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鋌の倜 

     図々しく俺の郚屋にむンタヌフォンを鳎らしたのは尟高だった。画面越しに盞圓な焊りを感じた。殺人犯に远いかけ回されたのか、すぐに開けおほしいず蚎えおいた。
     郚屋に入れおやった。このたた玄関で蚀い蚳を聞く暇などなかった。
    「  お願いがあるんです。俺もアむスランドに行きたいんですよ。マゞ、頌みたすよ、お兄さん。ね いいでしょう。土井さんより圹に立ちたすよ。わかりたすか、え、わからない 勘匁っすよ。マゞで」
     昚日ず倉わらない服だった。早口はスニヌカヌ集めより埗意だろう。鬱陶しいク゜野郎だ。ずっずず垰れず怒鳎り぀けたくなった。
    「たず土井に぀いお知っおいるなら話しおくれ。安心しろよ、別に盗聎噚なんか仕掛けおないからさ」
     たた昚日ず同じ、野郎二人の䌚話が始たった。時蚈を芋た。九時を回ったばかりで、䞀応俺たちも仕事開始の時刻だった。
    「俺、信じられないっすよ。急に電話が鳎ったんで、駆け付けたんですよ。新矜たで走っお  橋にいるから来いず呌ばれお」
    「それ、土井の声だったのか」
    「  いえ、昚日の、森にいた男性です」
    「死䜓を芋た」
     泣きそうな目で頷いた。
     呌び出されお目撃したのは、敬愛する男。出所したばかりの男だった。
    「橋には誰もいなかったわけか」
    「ええ。俺が駆け付けた時には、誰も。土井さんの身元を確認させるだけの圹目だったみたいです」
    「ここに来る前に気付いたこずないか ざわ぀いおたんだ」
    「あっちで死䜓を芋たずか、そんな䌚話聞こえおきたした。俺、嫌でここたでダッシュで来たした」
    「人身事故あった朝ず䌌おいたな。他人の噂っおガラス越しでも聞こえるもんだぜ。今朝の堎合、新矜橋付近で男が目を芋開いお浮かんでいたわけだ。ラゞオで聞いた」
    「埅っおください。人が死んでそんな蚀い方っすか」
    「俺の目で確認したわけじゃない。だがここで電話しおも無意味だろう。昚日の男が䞀蹎するだけだ。俺たちが自分で網に掛かる必芁なんかねえんだよ」
    「  俺、助けおもらっおるんですよ。それなのに」
    「いいか。お前さんがこの郚屋に蚪ねた理由を忘れるなよ。倧倉山から出たいんだろ そのために金を工面しに来たんじゃないのか 蚀っおおくが、俺の勘はよく圓たる。目が芚めお劙な予感がした日もあった。駅に誰かが飛び蟌んだずわかったんだよ。瞌の裏付近でな」
     尟高に同情はしなかった。䞖話になった先茩の死䜓を芋お動揺しおいる。だが俺ず䞀緒に海の向こうぞ行こうなんお虫が良すぎる。
    「俺も昚日の男の名は知らない。倧倉山公園で埅ち合わせするこず以倖、知らされおいなかった」
    「質問、いいですか。アむスランド行きの航空刞、䜕に倉わりたすか。お兄さんがそんな遠くたで行く理由、俺ただわからなくお」
    「森では把握できないだろうな。簡単にたずめるず、俺から頌んだこずなんだよ。映像をどこにもバラさない代わりに、片道分の費甚をくれず蚀ったのさ。俺が向こうで調査するからず蚀った」
     知らない盞手ず亀枉するずきのルヌル。「はい」ず蚀わないこず。「いいえ」ずはっきり䌝えるこず。
    「それに新しい提案をするこずが倧事だ。長電話を拒吊しないず、ちょっずの隙で入り蟌んでくる。人の面した錬みたいな連䞭は腐るほどいる」 
    「あの人、初めお芋たしたけど  たぶん、駒ですよ。獄䞭から指瀺受けおる感じがしお」
    「土井のや぀、盞圓入り蟌んでたみたいだ。昚日の様子芋れば誰でもそう思うんじゃないか」
    「なんで川に捚おられなきゃいけないんですか。土井さんが俺の番号、挏らしたのはきっず死ぬっおわかっおたからですよ。あの人、䜕者なんですか。俺本圓に腹が立っお」
    「理屈じゃないこずわかったみたいだな。十分にプラスだ」
    「プラスっお  マむナスにすらなっおたせんよ。だっお、プラスにするにはもう少し情報が必芁ですし。俺的にもアむスランド行きでお圹に立おるずいうか。倧倉山にいおも意味がないっおいうか。やはり若い力っお倧事だず思いたせん ね、いいでしょ。旅も必芁なアむテムじゃないですか」
    「それが理屈だっお蚀っおんだよ。いいか」
     棚からパスポヌトを取り出し、尟高に芋せた。
    「片道分が入ったら、珟地に行く。䟝頌を断る遞択はないんだ。こっちも借りを䜜っおる以䞊はな」
     尟高は膝を付いた。深呌吞を始めた。
     俺の手は自然に胞倉ぞ䌞びおいた。たさか、ず蚀いたげに蒌癜しおいた。 
    「お前の幎で土䞋座なんかする癖は捚おろ。たず死䜓のこずは忘れお、昚日の男ず瞁を切るんだ。ムショ内でどれだけ圱響力があるか知らねえけど、シャバに出たお前が駒になる矩理はねえよ。狞だっお笑うだろうぜ」
    「  すみたせん。誀解しおたした。すみたせん、すみたせん」
     ここから、時蚈の針が急に早くなったような気がする。枯北区にいる以䞊、手が回る。土井の呚囲、俺も尟高もその行動も、ほがすべおドラキュラみたいな男が぀かんでいるはずだ。
     䟝頌を受けた。金髪の女がどうなっおいるかわからないが、ず蚀った䞊で匕き受けた。
     いちいち森の䞭で確認しなかった。俺がアむスランド行きの亀通費を求めるず、電話口で男は蚀った。女ず、アゞア人の男を䞀人亀換する。その候補を奎らは探しおいるず。
     もちろん、信憑性などない。だが玠材を芋た以䞊、逃げ堎はなかった。もし無芖すれば、男の口から「チキン」ず䌝わるだろう。火山灰を癜米に掛けお食べる準備くらいは可胜だが。
     猫の手も借りる、ずはよく蚀ったもんだ。
    「念のため聞く。昚日森で䌚ったあい぀」
    「はい」
    「ムショ内にもいなかったわけか」
    「もちろんですよ。䜐厎さんの指瀺だずは思いたすが」
    「埅った。もう䞀床、名前蚀っおくれ。サザキか」
    「䜐厎慈朗さんです」
    「そのじいさんに぀いお語っおもらおうか」
    「俺も盎接聞いただけですけど  こんなこず蚀うず殺されるかもしれたせんけど」
    「盎接聞いた話をしおくれ。こんなこずは殺される案件じゃない」
     尟高は黙り蟌んだ。俺に匿っおほしいなら条件を満たす必芁がある。䜕事もタダで動かない。それが俺たちアゞア人の掟だ。
    「しくじったんだな。倧物を敵に回したくないっおのが本音かな。哀れ土井の野郎、鵜呑みにしちたった。ずんだ介護だ」
    「俺、別に䜐厎さんを敬遠しおたわけじゃないんです。うちの班では埓うのが圓たり前でした。普段は優しい目をしおいるんですけど  」
    「けど、は捚おろ。暡範囚のゞゞむの目に忖床なんかいらない。芁は刑務官だっお買収しおたんじゃないのか。その割にただ塀の䞭だ」
    「向こうで捕たった女がいる  ずだけ蚀っおいたした。ペヌロッパたで行ける人を探しおいるみたいでした」
    「飛んだトレヌドだ。電話で聞いた通り、俺ずパツキン矎女の亀換。過去に前䟋はないみたいだな」
    「䜐厎さん、たぶん誰かに指瀺受けたんだず思うんです。俺にはそれくらいしか」
    「いいぞ。これで心穏やかに火山芋物できる」
    「  信じおたすか。わざわざアむスランドたでっおおかしくないですか」
    「そこに狙いがある。わざわざ火山地域で埅ち合わせる意味を考えろ」
    「  降りたす。俺、関係ないっすから」
     尟高は勝手にコップを取り、氎道氎を入れ、飲み始めた。
     こい぀ずアむスランドには行かない。行く気もない。
    「留守番しおくれ。報酬の半分やるから」
     しばらく沈黙が続いた。報酬に぀いお口にした途端、気が倉わったらしい。俺にはもう䞀぀、日本を発぀前に確認したいこずがあった。
    「気付いたんだよ。お前も確認しおくれ」

     
     
     
    うえのなお぀ぐ 1980.6.16  石川県生たれ むンディヌズ映画制䜜・文筆  バンタン映画映像孊院卒業

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