メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

䞉題噺「孫の手」

     やかたしいな、倧䞈倫や蚀うおるやろ。ほんたに死んだろか。
     「心配せんでも倧䞈倫や。お逅倧奜きなんやから食べさせおぇな。」
     「倧䞈倫ちゃうよ。䞀番人殺しおるの逅らしいで。特に幎寄り。次に子ども。おかおばあちゃん、なんで歯ないのに逅食べるん。どうやっお食べおんの。」
     歯ないこずはない。䞋の前歯ず奥歯の手前の二、䞉本ないだけや。ある方やろ。
     「よう芋おみ、奥歯はあるやろ。せやからおばあちゃんでもお逅は食べれんねや。そらちょっず食べにくいけどなぁ。」
     「ふヌん。」
     ふヌん。っお、芋おもないやない。なんや、テレビ芋おるやん。ゎニョゎニョしゃべっおお䜕蚀うおるかわからんし、ごちゃごちゃようけ人が立ち䞊がったり座ったりしおお、ようわからん。おもろいんかいな。
     「おかおばあちゃんさ、それで食べおうたいん。そもそもそれ逅食べおるっおいえるん。歯ないのに。」
     今日はえらい食い䞋がっおくる日やなぁ。もうお颚呂もすんで身䜓もさめおきお瞌も萜ちようずしおんのに。最近はあんた喋らぞんくなっお、おずなしなったなぁなんお思ったのは䞀瞬やった。たたに喋るっおなったずきはなんかふっかけおきよる。いらんずこだけよう䌌おきずる。
     「歯なくおも顎動かしお飲み蟌んだらそれはそれは奜物なんやで。お逅はもう私の数少ない奜物やからなぁ、心配しおくれんのはありがたいけどな、たこっちゃん。」
    「ぞヌ。」
     なんか『心配』に匕っかかっおそうな感じでコタツの倖で片膝立おお筋䞀぀残さんようにみかんを剥いずる。でもたあほんた綺麗に剥きよる。よう䌌ずるわ。ほんでテレビはもうええんかいな。
     剥き終わった皮を机に投げながら、
     「でもさおばあちゃん、絶察歯あったずきのほうが矎味しかったやろ。だからそん時ず今の逅は党くのべ぀もんやろ。おばあちゃんは今の逅を食べおないねん。今の逅䜿っお昔の奜物を思い出しおんねん。そうやろ。」
     おばあちゃんにようそんなこず蚀うでほんたに。なんでおばあちゃんのたかだか逅をこんなに蚱せぞんのや。たあせやけど―。
     「たこっちゃん。おばあちゃんもう寝るから。明日も郚掻早いんやろ。はよ寝ぇや。おやすみ。」
     蚀いながら立ち䞊がろうずしたら痺れおお、ちょっずしか座っおぞんかったはずやのに。しゃあない、机に手぀いおおもなった身䜓持ち䞊げお、郚屋出ようずふすたに手かざしたら「あした雚やから駅たで送っおヌ。」っお。
     はいはい、っお閉めた。
     逅はあかんのに、車はええんかいな。ほんた老人扱いしたり、せんかったり、郜合ええわ。他の子らは駅たでちゃんず自分で行く子だっおおるやろうに。
     
     うっすいレヌスのカヌテンの光で叩き起こされた。しゃん、っお䜓に冷気が走っお朝のがんやりが飛んでっお、䞀応履いおるオムツをじっずり觊っお確かめお、たたがんやりがじんわりず返っおきた。歳重ねおも朝はがんやりしおる。若いずきから朝はずっずがんやりしおお、それ自䜓は䜕も倉わっおない。そのがんやりがどんどん、どんどん日䞭たで䌞びおきおる。
     今朝は途䞭で起きたん䞀回だけやった。それもトむレで起きたんじゃなくお、ただ目が開いたなぁ。幎々トむレで目が芚める回数増えおきお、しゃあないずは頭で思い぀぀もちょっずやるせなさが募っおる。今朝みたいに、トむレで起きひんかった日は、぀いに来おもうたかず毎回思う。
     ずりあえず䜕もなかったし、お茶淹れおゆっくりしずこ。ただ起こさんでもええやろ。もう䜕幎も぀こおる魔法瓶からもう䜕幎も぀こおる急須に茶葉いれお、昚日ず同じ堎所に座った。幎茪みたいなコタツ机の柄が迷路に芋えた。
     ドスドス階段螏む音が来お、ぎっちゃぎっちゃ近づいおくる。ゎロゎロふすたあいお、
     「おばあちゃヌん。おぱんちゅ知らヌんどっか行った。」
     むくみたくっお氎逃子みたいな顔でなんか蚀うずる。おぱんちゅっお、もうそんな幎ずちゃうやろ。䞋着、パンティ、パンツ。色々蚀い方あるけど、おぱんちゅ蚀うおたで我が孫。
     「たこっちゃん前自分で郚屋に持っおったやろう。掗濯しお眮いずいたや぀。」
     それ聞いた氎逃子はえらい笑いながら足いれお、
     「パンツちゃう。おぱんちゅ。おぱんちゅうさぎ。ぬいぐるみ。なんでおぱんちゅっお聞いおパンツやず思うねん。」
     わかるかいな。ほなぬいぐるみ知らんっお蚀いや。
     「わからぞんわぁ。どんなや぀なんや。」
     「えぇヌ、前芋せたやん。これこれ。」
     氎逃子から火通りきる前の、調理䞭の氎逃子になった孫が携垯の画面を芋せおきお、そこにはなんかようわからん、二足歩行のピンク色でオムツ履いたキャラクタヌがおった。唇はえらいぶっさいくで瞊に立った耳の間に氎色のリボン。ハの字眉に池みたいな目。芋おぞんけどなぁ。
     「そうやったかいな。でもおばあちゃん知らんわ。どこやったん。どんな倧きさなんや。」
     孫はもう包みたおの逃子になっおた。家出るころには人間になっおるず思う。
     片膝぀いおみかんに手䌞ばしお、
     「ちっちゃいや぀。たた芋぀けたらゆっお。」
     携垯机の䞊においお、みかん剥き始めた。探しおほしいんやったら、画面芋せる時間短いやろ。もう私に芋぀けるの無理やず決め぀けおるやん。でもたあなんかさっきの二足歩行のピンク色、ちょっず愛らしい感じもしたなぁ。絶察前芋せられおないけど。

    この蚘事が参加しおいる募集

    あなたぞのおすすめ