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Photo bytomekantyou1

無色透明

    バスに乗ろうと思った。
    理由は、都会で友人に会うため。
    友人が帰りは車で送ると言ったので、行きは公共交通手段を選択。
    家の付近に駅がないためバスに乗ろう、そういう感じでなんとなくの気分で決めた。

    支度をして、玄関を出た。
    予め調べておいたバス停へ向かって歩くが、バス停までの距離は近いため、思ったより早く着いた。
    バス停には自分一人だ。
    時刻表を見ていると小さいQRコードが目に入る。
    普段は車の移動でバスにはほとんど乗らないため、少し新たな発見があった。
    自分が乗った市営バスは、リアルタイムでバスがどこにいるのか、何分遅れているのかがわかるサイトがあるらしい。
    QRコードからそのサイトを開き、バスがバス停に到着と出発を繰り返すのを見ながら時間を潰す。
    待つうちに定刻通り、バス停に青いバスが停まった。

    バスに乗ると、前払いのため運転手に行き先を聞かれた。
    自分は終点を伝え、電子決済で支払いを済ませ、一人席に座る。
    バスが動き出す。
    休日。昼過ぎ。バスの中は、運転手と自分以外誰もいない。
    バスのエンジンが車内に響き渡り、あのシートの匂いもより一層強く感じる。
    携帯を見ると、乗り物酔いになってしまうため、窓の景色を見ることにした。
    景色が流れていく。
    車。走っている人。雲。いつも通る道。並ぶ家。さっき見たような黄緑色の靴の人。知っている道の一つ隣の道。小学校。そして知らない道。
    バスのルートは、町の南側全体を巡るように回って都会へ向かうルート。
    時々同じ景色を写しながら、バスは町の各バス停を回っていく。

    少し暑くなってきたので、上着を1枚脱ぐ。
    白髪の運転手がそれに気付いたのか、エアコンから冷風が流れる。
    席の後ろにハンガーがかかっていた。おそらく上着を掛けておくのだろう。
    ふと、バスの中を見た。
    飲食や電話を控えるようにお願いするラミネートされた張り紙や資格の広告が貼られている。
    席は自分以外誰も座っていない。普段は、通路、隣の二人席、後ろの五人席に人がたくさんいるのだろう。
    自分はこういった普段多くの人が利用している施設などを自分だけが利用している時、貸切しているようで少し好きだ。
    そんな貸切バスは、人のいないバス停を次々に通り過ぎていった。

    しばらくしてバスが停留所に停まった。
    女性が一人乗車した。運転手に行き先を聞かれる前に、女性は支払いを行う。
    女性は終点と伝え、紙のチケットを箱に入れて、二人席に座る。
    バスが動き出す。
    休日。昼過ぎ。バスの中は、運転手と女性1人、自分以外誰もいない。
    バスのエンジンによる小刻みに車内に伝わる振動やシートの匂いにも慣れてきた。
    自分も、女性も窓の景色を眺めていた。
    また景色が流れていく。
    車。自転車に乗っている人。雲。並ぶ飲食店。グループで歩いている人たち。高速道路の下道。40階建の高層マンション。そして知っている場所。
    バスのルート的に、もうバスは止まらない。
    バスは最後のバス停へ向かっている。

    終点に着いた。
    自分は女性に降車を譲り、女性も自分に降車を譲った。
    自分が後ろの席だったので、先に降車させてもらうことにした。
    女性、その先にいる運転手にもお礼をしてバスを降りる。
    目的地に向かうとしよう。

    #創作大賞2026 #エッセイ部門


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