
時間をかけて発揮される強みもある|FIFAワールドカップ2026日本代表|キャリア論
時事にからめた仕事論、組織論です。
朝礼スピーチなどでご活用ください。
日本のFIFAワールドカップ2026は幕を閉じた。悲願の決勝トーナメント1回戦突破は叶わなかったが、選手、監督、コーチ陣の労をねぎらいたい。
さて、私はサッカーにそれほど詳しくないが、ワールドカップの日本戦はドーハの悲劇(1993年)あたりから観戦してきた。数えてみたら30年以上だ。
そして、ここ10年ほどの日本代表について、次のように感じている。
「日本代表は本当に強くなったなぁ」
これが、ドーハの悲劇を知る世代の率直な感想だ。日本は驚くほど強くなった。
振り返ってみれば、90年代の代表戦は、いつもハラハラしながら観戦していた。日本は攻撃力がなかったため、防戦一方となる試合が多かった。そして、いつゴールを奪われるかという不安が常に付きまとっていた。
2000年代に入ると、海外で活躍する選手も増え、日本代表も少しは強くなった。しかし、相変わらず防戦を強いられる試合も多く、90年代と同じ不安感を拭えずにいた。
ところが、2010年代に入ると日本代表は明らかに変わった。具体的に言えば本田世代ということになる。
1点、2点ほど取られても、それくらいなら取り返せるだろう。そんな頼もしさを感じるようになった。おかげで、代表戦を安心して観戦できるようになった。
そしていまや、ワールドカップ優勝を目指すと公言できる国となった。もちろん強豪国との差は依然として残っているが、日本が優勝することがあっても不思議ではないと思えるくらいには強くなった。
こうして振り返ってみると、サッカー日本代表は、90年代から時間をかけて着実に強くなってきたことが分かる。これが日本の強みだと思う。
おのれの強みを知ることは、個人にとっても組織にとっても重要だ。ビジネス思想家のドラッカーは、強みに集中すべきだと説いた。
一口に強みといっても色々ある。決定力がある、ボールを保持できる、守備が堅い、連携がうまいなどだ。これらは、試合をすればすぐに分かることだ。
その一方で、時間の経過とともに明らかとなる強みもある。日本代表のように「時間とともに着実に強くなる」という強みがまさにそれだ。これは長い時間を振り返ってみて初めて気がつくことであり、試合をすればすぐに分かるものではない。
「時間とともに着実に強くなる」という強みは、サッカーに限った話でない。文明開化した明治の日本は時間とともに着実に強くなり、ついには列強の一員となった。焼け野原から始まった戦後の日本は、着実に豊かになり、ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれるまでに成長した。
「時間とともに着実に強くなる」という強みは、いかにも日本らしい強みだ。今回はサッカー日本代表がそれを体現してくれたともいえるだろう。
話をまとめよう。
強みには、いまこの瞬間に発揮できる強みもあれば、振り返ってみて初めて気がつく強みもある。
だから、自分にも後者の強みがないか探してみてほしい。想像もしていなかった強みに気がつくこともあるだろう。
その強みに気がついた暁には、ほどなくして仕事の幅も大きく広がるに違いない。