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【🎨展覧会レポ】世田谷美術館「つぐ minä perhonen」

    Naota_t

    【#306、約5,000文字、写真約60枚】
    世田谷美術館で開催中の「つぐ minä perhonen」を鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。

    ▶︎ 結論

    展示構成の完成度が高い展覧会でした。それは主に、1)ミナ ポルホネンの世界観をうまく表現した造作により、ブランドコンセプトやものづくりのこだわりが理解できた、2)ストーリーを伴った構成によりメッセージがクリアに伝わった、3)服そのものに愛着をもって接する考え方について改めて気付いたことによります。ただし、フロア面積に対してあまりにも人が多すぎたため、満足度が下がった点は残念でした。

    ▼ 直近で世田谷美術館に訪問した展覧会

    おすすめ度:★★★☆☆
    会話できる度:★★★☆☆
    混み具合:★★★★★
    展覧会名:つぐ minä perhonen
    場所:世田谷美術館
    会期: 2025年11月22日(土)~2026年2月1日(日)
    休館日:毎週月曜日
    開館時間: 10:00~18:00
    住所:東京都世田谷区砧公園1−2
    アクセス:用賀駅から徒歩約15分
    入場料(一般):1,700円
    事前予約:オススメ
    所要時間:約2時間以上
    撮影:1階の皆川明の部屋、2階の動画以外すべて可能
    巡回:世田谷美術館→松本市美術館→熊本市現代美術館→富山県美術館→宇都宮美術館→静岡市美術館…
    URL:こちら

    ▶︎ 訪問のきっかけ

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    ジュリアン・オピー《People 14.》
    @用賀駅

    この展覧会は、もともと行く予定がありませんでした。東京都現代美術館で「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」に行ったことがあったためです。

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    「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」(2019年11月撮影)
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    私のミナ ペルホネン2代目の「ほぼ日手帳カバー」。
    現在は、ポーターのカバーを使用

    『新美の巨人たち』や複数のnote投稿を見た後、徐々に行きたくなりました。特に、服を長く着る展示に興味をもったことが決め手でした。

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    砧公園では梅が咲き始め
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    いざ、展覧会へ
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    人が多そうな気配…

    ▶︎ 「つぐ minä perhonen」感想

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    「ミナ ペルホネン」はブランドの創設から30年にわたり、手仕事や職人との協業を大切にしながら、暮らしのなかに永く息づき、時を重ねて深みを増すデザインを積み重ねてきました。(略)洋服やプロダクトのほか、オリジナルのテキスタイルやそれらの原画などにより、100年先へと歩みを進める仕事と思想に触れます。

    公式サイトより

    ✔️ 人多過ぎ問題

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    大混雑の展示室

    まずびっくりしたのは、当日券購入の列の長さ。観覧券はカウンターで購入するか、その列に並びながらオンラインサイトで購入もできるとスタッフからアナウンスがありました。

    そこで、オンライン購入を試みるも、ケータイのアンテナは圏外。Wi-Fiも全然つながらない。購入前から非常にストレスでした。貧弱な「SETAGAYA Free Wi-Fi」の利用を案内するのではなく、世田谷美術館専用のWi-Fiを準備してほしかったです。

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    人だらけ

    会場に入っても、人の多さに驚きました。日本人の教養の高さ(野次馬根性?)、ミナ ペルホネンの人気にびっくり。観覧者は、女性がメインだったものの、子どもの姿も多かったです。また「テキスタイル」に興味がありそうな男性1人の姿も目立ちました。

    その反面、若い人は少なかったです。Sheinなどの使い捨ての服を買うスタンスではなく、ミナ ペルホネンには、人生の深みを得ないとわからない良さがあるからかもしれません。

    館内は、異様で熱狂的な雰囲気に包まれていました。あまりに人が多過ぎて、鑑賞できる環境でなかったため、私は不快でした。主催の朝日新聞社に恨みを感じます。

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    律儀な列ができる

    また、観覧者がみな、展示に対して丁寧に列をつくって、順々に鑑賞することも混雑の原因になっていました。看視員には「並ばず、好きなところから鑑賞してほしい」など、展示室内でアナウンスしてほしかったです。

    特に「score」の部屋は、作品配置に若干課題がありました。大きなテーブルを一直線に配置すると、並ぶ人が増えます。そのため、展示物同士を離したり、点在して配置することで混雑も解消されると思いました。

    ✔️ 世界観を体現した空間

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    期待が高まる仕掛け

    展示会場の入り口通路には、ミナ ペルホネンの柄が使われていました。これはプリントではなく絨毯!他の巡回展で転用できない豪華な試みに心意気を感じました。

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    通路に合わせてカットされた絨毯

    「良き創造の世界はさまざまなボーダーを超えて、人間が相互に共感できる自由を必ずやもたらしてくれるはず」

    展示パネルより

    紛争、関税など世界が分断される動きがある中でも、デザインは人々の心を豊かにする普遍的なツールだと思います。

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    荒んだ世の中でも、この展覧会に来た人は、デザインの豊かさに触れ、日々の生活が明るくなるといいな、と思いました。

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    ✔️ 「つぐ」の意味

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    「つぐ」には、継ぐ、注ぐ、接ぐ、告ぐ、次ぐなど、さまざまな意味があります。私が気になったのは、「つぐ=ブランドの継承」「クリエイティブの源泉である皆川明がいなくなったらブランドを存続できるのか?」でした。

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    2021年、ミナ ペルホネンでは、田中景子が新しいCEO(兼デザイナー)に就任しました。ブランドとして「つぐ」体制が整いつつあるようです。皆川明は0→1へ、入社して20年以上の田中景子は1→10に発展させる。ミナ ペルホネンは人気を維持できるのか、今後が興味深いです。

    ✔️ 人気の秘訣≒民藝

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    《“triathlon” 原画》

    ミナ ペルホネンは、国内に、雑貨店やレストランも含み、東京や京都を中心に21店舗しかありません(売上は非公開)。ワンピースの値段は10万円前後です。

    少ない店舗数や、高価格帯にもかかわらず、この人気ぶり、巡回展は2027年まで決まっているのはすごい。その人気の理由が気になりました。

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    くまの名前は「セバスチャン」
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    皆川明のクリエイティブの源泉は、19歳の頃にフィンランドへ一人旅をしたことです。彼の生み出す自然派なテキスタイルが、北欧デザインが好きな日本人に、フィットしているのかもしれません。

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    代表的なモティーフ「tambourine」

    「tambourineタンバリン」は、私も過去に2つのアイテムを買ったことがあります。見た瞬間「あ、ミナだ」と、すぐにわかる代表的なモティーフ。ただの丸ではない、微妙なニュアンスに、私は魅力を感じました。

    展覧会を通して「tambourine」をはじめ、他のモティーフにも共通している不揃いなデザインが、人の心に刺さる理由だと思いました。これは、民藝にも通じる考え方です。

    不揃いなデザインは、工業製品のように精緻なものづくりに徹するユニクロとは真逆です。もし、ユニクロでブレがあれば、B品になるでしょう。

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    私は過去「ユニクロのUT(グラフィックTシャツ)で、ミナ ペルホネンの<tambourine>柄をつくれば、飛ぶように売れるんちゃう?」と考えました。しかし、ユニクロとのコラボは、ミナ ペルホネンの考えに相反すると、改めて理解できました。

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    《"symphony" トートバッグ(POTERとのコラボ)》
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    二足歩行している猫がかわいい

    観覧者が多すぎたため、「私はどのテキスタイルが好きかな」と気軽に見るようにしました。その中で特に、「tambourine」と、北欧的なデザインの中にも日本的なかわいさのある「symphony」が気に入りました。

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    《"sticky" 原画》
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    材料は「手でちぎったマスキングテープ」
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    消しゴムをモティーフにしたもの

    多種多様なプロダクトを見て、皆川明は日々どのようなインプットをしているのか?、どんな1日を過ごしているのか?、知りたくなりました。

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    皆川明の思いは「服をつくるのも、ひとりの<私>。服を着るのも、ひとりの<私>」。そして、ミナ ペルホネンは「特別な日常服」をめざしています。一方で、ユニクロはLifeWear「究極の普段着」を標榜しています。

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    《"flower bed”原画》
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    モティーフはマーカーペン

    ユニクロと違う、民藝的な手仕事感。ミナ ペルホネンの愛好家は「わずかな線の揺らぎ」「微妙な色彩の重なり」に、言葉にできない潜在的な魅力を感じるのかな、と思いました。

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    《“life puzzle” ほぼ日手帳カバー》

    ✔️ 作り手によるストーリー

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    展示では、つくるプロセスもフィーチャーされていました。手作りにしろ、機械でつくるにしろ、丁寧につくられた服の過程を見ると、1着1着大切に長く使おうという思いが湧きました。

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    なかでも、レースを刺繍する機械の動画は、メカメカしくて興味深かったです。刺繍している機械は古そうに見えましたが、データのインプットはデジタルの技術も採用する二刀流でした。

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    また、プリントは、機械ではなく、1枚1枚手摺りしているのは驚きました。このような展示を見ることで、ストーリーが生まれ、ブランドや商品に対する魅力も爆増しました。

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    ミナ ペルホネンの他に、例えば、高い縫製技術をもつPOTERも、このようなものづくりのこだわりが伝わる展覧会を実施すれば、需要は高いと思いました。

    ✔️ 服を長く使う

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    2階の最後の展示では、リメイクを取り上げていました。ユニクロは、RE.UNIQLOとして服の循環に取り組むなど、ZARAなども含め、各社アパレルは試行錯誤しています。そのヒントの1つが、ここにあると感じました。

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    左:before、右:after

    服は、自分を表現する重要なツールです。リーズナブルな価格で長く着られるユニクロのLifeWearはとても価値がある一方で、自分だけの特別な一着にも価値があります。

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    決まった服を買ったり、ネットで購入したりすると愛着は湧きづらいです。一方で、自ら店舗に行く、スタッフに相談する、悩んで買う、予定外に一目惚れして買うことで、その服は「自分だけの一着」になります。

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    この「自分だけ」がキーワードだと思いました。長く愛用した上で、精神的、物理的にもすり減った服にも、新たな価値を吹き込むことで、さらに長く着用できます。

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    リメイクは、費用面でも大量に対応することが難しいです。そのため、チェーン店はまねしづらいです。たとえば、ユニクロは一部の店舗で刺繍サービスを行っています。そこに発展の可能性が少しあると感じました。

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    before
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    after

    現在、ユニクロはオリジナル刺繍を7,500円から実施しています。今後は、スケールを活かして、自分で好きなデザインをよりリーズナブルな価格で刺繍ができたり、刺繍サービスを手軽にできる店舗を増やす(現在19店舗のみ)ことで、需要はさらに高まると思いました。

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    ✔️ 読後感の良い展示構成

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    展示全体を通して、ミナ ペルホネンに興味が湧き、そのアイテムが欲しくなる構成でした。ものづくりフォーカス→作り手の考えにフォーカス→お客様にフォーカスする流れが的確でした。

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    休憩スペース
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    チェアもミナ ペルホネン仕様

    また、展示内容にたくさんの「人」が登場している点も良かったです。ブランドは「人」がつくります。その人の考えやストーリーに共感が生まれ、お客様は商品に愛着が湧きます。

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    「tambourine」のチェア

    見終わった後は、ミナ ペルホネンの考えと今後の姿が、スッと頭に残りました。また「服そのもの」に対する考え方も、見直すきっかけになる構成だったため、読後感が良かったです。

    服そのものが好きな私にとって「服とはこういうもの、こうあってほしいもの」と改めて感じる展覧会でした。

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    《I see you.》

    ✔️ オチ

    私はさまざまな展覧会に行った時、ポストカードを1枚だけ買うのが習慣です。今回も、展覧会の代表的なデザインのカードを1枚購入しました。

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    左:購入したポストカード(¥418)
    右:全員もらえる名刺大のカード

    レジでびっくり。値段が418円!ポストカードの相場は高くても200円程度です。バーコードの読み間違えかと疑いました。1枚1枚が手摺りなのでしょうか?(そうは見えない…)「読後感が良かったわぁ」と思ったのに、最後の最後で微妙な気持ちになりました(苦笑。

    ▶︎ まとめ

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    いかがだったでしょうか?空間設計や構成にストーリーがあることで、ミナ ペルホネンのものづくりのこだわりや考えがスムーズに理解できただけでなく、服に対する愛着に気づくことができた展覧会でした。なお、人が多すぎた点は大きくネガティブでした。企画段階から、動員数が増えることを想定した導線であればなお良かったです。


     
     
     
    混雑から見どころまで。展覧会選びに役立つ、実体験レビューを投稿 ■年間53万ページビュー、1.2万スキ、196万インプレッション ■投稿:年間89(4.1日に1本) ■展覧会:年間87 ■読書:年間120、累計2321 ■食べログ:年間247、累計2798 (数値は2025年)

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