する)花などにも転用可能な画角だ。広角よりも比較的肖像作品作り的な画角と言えるだろう。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術⑦「『自分で納得できる1枚』にこだわろう」

     スナップ・自然動物・乗り物・スポーツなどの撮影分野ではよく、「一瞬のシャッターチャンス」という表現を見かける。それらは限りなく事実に近い。

     被写体・時間・天候・季節・その他のジャンル特性的な条件が再びすべて重なることはまずあり得ない。だからこそコンテスト入賞を狙うハイアマチュアやプロの表現者・商業フォトグラファーは、その一瞬を取り逃がさないために歩留まりが高い高級機材を使用する。

     その反面、文具撮影を含むテーブルフォトは再現性が比較的高い。屋内に撮影環境を組んでおけば、数日にわたって撮影できる。ボク自身、note記事作りでよく行なう手法だ。

     つまり、文具撮影は他ジャンルと比べて、シャッターチャンスに恵まれた分野だ。だからこそ君は、「こだわりの1枚を粘ること」を意識してほしい。

     文具、特に筆記具は磨かれた樹脂・金属パーツによって構成されたものが多く、光を反射しやすい性質がある。実質的に鏡を撮影しようとすることと同じだ。ボクの裏話をすると、満足できる1枚を撮れたと思ったら、万年筆のペン先にちょっと見せたくないものが写り込んでいることがよく起こる。

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    この写真は明確に、「ボールペンの口金にある雑多な反射を、ボケ感で抑える」という意図を込めた1枚。
    📷EOS R6 MarkIII + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM + EL-10

     君が高性能な端末を持っているなら、編集ソフトでそれを目立たなくすることや消すことができるかもしれない。だけど、これはビギナー・カジュアル層向けの記事だ。「編集のために高いPC組んで、サブスクの高度な編集ソフトを使って」なんて、ボクのかわいいクチバシが裂けても言えないし、ボク自身もそこまでの作業環境じゃない。

     だからこそ、君は「こだわりの1枚が撮れるまで、何度も撮影にチャレンジすること」を意識してほしい。光の加減、撮影角度、画角、被写体選び、反射の出方、etc。これは金銭的出費ゼロ円で、どんな機材でもできることだ。

     それに、何度もシャッターを切るということは、その分だけ撮影が上達するということだ。ボクは上下線合わせて30分に1回程度しか通らない鉄道写真を撮りにいったことがあるけど、テーブルフォトではじっくりと「主題と副題」の関係性や構図作りを練る余裕がある。これらは他ジャンルの撮影でも使える技術だ。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術Extra 「撮影後の編集に挑戦してみよう」

     最近ではスマホカメラでもそうであるように、カメラ機材では「RAWデータ」という形式で写真を保存できる。ざっくり説明すると、編集が加えられていない元データだ。

     RAWデータからの写真編集は、JPEGなどのデータ形式よりも編集耐性が高い。これを「RAW現像」と呼ぶ。昨今ではスマート端末で使える現像アプリがあり、かく言うボクは撮影地での小休憩中に現像作業を行なうことがある。

     もっとも、フォトコンテスト入賞や仕事の納品物などを考慮しなければ、JPEGからの編集でも大きな問題はない。むしろ、RAW現像を行なうにはある程度マシンパワーがある端末が必要なので、君が「カジュアルに楽しみたい」と考えるなら、JPEG編集でOKだ。

     これらを本格的に語るとこのnote記事が本になってしまうので軽く触れるだけにするが、現像作業のなかには「トーンカーブ」や「カラーグレーディング」などがある。順に説明していこう。

     トーンカーブは写真の明暗やコントラストなどを編集する技法だ。ボクの考えでは、文具写真では緻密な描写を演出したいので、トーンカーブを操作して意図する雰囲気に近づける。また、写真全体的な編集だけじゃなく、「暗部だけを持ち上げる」などのやり方もできる。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM + EL-10

     カラーグレーディングは、写真の赤味・緑味・青味を操作して、意図する印象に編集する技法。以下の2枚は、カラーグレーディングの有無だけ異なる写真だ。色味だけでこんなにストーリー性が変わってくる。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF24-105mm F4 L IS USM + EL-10
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    📷EOS R6 MarkIII + RF24-105mm F4 L IS USM + EL-10

     といっても、これらは表現写真・写真作品において決して必須というわけじゃない。というのも、ボクの例のコンテスト入賞写真は、カラーグレーディング技術をほぼ知らないころに撮影・現像したものだ。

     君が「もっと高度な写真編集をやってみたいな」と考えたときに、トーンカーブやカラーグレーディングを思い出してもらえたら嬉しい。

     それから、この記事では割愛するけど、文具写真において照明ライティングはかなり重宝する。ボクはストロボ光と筆記角度で、文具の小キズを隠したりする。

    ◇ナルコスカルの文具撮影術Final「文具の写真撮影を楽しみ、文具を愛でることを忘れないでほしい」

     これはマインドセットやテクニック論というより、ボクの願いだ。

     文具写真は「すでに基準が存在する写真表現ジャンル」だ。各メーカー・ブランドのサイトに行けば、プロが撮ったであろう美麗な写真が存在する。

     スナップのような一瞬しか存在し得ない偶然も、肖像写真ポートレートのような一瞬しか存在し得ない表情も、スポーツ写真のような一瞬しか存在し得ない攻防も皆無。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF70-200mm F2.8 L IS USM Z
    撮影場所:盛岡市・高松公園

     ある意味、文具写真は公式サイトの真似事だ。これは文具写真で実績を得たボクでも変わらない。

     他の嗜好的実用品、たとえば腕時計や二輪車あたりと比べたら、文具は安価だ。トップブランドのフラグシップ最上位万年筆であるモンブラン・マイスターシュテュック149でさえユーザー数は多い。君のお気に入りは、ほかの誰かも持っているだろう。

     だからこそ、文具を撮ることを、文具を愛でることを楽しんでほしい。公式写真とメイン被写体が同一でも、君には君の撮影環境がある。感性や視点がある。愛がある。それらは無二だ。

     ボクは、「素敵なアイテムを持つ自分が好き」や「素敵なアイテムを持つ自分をもっと褒められたい」という気持ちを決して否定しない。ボクだって「万年筆好きのミミズク」と名乗るくらいそういうものを少なからず抱いているし、それらを否定してしまったら大半の趣味は成立しないと思っている。

     だけど、愛は忘れないでほしい。君が撮った渾身の1枚は、noteや他のSNS、フォトコンテストであまり評価されないかもしれない。君が決意を固めて買った高級文具を、誰かはカジュアルな普段使いにしているかもしれない。

     君の愛をポジティブな燃料に変えてほしい。「世界で一番、このアイテムの魅力を引き出せるのは自分なんだ」と、そういう気持ちでシャッターを切ってほしい。ボクは、それが文具写真上達の最短ルートだと思っている。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF100mm F2.8 L MACRO IS USM + EL-10

     ……なんだかたくさん熱弁してしまった。君の目尻に涙があるな。ボクの自慢のモフモフ羽毛に顔を埋めて隠してもいい。さあ、遠慮はいらな……え? 「あくびで涙が出ただけ」? ……この記事のまとめに入ろう。

    ◇おわりに

     ここまでお読みくださりありがとうございます。君によい意味でボクの文具写真ライバルになってほしかったから、カジュアル層を意識しつつも文字数がつい膨れてしまった。

     ボクはいつも実感しているが、上手いフォトグラファーの写真は本当に上手い。フォトコンテストの結果を拝見すると、上位層の作品はゾクゾクするほど鮮烈だ。

     だけど、「日常の延長線上」からはじめられるのが文具写真でもある。

     ボクの最初のカメラ機材は、初代iPhone SEだった。約1200万画素のスマホカメラで切り取る机の上の世界が面白かったから、iPhone8やiPad Air M2、エントリー向けミラーレスカメラなどを経て、今はフルサイズミラーレスと高級マクロレンズを使っている。

     これは決して君に機材マウントがしたいわけじゃない。「新しい文具が増えるたびに写真を撮るのが楽しくて、それが何年も続いて、自分のアイテムをもっと素敵に撮りたいから、ついつい性能のいい機材を揃えてしまった」という、「文具写真は何年やっても飽きない」ということを伝えたいんだ。

     そして、ボクはあえてマインドセット・小テクニックに終始し、前半でフレーズだけ登場させた「作為的に見えない写真」の具体例を出さなかった。それはこの記事を読んでくれた君の心に従ってほしい。ボクを「こんな手法もあるのか」と驚かせてほしい。

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    📷EOS R6 MarkIII + RF85mm F2 MACRO IS STM

     君もボクも、これからもお互いに文具と写真を楽しんで生きていこう。

     今夜はここまでにしておく。ボクの翼がそれを望んだ時に、また君のもとに戻ってこようと思う。

     
     
    文具とカメラ好きのミミズクの物書き。note公式「今日の注目記事」選出5回。マップカメラのレビューコンテスト大賞受賞、フォトコンテスト・マクロ/テーブルフォト部門準グランプリ。 アイコンは辰巳ルペさん(https://note.com/rupetatsu)からのファンアート。

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