幼稚園編⑤ いろんな兄と歩いた帰り道
幼稚園の迎えは、
いつも兄弟でした。
その中でも、
いろんな兄が迎えに来る日をよく覚えています。
兄たちは、
自転車で迎えに来てくれました。
幼稚園が終わると、
門の前には兄の姿。
「帰るぞ。」
その一言で僕は安心して兄のところへ向かいます。
荷物を持ってもらう日もあれば、
自転車の荷台に乗せてもらう日もありました。
天気がいい日は、
二人で歩いて帰ることもありました。
帰り道では、
たわいもない話をしていました。
「今日は何した?」
「友達と遊んだんか?」
「給食は全部食べた?」
僕は幼稚園であった出来事を、
一生懸命話します。
兄たちは、
「そうか。」
「それはよかったな。」
そんなふうに笑いながら聞いてくれました。
当時の僕は、
それが普通の日常でした。
母は仕事。
だから、
兄たちが迎えに来る。
何も疑問には思いませんでした。
でも今、
兄たちが迎えに来てくれていた年齢を思うと、まだまだ若い青年です。
本当なら、
友達と遊びたい日もあったはず。
自分の時間だって欲しかったはずです。
それでも、
弟を迎えに行く。
荷台に乗せて帰る。
時には一緒に歩いて帰る。
今なら分かります。
あれは、
当たり前じゃありませんでした。
僕は昔兄の厳しい姿ばかり見ていました。
でも幼稚園の頃の兄たちは、
ちゃんと笑っていました。
ちゃんと話を聞いてくれました。
ちゃんと、弟を迎えに来てくれました。
あの頃は、
それが兄の役目なんだと思っていました。
でも違いました。
兄たちもまだ子どもと大人の間くらいの年齢だったんです。
自分の人生を生きながら、
僕の面倒も見てくれていた。
そのことに気づいたのは、
ずっと大人になってからでした。
今でも時々思い出します。
荷台から見た夕焼け。
兄の背中。
何気なく歩いた帰り道。
特別なことは何もなかった。
でも、あの時間は、僕にとって大切な思い出です。
もし今、もう一度だけあの日に戻れるなら、
帰り道で兄にこう伝えたい。
「兄ちゃん、迎えに来てくれてありがとう。」
あの頃は言えなかったけど、
今は心からそう思っています。
「何気ない帰り道ほど、あとになって一番大切な思い出になる。」
人生70% Things will work out きっと大丈夫 上手く✨