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【展覧会レポ】森美術館「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」

    Naota_t

    【約4,200文字、写真約50枚】
    森美術館の展覧会「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」に行きました。その感想を書きます。

    ▶︎結論

    現代アートが好きな人におすすめの展覧会です。それは主に、サイズが大きく、インパクトのある作品が多いためです。女性ならではの強烈なメッセージは、普段の生活では得られません。六本木ヒルズにある大きな蜘蛛のパブリックアートに1mmでも記憶があれば、行ってみてはどうでしょうか。ただし、付き合った日の浅いカップルや、子供にはおすすめしません🙅‍♂️

    おすすめ度:★★★☆☆
    会話できる度:★★★☆☆
    混み具合:★★★☆☆
    展覧会名:ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
    場所:森美術館
    会期:2024.9.25(水)~ 2025.1.19(日)
    休館日:会期中無休
    開館時間:10:00~22:00
    住所:東京都港区六本木6丁目10−1 六本木ヒルズ森タワー 53階
    アクセス:六本木駅から徒歩約10分
    入場料(一般):2,000円
    事前予約:なくてもok
    展覧所要時間:1時間半〜2時間
    撮影:ほぼすべて可能
    URL:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/bourgeois/index.html 

    ▶︎訪問のきっかけ

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    六本木の大交差点

    訪問のきっかけは、2つあります。

    1)六本木ヒルズにあるパブリックアート《ママン》の下を何十回も通ってきました。今まで「イカつい蜘蛛やなぁ」としか思わなかったです。その作者はどのような考えなのかを知る良い機会だったためです。

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    六本木ヒルズの《ママン》は待ち合わせ場所でも有名
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    クモには卵のようなものが見える

    美術館近くにあるパブリックアートの個展を開くのは良いアイデアだと思いました。その作品に親しみを抱いている人が多いため、展覧会にも興味が湧きやすいです。

    2)SCAI THE BATHHOUSEに初めて行った後、その創業者である白石正美について調べました。すると《ママン》は「森ビルと協働でスカイザバスハウスが手掛けた作品の一つ」だと知り、興味が湧いたためです。

    ▼SCAI THE BATHHOUSEの展覧会に行った感想

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    いざ、展覧会へ
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    「さくらももこ展」(2024.10.5~2025.1.5)は大行列

    ▼前回、森美術館の展覧会に訪れた感想

    ▶︎「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」感想

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    メインビジュアル。この笑顔に騙される

    ルイーズ・ブルジョワは(略)男性と女性、受動と能動、具象と抽象、意識と無意識といった二項対立に潜む緊張関係を探求しました。(略)ブルジョワの芸術は、主に自身が幼少期に経験した、複雑で、ときにトラウマ的な出来事をインスピレーションの源としています。彼女は(略)希望と恐怖、不安と安らぎ、罪悪感と償い、緊張と解放といった相反する感情や心理状態を表現しました。(略)生きることへの強い意志を表現するその作品群は、戦争や自然災害、病気など、人類が直面する、ときに「地獄」のような苦しみを克服するヒントを与えてくれることでしょう。

    公式サイトより
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    チケット
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    子供用パンフレット

    ルイーズ・ブルジョワ(以下、ブルジョワ)の日本での個展は27年ぶり。前回は、1997年に横浜美術館で開催されたそうです。

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    フロアガイド
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    《隠された過去》
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    1つ目からホラーな作品が展示されており、怪しい雰囲気を予兆させます。そして、横にはさりげなく注意書き。

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    一部、性的、暴力的な作品を含む、とのこと
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    《家出娘》
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    《ジェニー・ホルツァー ブルジョワ×ホルツァープロジェクション》

    このプロジェクションマッピングに映されている言葉は、ブルジョワが精神分析を受けている際に綴ったものだそうです。

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    展示されている作品も何だか怖い。

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    《無題》
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    《やるかとるか》
    この作品を見て、幼児が「グー、パー😀」と言ってました(笑

    この時点で何となく、草間彌生的な性格を感じ取りました。ブルジョワも草間彌生も精神疾患がありました。そして、彼女たちの作品は、サイズが大きくて印象的(今でいう"映ばえ")なものが多いです(男性器を作品のモチーフにしたことも似ています)。

    ただし、草間彌生の作品は、内面世界とは裏腹にポップなアウトプットになっている一方で、ブルジョワはその正反対のアウトプットになっています。

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    ここで初めて、六本木ヒルズに展示されてる蜘蛛が登場しました。

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    《かまえる蜘蛛》

    パブリックスペースと違い、この空間で間近に見ると、今にも襲いかかりそうで不気味な印象を受けます。この蜘蛛は、タペストリーを修理する仕事をしており、子供を癒し養う保護者であったブルジョワの母を表現しています。ブルジョワ自身から母への賛歌でもあったそうです。

    しかし、一般的な「母」から連想するイメージとは全く違う物々しさが漂っています。ハリネズミのジレンマのような気持ちがあったのでしょうか。

    ブルジョワの母は、役割としての母とは異なる実態があったのかな、と感じました。その後は「母」「女性」をダイレクトに表現した作品が続きます。

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    《良い母》
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    《自然研究》
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    《女》
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    《やり直す(内部要素)》

    なぜ、ここまで「母」に強迫観念があったのか心配になりました。『母という病』(岡田尊司)を読ませてあげたいです(良書です)。

    ブルジョワは、両親の"行為"を見た時に混乱し、《カップル》シリーズを作るようになったそうです。

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    《カップル》
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    「ブルジョワ展」には、現代アートらしい大きな立体作品が多いため、一見して楽しいです。しかし、実際にそれらの作品が放つエネルギーは、病的な何かを纏っています。

    「そこまで考え込まなくてもいいのに…。ブルジョワが"母性"に悩んでいる時、父親は何をしてたんや?」と思いました。

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    《カップル》
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    《授乳》

    いつもの森美術館では、どこか楽しい雰囲気が漂います。しかし今回は、すごく厳かで、ダークファンタジーな世界観の中で、強烈でフェミニズム的な作品に圧倒されるため、鑑賞していて疲れました。

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    《ファム・メゾン(女・家)》

    「女性性」という強迫観念に支配され、それを作品化したのでしょうか。「辛い思いをしてまでアートを作らなくてもいいんちゃうの?」とも思いました。しかし、むしろ作品を作ることで、精神の維持につながっていたのかな、と気付きました。

    ブルジョワは、アーティスト、娘、母、妻という複数の役割に疲れていたそうです。時には逃げてもいいし、誰かに相談すればいいと思いましたが、ブルジョワの近くに、そのようなセーフティネットがなかったのでしょうか。

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    《ヒステリーのアーチ》

    東京を見下ろせる展示室には、ブルジョワには珍しく、男性を象かたどった作品が宙吊りにされています。

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    ピカピカで美しい作品です。しかし、ガリガリの体の男性は、体をのけ反って、かなり苦しそうです。当時、ヒステリーは女性の病と思われていましたが、男性にもヒステリーはあると表現した作品です。

    ダイバーシティの考え方が整いつつある今、現代の世界をブルジョワが見たら何を感じるのでしょうか。

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    《部屋X(肖像画)》
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    《無題》
    所蔵:前澤友作コレクション
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    《父の破壊》

    ブルジョワの父は、男の子が欲しかったそうです。しかし、長女の次に生まれたのも女の子(ブルジョワ)でした。それもブルジョワの負い目になったそうです。また、家庭教師の女性と不倫状態にあった父親に対しての怒りが、ブルジョワが作品を作るモチベーションになりました。

    実際にブルジョワは「怒りや苛立ちを作品で表現できなければ、その矛先を家族に向けてしまう」と述べていました。作品を作り続けることで、衝動的に湧き上がる敵対心、嫉妬、殺意を浄化していました。

    しかし、そんな父が亡くなったことに加え、母の介護なども重なったことで、ブルジョワは鬱病になり、作品制作を止めた時期もあったそうです。

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    《カップルIV》

    「ブルジョワ展」は、一人で行くか、気心の知れた人と行くことをおすすめします。日の浅いカップルがデートで来たら、会話に困りそうです。また、子供にもおすすめしません。単純に怖いことに加え、ブルジョワの苦悩は経験が浅い子供では、理解が及ばないからです。

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    《シュレッダー》
    電線を収納する大型リールを再利用した作品。怖い…
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    《無題(地獄から帰ってきたところ)》
    展覧会のコピーになっている作品。フランス人らしいブラックユーモアを感じる
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    《無題》《絵画(白に赤)》《無題》
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    《クラマー》

    鑑賞を進めていると、どんどん悲しい気持ちになる珍しい展覧会でした。後半に行くにつれて、早く出たい気持ちが強くなってきました。きっと、森アーツセンターギャラリーで開催している「さくらももこ展」では真逆の世界があるのでしょう😅

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    《青空の修復》
    青はブルジョワの自由と開放を意味する
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    《無題(ホウキ女)》
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    《カップル》

    作品を通して「こんなに悩まなくてもいいのに」と思ってしまいます。しかし、そのように脳天気に思えるのは、私が男性だからかもしれません。女性がブルジョワの作品を見ると、共感する部分もあるのでしょうか。

    ブルジョワが感じていた複雑な感情は、文章で簡単に表現できません。そのような思想・感情を作品にすることによって、感じ取られ方に幅をもたせながら、多くの人の心に刻むことができると思いました。

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    《家族》
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    《蜘蛛》

    最後に設置されていた作品《雲と洞窟》が意外でした。《蜘蛛》で終わらないところに救いを感じました。今までの攻撃的な作品では感じられなかった、澄み切った青い雲と、ぽっかり奥行きのあるタライ。「私ももう大丈夫」と伝えている気がしました(蜘蛛くもと雲くもが連続していることは偶然でしょうか…🤔)。

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    《雲と洞窟》
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    《ルイーズ・ブルジョワ:部分的追想》18分32秒
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    ミュージアムショップの場所が変更され、充実していました

    ▶︎まとめ

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    買ったポストカード《ヒステリーのアーチ》

    いかがだったでしょうか?今まで何となく見上げていた、ブルジョワの《ママン》を作ったアーティストがどういう人かよく分かりました。普段の生活では気付かない女性ならではの視点は新鮮でした。サイズの大きい作品や、インパクのある作品が多いため、現代アートが好きな方には刺さると思います。なお、デートや子連れでの訪問は、おすすめできません🙅‍♂️

    ▶︎今日の美術館飯

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    ★3.1/梅蘭 六本木ヒルズ店 (東京都/六本木駅) - Aセット 梅蘭焼きそば【小】杏仁豆腐 (¥1,150)

     
     
     
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