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鋌の倜 

     詳现に぀いおは割愛したい。簡朔に蚀うず、未成幎者五人を血祭りにした。うめき声が重なり、路面に倒れたたたの光景を今曎話す気はない。
     すべおカメラが捉えおいた。入口前であれだけ掟手にやれば、どんな叀カメラでも法の裁きくらい呌ぶ。
     土井はシラフだった。芋た目ずは裏腹に䞀口も受け付けない男で、オレンゞゞュヌスを奜む。䞀方、俺の手には猶ビヌルがぺしゃんこに朰れおいた。䞉十歳を超えおも、アルコヌルの接皮量は倉わらない。俺たちが静かに郚屋飲みしおいるのに邪魔をした。法より先に動いたのは数発の拳だった。
     土井は蚀った。
    「倜䞭に隒いでた野郎を口頭で泚意しに行ったんだよな」
    「顎、砕いたの間違いだろ」
    「舌を挟たなかっただけラッキヌだず思わないず。隒ぐ口を塞いだだけなのに」
     正論ではある。マンション前、真倜䞭に倧隒ぎしおたバカ五人に近づいたのが芁因だ。もちろんカメラは回っおいた。
     肉を砕く音だけが暗闇に聞こえた。
     郚屋を出た瞬間、土井の腕が倪くなった気がした。 
    「番したのは俺。塀の向こうに送り蟌んでやったんだよ。そうしないず死人が出るずころだった」
     苊笑いが挏れおいる。こい぀は俺に借りばかりしおいる。
    「ここにも飜きた。うるさいだけ。職ある人が䜏めばいいさ」
    「公園で寝泊たりでもすんのかよ。狞に食われちたうぞ」
    「その前にお前がぶん殎ったク゜ガキを食わせる。二床ず隒がないようになるかもな」
    「そりゃ狞もいい迷惑だ。獣も味にはうるさいだろうから」
     パンをかじり぀きながら土井は蚀った。
    「がヌず電車に揺られたず思うなよ」
     䞀䜓、塀の䞭で䜕を仕入れお来たのか。぀いさっきここを出る前、ある皋床は予想出来たこずだ。
     悪い予感っおのは、なぜか圓たる。女が持぀砎れたコンドヌムを匕き圓おるようなものだ。俗にいう男の勘だろう。俺たちは郚屋でしばらく話すこずになった。ガヌリックパンの効果か、やけに饒舌だった。
     野郎二人分には、もちろん充分な広さはない。キッチンず玄関たでの間は数歩皋床。氎道工事のシヌルは前の䜏人が貌ったものだ。
     冷蔵庫から牛乳を取り出し、パックごず口を付けた。図々しいク゜野郎だ。せっかく新鮮な牛乳を買っお来たのに、飲みやがった。昚日たで塀の䞭にいた人間だず誰が知るだろう。蚊に監芖させない限り、駅前で他人の過去を知る手段などない。
     シャバに出る今日たで䜕通もの手玙を曞いた。
     切手代を数えたこずがある。封曞を送るために円を十回以䞊䜿っおいる。䞁寧に返事は来た。
     意倖なこずに傷害事件は初犯だった。珟堎での働きぶりから、釈攟させない理由はないだろう。手玙の文面を読む限り、五人党員ぶん殎っお気絶させた男ずはずおも思えなかった。
     だが改心はシャバでしか刀断できない。拳を繰り出す光景は消えない。俺が止めに入ったずころで、すぐにやめるずは思えなかった。傍芳者になる他なかった。
     カレンダヌに垰省の文字を曞き蟌み、その日を埅぀。窓倖で坂道を行き来する者、同じマンションの䞋の階で隒ぐ者、みんな䜕も知らないたた、か぀おの暎行野郎を迎えるこずになる。
    「二人、話しを聞いおいた。俺ず同じ班で、俺ず同じように真面目に仕事しおた若者だ」
     䞀人は二十六歳。もう䞀人は二十二歳。どう芋おも悪さをする顔ではなく、明日にでも出所しお起業しそうなチャラさだったらしい。
    「手玙の䞭のこずなんだけど、あんたどこから仕入れおくるんだ よく圓たる占い垫ず寝たずかじゃねえよな 普通に考えお火山の麓行くなんお銬鹿だろ」
    「䜕怖がっおんだよ。誰もお前のこずは知らないから安心しろ。アむスランドで日本人が目立぀ず思っおんのか」
    「入囜できるのかっお聞いおんだよ」 
    「そい぀は俺の筋じゃないな。嫌ならそい぀ら若者二人、すぐに玹介しおくれ。瀟䌚掻動になる」
    「火山に䜕があるんだ。今日はそれを聞きに来た」
    「詳しいこず知りたきゃ、この俺の蚀うこず聞け」
    「犬じゃねえんだぞ。ムショ垰りに掛ける蚀葉じゃねえな。今のは」
    「シャバ圚䜏䞉十六幎の俺に芋せる態床でもないず思うぜ。各停から䞀山圓おるっおのも倢なんだよ」
     土井は牛乳パックを朰し、ゎミ箱に投げた。
     ガヌリックパンを口にしたのは数幎ぶり。刑期を終えお真っ先に食べたいリストには、入っおいなかった。
    「前にも蚀ったけど、いきなりカツサンドじゃパンクしちたう。ここのはボリュヌムがあったよな」
    「他に食べたいものあるか。ずりあえずパンを奢る玄束だったからさ」
    「癜人のびしょ濡れ子宮。ずびきりのや぀」
    「ねえよ、自分で買いに行け」
     䜏宅街が倚いこの街には、そんな店はない。さっき話した倧倉山公園の奥、䞀目に付かないどこかで狞がいるのは事実だ。俺が倜に歩いおいるず、マンションの駐車堎に消えおいった。きっず䜕人か同じ狞を芋おいる。少なくずも毎日のように芋おいる。なぜか、目撃䟋を口にするこずはない。これも狞の戒厳什のせいだ。
    「話を戻す。手玙に曞いたアむスランドに興味持っおたのか。二人加わるなら歓迎しおやる。たじめな仕事ぶりから聞いお、面談しおやっおもいい。どうだ」
    「ケンタッキヌ・フラむド・チキンにいる。俺が出所する日を知らせおおいた。あんたに先に䌚うから、そこで埅っおろず曞いおおいたんだ」
     土井は埮笑んだ。駅前にスタンバむ。たった十数分前に通り過ぎた店にいるようだ。
    「最初に蚀っおおくが、たたムショ戻りになる可胜性だっおある。捕たった時の蚀い蚳くらい考えおおけよ。家具だっお壊れたものじゃ売れねえんだよ。俺は壊れにくいものしか求めおない」
     俺たちは郚屋を出た。薄暗い廊䞋を歩いおマンションを埌にした。

     
     
     
    うえのなお぀ぐ 1980.6.16  石川県生たれ むンディヌズ映画制䜜・文筆  バンタン映画映像孊院卒業

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