
やさしい朝ごはん
朝、AM5:00 前。
一瞬トイレに目覚めた祖母の音に、わたしも目覚めて
また、ベッドに戻っていくのを確認する。
わたしも続けて同じ導線で動くと
その音に反応して、部屋から 声が聞こえる。
『あなた、寒いから暖房付けなさいよ』
風邪ひいたら元も子もないわ、と、まだ寝ぼけた声。
「はぁい」と答えて、わたしは一人、そっと起き出した。
早起きの目的は、朝ごはんの支度。
用意するのは、誰にでもできるサラダに、オープンサンド。
サラダは、信頼のおけるマルシェの出店者さんから購入し
味もやさしさも唯一無二。
バツグンに上等。
だから、おいしく食べたい、食べて欲しい。
祖母がまたベッドに寝静まったのを確認して、
ヒソヒソと準備をはじめた。
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2年前、私はマルシェのスタッフを始めた。
当時、勤めた会社で、メンタルがズタボロになった後だった。
ズタボロ期間の1年弱、自信も自己肯定感も、
底無し沼だった。
辛いを超えて、やる気なんて少しも湧いてこない。
と言い切っていた、悲劇のヒロイン真っ只中で
当時付き合っていた彼にも申し訳ないくらい
救いようがない、という態度だった気がする。
時間はかかったが、ある日から
「いつでも自分の生き方を選択できるようにしたい」
と思った。
そのためには
「やってみたい」
「できそう」
「たのしそう」
と思える仕事が必要で、そんな中、
巡り合ったのが "マルシェ" だった。
ささやかで、当たり前ではない しあわせ
メンタル ズタボロの理由は「他人(ひと)」だった。
だから「人と関わるのが怖い」と泣いていた。でも裏を返せば…?
その、心の声は
「本当は、もっと人と仲良くなりたい」
「人と心を通わせたい」
「他人と 心からの対話がしたい」だ。
時間がかかったとしても、沼の外に出て
これまでと別の人と関わり
わたしが「楽」に取り組めて、気持ちが「軽」くできることを
これからやっていこう、と思った。動いた。
マルシェのスタッフや出店者さんは、とてもやさしかった。
緊張しても、声をかけて仲良くなったもん勝ちだった。
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好きなこと
嫌いなこと
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欲しいもの
いらないもの
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楽しいこと
億劫なこと
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至福だと感じること
もう2度と味わいたくないこと
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出店者さんは
自ら、手を動かし、積極的に 作り/生み出し/関わり
それらを自らの手で、売ることを手掛ける人たち。
本当に尊敬の念に堪えない―
様々なことを伺い、声と言葉を拾い、呼応するように
私も自らをひらき、話をする瞬間はー
自分の人生において
それ以降、とても尊い時間になった。
加えて、わたしは、どんどん料理がすきになった。
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わたしのすきな料理は、物語の紡げる 素材や調味料で
つくる料理。それらを口にして味わう時間も含めて、すき。
出店者さんが話してくれる、つぶさなことを
わたしは料理をしながら、
それを写真におさめながら、
おまじないのように、口に出していた。
気付いたら、SNSにもアップしていた。
「このトマトは、〇〇県産。今年有機JASを取得したフルーツトマト」
「菜の花って、野沢菜も白菜も小松菜もキャベツも色々ある」
「アブラナ科の花全体のことを、菜の花って言うんだって」
「〇〇さんの実家の近くが、この産地で」
「糖度は〇%で普通の種より、甘い」
「保管は、今の季節だったら野菜室じゃなくてもいいんだ」
「冷蔵庫にモノを入れると、追熟がとまるから」
そんな おまじないは、誰に教えたい わけでもないけれど、
わたし自身の
「たのしい」感覚を、世界にひらいた。
わたしがひらくことが、また別の誰かや何かの
心の深いところを開くことに繋がっている、とさえ、感じられた。

さらに新しい仕事を取り組んだ初日の
Instagram ストーリーズ
物事に対しての抱く 複雑さより、「シンプルさ」で紐解く世界を。
指をくわえて待っていた「キニナル」を、叶えてあげる世界を。
固結びした価値観を、「スルスルと」緩める世界を。
わたしは、マルシェを通じて、その世界の愛おしさに触れた。
世界はまるっと、包んでくれた
わたしは、そんな出店者さんのいる場(マルシェ)を
ともにつくり、支えることも
マルシェでの消費行動を通じて
出店者さんとつくる 経済循環に加担することも
今は、すごく誇らしい。
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早起きをして気付かぬうちに
朝ごはんの準備をした わたしに
眠い目をこすりながら起きた祖母は
『 「あなたの思いやり」に感謝しています 』
と言った。
いやいや、実はわたしがマルシェの場でいただく
様々なものを、祖母にもお裾分けした、に、過ぎないんだよ。
出店者さんから、わたしは色々なことを
(物理的にも、精神的な つながりをも)受け取りすぎている。
そんな世界に、恵まれすぎている。
同じ その世界に、
やさしさ、思いやり、
人から人にしか伝わらない温かさを、
わたしもできるだけ
身近で大切なひとのいる、この世界に
返しているだけ、なんだよ。
そんな話をしていると、また祖母が
おまもりの言葉をくれた。
あなたは、やりたいことをやりなさい
やりたいことをやりながら、社会に貢献していくんでしょう..?そうするね、これから。
時間はかかっても、必ず。
だから、これからも 見守ってくれたら嬉しいよ。
P.S.
今日でマルシェの仕事をはじめて2年経った
だから、名付けるのだ。
3月10日は #マルシェ記念日 って。